ーー早朝ーー玄関ーー
ツナ達は奈々達に何も告げずに出発しようとしていた。
「ランボさん、ママンの御飯が良いからどこにも行かないんだもんね〜」
「シーっ…ランボ、頼むから静かに!母さん達に見つかっちゃうだろ。」
まだ寝惚けてるランボに静かにするように言うツナ
「イーピンもママンと離れるの寂しい…」
ランボと違ってしっかり目を覚ましてはいるが、
ランボと同じく、奈々と離れたくないイーピン
「2人とも、ごめんね。」
ランボとイーピンに申し訳なさそうに言った後、
奈々が居るであろうリビングに視線を向けていた。
(おばあちゃんとビアンキ姉、絶対気付いてる。気付いてて、敢えて気付かない振りをしてくれてる。)
ツナに釣られて、ソラもリビングの方に視線を向け、そう思った。
「ツナ、急げよ…時間がねぇんだ。」
そんなツナに声を掛けたリボーン
「綱吉さん、行こう?」
「うん。………ごめんっ…ホントにごめん!」
そう言いながら、ランボとイーピンを抱え上げたツナ
「……お邪魔しました。(久しぶりに食べたおばあちゃんの料理、美味しかったよ。)」
ツナ達は沢田家を後にし、行く途中で合流した獄寺や山本と共に並盛神社まで一緒に向かった。
ーー並盛神社ーー
「あ!10年バズーカ!!」
ツナが拝殿の前に置いてある10年バズーカに気付く。
「こんな所に放り出してっ…何かあったらどうする気だ!?」
拝殿の前まで駆け寄り、しゃがんで10年バズーカに触れていた獄寺
「ちゃんとあったんだから良いじゃねぇか。」
怒る獄寺を宥めるように言う山本
(この時代の正兄、きっと手紙を読んであれこれ考えて腹痛を起こしてただろうな…)
10年前の正一の事はまったく知らないが、なんとなくでそう思っていたソラ
「ツナくーん!ソラちゃーん!」
「あっ…」
「ん?」
ツナとソラが入口の方へ視線を向けた。
「おう!沢田!!」
入口の方から、笹川兄妹とクロームがこちらにやって来るのが見えた。
「京子ちゃん!お兄さん、クロームも!」
「ソラちゃん、おはよう!」
ツナ達の所まで来た京子はすぐにソラに駆け寄った。
「おはよう、京子さん」
「ソラ…」
「クロームさんもおはようございます。」
「うん…おはよう。」
「あとはハルと雲雀さんか…」呟くツナ
「何やってんだ、あいつらっ…こんな大事な時に!?」イライラする獄寺
「あっ…ハルさん、来ましたよ。」
ハルの気配が近づいてるのに気付き、ツナ達に教えたソラ
「すいませ〜ん!遅くなりました〜!!」
大きなリュックを背負ったハルが駆けてきた。
「ハルちゃん!!」
「なんだ、その荷物は!?」
「すげーな!!」
ハルの荷物を見て、呆れる獄寺と感心する山本
「すげーじゃなくて、馬鹿だろ!!そんなに持っていけるか!!」
「へ!?どれも必要な物ばかりなんです!」
「いや、ちょっと無理だと思う…」
「私もそう思う。ちょっとじゃなくて、かなり無理があるよ。」
「はひ!?そうなんですか?ハァ〜…残念です。」
ツナとソラにもはっきり無理だと言われて落ち込むハル
「ハルちゃん、もう少しだけ荷物を整理してみよう?」
落ち込んだハルに声を掛けた京子
「はい…」
「後は雲雀さんだけど……」
(…恭兄の気配、近くにない……もしかして…)
「ランボさん、やっぱりお家に帰る!!」
ツナの左腕からするりと抜け出したランボ
「ランボ!!」
ツナの右腕に抱かれてたイーピンがランボを捕まえようと動き出した。
ドカーンっ…
抜け出したランボは、そのまま10年バズーカの中に入ってしまった。
ランボを捕まえていたイーピンも連れて……
「ランボ!イーピン!……行っちゃった…」呆気に取られるツナ
「手間が省けて良かったじゃねぇか。」
「そういう問題!?」リボーンにツッコむツナ
「時間がねぇからな、順番にドンドン行け。」
「しかしリボーンさん…雲雀の奴が居ないんじゃ…」渋る獄寺
