ーー地下アジト5階ーー第一医療室Bーー
その部屋に10年前の山本が抱えてきたソラを連れてきた。
その後ろから、京子、ハル、ランボ、イーピンが入って来た。
山本はベッドにゆっくりと降ろしていた。
「う゛っ…」ソラの傷口に衝撃があったのか、痛そうな声を出した。
「っ!…わりぃ…」
山本は傷口に気をつけながら、降ろした。
「運んでくれてありがとう、山本君」そう言って、ソラの靴を脱がした京子
「いや、このぐらい、どうってことないさ!けど…こいつ、誰なんだ?」
「それが、私もよく知らないの。ツナ君は姫ちゃんって呼んでいたけど…」
「獄寺さん、何にも教えずにこの子を私達に押しつけましたもんねっ!」
「そいつの名前はソラだぞ。」
突然聞こえた声の方に振り向くみんな
「リボーンちゃんっ!!」
「ちゃおっス、よく来たな、お前達。」
「ソラ…ちゃん?でもツナ君は姫ちゃんって…」
「それはソラのもう1つの名前だぞ。正体を隠すためのな…」
そう言い、ソラのベッドの横にある椅子に飛び乗った。
「偽名が『姫』で、本名は『ソラ』だぞ。」
リボーンはソラの容態を見た。
「…ハァ…ハァ…」
ソラは苦しそうに息をしていた。
「…怪我をしたのか。」
「う、うん。ツナ君と同じ左腕を。…私と、ツナ君を庇って…」
「京子、ソラのフードを外してくれ。」
「あっ、はいっ」
京子は言われた通り、ソラのフードを外した。
「はひっ!キュートで可愛い女の子ですねっ!」
「本当だなっ」
「「あっ!」」ランボとイーピンが驚いた声を出していた。
「どうしたんですか?ランボちゃん、イーピンちゃん」
「イーピン、この人知ってるっ!」
「ランボさんも知ってるんだもんねっ!」
「えっ?この子を知っているんですか!?」
「とっても優しい人!」
「おいしいブドウ飴をくれるんだもんねっ!」
「外出血を起こしているな……」
左腕に巻かれているハンカチを外して、怪我の様子を見ながらリボーンはそっとソラの前腕部に触れてみると…
「う゛ぁっ…!!」痛かったのが、苦痛の表情を浮かべていた。
リボーンはすぐに手を離した。
「…くっ……ハァ…ハァ…」
「…かなりひでぇみてーだな。それに、熱い。」
今度はソラの額に手を置いた。
「…ちょっと熱っぽいな。ハル」
「は、はいっ!!」
「そこに水道があるだろ?そこでタオルを濡らしてくれ。」
「あっ、はいっ!で、でも、タオルはどこに?」
「そこの棚じゃねぇか?」
ハルは棚の方へ行き、探してみると…
「あっ!ありましたっ!」
「ついでにもう2枚こっちに持ってきてくれ。京子は、そこの水道でタオルを濡らして、傷口の周りの血を拭いてから消毒をして、
ガーゼを載せて、包帯を巻いてくれ。」
「わ、わかったっ」
「優しくだぞ?少し押しただけでも、激痛が走るみてぇだからな。」
京子は言われた通り、傷口を痛めないように気をつけながら、まずは濡らしたタオルで傷口の周りの血を拭きとっていた。
「う゛ぁっ…ぐっ……ハァ……ハァ……う゛あぁっ……う゛ぅっ……」
京子が傷口の周りの血を拭きとるたびに痛みが走るのか、苦痛の表情を浮かべながら、痛みと闘っていた。
「あっ…(ソラちゃん、痛そう…)」
「おまたせしましたっ!額に載せればいいんですよね?リボーンちゃん」
「ああ。」
ハルはソラの額に濡れタオルを載せた。
「次は消毒だぞ。」
「は、はい…」
ソラの傷口に消毒を塗り始めた。
「……ハァ…ハァ…う゛ぅっ……」
「次はガーゼだぞ。」
「は、はい…」
ソラの傷口にガーゼを載せて、テープを貼る京子
「最後に包帯だぞ。」
ソラの左腕の前腕部に包帯を巻き始めた京子
「っ!!」あまりの痛みに声にならない悲鳴を上げていた。
その際、ソラは京子の手を払ってしまった。
