過去に戻って、水木家を飛び出していた大介はというと…
あるサッカーコートの所の芝生の上に座っていた。
そう、ここはかって大介がブラッキーズというチームのメンバーとして、
サッカーの練習試合をしていた所である。
(未来の世界では、俺となつみが結ばれてて…そして、みらいは…俺となつみの未来の子供…なのか?
くそっ!俺、どうしちまったんだろ?なんでこんなに動揺してんだろ?解らねぇ…俺は…俺は、あいつの事が好きなはずなのに、
それを素直に受け止めるなんて…できねぇよ。ちくしょーっ!どうしたらいいんだよっ!)
少し頭が冷えた大介は冷静になって先程知った情報の整理をしていたが、上手く整理出来ずにいた。
「大介お兄ちゃん」
大介はその声を聞いてはっとして後ろを振り向いた。
振り向くと、そこにはみらいが立っていた。
「みらい…」
「やっぱり、ここに居たんだね。」
大介は黙ったまま、元の体勢に戻した。
「隣、座ってもいい?」
「ああ。」
みらいは大介から返事を聞いてから、大介の隣に座って、同じように芝生の上に座った。
「お前、なんで俺の居場所が解ったんだ?」
「なんとなく。」
「なんとなくってお前…」
「だって、未来の世界に居るパパもよく、何かあると、良くここへ来るんだもん。」
未来の大介が良くここに来ていたからもしかして?っと思ってここへ来たと言うみらい
「…なあ、さっきの男…ホントに未来の俺…なのか?」
「…そうだよ、信じられないんでしょ?」
「あ、ああ。」
「だから言ったじゃない。普通、人はこんな現実を信じない、受け止めないって。」
「っ!!…お前っ、それ、本気で言ってんのかっ!?」
怒鳴るようにみらいに聞き返す。
「…本気だって言ったら、どうする?」
「そりゃもちろん、許さねぇな。」
「自分が現実を受け止めていないのに?」
自分の事は棚に上げて何言ってんの?っとでも言いたげなみらい
「例え、俺が受け止めていなくても、なつみはしっかりと現実を受け止めているじゃねぇかっ!」
「…説得力ない。」
「なっ!?」
「…一つ、お聞きします。」
「な、なんだよ?」
「大介お兄ちゃんは…今、味噌屋を継ぎたいと思っているんですか?」
「そ、それはっ…」
みらいのその質問にすぐに返事を返せない大介
「継ぎたくないとは思ってはいないかもしれないけれど、他に進みたい道があるから、
今、味噌屋をこのまま受け継ぐべきか、受け継がないべきかを考えてしまっているんじゃないんですか?」
大介の心を見透かすように言うみらい
「っ!!」
「誰かの言葉に…ずーっと縛れてきたんじゃないですか?」
「なっ!?お前…それ、未来の俺が言っていたのか?」
「ううん、言ってないし、聞いてもいないよ。だけど、いつも見てて、疑問に思っている事があったから。
この時代に飛ばされてきて、大介お兄ちゃんを見てて、その疑問が解けたんだ。だから…」
聞いたことはないが、今目の前に居る中学生の大介を見ていてやっと解った事だと言うみらい
「そっか。なぁ、俺…なんで技師になってんだろ?」
「さぁ?それは良く知らないけど、なりたいから、なったんじゃないかな。」
「なりたいから、なった…っか。」
良い答えが得られなくてガックリと肩を落とす大介
「…アドバイス、出来るけど…聞く?」
そんな大介を放っておけず、アドバイスしようかと言うみらい
「…ああ、頼む。教えてくれ…俺はどうしたらいいのかを…」
まだ幼いみらいに助けを求めるなんてどうかしているかもしれないが、
今は藁にも縋る思いで大介は聞く。
「まずは、今の自分自身を受け止める事から始めないと、何も始まらない。」
「自分自身を…受け止める?」
「そう。大介お兄ちゃん、今の自分自身をまだ受け止めきれていないような気がするんです。」
「…今まで気づかなかったけど…確かにそうだな。俺、まだ自分自身を完全に受け止めきれていねぇみてぇだな。」
「次に、自分の心に呼びかけるんです。自分は何を求めているんだろう?自分は何がしたいんだろう?って…
目を閉じて、自分の心に呼びかけるんだよ。」
「自分の心に呼びかける?」
「うん。自分のやりたい事はなんだろうって思った時、自分の心に呼びかけていると、不思議と答えが見つかるんだよね。」
「へぇ…誰に教えてもらったんだ?」
「ん?別に誰にも教えてもらってないよ。自分でそう思ってやってるだけだから。あとはその答えに対して、自分の決断を下せばいい。
結局、最後は自分で答えを出さなきゃいけないんです。でも、このアドバイスを元にやってみたら、もしかしたら、自分が納得できる、
自然な答えが出るような気がすると思うな。このアドバイス通りにやってみるかどうかは…大介お兄ちゃん自身が決めてね。」
アドバイスしたが、これを実行するかは自分で決めろと言う。
「俺は…」
「焦らなくても良いんだよ?今すぐに答えを出さなきゃいけない事じゃないんだから。これからゆっくりと考えていけば良いと思うよ?