「心配すんな。いいから行け。」
「小僧がそう言うんだ、俺達は先に行って待ってようぜ?」
「極限行くぞ!!」
リボーンの意見に賛成する山本と了平
「その前に、ハルさんは荷物の整理をしないと…」
「あっ、そうでしたね。すぐに終わらせちゃいます!」
ソラに言われて思い出したハル
背負っていたリュックを降ろし、荷物の整理を始めたハルを京子とソラが手伝う。
「ハルさん、これ必要ない。あっ、これも…」
「はひっ!?ソラちゃん!それは要りますよー!?」
次々とポイポイしているソラを見て、悲鳴を上げるハル
「ハルちゃん、落ち着いてっ…!」
「だって、だって京子ちゃん!!」涙目のハル
「ん…?なんで泣きそうな顔になってるの?」
作業を一旦止めて聞いたソラ
「なんでって、ソラちゃんがさっきからあれも、これもってポイするからですよ!!」
「ん?……ああ、そういう事ね。心配しなくても、今ポイしてる物は、どれも向こうで調達出来る物だから持って行かなくても大丈夫な物だよ。」
「はひ?そうなんですか?」
「うん。向こうに着いたら、すぐに調達するように言っておくから。だから、必要最低限の物だけ持って行けばいいよ。」
そう言ってから、作業再開したソラ
「……京子ちゃん」
「何?ハルちゃん」
「ソラちゃんって……やっぱり凄いですね。」
「そうだね…」
呆気に取られていたハルと京子だった。
「ツナ、ソラの奴…やっぱ只者じゃねぇな…」
「う…うん、そうだね。」
「そういやぁ、今更だが…あいつ、なんでガキのくせにアジトの管理とか出来んだ?いろいろ物を調達したり、ジャンニーニに指示を出したり、
さらにはあの入江との繋がりもあった。10年後の10代目を通して…」
「そうなのか?それは極限に凄いな!!」
「ソラがアジトの管理を…?」
京子達の様子を見ながら、それぞれ思った事を口に出していたツナ達だった。
少しして、ハルの荷物の整理が終わった所を見計らって、リボーンがみんなに声を掛けた。
「終わったみてぇだな。さっ、おめーらドンドン行け。」
「じゃあ俺から行くのな。」
山本、了平、ハルと続き、今度は京子の番になった。
「ソラちゃん、行こ?」
行く時と同じようにソラに右手を差し出した京子
「……うん。」
少し間を置いてから、京子の右手を握ったソラ
「じゃあツナ君、私達も先に行ってるね?」
「うん。俺もすぐに行くから。」
ソラは京子と共に先に10年後の未来へ戻っていった。
ーー10年後ーーメローネ基地ーー正一の研究室ーー
ボフンっ…ボフンっ…
「おかえり、ソラちゃん」
「おかえり、姫」
「正兄…スパナさん…ただいま。ミニモスカもただいま。」
ソラと京子の周りを「おかえり」とでも言うようにグルグル回っていたミニモスカ
「ちゃんと無事に帰って来れたようで安心したよ。あとは綱吉君とリボーンさんと獄寺君だけだね。」
「みたいだね。それにしても…恭兄の気配が近くになかったから、もしかしたらとは思ってたけど……
なんで恭兄がもうこっちに居るの!?一言連絡欲しかったよ!!」
京子と握っていた手を放し、雲雀に近寄りながら言うソラ
「………忘れてた。」
少し間を置いてからそう答えた雲雀
「…忘れてたんじゃなくて、メンドくさかったからじゃないの?恭兄…」
腕を組んで雲雀を睨むソラ
「………悪かったよ。」
「ソラさん、その辺で許してあげて下さい。」
「哲兄」
「おかえりなさい、ソラさん」
「うん、ただいま。」
ボフンっ…
「あ、隼人さん」
「ん?なっ!?雲雀!なんでてめーがここに居やがるんだ!?」
獄寺のその問いに応えず、そっぽ向いた雲雀
ボフンっ…ボフンっ…
獄寺に続いて、ツナ、リボーンも戻って来た。
「よし、成功だ!」
「おかえり、ボンゴレ」
「あっ…」
「10代目、ご無事ですか!?」
「え…うん。でも、雲雀さん来てくれなかった…」
「僕がどうしたって?」
「え!?……雲雀さん!どうしてここに!?」