「ご、ごめんねっ」京子はそう言って、またソラの腕に包帯を巻き始めた。
「ソラさんっ、大丈夫!?」
「ソラっ、しっかりするんだもんねっ!!」
「はひっ……痛そうです。」
「…酷い怪我みてぇだな…」
「京子、ソラは意識を手放す直前、何かしていたのか?」
「えっと…ツナ君が倒れて…私、どうしていいかわからなくて…それでソラちゃんが指に嵌めていたリングを匣に差し込んで、
黄色いコテを出していたの。それをツナ君の傷口に当ててた…応急手当だって言ってたよ。」
包帯を慎重に巻きながら、リボーンの質問に答えていた。
「そうか…(この異様な疲れは、そのせいか。)」
「くっ…っ……」
「…できたっ」
「んじゃ、あとはそこに備え付けてある冷蔵庫の中にある氷をビニール袋に入れて、タオルで包むんだ。」
「あっ、ハルがやりますっ!!」
そう言って、ハルが冷蔵庫の方へビニール袋を持って行き、冷凍庫にある氷を入れた。
「はい、タオルっ」
イーピンがさっき出しておいた、残り1枚のタオルをハルに渡した。
「ありがとうございます、イーピンちゃん」
イーピンから受け取ったタオルで氷を包んだ。
「はい、京子ちゃん」京子に手渡す。
「ありがとう。」
京子は受け取った氷を左手で持ち、右手でソラの腕をそっと上げ、その下に置いて、腕をそっと降ろした。
少し経つと…
「…ハァ……ハァ……スゥ…スゥ…」
ソラは少しずつ苦しそうだった表情から、落ち着いた表情になっていた。
「落ち着いてきたみたいだな。あとはゆっくり休めば良くなるだろ。」
「よ、良かった〜…」
京子がそう言い、他のメンバーも安心していた。
京子はソラにタオルケットを掛けた。
「んじゃ、お前らにここで起きている事を教えてやるから、ついてこい。」
「どこへ行くんですか?リボーンちゃん」
「応接室だぞ。俺達がここにいると、ソラがゆっくり休めねぇだろうからな。」
リボーンのその言葉で、全員移動し始めた。
京子もソラの事を心配そうに見ながらも、その部屋を後にした。
ソラは暗い空間の中に一人立っていた。
『ここ、どこだろう…』
辺りを見回すソラ
突然耳に銃声が聞こえてきた。
ソラは聞こえた方に走りだず。
その先に見たのは…
『!!…パパっ!』
ソラは駆け寄った。
銃で撃たれたツナは即死していた。
『嫌っ…嫌だよっ…パパ、パパーーっ!?』
「はっ……」
そこで目を覚ましたソラ
「夢…か。なんで、またあんな夢をっ……私はパパの死ぬところなんて、見てないのにっ」
ソラは涙を流しながら、今見た夢の事を思い出していた。
「もう…誰かが死ぬのも、見るのも、嫌だよ……ひっくっ…ひっくっ…」
ソラはしばらくの間泣いていた。
しばらくして落ち着いたソラは流れていた涙を拭いて、体を起こした。
その際、左腕に痛みが走った。
「いたっ…」
ソラは目の前に落ちてきたタオルと左腕を見た。
「…濡れタオル?…包帯?それに氷まで……ここは…」
ソラは周囲を見回す。
「…医療室?」
ソラはそこでなぜ自分がベッドで寝ているのかを考えていた。
「確か…パパを晴れコテで治癒した所までは覚えている。そのあとは、どうなったんだろう?」
その時、誰かの声が聞こえてきた。
その声の持ち主は、隣の部屋に入っていったようだった。
「この声は…」
ソラは気になったので、ベッドを下りて、靴を履き、その部屋から出た。
ーー第一医療室Aーー
「ハルは平和な並盛に帰りたいです!!」
廊下に出たソラにその声が聞こえてきた。
(ハル姉?それにその言葉…まさかっ)
ソラは隣の医療室に近づいて、部屋の中を覗くと…
(っ!?…ハル姉だけじゃない…ランボ兄、イー姉…タケ兄までっ……みんな、10年前の姿だ…)
ソラはハル達も10年バズーカで過去に来てしまっているのを見て、驚き、顔を俯いた。
