白蘭が超炎リング転送システムを起動させた事で、メローネ基地に異変が起こり、ツナ達を強い光で覆い尽くしていった。
少しすると収まり、獄寺が体を起こした。
「大丈夫ですか!?10代目!!」
「あ、うん。他のみんなは…あっ…」
みんなの無事を聞こうとした時、自分にしがみついてるソラに目を向けたツナ
ツナはあの地響きが起きた瞬間、近くに居たソラを自分の方へ引き寄せ、守るように抱きしめていたのだ。
「ソラちゃん、もう揺れてないから大丈夫だよ。」
そう言いながら、未だに体を震わせたままのソラの背中をポンポン叩いて安心させてやる。
「お、おい、ツナ…もしかしてソラ、地震が…?」
「あ、うん。何でかは知らないけど…ソラちゃん、地震がダメみたいなんだ。
このメローネ基地が移動で揺れてる時も、今みたいに怯えてたし。」
「えっ!?ソラちゃん、地震ダメだったの!?」
ソラが地震がダメな事を知らなかったので驚く正一
「そっか…だからあの時も怯えてたのか。」
ヴェルデの研究所が崩れた時にソラが震えてた原因が解って1人納得していた山本
「あの時って?」
「たんこぶ岩に行った時だ。」
「えっ…あの時も!?全然気付かなかったっ…それどころじゃなかったし…」
「いくら地震がダメにしても、今のは大した揺れじゃなかったぜ?」
大した揺れじゃなかったと言う獄寺
「無茶言うな、ソラが地震ダメなのはトラウマによるものだ、恐怖が体に染みついてんだぞ。」
「え!?リボーン、ソラちゃんが地震ダメな理由、知ってるの?」
「ああ、今よりも小せぇ頃に初めての地震を体験してな…その時運悪く、昼寝中で誰も傍に居なかった時に地震が起きちまってな、治まるまでの
少しの間1人ぼっちだったらしい。安心させてやれる大人が誰も傍に居なかったせいで、その時の地震に恐怖を覚えちまったらしいぞ。」
「そうだったんだ…(だからあの時、ああ言ってたのか…)」
ツナはまだ正一と敵同士だった時、第4ドックで地震があった後、アジトに居るリボーン達と
繋がった時に交わしてたジャンニーニとソラの会話を思い出していた。
「なんとっ…だから地震がダメなのだな。」
「確かにちっちゃい頃の体験での恐怖は、大きくなってもダメな事ってあるもんな。」
地震がダメな理由が解って納得する了平と山本
(あの子、地震ダメだったんだね……手紙にはそんな事書かれてなかったから知らなかったよ。)
雲雀も口には出さないものの、地震がダメな事を知って少し驚いていた。
「知らなかった……ごめんよ、ソラちゃん…」罪悪感を感じた正一
その時、だいぶ落ち着いてきて、体の震えが止まったソラがツナから離れた。
「ソラちゃん、大丈夫?」
「う…うん、大丈夫……もう平気、ありがとう。」
ツナから離れたソラがお礼を言う。
「どういたしまして。」
ツナとソラは立ち上がり、周りを見回した。
「!!…基地がっ…メローネ基地が消えた!?」
ツナが言った通り、自分達が居る正一の研究室以外のメローネ基地が綺麗さっぱり無くなっていた。
「こ…こんな事が!?」
「本当にテレポーテーションなんて…」
草壁とツナはメローネ基地が消えた事が未だに信じられないようだった。
(リング超炎転送システム……凄い、こんな事が出来るなんて…)
敵の装置なのに、素直に感心していたソラ