背後を振り向くと、そこには雲雀の姿があり驚くツナ
「雲雀君は一足早くこっちに帰って来たんだよ。」
雲雀がここに居るのを説明した正一
「ええ!?」
「けっ…怖くなって逃げたのかと思ったぜ…」悪態つく獄寺
「ムっ……赤ん坊」
獄寺の呟きに少しイラっと来たが、何も言い返す事はなく、
リボーンに声を掛けた雲雀
「ん?なんだ?」
「またいつか僕の相手をして貰うよ。勝ち逃げは許さない。」
「フっ…ああ、いつかな。」
リボーンの答えを聞いて、満足げな笑みを浮かべ、ツナ達の傍を離れた雲雀
(恭兄、嬉しそう…)
「あっ…そうだ!白蘭は!?まだバレてない!?」
敵にバレてないか心配し出したツナ
「大丈夫。君達が10年前の世界に戻ってから、こちらの世界ではまだ10分程しか経ってないよ。」
ツナの問いに答えた正一
「ええっ!?たったの10分!?」
「そういう風に設定してあったんだ。」
「それで、大空の匣は開けられるようになったのか?」
「あっ……それはまだ試してなくて…」
スパナの問いにそう答えたツナ
「アルコバレーノの印を集められたのなら、今はそれで良いんだ。でも、これから君達は白蘭さんと戦う準備を始めなくてはならない。」
「あっ…」ツナは京子達が居るのを思い出し、視線を京子達に向けた。
「ランボさんね、このお菓子大好き!」
バウムクーヘンを貰って嬉しそうなランボ
「良かった!はい、イーピンちゃんも。」
「謝謝!!京子にお礼を言うイーピン
「まだまだたくさん持ってきたんですよ!」
(良かった…聞こえてなかった……)
聞かれてなかった事にホっとするツナ
「ツナ」声を掛けたリボーン
「絶対に負けられないんだ…俺達はその為に戻って来た!!」
(……アルコバレーノの試練前よりも、良い眼をしてるよ。)
ツナを見つめながらそう思っていたソラだった。
あの後、京子達を何か適当な理由を言って、別室に待機して貰ったツナ
京子、ハル、ランボ、イーピンを別室に行かせた後、外の様子を正一に調べて貰っていた。
ソラもミニモスカにお願いして台代わりになってもらい、正一の横から覗き込みながら、外の様子を見た。
「……敵、居ないね。」
「うん。」
(あれ…?正兄が着けてるマーレリング……なんか、違和感がある…?……胸騒ぎがしてきた…)
正一の作業を横から見ていたソラがふと正一が嵌めてるリングに視線を向け、違和感を感じたソラ
「外の様子はどうだ?正一」
「大丈夫、何の異常もないよ。」
リボーンの問いに全てのモニターを調べ終えた正一が応えた。
「綱吉君、これからの戦いについて、君達にもう少し詰めて話したいんだけど…」
「えっ…」
その時、別室に待機してるはずのランボの高笑いが聞こえてきた。
「あっ…ちょっと待って!!」
その声に気付き、待ったをかけるツナ
出入り口の方へ視線を向けると……
「ランボさん登場ーー!!」
「待つ!ランボ!!」
ランボとイーピンが入って来た。
その後に続くように、ビアンキ、フゥ太、京子、ハルの姿が…
「あっ…ビアンキ!フゥ太!どうしてここに!?」
「ソラに無線で連絡を貰って、迎えに来たんだよ。」
「これからこの子達をボンゴレアジトへ連れて帰るわ。」
ツナの問いにそう答えるフゥ太とビアンキ
「おぉっ、それは良いぞ!なっ?京子」
京子をアジトに帰す事に賛成な了平
「(入江さんの話は聞かせられないし…2人ともこれ以上こんな所に置いとく訳にはいかない。)
ありがとう!わざわざ迎えに来てくれて……頼んだよ?ビアンキ」
了平の意見にツナも賛成していた。
「頼んだよじゃありません!!」
「えっ…?」
「ハル達大いに不満です!!」
「私達にも、出来る事があったら協力したいの!!」
「そうです!!ハル達だけ先に帰るなんて出来ません!!」
ツナに不満をぶつけるハルと京子
(やっぱ黙ってないよね、ママとハル姉なら。パパは…どうするのかな…?)