「リボーン!!」
その時、ツナの大声が聞こえたソラは顔を上げ、ツナを見た。
「おっ、もう立てるようになったか。」
「俺…」
「……わかってるぞ。ツナと獄寺と山本…ん?ソラ、お前も話に加われ。」
そう言いながら、リボーンは入口の方に視線を向けた。
リボーンのその言葉で全員一斉に入口の方を向いた。
「「ソラちゃんっ!」」
ツナと京子が同時に叫び、ソラに駆け寄った。
ソラは黙っている。
「あの、ソラちゃん、怪我は…」としゃがみながら言うツナ
「熱は…もう大丈夫なの?」そう言い、京子はしゃがんでソラの額に自分の額を当てた。
「っ…!」ソラは京子の額が触れた瞬間、思わず後ずさりしてしまった。
「ソラ…ちゃん?」京子はソラの行動に驚いていた。
「す、すみません…熱はもう下がりましたから大丈夫です。それより、綱吉さんこそ、大丈夫なんですか?」
京子から視線を逸らし、ツナの方に顔を向けた。
「お、俺は大丈夫だよっ!」
「あたりめぇだ。ツナの怪我は本来負っていた怪我の半分をソラが治してくれてんだからな。」
「えっ!?」
「京子が言ってた匣…あれは確か治癒効果のある匣だったはずだ。自分の怪我を治癒すればいいのに、
それをせずにお前の怪我を軽くしてくれたんだぞ。」
その言葉に驚くツナ達。
「そうなのっ!?」ツナはソラに聞いた。
視線を逸らすソラ
「…とりあえず、京子とハルは席を外してくれねぇか?」
その言葉に頷く京子とハル
「行こう、ハルちゃん」
「はい。」
京子は去り際にちらっとソラを心配そうに見てから、二人は部屋を出て行った。
「京子とハルには、今やばい状況にあるということだけ伝えたぞ。マフィアやボンゴレの事は一切話してないからな。」
「……帰さなきゃ…みんなをこんな所に居させられないっ…なんとしても過去に帰さなきゃっ!!もう、生き延びるとか、
そんな問題じゃないよっ!!そんな問題じゃ…」
「お…おい、ツナ」
「落ち着いて下さい、10代目っ!!」
ツナを落ち着かせようとする山本と獄寺
「だいぶ錯乱してるな…」
「ち、違うよ!!もう守護者を集めるとか、そんなのんびりしてる場合じゃないって言ってるんだ!!」
「そうやって、いちいち興奮するのがそ−なんだ。それに守護者を集めるのは、やはり避けて通れねぇぞ。」
「な、なんでだよ!?もうこんな根拠のない話はたくさんだよ!!お前の話は…」
「根拠ならあるぞ。」
「えっ!?」
「そーなんス、10代目!見つけたんスよ、過去に戻る方法を!」
「過去に戻る方法…ほ、ほんとなの!?獄寺君!」
「ヒントはこいつにあったんです。」
そう言いながら、ツナに手紙の入った封筒を見せる獄寺
「これって…G文字の…」
(G文字?それって確か隼人兄が昔作ったっていうあの?)
「ええ。とにかくもう一度読んでみますので、聞いて下さい。」
そう言いながら、封筒から中身を出す獄寺。
「待て、獄寺」
「なんスか?リボーンさん?」
「その手紙をソラに渡せ。」
「「えっ!?」」ツナと獄寺が驚く。
「で、でもリボーンさん…この文字は…」
「獄寺君にしか読めないよ?こんな絵だらけの文字…」
「いいから渡せっ」
そう言われ、獄寺は渋々しながらも、言われた通り、手紙をソラに渡す獄寺
それを右手で受け取るソラ
「ソラ、それを読め。」
リボーンに言われ、手紙を開き、中の文字を見た。
(やっぱりっ…これ、知ってる。)
「ほら、やっぱり獄寺君にしか…「守護者は集合…」えっ!?」
「ボンゴレリングとサブリングにて白蘭を退け、写真の眼鏡の男消すべし。すべて元に戻る…以上です。」
そう言って手紙から目を離し、ツナ達の方を見た。
(何で読めるのーー!?)
(何で読めんだよっ!?)
