みらいのパパの正体

夢が丘公園で、あれから勇平は泣き疲れたのか、ベンチでみらいの膝を枕にして眠ってしまっていた。

「勇平君、よく寝てるわね。」

「みらいちゃん、足、疲れてない?」

「ううん、全然平気だよ。こういうバターンはよくあるから、もう慣れちゃった。」

「えっ?慣れたって…こういう事、よくあるの?」

「普段の勇平は、他の子達よりも、あまり長く遊んだりは出来ないんだ。今日はたまたま調子が良かったから、たくさん遊んでいたけど、
いつもはそうじゃないんだ。体力の限度が他の子よりも疲れるのが早くてね、よく公園のベンチで眠っちゃう事が多かったんだ。
ある程度休ませて回復してきたら、そのまま勇平を起こして、家まで送っていく時もあるけどね。」

「へぇ〜、そうだったんだ。」

その時、大介達がみらい達の前に現われた。

「よっ、待たせたな。」

「遅くなってごめんね。」

「おっそ〜いっ!」

「そんなに怒るなよ、タマエ」

「お買い物お疲れ様、山口君、なつみちゃん、大平ちゃん。あら?夢ちゃん、寝ちゃったの?」

「うん。あれ?勇平君も寝ちゃったの?」
勇平が寝ている事に気づくなつみ

「ええ。今日はいつもより凄く体力使っていたから、疲れが出て眠っちゃったんですって。」
みらいが言っていた事をそのままなつみに教えるえり子

「そうなんだ。」

「ん?…なあ。」
ある事に気づいてみらいに声を掛けてきた大介

「何?」

「勇平…もしかしてさっきまで泣いてたのか?」

「……やっぱり解っちゃうか。あれだけ泣いたんだから、泣いた跡がすぐに消えるわけないし。」

「えっ?勇平君、泣いてたの!?」

「そうよ、あんた達が来る前にね、思いっきり泣いていたのよ。」

「…っていうより、泣かせてあげていたって言った方がいいかしら?」

「???…えり子ちゃん、それ、どういうこと?」
訳が解らない様子のなつみ

「あのね、勇平君はみらいちゃんに思いっきり泣いていいって言われたから泣いたのよ。」

「だから、みらいちゃんが勇平君を思いっきり泣かせてあげていたのよ。」

えり子とタマエが解りやすく言う。
「みらいちゃんが?」

「…っていうか何で泣いたんだよ?」

「勇平君、我慢していたみたいなのよ。」

「何をだ?」首を傾げる大介

「お父さんとお母さんに会いたいのに会えない。それを言わずに、泣かずに我慢するのは凄くつらい。だから、泣けなかった分、
思いっきり泣いてたのよ。みらいちゃんは勇平君が泣くのを我慢している事を見抜いていたのよ。ねっ?みらいちゃん」