2人の反抗に、ツナはどうするのか黙って様子を見るソラ
「あ、あの…ありがとう。でも、気持ちは嬉しいけど、やっぱりここには居ない方が良いと思うんだ。」
「どうしてですか?」納得いかないハル
「えっ…それは…その…」
「男には、男の付き合いがあるのだ!」
返す言葉が見つからなくて困っているツナに助け舟を出した了平
「えっ」
「はひっ」
「だから、ひとまず先に帰っててくれ。」
「うん、俺達もじきに戻るから!」
了平の助け舟に感謝し、ツナも京子とハルにそう言った。
京子とハルはお互いの顔を見合わせた後、頷きあった。
「さっ、行くわよ。」
ビアンキの掛け声で、歩き出した京子とハル
「オレっちも!」
「ランボは残るんだよ。」
京子達に付いて行こうとしたランボを止めるフゥ太
「えぇ!?オレっち、京子やハルと一緒が良いもんね!」
不満をぶつけるランボ
「我慢してよ、ランボ。みんな、君が必要なんだ。」
「なんで〜?」納得いかないランボ
「これ、あげるから。」
そう言って、棒キャンディーをランボに見せるフゥ太
「!……ツナが泣いて頼むなら、居てやってもいいぞ。」
「アハハっ…」渇いた声を出すするツナ
「調子こいてんじゃねぇっ、アホ牛!!」
「ベー!そっちこそアホ寺のくせに!お尻ペンペーン!」
ランボも負けずに獄寺に言い返す。
「てめぇ、死にてぇのか!?」ブチキレる獄寺
「まぁまぁ、獄寺君!」宥めるツナ
「獄寺はランボの良い遊び相手だな!!」
「なっ!?んなわけねーだろ!!」
山本の言葉を即座に否定する獄寺
獄寺が山本に怒鳴っている時、フゥ太はイーピンにランボの事をお願いしていた。
「じゃあ僕も行くね、ツナ兄」
そう言って、ビアンキ達の方へ駆けて行くフゥ太
「ツナさん、アジトで帰りを待ってます!」
「お兄ちゃん、みんなをお願いね?」
ハル、京子がツナ達に振り返って言う。
「おう!俺が居るから心配せんでいいぞ!!」
「うん!みんな気をつけて!!」
ビアンキ、フゥ太に連れられて、先に帰っていった京子とハル
「並盛のミルフィオーレは一掃されたはずだ。危険はないだろ。」
「うん。(また新たな戦いが始まるんだ。あの2人を巻き込む訳には絶対にいかない!!)」
(それがパパの答え…か。でも、本当に良いのかな?このままほっといたら、後で何か問題が起きるような気がするんだけど。
実際、この時代のママも、パパにマフィア関係で何か大事な事を隠されてると気付いた時、結構問い詰めてたし。)
「で、話ってなんだよ!!」
獄寺はランボと両頬を引っ張り合っていた。
(何やってるの……隼人兄…)呆れるソラ
「あ…ああ、イタリアはヴァリアーの勝利によって、事はだいぶこちらに有利になった。あとは…」
「あとは白蘭を極限に倒すだけだな!?」
正一の言葉を遮ってそう言う了平
「話を邪魔すんな!芝生頭!!」
「なんだと!?タコ頭!!」
「まぁまぁ!でも実際、そういう事だろ?」
2人を宥めながら、獄寺に聞く山本
「フンっ…」そっぽ向く獄寺
『いいや…』
(!?…この声はっ…)
誰の声か解り、警戒するソラ
「この声はっ…!?」正一も誰の声かすぐに気付いた。