ツナと獄寺が驚いていた。
「あの…どうかしましたか?」
「て、てめぇ、なんで俺が作ったG文字が読めんだよっ!?」
「そうだよっ!俺、読めないのにっ!!」
「なんでと言われましても……この時代では、ボンゴレ10代目守護者共通の暗号として、G文字が使われていますから。
ちなみにこれ、決めたのはボスですよ。」
「んなーー!?」
「この時代の10代目が俺のG文字を……ん?ちょっと待てっ」
「なんでしょう?」
「今、守護者共通の暗号だって言ったよな?」
「はい、言いましたよ。この暗号は10代目守護者専用ですから。」
「んじゃ、なんでお前がそれを読めんだよ!?」
「あっ…!?」
「それは……この時代の守護者のみなさんが教えてくれました。(ほんとは隼人兄からだけど…)」
「あははっ…じゃあ、この時代の俺もそのG文字ってのが読めるのか?」
「はい、読めますよ。それより、話を元に戻しましょう。」
「そ、そうだねっ…でも、今の話…写真の眼鏡の男を消すって…」
「ええ。最初に10代目が10年後の俺から聞いた内容と重なっています。なので、俺も10年後の俺への指令書だと思って、
気にとめてなかったんです。でも、今朝知った事実からすると、この時代にはあるはずのない物の名前が、この手紙には出てくるんです。」
(ボンゴレリング…だね。)
「この時代にない物って……あっ!……ボンゴレリング!!」
「そうだ、よく気がついたな。」
「でも、もう一つのサブリングって?」
「そ、それは俺にもさっぱり解りません。すみません、10代目」
「あ、謝らないでよ、獄寺君。リボーンは解る?」
「さぁな。俺にもさっぱりだ。」リボーンはツナ達にそう言いながら、ちらっとソラの方を見た。
どうやらリボーンにはこの「サブリング」が何の事を言っているのか解っているようだった。
ソラはリボーンの視線に気付いていたが、黙っていた。
「とにかく、その事については今は忘れろ。」
ツナ達は納得していない表情だったが、この話題はとりあえず保留という形を取る事にした。
「それと、この手紙には、俺達が居た過去の世界で眼鏡の男を消せなんて、どこにも書いていない。
むしろ、退けるべきは、この白蘭が居る、この時代だけです。」
「この意味が解りますか?この時代にいて、リングを持つ者…つまり、過去から来た綱吉さん達に向けて書かれているんです。」
「えっ!?」
「そして、文面通りならば、守護者を集めて、眼鏡の男を消せば、すべては元に戻る。過去に帰れると取れる。」
「か…過去に帰れる!?」
「幸いな事に、この男の目星はついている。ラル・ミルチが知っていてな、ミルフィオーレの隊長で「入江正一」」
ソラがリボーンが持っていた写真を見た後、リボーンの言葉を遮って言った。
「ソラ、知ってんのか?」
「ちょっとね…(正一さん…)」
ソラは写真を見つめながら、ここには居ない、入江正一の事を気にしていた。
「その入江正一が、過去に帰るための秘密を握っているんだろうな。」
「で、でも、その手紙を信じていいのか…」
「10代目!…信じて下さい!!」
「えっ…」
「俺は10年…いや、100年経っても、10代目を惑わせるような手紙を所持するつもりはありません!」
「獄寺君……で、でもっ「大丈夫ですよ。」えっ…?」
「今、獄寺さんが言った通り、この時代の獄寺さんはボスを惑わすような手紙は所持していませんし、この手紙を信じていいと私は思います。」
「ソラちゃん…」
そこで山本がツナに声を掛ける。
「まぁツナ、落ち着けって。」
「山本!!」
「1人でしょいこむんじゃねぇよ!みんなで解決してきゃいいじゃねーか!」
「山本…お父さんの事…」
「俺はここに来れて良かったぜ。」
「え!?」
「なぁツナ、自分達でケリをつけて、俺達の未来を変えようぜっ」
「山本…」
(やっぱり、10年前でも、タケ兄はタケ兄だね…そうやって、いつもパパを支えてくれてた…隼人兄とともに…)
ソラはツナ、獄寺、山本の3人のやり取りを静かに見守っていた。
その時、ランボの声が聞こえてきた。
「コラーっ、待ちなさいっ!」
「1人占めだもんね〜!」
「ランボ、リンゴ返すっ!」
部屋の中にリンゴを持ったランボとそれを追いかけるイーピンが入って来た。
「ランボちゃ…あっ」
ランボが落としたリンゴに躓いてこけるハル
こけたハルはボールに入っていたジャガイモを落としてしまった。
「すみませーん、イタズラしたランボちゃんを追いかけてまして。」
「ハルちゃん、大丈夫っ!?」
声を掛けながら、京子も部屋に入って来た。
「京子ちゃん!…と玉ねぎ?」
ツナは京子の持っていたボールの中の玉ねぎを見て、不思議そうにしていた。