「……」
みらいは何も言わず、少しだけ顔を赤らめながら頷いた。

「あれ?みらいちゃん?」

「無言になっちゃった。」

「はっはーん、なーるほど。」
大介だけはみらいが無言になってしまった訳が解った。

「ん?何?何が解ったの?大介」

「あのな、たぶんみらいは今、照れてるんだろうよ。」

「えっ?」

「だってよ、少し顔を赤らめているし、その上無言。照れている証拠だと思うぜ?」

「そ、そうなの?」

「へぇ〜、みらいちゃんって、照れると無言になっちゃうんだ〜。」

「……」

「ほらな。答えないって事は、当たってる証拠だぜ。」

「…だ、大介お兄ちゃん、鋭すぎる…」

「まあな。(俺がそうだから、そうじゃねぇかと思っちまっただけなんだけどな。)」

「そういえばツバメ君は?」
周りをキョロキョロ見回しながら聞くなつみ

「ツバメ君なら江地さんの所へ帰ったって、みらいちゃんが。」

「そうなの?」

「うん。今頃、ツバメ君が爆発の危険性を低めるための対策法を
実行に移しているはずだよ。だから爆発は起きないはずだよ。」

「そっか。」

「んじゃ、帰るか。んで?勇平はどうすんだ?起こすのか?起こさねぇのか?」

「さっき寝たばかりだから起こさないよ。私が勇平をおんぶして帰るよ。」
事もなげに、当たり前のように言うみらい

「お、お前が勇平を!?」

「うん、いつものバターンだし。」

「いつものバターンって…」

「時々、勇平をおんぶして家まで送ってるから。」

「…だ、大丈夫なの?」

「全然平気。慣れてるし。」

みらいは自分の膝から勇平からそっと解放させ、そのまま勇平をおんぶした。

「…みらい、俺が代わってやろうか?」

「ううん、大丈夫だよ。それに大介お兄ちゃん、両手に買い物袋を抱えてるでしょ。」

「うっ…」

「早く帰ってカレーを作らないと、ゆっくりお話する時間が減っちゃうよ。」

そのままみらいは先に水木家へと歩き出していた。

「お、おい、待てよっ!俺達を置いてくな〜っ!行くぞ、大平!」

「あっ!待ってよ、兄ちゃ〜ん!」

「みらいちゃん!置いてかないでよ〜!」

「あっ!大介!なつみ!大平ちゃん!えり子ちゃん、私達も急いで行こう!」

「ええ、そうね!」

大介達はみらいの所へ急いで追いかけていった。



水木家に着くと、大介達は中に入った。

「なつみ、どっか寝かせられる部屋、あるか?」
寝られる部屋はあるか聞く大介

「うん、あるよ。ちょうど夢も寝てる事だし、今から夫婦部屋へ行こうと思ってるんだけど。」

「わかった。みらい、俺が勇平を2階へ連れていってベットに寝かせてくる。」

「うん、わかった。お願い。」

大介は両手に担いでいた買い物袋を降ろしてから、みらいの方へ行き、
勇平を抱き上げて、そのままなつみと一緒に二階へ上がっていった。

「それじゃ、私達は居間で2人を待ちますか。」

「そうね。」

「うん、そうだね。大平君も一緒に居間で待っていようよ?」

「うん。」

タマエ、えり子、みらい、大平の四人は居間で二人を待つ事にした。


2階の方へいったなつみと大介は夫婦部屋に入り、なつみはベットの上に夢を降ろした。

「大介、勇平君はそっちのベットで寝かせてあげて。」

「ああ、わかった。」
大介も勇平をベットに降ろした。

「それじゃ、下へおりよっか。」

「ああ。」

なつみと大介はドアをそっと閉めて、2人は下に降り、居間へ行った。


「おまたせ。」

「あっ、なつみ。それじゃ、今からカレー作ろっか。」

「うん、そうだね。行こっ、タマエ、えり子ちゃん」

「うん。」

「ええ。」

「んじゃ、大介と大平ちゃんとみらいちゃんはここでくつろいでて。」

「ああ、そうさせてもらうせ。」

その後、なつみ、タマエ、えり子の3人は台所へ行った。

大介は特にする事がないので、テレビをつけて、番組を観ながら、時間を潰す事にした。
大平はただ大人しく大介の隣で一緒にテレビを観ていた。
みらいは耳にイヤホンをつけ、ノートパソコンへと繋ぎ、何かをしていた。

大介はそんなみらいをテレビと交差に見ていた。

(みらいのやつ、何やってんだ?ノートパソコンで…)

「ん?」
みらいは何かの視線に気づいたのか、一度イヤホンを外し、大介の方へ向いた。

「大介お兄ちゃん、私に何か用?」

「えっ…」

「さっきから、こっちを時々見てるから、私に何か聞きたい事があるのかな〜って思って。違った?」

「い、いや、違わねぇ。聞いていいか?」

「どうそ。」

「お前はさっきからノートパソコンで何やってんだ?」

「…知りたい?」

「あ、ああ…」

「んじゃあ、黙ってこのイヤホンを耳につけて。」

「あ、ああ。」
大介はみらいから手渡されたイヤホンを耳につけた。

「未来、お願い。」

『了解!』
大介がつけているイヤホンから未来の声が聞こえてきた。

その後、何かの曲が流れ出した。

(な、なんだ?この曲は……なんか知らねぇけど、この曲を聴いてると、心が自然と落ち着くし、
どこからとなく、勇気が沸いてくる…この曲はいったい…)

そこで音楽が切れた。

(ん?これだけか?)