『ただの小休止だよ。イタリアの主力戦も…日本のメローネ基地も…すんごい楽しかった。』
ツナ達の前にミルフィオーレホワイトスペルの隊服を着た、白髪の青年が立体映像で映し出された。
(…立体映像(ホログラム)の白蘭…)心の中で呟くソラ
「白蘭さん!!」立体映像の白蘭に向かって叫んだ正一
「こ…こいつが、白蘭!!」
正一がその青年の名を呼んだ事で誰か解ったツナ
『ボンゴレ最強部隊の本気が見られたり、『陽色の姫君』の本気が見られちゃったりして、前哨戦としては相当有意義だったよね。
メローネ基地で僕を欺こうと必死に演技する正チャンも面白かったし。』
「!!…じゃ…じゃあ僕が騙してたの…」
『うん、バレバレだよ。確かに、この戦いを逆に利用して、敵に寝返る計画は良く出来ていたし、正直ボンゴレと手を組むなんて思ってなかったけど…
正チャンがいつか敵になるのは想定の範囲内だったからね。だって昔からずーっと正チャン、僕のやることなすこと、いつも否定的な目で見てたもんね。』
「……あなたは……間違っている!!」
『フフっ…ほーらきた!まぁ、好きにすればいいよ。どちらが正しいかは今に解るし。』
そこまで言った後、視線をソラに向けた白蘭
『君とこうして会うのは…初めてだったよね?『陽色の姫君』…いや、ソラチャンだったっけ?』
「!?」
『フフフっ…こうして素顔を見るのは初めてだけど…君、可愛いね、ますます欲しくなっちゃったよ!!
それに……まさか、僕が求めていたお姫様が、2人ではなく、1人だったなんてね……』
「何を…言ってるんですか?白蘭さん…」
『フフっ…正チャンは知ってるだろ?僕が『陽色の姫君』の他にもう1人探している子が居るって…』
「そ…それはっ…」
『僕はね、『ボンゴレの姫君』と呼ばれている子も探してたんだ。その子もまた、情報が少なくて探すのにとても苦労した。
けれど、まさかそれが…『陽色の姫君』と同一人物だったなんてね、ビックリだよ!』
「ボンゴレの…姫君…(それってっ…)」
ツナはある言葉がフラッシュバックした。
≪ボンゴレ]世……姫を……我らの大切なボンゴレの姫君を、守ってくれっ…≫
(あの時聞こえた、初代の言葉……あれはソラちゃんの事を示していたんだ…!!)
どうやら、継承の時に最後に呟いていたボンゴレ一世の言葉はしっかりとツナの耳に聞こえていたようだった。
「なんだ?それは…」
「初めて聞くのな…」
獄寺、山本が呟く。
『あれ?君達、まだ知らないの?『ボンゴレの姫君』の事を……』
「だからそれは何なのかって聞いてんだよ!?」ブチキレる獄寺
『フフっ…これは面白い事を聞いちゃったな。でも、まぁそうだよね、いくら10年前のボンゴレ10代目ファミリーでも、
未来の情報をそんな簡単に話す訳にはいかないよね。それも、機密情報を…』
「ボンゴレの…機密情報…?」呟くツナ
『しっかし正チャンもつくづく物好きだよね〜…まだケツの青いボンゴレ10代目に世界の命運を預けちゃうなんてさ。』
(!?…世界の…命運?パパは…10年前のパパ達に…いったい、何を託したの…?)