「非戦闘員の2人には、食事とチビたちの世話を頼んだんだ。あっ、ソラは除くぞ。」
「ええっ!?」
(それでジャガイモと玉ねぎを……カレーだね。)
ソラは黙ったまま、ジャガイモを拾っていた。
「あっ…ありがとうございます!ソラちゃん」
「ありがとう!ソラちゃん」
「いえ。(あれ?私、まだ教えてないよね?)」
「俺が教えたんだぞ。」
ソラはリボーンの言葉に納得した。
「今日はカレーを作るんだよ。」
「楽しみにしててください。」
「だからランボ、リンゴ取っちゃダメ!」
ランボからリンゴを取り上げる。
「えー!?それランボさんのー!?」
ソラはランボとイーピンの所に近寄った。
それに気付いた2人
「あっ、ソラさん!」
「ソラ、これはおれっちのだもんねっ!」
「ランボ君がおとなしくリンゴを京子さん達に返してくれたら、ご褒美あげるんだけどな〜?」優しい声でランボに言う。
その言葉にランボがピタリとおとなしくなった。
その場を静かに見守るツナ達。
「ランボ君の大好きなブドウの飴だよ。」
そう言いながら、ソラは右ポケットからブドウの飴を1個取り出す。
「…ごっくん…」
「どうする?」
「京子とハルにリンゴを返すんだもんねっ!!」
そう言い、リンゴを全部京子とハルに手渡す。
「はい、ありがとうございます。ランボちゃん」
「ありがとう!ランボ君」
渡した後、ソラの元に行くランボ
「返したもんねっ!だからランボさんにブドウの飴をくれだもんねっ!!」
「うん、いいよ。素直に聞いてくれたランボ君に、もう一個おまけ。」
ランボにブドウの飴を2個手渡した。
「ガハハッ!!ありがとだもんねっ!!ソラ」
「どういたしまして。」
(あ、あのランボが素直に言う事聞いたーー!?ソラちゃんってほんと何者っ!?!)
(あ、あのアホ牛を手懐けてやがる…)
(すげーな…あのランボがあんなに素直に言う事聞くなんて…)
(はひっ!?ハル達、いつもランボちゃんの相手してますけど、あそこまで素直なランボちゃんは初めてですっ!)
(ソラちゃん、凄い…ランボ君達とそんなに歳離れていないはずなのに…)
(ランボ、素直!さすがソラさん!)
(ほぉ…あのアホ牛を手懐けれるとは…アホ牛の保育係に欲しいくらいだぞ。)
上から順に、ツナ、獄寺、山本、ハル、京子、イーピン、リボーンがソラのランボへの対応を見て、
心の中でそれぞれ思っている事を言っていた。
「あっ、イーピンちゃんにはオレンジの飴をあげるね?ブドウの飴、今ので切らしちゃったから…」
そう言って、また右ポケットから飴を2個取りだず。
「謝謝っ!ソラさん」飴を受け取るイーピン
「どういたしまして。」
「っていうか、なんでランボとイーピン、ソラちゃんとそんなに親しそうなの!?」
「ランボさん、ソラと会うの初めてじゃないもんねっ!」
「イーピンもっ!」
「2人は10年バズーカで何度かこっちに飛ばされて来てますから。特にランボ君」
「あっ…そうなんだ。その、ランボ…大丈夫だった?」
「こっちに現れる時は泣いてる時が多いですけど、飴をあげたら泣きやんでくれてましたから、大丈夫ですよ。」
「そ、そうなんだ…(ランボ、飴をあげてもおとなしくはならないと思うんだけど…)」
ツナはそこで京子とハルを見た。
「あれ?なんか、2人とも元気になってる?」
「当然です!こんな時だからこそ、いつまでもクヨクヨしてられません!」
「ツナ君達に負けないように、私達も頑張ろうって決めたのっ!!」
そう言って、立ちあがる京子とハル
「さぁ、イーピンちゃん、ランボ君」
「キッチンに行きましょう。」
「「はーい。」」
京子、ハル、イーピン、ランボは部屋から出て、キッチンに行った。
「立ち直りはやっ…」
「女ってすげーのな…」
(…ハル姉は本当に元気そうだけど、ママはまだ元気なさそうだね…)
ソラはこっそりリボーンに駆け寄って、小声で聞いた。
「リボ兄、ママに何言ったの?」
「ん?…ああ、了平が行方不明だって言ったぞ。」とソラにだけ聞こえるように応えた。
(そういう事か……こういう時のママ、何かしそうなんだよね。…嫌な予感がしてきた、当たらなきゃ良いけど…)
ソラは京子の事を考えながら、何も起こらない事を祈っていた。
今回のお話は、過去へ戻るための手掛かりを見つけた事が解る話ですね。
アニメでは獄寺が手紙を読みましたが、そこをソラに読ませました!
ソラはこの時代の獄寺に教えてもらったので、G文字が読めます。
なぜソラが敵であるミルフィオーレの入江正一の事を気に掛けていたかはまだこの地点では秘密です。
それでは標的9へお進みください。