「これが白蘭さんの力…」呟く正一
「半端ねぇな…」リボーンも表面にこそ出しはしなかったが、驚いていた。
「でも、基地は消えたのに、なんて…なんで俺達だけ残れたんだろう?」
自分達が残れた事に疑問を抱くツナ
「私達が移動しなかったのは、たぶん7つのボンゴレリングが揃ってたからだよ。前にボスに聞いた事がある…
7つのボンゴレリングが一箇所に揃えば、結界を作る事が出来るって。」
「その通りだ。結界が出来た事で、我々と装置は守られたんだ。」
「お前、こうなる事読んでたのか?だから、リングを持っている10年前の了平を呼んでおいたんだな。」
「ああ、白蘭さんのやりそうな事の何割かはね。」
リボーンの問いにそう答えた正一
「何の事だ?」話が理解出来ずにいる了平
「おめーは解んなくていいんだよ!!」
「何だと!?タコ頭!!」
「まぁまぁ!!」
睨み合ってる獄寺と了平を宥める山本
「10年前の笹川氏がボンゴレリングと共に来た事は、我々にとって間違いなくプラスですが…しかし、大変な事になりましたね…
あの6弔花より更に上が居るとは…この戦力でこの先いったいどう戦えと……」
現況についてそう語った草壁
「そりゃやるっきゃないっスよ!」
爽やかな笑顔を浮かべてあっさり言う山本
「てめっ…それは俺が言おうとしてた台詞だぜ!!」
山本を睨みつける獄寺
「アハハっ…わりっ、取っちまったか。」
「解るぞ、言いたい事は…」同感だと言う了平
「みんな…」
山本、獄寺、了平の様子を見て、元気が出てきたツナ
「そのために、ここへ戻って来た。」
今まで黙っていたクロームも、ランボを抱えたまま、ツナにそう言う。
「クローム…」
「咬み殺せばいい。…僕はそうする、誰が止めてもね…」
トンファーをちらつかせながら言った雲雀
「雲雀さん…」
「でも、どう考えても無謀な戦いだ。ミルフィオーレの戦力に敵うはずがない。」
「なんだてめぇは!?つまんねぇ水差すんじゃねぇ!!」キレる獄寺
「スパナの言う事は間違ってないぞ。」
「リボーンさん…」
「確かに…」
「いいや、出来るさ!!」
「!?…正兄…?」険しい表情を浮かべる正一に少し驚いたソラ
「そのために、君達は苦難を乗り越えてきたんだ!成長した君達なら、奴らと渡りあえる!僕達だって、ただ君達をイジメてきたわけじゃない。」
そう言いながら、丸い装置の目の前までやってきた正一
「正一…」
「君達を鍛える事は、この新たな戦力を解き放つ事でもあったんだ!君達の成長無くしては使いこなせない新たな力…」
そう言った後、正一は装置に手を添えた。
すると、装置が作動し始めた。
「君達には、試練をクリアしてから渡そうと思っていたんだ。この時代のボンゴレのボスから、君達への贈り物だ。心して受け取ってくれ!!」
装置の中心部から、大空以外の6つの炎を纏った何かが飛び出し、それぞれの守護者の手に収まった。
「やった!」
獄寺は嵐の炎を纏った匣を…
「おぉっ…俺にもか!」
了平は晴の炎を纏った匣を…
「前にツナが貰ったのと同じだな!!」
山本は雨の炎を纏った匣を…
「キラキラのピカピカだもんね!」
ランボは雷の炎を纏った匣を…
クロームは藍色の炎を纏った匣を…
雲雀は紫の炎を纏った匣を…
「準備は万端ってわけか。」