「にゃろう!10代目に対してなんて口の聞き方をっ!?」
ツナの悪口を聞いて黙っていない獄寺
『本当はこのまま息つく暇もなく戦力を投入してボンゴレを消すのは簡単なんだ。でもここまで楽しませて貰ったのは確かだし、
それに信頼していた副官に裏切られたとあっちゃ、リーダーとしてのブライドに関わっちゃうだろ?だからそろそろちゃんとやろうと思って。
……沢田綱吉君引きいるボンゴレファミリーと…僕のミルフィオーレファミリーとの正式な力比べをね。』
(正式な…力比べ…?いったいどうするつもりなんだろう…?)
『もちろん、トゥリニセッテを賭けてね。』
「トゥリニセッテをっ!?」驚きの声を上げるツナ
『時期的にもピッタリなんだ、正チャンやこの古い世界とのお別れ会と新世界を祝うセレモニーにさ。』
「何か…企んでんな。」
「新世界って…」
呟くリボーンとツナ
「待って下さい、白蘭さん!!そう簡単に行くでしょうか!?」
『おっ…元気だな、正チャン』
「あなたはこの日本のメローネ基地に4人…イタリアに1人…計5人の6弔花を送り込み、
7つの内、5つのマーレリングを失っている。もはやあなたは、翼をもがれた鳥だ!!」
『う〜ん…ま、それが本物ならね。』
白蘭がそう言った瞬間、正一が右手に嵌めていたマーレリングが割れた。
「リングが割れやがった!?」
「どういう事だ!?」
驚く獄寺と山本
それはツナ達も同じだった。
「偽物…」呟く正一
「そんなっ…マーレリングじゃないの!?」混乱するツナ
(アレが偽物だったなんてっ……だから違和感があったんだ。正兄のリングは偽物だって、超直感が教えてくれてたんだ!)
正一のリングを見た時の違和感の正体が解ったソラ
『もちろんそれもランクAのすげー石なんだけどね。トゥリニセッテはもっと特別なの。』
そう言いながら、自分の右手に嵌めてる本物のマーレリングを見せる白蘭
「だけど…」
『悪いけど、正チャンには秘密で他に組織してあるんだ。…正チャンに会わすには刺激が強過ぎると思ったから伏せといたんだけど…
もう敵同士だから良いよね、紹介するよ。』
正一の言葉を遮ってそう言った白蘭
立体映像の白蘭の頭上にモニターが映し出され、そこに6人の人間が映し出された。
『彼らが本物のミルフィオーレファミリー6人の守護者…真6弔花。』
それを聞いて驚きを隠せないツナ達。
『フフっ…彼らこそが僕が新世界を創るために選んだ、真のマーレリング所持者(ホルダー)にして、僕の守護者達だよ。』
「そんな…じゃあ今までのは…」
「こいつらより格下って事か?」
「どういうことだ?いったい…」
ツナ、山本、獄寺はそれぞれ呟いた。
ツナ達全員が正一に視線を移した。
「だ…誰なんですか!?…知らないぞ!僕が知らない人間がミルフィオーレに居るなんて!!」
正一もこの6人の存在はまったく知らない様子だった。
『フフっ…正チャンに心配事増やすとメンドくさいからね。僕は考えたんだ、ただ腕っ節の強い人間を選んでもたかがしれてる。なぜならリングの炎は
より強い覚悟が必要だからね。そこで強いうえに、常人離れした覚悟を持った人間をマフィアといわず、世界中から探し回ったんだ。
しかも、その「覚悟」が僕への「忠誠」になりうる人間をね。世界は広いよね〜…おかげで彼らと会えたよ。例えば彼は…』
モニターの画面が切り替わり、赤髪の男の人を映した後、ある村の光景が映った。
大自然の森で囲まれた村だった。
『ご覧のように、大自然に恵まれた大変美しい故郷の出身なんだけど…僕が覚悟を見せてくれるか?って言ったとたん…』
また画面が切り替わり、その村がマグマによって燃えている所が映った。
「なに、これ!?」
「まるで地獄絵図だな。」
『故郷を捨ててくれたよ。』
その映像を見て、誰もが信じられない物を見ているような表情をしていた。
(白蘭への覚悟を示すためだけに、関係のない村人達を…殺したの…?)