「大介お兄ちゃん、まだこの曲は未完成なので、ここまでしかまだ出来ていないんです。」

「そ、そうなのか?」

「はい。」

大介は、みらいにイヤホンを返した。

「みらい、今の曲はいったい…」

「…オルゴールに入れる予定の曲。」

「オルゴールに?」

「うん。」

「…勇平に渡すオルゴールか?今作っている途中だっていう……」
勇平がみらいにオルゴールの事を話していた時の事を思い出す大介

「うん、そう。元々、今持ち歩いているオルゴールは勇平の為に作っているオルゴールなんだ。」

「へぇ〜、そうなのか。」

「まだ未完成だけど…どうだった?」

「ああ、いい曲だったせ。聴いてて、心が自然と落ち着くし、どこからとなく、勇気が沸いてくる感じがしたせ。」

「そっか、良かった。上手く出来てるか心配だったんだ。」
良い感想が聞けてホッとするみらい

「上手く出来てるぜ、みらい」

「この曲、大介お兄ちゃん以外はまだ誰も聴いてないんだ。」

「えっ?なつみにも?」

「うん。勇平には絶対この事はまだ秘密にしておいてね。」

「ああ、わかった。」

「それと…この曲を今、ここで聴いた事も。」

「…わかった。誰にも言わねぇよ。」

「ありがとう。」

「なあ、誰にも言わねぇからよ、1回だけ、大平にも今聴かしてやってくれねぇか?」

「うん、いいよ。」

「サンキュ、じゃあ頼むぜ。」

「それじゃ、大平君、このイヤホンを耳につけて。」

「う、うん。」

「いいか?よ〜く聴いとけよ?凄くいい曲だからよ。」

「うん。」

「それじゃ、未来、またお願い。」

『了解!』


先ほどの曲をまた流す未来

大平もその曲を聴いて、大介の時と同じ気持ちになった。

曲が終わり、大平はイヤホンを外した。

「どうだ?」

「うん、すっごくいい!兄ちゃんと同じ感じがしたよ!」

「そっか。大平でも俺と同じように感じるみてぇだし、勇平もきっとこの曲を聴いたら、同じように感じるはずだせ?」

「だといいけどね。」

「「ぶっ、あははははっ……」」
突然大介とみらいが一緒に笑い始めていた。



一方その頃の台所の方では、なつみ達がカレーを作っており、
それぞれ分担しながら、カレー作りを進めていた。

「ねぇ、なつみ」

「ん?何?タマエ」

「今日、改めてみらいちゃんを見てて、思った事があるんだ。」
料理する手を止めないまま、なつみに話しかけるタマエ

「何を?」

「…あのさ、なつみも思ってる事だと思うんだけどさ、みらいちゃんは…未来のなつみと
未来のなつみの旦那さんに会えなくて、寂しくないのかなって思っちゃって…」

「私もそう思っていたところなのよ、なつみちゃん」

タマエだけでなく、えり子も同じ事を思っていたようだ。

「…もそれは思ってるよ。でも大介がね、私がみらいちゃんの傍に居るから、そこまで寂しくならないんじゃないかって言ったんだ。
その言葉で一気に不安が吹っ飛んじゃった。」

「そうなの?」

「うん。」

「でも、やっぱみらいちゃんって誰にも甘えてないよね。最低限でしか私達を頼らないし。
みらいちゃんは、私達の事…どう思ってるのかな?」

「そうね。みらいちゃんってとってもしっかりしてて、優しくて、それにあまり私達を頼りにしなくて…
みらいちゃんから見て、ここに居る私達の事…どう思ってるのかしら?」

しっかりしていて、あまり人に頼らないみらい
いったい自分達の事をどう思っているのか気になるタマエとえり子

「それは…私もわからない。もちろん大介も。みらいちゃんって…
あまり感情を表には出さないから、よく解らないんだよね。」

「そうだよね〜。」

「でも、みらいちゃんはみらいちゃんでしょ?タマエちゃん」

「まあ…それはそうなんだけどさ。なんか…やっぱり戸惑っちゃうよね。
こう…いろいろ私達の知らないみらいちゃんを見てると。」

「それは私も同じよ、タマエちゃん。でも、今がどんなみらいちゃんでも、あの時のみらいちゃんに変わりはないわ。
だからその知らない部分も受け止めるべきよ。」

「えり子ちゃん…」

「なつみちゃんもそう思うでしょ?」
なつみに同意を求めるえり子

「うん、私もそう思うな。みらいちゃんも、本当は動揺しちゃうような現実の中、
それをありのままに受けているような気がするし。
みらいちゃんに負けるわけにはいかないわ。」