それぞれの匣を見て、笑みを浮かべたリボーン
「この時代のボンゴレ10代目より、君達に託されたボンゴレ匣だ。」
「お…俺が…?」
「おぉ!ありがとうございます、10代目!!俺の為にっ…!!」
目をキラキラさせる獄寺
「いや…獄寺君、用意したのは10年後の俺だし…」
「ピッカピカのサイコロだもんね!!」
匣をサイコロだと言うランボ
「違う…」
サイコロじゃないと否定するクローム
「おぉ!極限に黄色い匣だぞ!!」
右手に持っている匣を上に翳す了平
「静かにしろ、芝生頭!!」
そんな了平に怒鳴る獄寺
(お兄さんは黄色…クロームは藍色…獄寺君は赤…山本は青…みんな、属性に合わせた色の匣なんだ。)
それぞれの炎が消え、匣の色を確認していたツナ
「僕は、大空の匣さえあれば大丈夫だと思ってたんだけど、真6弔花は計算外だった……」
「だけど、ボスが守護者全員にも匣を用意していた事がプラスになったんだよね?」
「うん。たぶん綱吉君はこうなる事を想定内に入れていたんだろうね。」
「きっと超直感で何か感じ取ってたんじゃないかな。」
正一とソラが守護者達に与えられた匣について話していた。
「あっ…それと…」
どこか言いにくそうにする正一
「?」首を傾げるソラ
「実は贈り物はまだあるんだ。」
「「えっ!?」」正一のその言葉に同じ反応をするソラとツナ
正一は再び丸い装置に手を添えて作動させた。
先程と同じように、丸い装置の中心部から大空の炎を纏った何かが飛び出し、そのままソラの両手の平の上に収まった。
「この匣は…いったい…」
ソラの両手の平の上に収まった匣は、ツナ達と同じようにボンゴレの紋章が刻まれた、オレンジと黄色で統一された匣だった。
「ソラちゃんの…ボンゴレ匣だよ。」
それを聞いてツナ達は全員驚きの声を上げていた。
リボーンや雲雀は声にこそ出しはしなかったが、十分衝撃を受けていた。
「入江さん!ソラちゃんの匣ってどういう事ですか!?」
「そうだ!なんで守護者じゃねぇソラにボンゴレ匣がっ…!?」
「それに…この匣ってアルコバレーノの印がねぇと開かねぇんじゃ?」
ツナ、獄寺、山本の順に疑問を正一にぶつける。
「君達の言いたい事は解るよ。でも、これは間違いなく、この時代の綱吉君がソラちゃん用に作らせたボンゴレ匣なんだ。」
「これ、どういう匣?」
「その匣は君のカンガルー…確か太陽って名前だったっけ?」
「うん。」
「その子がずっと前に綱吉君にあるお願いをしていたらしくてね、これはその時の太陽の要望を聞いて作られた匣さ。」
「太陽のお願い…?」何の事か解らず、首を傾げたソラ
「うん……どんな時も、君と共に戦えるようになりたいって…」
「!?」
「この意味…ソラちゃんなら解るだろ?」
「う…うん。(だから、大空と晴の属性の色で統一されてるんだ…)」
「その匣を使うかどうかは…ソラちゃんの自由にして良いって言ってたよ。」
「えっ…」匣を見つめていたソラが顔を上げた。
「この匣はもしもの為に用意した物で、出来ればこれが使われない事を願っていたんだ。僕も…綱吉君も…雲雀君もね…」
「そっか…(パパがこれを作らせたのは、もしも私が大空の炎で戦わなければならなくなった時の事を考えて…なのかな?でも……)」
「自由にしていいってどういう事だよ?」