ソラはその映像を見て怒りを覚え、無意識に両拳をこれでもかって程強く握っていた。
『怖いよね〜、ここまであっという間だよ。まさか僕への忠誠を示すために、生まれ育った村や村人も全部消してくれるとは思わないじゃん。』
顔色一つ変えず、言い切った白蘭
「!?…噴き出したマグマの中に何かいるぞ!?」
獄寺がモニターに映る何かを見つけた。
「え?」
「何?」
「動物…?」
「まさか、マグマの中だぜ?」
ツナ達は獄寺に言われて、モニターを凝らすようにして見ていた。
その何かの正体を知るために…
(……あれは…マグマの中に…人が居る…?)
目を凝らして良く見てみても、モニターに映る何かが小さいせいではっきり断言できないソラ
その時、画面が切り替わり、マグマの中に居る何かの正体が映った。
そこに映し出されたのは、故郷を焼き払った男がマグマの中に入って、口笛を吹いている姿があった。
(マグマの中を……平然とっ!?)
ここまでとは正直思ってなかったので、驚きが隠せないソラ
『フフフっ…真6弔花の異常な戦闘能力はこれで解ったかな?さらに彼らには1人につき、
500名の部下と選りすぐりのAランク兵士を100名与えてるからね。』
「Aランクが100人!?Aランクは今まで6弔花6人しか居なかったはずだ…」呟くスパナ
『僕らを倒したら、今度こそ君達の勝利だ。ミルフィオーレはボンゴレに全面降伏するよ。』
「白蘭さん!!力比べって…いったい何を企んでるんですか!?」
『昔、正チャンとよくやったチョイスって遊び覚えてるかい?』
「「チョイスだって!?」」
正一だけでなく、ソラもチョイスの事を知っているようだった。
『おや?ソラチャンも知ってるとは驚きだな。フフっ…あれを現実にやるつもりだよ。』
「現実に…」
「無茶苦茶過ぎる…」
正一とソラがそれぞれ呟く。
『細かい事は10日後に発表するから楽しみにしててね。それまで一切手は出さないからのんびり休むと良い。』
「無理言うな、あんな怪物見せられてのんびり出来る訳ねぇだろ!」
白蘭の前に出るリボーン
『おっ、君はアルコバレーノリボーン。んー、もっと話したいな…でも、そろそろ時間だし…』
「時間…?」呟くリボーン
『君達の居るメローネ基地はもうすぐ消えるからさ。』
そう言った後、立体映像の白蘭の周りが光り出した。
「消える…?」呟く正一
『正しくは、基地に仕込まれた超炎リング転送システムによって移動するんだけどね。』
「それって、リングの炎を使った、テレポーテーションシステム…?完成…してたのか…?」
スパナは前に聞いた事があるのか、そう呟いていた。
『まだこの規模の物体じゃなきゃ無理なんだけどね。凄まじいエネルギーと時間が掛かるから、一生に1度見られるかどうかだよ。
じゃあ…楽しみだね、10日後。』
光が強くなり、地響きが起こり始め、ツナ達の周りも光に包まれていった。
10年後の未来に戻ってきました!今度はチョイス戦前の話に入ります!
未来に戻る前の時、なんかすぐに未来へ飛んで行っていたような気がしますが、
ハルの荷物、いったいいつ整理したんだろう?ってふと思ったんですよね。
なので、少しオリジナル入れてみました。
その後、未来に戻り、ソラと雲雀に会話をさせてみました!!
それでは標的66へお進み下さい。