「そうだね。なつみ、今回も2年前の時のように、全力で協力するからっ!」

「だから何かあったらいつでも言ってね?すぐにタマエちゃんと一緒に駆けつけるから。」

「うん、ありがとう…タマエ、えり子ちゃん」

「お礼なんていらないよ。だって私達はなつみの親友だもん!」

「だから遠慮なんていらないわ。」

「うん、うん。やっぱ持つべきものは親友だよね!」

その時、居間の方から笑い声が聞こえてきた。

「「あははははっ……」」

「あれ?この笑い声って…」

「大介とみらいちゃん?」

「なんだか楽しそうね。」

「何話してるんだろ?」

「さあ?」

「でもさ、みらいちゃんって確か大介に凄く懐いてたよね?2年前。」
ふと思い出すタマエ

「そういえばそうね。どうしてかしら?」

「そうなのよね〜。みらいちゃんってさ、大介にすっごく懐いてたのよね。私もなんでか知りたいわ。」

「それにみらいちゃんのパパの正体も気になるわよね〜。」

「タマエちゃん、そんなに気になるの?みらいちゃんのお父さんの事。」

「うん、気になるわ!なつみも気になるでしょ?」

「えっ!?」

「気にならないはずないわよね!だってなつみの未来の旦那様だもん!」

「えっと…き、気になるかも…」

「でしょ!?」

「で、でも…知っちゃいけない事なら、別に追求しないよ。それに、未来へ抱く夢も減っちゃいそうだし。」

「確かにそれもそうよね。でも知りたいな〜、みらいちゃんのパパの正体。」

「タ、タマエ、お話はそれぐらいにして、カレー作りに専念しようよ。ほんとに食べる時間が遅くなっちゃう。それに遊ぶ時間も。」

「そうだね。」

「ええ、そうね。」
再びカレー作りに専念しだしたなつみ達であった。


それから時間が経ち、4時半になった。

なつみ達はカレー作りを終え、大介達の居る居間へと戻ってきた。

「終わったのか?」

「うん。」

「テレビ見てたの?大介」

「ああ。暇だったからな。」

「みらいちゃんは何をしてるの?」

えり子がそう言い、なつみやタマエもみらいの方へ視線を移した。

みらいは、先ほどのように耳にイヤホンをつけて、ノートパソコンで、時々難しい顔になりながらも何かをしていた。

「大介、みらいちゃんはノートパソコンで何をやってるの?」

「ん?そんな事俺が知るかよ。知りたきゃあ、みらいに聞けばいいだろ?」

「えっ…大介、みらいちゃんが何をしているか知らないの?」

「ああ、知らねぇな。(みらいから口止めされてっからな、今は何も言えねぇよ。)」
みらいに頼まれた通り、なつみ達には何も教えない大介

「…ちょっと意外かも。」呟くなつみ

「何が意外なんだよ?」

「そういえば確かに意外よね〜」

「だから何が意外なんだよ!?」

「だってさ〜、みらいちゃん…2年前にこっちへ来た時には、大介にすっごく懐いていたじゃん?なつみと同じくらい。
だから、みらいちゃんは大介になら何をしているか教えてるくれる方だと思ってたんだもん。」