気になって正一に聞く獄寺
「言った通りの意味だ。確かにソラちゃんがこの匣を使えば、戦力アップは間違いだろう。
でも、綱吉君はこの匣を使う事を強制したくなかった…だからソラちゃんのだけ、自由なんだ。」
「……その匣、そんなにすげぇ匣なのか?」
ソラが持ってる匣を見ながら聞く山本
「いや、そんな事はないよ。確かにソラちゃんが使うからこそ出来る凄い匣ではあるけどね。」
「ならば使えば良いではないか!打倒白蘭の為にも!!」
もっともな意見を言う了平
「………使わない。」
今まで考え込んでいたソラがそう呟いた。
『えっ!?』ソラの答えに驚くツナ達。
「正兄、この匣…預ける。」
「そっか…」
「おいっ、待て!!なんで使わねぇんだよ!?せっかく10代目が用意して下さった匣を!?」
怒鳴る獄寺の問いに応える事が出来ず、獄寺から目を背けたソラ
「おい!?」
「まぁ落ち着けよ、獄寺」
ブチキレてる獄寺を宥める山本
正一に匣を渡そうとしたその時、ツナのヘッドホンから誰かの大きな声が聞こえてきた。
ツナはあまりに大きい声でヘッドホンを外していた。
『ヴァリアーから通信を繋げとの要請です。』
『でも、ミルフィオーレに盗聴される恐れが…』
『いいから繋げぇっ!!』
『ひぃぃっ…怖いから繋ぎますよ!音量に気をつけて下さい!』
ジャンニーニ達の会話がヘッドホンを通して聞こえてきたツナ
「どうしたんですか?10代目」
ツナを心配した獄寺が声を掛けてきたその時、ツナ以外のヘッドホンにも大きな声が聞こえてきた。
「こ…この声はっ…」
聞こえてきた声に驚きながら呟くソラ
「スクアーロ!!」嬉しそうは声を出す山本
「るせーぞ!!」ブチキレる獄寺
『いいか!!こうなっちまった以上、ボンゴレは一蓮托生だ!!てめーらがガキだろーと………てめっ』
『沢田綱吉』
「!…この声はっ…ザンザス!!」
『乳臭さは抜けたか?…10日後にボンゴレが最強だと証明してみせろ。』
「えっ…」
『ソラ、そこに居るな?』
「うん…居るよ。久しぶりだね、ザンザス」
『ああ…元気そうだな。』
ツナの時とは違い、優しい声でソラに語りかけていたザンザス
「まぁ…ね。」
『……使いたくなければ使わなくてもいい。』
「!!」
まだ何も言っていないのに、何に迷っているのかが
解っているかのように言うザンザスに驚いたソラ
ソラにしかこの言葉に込められた意味が理解出来ないので、ツナ達には何の事が解らず首を傾げていた。
『だが、本当にそれでいいのか、良く考えろ。ミルフィオーレからボンゴレを守るためにてめーがすべき事をな…』
「ザンザス…」
『フンっ…どうするかはてめー次第だ…いいか、絶対に自分を見失うな!押し潰されるな!それだけは…忘れるなよ?』
ブツンっ…
「あ…言うだけ言って切れちゃった……(でも、ありがとう…ザンザス)」
すぐに切れてしまったが、ザンザスの言葉が嬉しかったソラだった。
ソラはザンザスの言葉を聞いて気が変わったのか、正一に匣を渡すのをやめ、マントの内側に仕舞った。
「あ…いいのかい?預からなくて…」
「うん…気が変わった。まだ使う気はないけどね…」
「そっか…ゆっくり考えると良いよ。」
(あのザンザスが…ソラちゃんに優しいっ!?そんな馬鹿なっ…!?)