早く決めないとって思っているから、余計に焦って、ちゃんと自分が納得した自然な答えが出せないんだよ。」
焦っても何も始まらない、納得のいく答えが欲しいならゆっくり考える事だと言う。
「お前、何でも知ってんな。ほんとに6歳児か?」
「うん、6歳児だよ。」
「ははっ、俺はその6歳児に説教を受けてんのかよ?」
「クスっ、そうなるね。」
「ほんっと信じらんねぇな。お前が…俺となつみの…未来の娘だなんてな。」
口ではそう言いつつも、少しずつみらいの事を娘として受け入れようとしていた大介
「驚いたでしょ?」
みらいは大介が自分の存在を拒否せず、娘として受け入れようとしてくれている事を顔を見て解り、嬉しそうにする。
「ああ、驚いたさ。俺がなつみの旦那で、そして、お前の父親だなんて聞かされたら、驚かねぇ方がどうかしてるぜ。」
「それもそうだね。」
「それにしても…自分の未来の娘に説教されちまうとは、ほんっと信じらんねぇ出来事だな。…なぁ、みらい」
「何?」
「あのさ、ちょっとの間、俺の話を聞いてくれないか?」
「いいよ。」
「サンキュ。あのな、俺…ずっとさ、小さい頃から、お前の言うように、ある一言に縛られてきたんだ。
『お前はこの山口太郎左衛門商店の跡を継ぐんだ』って、ずっと言われ続けてきた。
だから、俺は今まで、何もかも中途半端にしかしなかったんだ。自分は夢を持っちゃいけないんだって
ずっと心に言い聞かせてきたんだよ。けど…良いんだよな?俺も、夢を見ても…良いんだよな?」
「うん、誰だって、なりたい夢ってあるよ。だってみんな、なりたい夢があるから、
人それぞれの輝きを持っているんだって思うんだもん。」
「そうだよな。俺って…バカだよな。初めからあの一言に縛られずに、
夢を見てれば良かったんだよな。今頃、気付いちまうなんてな…」
小さい頃に言われた一言に縛られて、ずっと夢を捨ててきた事に後悔する大介
「今からでも遅くないよ。これからゆっくり自分が本当になりたい夢を探すといいよ。」
「ああ…そうだな。今から考えれば良いんだよな。サンキュ、みらい」
「どういたしまして。ねぇ、そろそろ家に戻ろうよ、大介お兄ちゃん。
みんな、きっと心配してるよ?特に大平君が。」
大介の様子を見てもう大丈夫だと思ったみらいは家に戻ろうと言う。
「そうだな。そろそろ帰るか。」
2人は座っていた芝生から立ち上がる。
「それじゃ、帰ろう?」
「ああ、帰るか、みらい」
2人は水木家へ戻るために歩き始めていた。
一方、その頃の水木家では…
「そういえば、なつみはあまり驚かなかったね。」
なつみが動揺はしてたけど、あまり驚いていなかった事を思い出すタマエ
「えっ?何を?」
「何をって、なつみと大介の関係よ。普通はあそこで驚くものなんだけど。」
「そうかな?」
「だって、あの大介がだよ?あの大介がなつみの未来の旦那様で、みらいちゃんはその大介となつみの間の子供なのよ?」
「…だって私、その時にはもう、大介がみらいちゃんのパパだってこと、ほぼ確信してたんだもん。」
「「え…ええっ〜!?」」
「う、うそでしょっ!?」
「ほんとうなの!?なつみちゃん」
信じられないと言わんばかりタマエとえり子
「うん。2年前の星祭りのあった日から、ずっと確信を持ってたよ。」
「どういうこと?」
「実はね、2年前の星祭りの日の前、私が日本に帰国した日の夜、みらいちゃんと会ってるんだ。」
なつみは今まで2人に隠していた事を明かす。
「ええっ〜!?」
「な、何歳のみらいちゃん?」
「10歳のみらいちゃん」
「じゃあ…2017年から?」
「そう。タマエ達も会ってるんだよ?みらいちゃんと。」
「えっ?」
「あっ、ねぇ、なつみちゃん。もしかして…『みいら』って名乗ってた子?」
なつみのヒントで誰の事か思い当たったえり子
「そう。」
「ええっー!?…ってことは、大介も会ってるって事よね?」
「うん。その時のみらいちゃんは副作用があったんだ。」
「どんな副作用?」
「あくびをする事によって、赤ちゃんに戻ったり、10歳に戻ったり。」