「…みらいはあの時は赤ん坊だったけど、今は6歳児だ。あの時と同じとは限らねーだろーが。」

そこでみらいがなつみ達が戻ってきてる事に気づき、今やっていたファイルを終了させて、電源を落とし、
イヤホンを外して、なつみ達に声を掛けた。

「カレー作り、終わったの?」

「あっ、みらいちゃん。ええ、終わったわ。」

「お疲れ様。」

「ありがとう、みらいちゃん」

「ねぇ、みらいちゃんはさっきから何をしていたの?」

「…さあ?なんでしょう?」
タマエの問いかけに答えないみらい

「みらいちゃん、教えてくれないの〜?」

「はい、教えられません。秘密です。」

「あ〜ん、みらいちゃんっていじわるね〜!なつみ!みらいちゃんから聞き出してよっ!」

「えっ?そんな事言われたって…みらいちゃんが言いたくないなら、それでいいじゃない。タマエ」

「よくな〜い!気になる〜!」

「た、タマエちゃん、落ち着いて。」

「今は教えられないけど、時期に解るよ。」

「まっ、そういうこった。諦めろ、タマエ」

「気になる〜っ!」

その時、何かの音が鳴り出した。

ピロリロリンッ、ピロリロリンッ、ピロリロリンッ……

「あれ?この音って…」

『未来からの通信!?』大介達一同は声を揃えて言った。

「…みたいだね。」

約1名、みらいだけは落ち着いていた。

「みたいだねって、そんなのんびり言っている場合じゃないわ!」

「そーよ、早く回線を繋がないと、また繋がらなくなるよ!?」

みらいは、再びノートパソコンの電源をつけた。

『みらい!未来の世界から、「Zポイント」でこちらに通信回線を繋ごうとしてるよ!』

「そうみたいだね。どこから?」

『えっと……』

そこで未来は少しの間沈黙した後……

『…えぇっ!?うそでしょっ!?』

「い、いきなり大声出すなよ、こっちがびっくりすんだろーが!んで?どこから通信回線が来てるんだよ?」
耳に響いたからか、怒鳴りながらもどこから来てるのか聞く大介

『みらいの部屋のパソコンからだよっ!』

「じゃあ今、みらいの部屋のパソコンから、こちらに通信回線を繋ごうとしているのか?」

『うん、そう。でもなんでっ!?どーしてっ!?』困惑する未来

「ふ〜ん、やっぱりね。私の部屋のパソコンからじゃないかと思ってたんだよね。」

「なんで!?みらい、家の方のパソコンにも「Zポイント」を組み込んであったの!?」

「うん、組み込んでおいた。」

『いつの間に!?』
自分がその事を知らなかった事にショックを受ける未来

「さあね。今はそんな事よりも早く通信回線を繋ぐ方が先。
未来、プログラムデータのスキャン完了をすぐにして。」

『あっ、うん!わかった!プログラムデータスキャン開始!!』

プログラムデータ起動開始……プログラムデータスキャン完了!

『プログラムデータスキャン完了っ!!』

「電波状況異常なし。通信回線をすぐに繋いで。」

『了解っ!』

『Zポイント』通信回線を繋ぎ中……『Zポイント』通信回線を繋ぎました。

『繋いだよっ!通信回線を開くね!』
ノートパソコンの画面が変わり、1人の男性と1人の女性が現われた。

『『みらいっ!!』』2人の声が同時に聞こえてきた。

「…誰かしら?なんかそこに映っている女性…なつみちゃんに似ていないかしら?」

「言われてみれば、確かに…」
画面上に映った女性がなつみに似ていると言うえり子とタマエ

「似てるんじゃなくて、未来のなつみ張本人だよ。」
確信を持って言う大介

「「ええっ!?」」タマエとえり子は驚く。

(これが…未来の私?)
画面上に映る未来の自分を見つめるなつみ

『みらい、無事なのね!?』

「無事に決まってるじゃん。ママ、ちょっと心配しずぎ。そっちこそ、ちゃんと栄養たっぷりの食事を取ってる?」

『その辺は心配すんなよ、ちゃんと栄養たっぷりの飯を食ってからよ。』

「ならいいけど。」

「未来のなつみちゃんの隣に居る男の人って…もしかしてみらいちゃんのお父さん!?」

「うっそ〜!!こんな形で知っちゃっていいの!?あれ?」
えり子と同じように驚いていたが、ある事に気づいたタマエ

「ん?どうしたんだよ、タマエ」

「ね、ねぇ、大介」

「ん?何だよ?」

「あんた…確か左耳にピアスをしてるんだったよね?」

「ああ、してるぜ。何を今さら言ってんだよ?」
なんで今そんな事を聞く?と首を傾げる大介

「だ、だって、あそこに映っている男の人も…大介と同じように、
左耳にピアスをしてるんだもんっ!!しかも同じ赤色のピアスをっ!!」

「えっ!?」
大介はそこに映っている男の人に視線を移した。

「じゃあもしかしてみらいちゃんのお父さんって…や、山口君!?」

(そっか。やっぱり、大介が…大介がみらいちゃんのパパだったんだね。)

大介、タマエ、えり子が驚く中、なつみだけは驚いていなかった。

「…なんで…なんで俺と同じ場所にっ…なんで俺と同じ色のピアスをしてんだよっ!?」

『それは…俺が未来の君の姿だからだよ、大介』

「なっ!?」
未来の自分と言われ、動揺を隠せない大介

「「ええーっ!!」」タマエ、えり子も驚いた声を出した。

なつみはただその様子を黙って見ていた。



とうとう、みらいのパパが大介だということを知ってしまったなつみ達。
それを知って、大介は混乱状態に…
タマエとえり子ももしかしてとは思ってはいたが、いざ知ると驚いてしまったようだった。
なつみはというと、他の3人に比べれば、落ち着いている方だった。
それどころか、みらいのパパが大介だということにうずうず確信を持っていたかのような言いぶりだった。
そう、タマエが思っていた通り、みらいの父親はマリオか大介しかありえず、みらいの父親は大介であった。
果たして、なつみ達はこの事実を受け止める事が出来るのであろうか!?
そして、大介が未来の自分とちゃんと向き合う事が出来るのであろうか!?


第23話へ進む。


今回のお話では、最後のほうにまたまた未来からの通信!!
しかも、ついにみらいのパパの正体をなつみ達は知るのです!!
なつみが最後の方で心の中で呟いた言葉…
あまり驚いていないっていうか、動揺していないっていうか。
まあそんな感じですよね。大介やタマエやえり子が混乱状態に陥っているなか、
ただ1人…なつみだけは落ち着いていたのですから。
それでは第23話へお進み下さい。

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