ザンザスに良い思いを持っていないツナは信じられなかった。
それはリング争奪戦に参加していた獄寺達も同じ思いだろう。
「ボンゴレが最強だと証明してみせろだと!?あんにゃろう、勝手に好きな事言いやがってっ…!?」
ザンザスの言葉が気に入らない獄寺
「まぁどっちにしろ、奴らは今回味方みてーだな。」
「そ…そうだけど…(いろんな事があり過ぎて素直に喜んでいいのか…)」
ヴァリアーが味方な事を素直に喜べないツナ
「素直に喜んで良いんじゃない?」
ツナの心境を見透かしたように言うソラ
「えっ…」
「綱吉さんが素直に喜べないのは、昔…っていうか、今の綱吉さんにとってはまだ最近敵同士で戦ったばかりなんだよね?」
「う…うん。」頷くツナ
「大丈夫、今居るのは10年後のザンザス達だから。素直に喜んでいいよ、ヴァリアーが味方についてくれるなら、心強いしね。」
「そう…だね。…あっ!そういえばチョイスって?」
「あ、その事なんだけど…後で良いかな?君達ともっと話さなくちゃいけないが、先にこの装置を隠して保護する方法を考えないと…」
ツナの問いに、申し訳なさそうに答える正一
「ウチも手伝う。」
「ありがとう、スパナ!よし、忙しい10日間になるぞ!!」
「あ…あの、俺達何か手伝った方が良いんでしょうか?」
「いいや、君達は激戦続きで疲労しているはずだ…休んだ方がいい。」
「確かにそうだな。」
「激戦続きだったもんね。」
リボーンとソラも正一の意見に同意する。
「何を言うんです、リボーンさん!俺達元気バリバリです!!」
自分達は疲れていないと言う獄寺
「本当にそうかな?」
そう言って飛び上がり、ツナの足を軽く蹴ったリボーン
リボーンの不意打ちを喰らってバランスを崩し、そのまま後ろに居た山本に当たり、共倒れした。
「ほらみろ。今のおめーらは立っているのもやっとの状態だぞ。」
「だからって、俺で試すな!?」
「そうですよ、リボーンさん!今10代目が転んだのは、隙を突かれたからです!」
「ハァ…だったら、みんなが今持ってるボンゴレ匣を開匣してみてよ。」
自分達が疲れている事に自覚がないのを見て、思わずため息をついてしまっていたソラ
「匣を!?」
ソラの言葉に驚き、正一に視線を向けたツナ
正一は黙って頷いた。
「わ…解ったよ。」
「へへっ…実は俺、中身が気になってたんだ。」
中身が何か気になってワクワクしてる山本
「おぉっ…俺もだ!!」山本に同感な了平
「…っておめーは開けるの無理だろ!!」了平にツッコむ獄寺
「何々?みんなでスゴロクやんの?ランボさんが1番だもんね!」
「ランボ、違う!」
ランボは匣をまだサイコロだと思っており、それを投げようとしていたが、
イーピンがそれを止めていた。
ツナ達はそれぞれ匣を開けようと構える。
『開匣!!』
ツナ、獄寺、山本は叫びながら、クロームと雲雀は黙って匣にリングに差し込んでいた。
しかし、誰の匣もビクともせず、開匣する事が出来なかった。
「……あれ?」開匣出来なかった事を不思議に思ったツナ
「リングの炎が…」クロームがリングを見て呟いた。
クロームに言われ、それぞれ自分のリングに灯ってる炎を見ると、出ている炎がいつもより小さかった。
どうやら、匣が開かなかったのはリングの炎が小さかったからのようだ。
「あれ?おかしいな?」
「どうなっているのだ?」
「こんなはずはっ…」
山本、了平、獄寺の順に呟く。
「だから言ったでしょ。」
「えっ?」
「綱吉さん達は本当に疲れてるんだよ。リングに灯ってる炎がその証拠だよ。」
「そういう事だな。数日、しっかり休め。新しい修行はそれからだ。」
ソラの後に続いてリボーンがそう言った。
「しゅ…修行って…」
「決まってんだろ。おめーら全員、その匣を使いこなせるようになんなきゃなんねぇんだ。白蘭や真6弔花と戦う為にな。」
当たり前のように言うリボーン
「そ…それはそうだけど…また修行!?」
そう言いながら座り込んだツナ
そんなツナに手を差し伸べた正一