「あくびをする事によって?」
「そう。」
「そういえば、あの時聞こえた泣き声…もしかして、あれは赤ちゃんに戻っちゃったみらいちゃん?」
「うん、そう。」
「どうして今まで隠してたのよ〜!?」
今まで隠してた事に怒るタマエ
「だって、仕方ないじゃないっ!その時に来ていたみらいちゃんが、誰にも言わないでって言ってたんだからっ!」
「みらいちゃんが?」
「うん。」
「はぁ〜…でも、2年前の星祭りの時になんで居たの?またタイムスリップで飛ばされてきたの?」
「ううん、違うよ。あの時は自分から過去へやって来たんだよ。」
「自分から?」
「うん、江地さんの作った新型のタイムマシンでね。」
「へぇ〜。」
「それで…なぜ星祭りの時期にやって来たの?なつみちゃん」
「あっ…それは良くわからないけど、過去へやって来た目的は、みんなにお礼を言うためだって。」
なぜ星祭の時期にきたのかは解らないが、お礼を言いたくて過去へ来たと言う。
「「お礼?」」
「うん。2年前のクリスマスに、自分をみんなで必死になって、未来の世界へ
送り帰してくれてありがとうって言いたかったんだって。」
「そうなの?それじゃあ、なぜ自分の正体を隠しちゃったのかしら?」
「さぁ?それは良く知らないけど。」
「ふ〜ん。」
その時、玄関が開く音がした。
「あっ、きっとみらいちゃんと大介だ。」
なつみ達は玄関へ行った。
なつみ達が玄関へ行くと、なつみが言った通り、
みらいと大介が帰ってきていた。
「おかえり、みらいちゃん、大介」
帰ってきた2人を出迎えるなつみ
「ただいま。」
「お、おう…」
「大介、少しは落ち着いた?」
「あ、ああ。」
「大介〜、みらいちゃんと何話してたの?」
「えっ…」
「ほら〜、白状なさいっ!!」詰め寄るタマエ
「けっ!やなこったっ!んなもん、教えっかよ!」
「何よ〜、教えてくれたって良いじゃないのよ〜!」
「タマエちゃん、落ち着いて。」
暴走気味なタマエを止めるえり子
「タマエ、諦めろ。俺は一生教える気はねぇ。」
そう言い残して、先に居間へ行ってしまった大介
「あっ!ちょっと大介っ!!」
「…もう、素直じゃないんだから〜。」
「ねぇ、みらいちゃん!大介と何話したの?」
大介がダメならみらいだとばかりにターゲットを変えるタマエ
「…秘密です。」
「えっ〜!?教えてくれたって良いじゃない〜。」
「ダ〜メ。絶対に教えられません。」黙秘を貫くみらい
「あ〜ん、みらいちゃんのいじわる〜。」
「クスっ…みらいちゃんのこういう所、きっと山口君に似ちゃったのね。」
「そうみたいだね。」
その後、なつみ達も居間へ戻っていく。みらいも一緒に…
居間では、大平が大介に抱きついていた。
「兄ちゃん、心配したんだよ?」
「わりぃ、わりぃ。心配掛けちまってごめんな?大平」
心配していた弟に謝る大介
「大平ちゃん、ずっと大介の事、心配していたのよ。あんまり、大平ちゃんに心配させちゃ駄目だよ?お兄ちゃん」
「あ、ああ…」
「さて、夕食にはまだ早いし、今からみんなでトランプやらない?」
「それいいねっ!賛成〜!!」
「おっ、それいいな。大平もやるか?」
「うんっ!」
「私はパス。」
みんなが賛成する中、みらいだけがやらないと言い出した。
『ええっ〜!?』
ブーイングの嵐を巻き起こす。
「ど〜してよ〜、やろうよ、みらいちゃん」
「一緒にやりましょうよ、みらいちゃん」
「みらい、タマエやえり子がこう言ってんだ。諦めて、トランプに加われ!」
「ねっ?みらいちゃん、一緒にやろう?トランプのやり方は知ってるよね?」
「それは…知ってるけど…」
「んじゃ、やろーぜ!みらい」
「いえ、だから…」
「おーしっ!みらい参加決定っ!」
「ちょ、ちょっと大介お兄ちゃん?」
「さっきのお返しだ。」
「…わかったよ、じゃあ参加する。」
みんなの押しに負けて、諦めて参加する事にしたみらい
「そうこなくっちゃっ!」
「それじゃ、私、トランプ取ってくるね。」
「うん、お願いね。なつみ」
そこでなつみがトランプを取りに行くために抜けた。
「んで?タマエ、トランプで何すんだ?」
「そうね〜、神経衰弱しない?」
「神経衰弱か…良いんじゃねぇか。なっ?大平」
「うん!」
「私も賛成。」
「みらいちゃんは?」
「良いんじゃないかな。」
「トランプ、持ってきたよ。」
なつみがトランプを持って戻ってきた。
「あっ、なつみ。神経衰弱しようと思ってるんだけど、それで良い?」
「うん、いいよ。」
なつみは箱に入っていたトランプを取り出して、シャッフルし始めた。
シャッフルしたあと、持っていたトランプの半分をタマエに渡し、
2人で床にカードが重ならないように、すべてのカードを裏返しのまま、並べていった。
「これでよし。ジャンケンで最後まで勝ち残った人が1番最後。
だから、1番初めに負けてしまった人が1番最初。OK?」
「おう!」
「うん!」
「わかりました。」
「「わかったわ。」」
「それじゃ、いくよ?ジャンケン…ポン!」
そして、ジャンケンが始まり、残り2人になって、最後のジャンケンをしていた。
残っていたのは、大介とみらいであった。
「ちくしょ〜、負けたっ!」
「やりぃっ!」
ガッツボーズを取るみらい
「みらいちゃん、凄いわ。」
「ジャンケン、強いんだね。」
ジャンケンし終え、順番は、えり子、大平、なつみ、タマエ、大介、みらいとなった。
夕飯の時間になるまで、皆でトランプをして遊んでいた。
7時頃になると、なつみに告げた通り、るり子が帰ってきた。
そして、あとに続くかのように、浩三郎も仕事を終えて、家に帰ってきた。
それから、なつみ・タマエ・えり子の3人が作っておいたカレーを
皿に盛り、全員分を用意した。
『いただきますっ!』
「おいしいっ!」
「おいしいわ。」
「うん、うまい。」
「ほんとね。」
(…うまい。)
みんなが美味しいと次々に言う中、大介だけは心の中で言っていた。
「大介は味どう?」
何も言わない大介になつみが声を掛ける。
「へっ?」
「だって、大介だけ何も言わないんだもん。」
「んなもん、いちいち言わなくてもいいだろ?」
「どうしてよ?そんな事言うなら、大介のカレー、取り上げるわよ?」
「取れるもんなら、取ってみやがれ。(ぜってー渡さねぇ…)」
素直に美味しいと言えばいいのに、なぜか意地を張る大介であった。
(パパ、素直じゃない…)
大介のその様子を呆れたように見るみらい
「んもぅ〜、おいしいならおいしいって一言言ってくれても良いじゃない〜!」
「あつっ」
「あっ、勇平君、大丈夫?」
「大丈夫?」
「いった〜…」
「それぐらいで泣かないの。」
涙目な勇平にそれくらいで泣くなと言うみらい
「だって〜」
「だってじゃないでしょ。カレーはまだ熱いから、今度はやけどに気をつけて食べればいいでしょ。」
「うん…気をつける。」
「ごめんね、勇平君。気づいてあげられなくて…」
申し訳無さそうに謝るなつみ
「ううん、お姉ちゃんは何も悪くないもん。僕、次からはやけどしないように気をつける。」
「そっか。味の方は大丈夫?辛くない?」
「うん、大丈夫。」
「大平ちゃんも大丈夫?」
「うん!」
「あれ?ねぇ、みらいちゃん」
「ん?」
「みらいちゃんのカレー…なんか僕のカレーと少しだけ色違わない?」
自分のカレーと違うような気がした勇平
「勇平君、よく気がついたね。」
「えへっ…ねぇ、もしかして僕のカレーとは違うの?」
「う〜ん…違うといえば違うかな?」
「ちょっと頂戴。」
「ダメ。」
「どーして。」
「少し辛いから。」
「…辛いカレーなの?」
「うん、中辛あたり。」
「…じゃあいらない。」
辛いと聞いて貰うのをやめた勇平
「なつみ、みらいちゃんのカレー、甘口カレーにしなかったの!?」
甘口じゃないと聞いて驚き、なつみに聞くるり子
「だってみらいちゃんが甘口カレーじゃなくて、少し辛い方のカレーを選んだんだよ。」
「そうなのかい?」
るり子だけではなく、浩三郎も驚く。
「うん。」
「いくら俺でも、さすがにそんなに早くは辛い食べ物が平気にはならなかったぜ。