「とりあえず、白蘭さんとの戦いの事はまた話し合うとして、一時解散しよう。」
差し伸べられた正一の手を掴んだツナ
「あとで君達のアジトにお邪魔して良いかい?」
そう言いながら、ツナを引っ張り、立ち上がらせた正一
「もちろんです!!」
立ち上がったツナがそう言った。
「正兄、スパナさん、白蘭は手を出してこないって言ってたけど……一応気をつけてね?」
「うん、気をつけるよ。」
正一、スパナ、ミニモスカを置いて、ツナ達は正一の研究室から出て行き、地上へ向かった。
並盛商店街に出たツナ達。
外に出てすぐにヒバードが雲雀の名を連呼していた。
そのヒバードを目で追うと、いつ間にかツナ達から離れ、1人でどこかへ向かっていた雲雀の姿があった。
「恭さん!どちらへ!?」
慌てて雲雀を追いかけていった草壁
「草壁さん!?雲雀さん、また居なくなっちゃった…」呟くツナ
「恭兄、群れるのが嫌いだからね……」ため息つくソラ
「まっ、雲雀なら大丈夫だろ。」
「草壁さんも居ますしね。」
雲雀なら大丈夫だと言う了平と山本
「それより早く帰りましょう、10代目!」
「うん、そうだね。」獄寺の意見に賛成するツナ
「綱吉さん達はこのまま先に帰っててね?私ちょっと用があるから。」
そう言って、ツナ達に背を向けて歩き出したソラ
「えっ!?どこ行くの!?」
「ちょっとね、すぐ戻るよ。」
振り返りもせずそう言い、ツナ達を置いてその場を離れていったソラだった。
ーー沢田家ーー
ツナ達から離れ、ソラが向かったのは、この時代のツナの家だった。
ソラはウェストポーチからこの家の合い鍵と思われる物を取り出し、鍵を開け、中に入っていった。
中に入ると、まっすぐ2階へと上がり、今となっては、ソラ達親子が寝泊まりする時に使っている、
かってのツナの部屋へ足を踏み入れた。
部屋はほとんどそのままだが、シングルベッドがダブルベッドに変わっている部屋だった。
「まずはこの部屋から探してみないとね……」
そう言いながら、ウェストポーチの中からある封筒を取り出した。
その封筒は、10年前に行く前に正一から渡された、父親からの手紙だった。
封筒から手紙を取り出し、文章を読み始めた。
この手紙を読んでるという事は、正一君と無事に合流出来たんだね?
ソラ、正一君と会った時の事、覚えてるよね?君が信じた通り、正一君は俺達の味方だよ。
だから……並盛の地下ボンゴレアジトのパパの部屋にある書類を取りに行って欲しい。
その書類は正一君がボンゴレに正式に入るのに必要な物だから…
本当は使って欲しくなんかないんだけど……『ボンゴレの姫君』の特権を行使して、
正一君をボンゴレに入れる手続きをして欲しい。
それと……もう1つ、探して欲しい物があるんだ。
俺が並盛に隠したディスクを……
場所は、パパ達の原点ともいうべき、スタートラインの所へ…
ソラはきっと、これだけじゃどこか解らないっていうかもしれないけど、
10年前から来た子供の頃の俺達を見てれば、きっとそれがどこか解ると思う。
大丈夫、ソラの超直感がきっと答えの場所を教えてくれる。
だから……そのディスクを見つけて回収して欲しい。…頼んだよ?ソラ
「その原点がどこなのか、私にはまだ解らない。だからまずはここから探す。」
ソラはツナの部屋の中を隅から隅まで調べ始めた。
少し時間が経って、調べ終わった後……
「ダメ……どこにもない。っていうかここ、ハズレだね。」
ダブルベッドに寝転がりながら呟くソラ
「パパ、なんでこんな回りくどい事を……」
ここには居ない父親に向かって愚痴っていたが、いつの間にか気を抜いてしまい、
疲れているせいもあって、そのまますぐに眠りに落ちていった。
今回は、正一から守護者達にボンゴレ匣を託す所ですね。
ここでボンゴレ匣はツナ達7人だけでなく、ソラのもあるって事にしました!
ソラは将来的にはボンゴレのボスを継ぐんだから、あってもおかしくないよね?っと思い、
ボンゴレ匣を持たせました!!
どんな匣かはこの地点では秘密です。
それでは標的67へお進み下さい。