今はもう平気だけど。」
「私もよ。最近、わさびが少し平気になってきた頃。」
「私も。私はまだわさびはだめよ。なつみちゃんは?」
「私もタマエと一緒よ。」
…っという感じで、にぎやかな会話をしていた。
それから時間が経ち、全員食事を食べ終えた。
「おっ、もうこんな時間か。俺、そろそろ帰るぜ。」
「「私達も。」」
「もうこんな時間なんだ。」
「いくぞ、大平、勇平」
「「うん!」」
「みんな、またいらっしゃいね。」
そのあと、浩三郎、るり子以外のなつみ達は玄関へいった。
「それじゃあなつみ、明日、ウチの中華料理店に、10時に集合ね。」
「うん、わかったわ。」
「なつみちゃん、また明日ね。」
「みんな、なつみに会いたがっているんだからねっ!」
「うんっ!わかってるよ、タマエ!」
「それじゃ、また明日ね。行こっ、えり子ちゃん」
「ええ、それじゃあね、なつみちゃん」
「うん、バイバイ。」
「んじゃ、俺らも帰るぞ、大平、勇平」
「うん。」
「みらいちゃん、おやすみなさい。」
「おやすみ、勇平君。でも、寝る前にお風呂入ってから寝てね。」
「うん、解ってるっ!」
「それじゃあね。」
「うん。また明日ね。」
「…たぶん明日じゃなくて、明後日だと思うけどね。」
「えっ?どうして?」
「明日はお兄ちゃんやお姉ちゃん達は、元クラスメイトのみんなが集まって
お話をする、同窓会っていうのがあるんだよ。」
「どうそうかい?」
「そう。だから、もしかしたら、明日は無理かもしれないね。私も江地さんに呼ばれてるし。」
「そうなんだ…」
明日はみらいに会えないかもしれないと聞いて落ち込む勇平
「もう、落ち込まないの。だから明日は我慢ね。大平君、勇平君をよろしくね。」
「うん、わかった。」
「そんじゃ、今度はほんとに帰るぞ。」
「うん。じゃあ大介、また明日ね。」
「お、おうっ…」
「大平ちゃんと勇平君も、おやすみなさい。」
「「おやすみなさい。」」
タマエやえり子に続いて、大介達も帰っていった。
「さてと、みらいちゃん、今日はまた一緒にお風呂入ろうよ。」
「えっ!?お勉強は?」
「いいのっ!あとでやるわ。」
「ふ〜ん。それじゃあ一緒に入ろ、なつみお姉ちゃん」
「うん。さっ、行こっ!」
なつみとみらいはお風呂に入りに向かった。
大介は、自分がなつみの未来の旦那で、みらいが自分の未来の娘だと解り、
混乱状態を起こしていたが、そんな大介の所にみらいがやってきて、大介と話をした。
大介は確かに小学校の頃から、なつみに好意を寄せてはいたが、結婚までは考えていなかったようだった。
それはきっと、長男である大介は、いずれ父の跡を継がねばならないと幼い頃から思っていたためだからだ。
ずっと自分は夢を見ちゃいけないってそう思っていたが違う事を知り、大介はこれから自分の夢を探す事を決心した。
大介は、みらいと話しているうちに、いつのまにか迷いが少しだが、吹っ切れていたのだった。
一方、その頃のなつみ達はというと、なつみがタマエとえり子に、星祭りの日になる前、
自分がロンドンから帰国した日の夜に、10歳のみらいちゃんと会っている事を話した。
タマエやえり子もその時に会っていると聞くと、「みいら」と名乗っていた子がみらいちゃんだと解り、驚いていたのであった。
いよいよ明日は元4年2組の同窓会の日。
なつみは、タマエ、えり子、大介以外の元4年2組のみんなに会えるのを楽しみしながら、眠りにつくのであった。
今回のお話では、大介が、自分の未来を知ってしまって、戸惑ってしまうというお話です。
大介はみらいに自分がこれまで、何もかも中途半端にやってきた事を話していた。そして、夢を見る事を諦めていた事も。
大介はみらいと話しているうちに、自分の夢を探す決意をしていたのであった。
なつみ達の方も、なつみの口から、2年前の星祭りの時にもみらいちゃんに会っている事を聞き、驚いていたようだった。
さて、次はいよいよ元4年2組の同窓会の日。どんな展開になるのだろうか。
それでは第26話へお進み下さい。