ツナ達の覚悟

「リボーン…」リボーンを見上げて呟くツナ

『さぁ、これで私の力は解ったはずだ。ボンゴレリングを渡せ!渡すんだ!!』

「……ダメだ!」
少し迷ったが、はっきりと否定の言葉を口にするツナ

「そうだぜ!ツナ」
「ああ!こいつには未来がかかってるんだ!!」
「貴様になど渡せん!!」
ツナの意見に賛成な山本、獄寺、了平

『フフっ…ならば、こいつらがどうなってもいいんだな?』

「いや、リボーン達は…俺が助ける!」

「やりましょう!10代目」

「行こうぜ!ツナ」

「極限師匠達を救出だ!!」

「私も!」

「リボ兄達を…助ける!!」

リボーン達を助ける事に賛成な守護者達の声とソラの声を聞いた後、
再び死ぬ気丸を飲んで超モードになったツナ

「行くぞ!!」両手のグローブを噴射させて飛び上がるツナ

ツナの合図で再び戦闘態勢に入った。

『そうはさせん!』

潜水艦から、新たに無数の雷ヒトデが出現した。

それぞれが交戦する中、クロームがやられそうになっているのに気付いたツナ

「クローム!?」

もうダメかと思われたその時、誰かがクロームの危機を救った。

閉じていた目を開け、クロームの瞳に映ったのは……学ランを羽織り、雲の炎を纏ったトンファーを両手に持っていた雲雀だった。

「く…雲の人!」

「雲雀!助けに来てくれたのか!?」

「助け?何の事だい?僕は並盛を荒らす奴を排除しに来ただけさ。」
山本にそう答える雲雀

「恭兄!お願いだから、そのままその場で戦って!!」
雷ヒトデの相手をしながら、雲雀に向かってそう叫んだソラ

「フっ…仕方ないね。……邪魔だよ。」
ソラがなぜそう言ったのかすぐに解り、他ならぬソラのお願いなので無下に出来ず、
仕方なくその場で次々と襲ってくる雷ヒトデを粉砕していく雲雀

雲雀が来た事により、流れが変わったかのようにそれぞれ必殺技で雷ヒトデを粉砕していった。

ソラはツナ達のように必殺技を使わず、威力を少し強めにして、1匹ずつ確実に一発で狙い撃ちしていった。

出現した雷ヒトデを全て倒した後、浜辺に降りてきたツナ
その周りに獄寺達も駆けつけた。

「これで終わりか?」

「小僧達を放せ!!」

『フっ…解ったよ。ボンゴレリングから発生される死ぬ気の炎の素晴らしさはね…』
ツナや山本の声が聞こえてないかのように、今の戦闘について解った事を述べるヴェルデ

(ヴェルデ、何かしようとしてる…?)
ヴェルデの言葉を聞いて、少しだけ嫌な予感がしたソラ

『まずはその死ぬ気の炎を実験材料として提供して貰おうか?』

潜水艦から、掃除機の吸い口ような形をした物が2つ現れ、何かを吸い込み始めた。

「なんだ!?」
「刀が…引っ張られる!?」
左腕に装着されてる赤炎の矢が引っ張られて困惑する獄寺と
刀を引っ張られて困惑す山本

ツナ、雲雀、ソラも吸い寄せられていた。

(これはっ…!?死ぬ気の炎が……吸収されてる!?)
自分の晴系リングに灯ってる炎が吸い取られてるのを見て、
あの装置がどういった物なのか理解したソラ

「どうしたのだ!?お前達!!」
「ボス!!」
何ともないらしい了平とクロームが心配する。

「俺達を吸い寄せる気が!?」

「いや…先輩やクロームは何ともない!」

「あ…あれは、死ぬ気の炎を吸い取ってるんだ!」
苦し紛れにそう言ったツナ

死ぬ気の炎が全て吸い取られたのか、それぞれのリングの炎が消えてしまい、驚くツナ達。
全て吸い取られたせいか、体に力が入らなくなり、山本は座り込み、
ツナと雲雀は片膝をつき、獄寺は両手と両膝をついていた。

「お、おい!お前達しっかりしろ!?」
「ボス!?」
ツナ達の心配をする了平とクローム

『ハハハハっ……素晴らしい!まさにこの火の事だよ、これこそが、私の望んだ力だよ!!これほどの死ぬ気の炎を作り出すボンゴレリング……
何としても手に入れさせてもらう!!そして願わくば、未だに死ぬ気の炎が放出し続けている君も手に入れたい!!』

ヴェルデの言葉を聞いて、未だに死ぬ気の炎を吸い取られているソラに気付いたツナ達。

ソラの左手に嵌めているリングからはまだ死ぬ気の炎が出ていた。

「なんであいつの炎は途切れてねぇんだよ!?」驚く獄寺

「ソラ、大丈夫!?」
動けるクロームがソラに駆け寄った。

「だ…大丈夫っ…(このままじゃ、ヤバイ……仕方ない、このリングを壊そう…)

目を閉じ、死ぬ気の炎を一瞬だけ思いっきり放出した。
すると、ソラが嵌めていた晴系リングが砕け散った。

「あっ!?リングがっ…」
ソラのリングが砕けたのを見て焦るクローム

「これでいい……これで、もう吸い取られない。」
肩で息をしながら呟くソラ

ソラが言った通り、リングを壊した事で死ぬ気の炎がこれ以上奪われるのを阻止したソラ

「ホントに砕けやがった!?あれはマジだったのかっ…」
未来で10年後の了平に聞いた事を思い出していた獄寺

ソラはその場で片膝をつき、乱れた呼吸を整えていた。

『おや…炎が吸い取れなくなってしまった。まぁいい、君の炎も十分に吸い取らせて貰ったからね。ボンゴレリング所持者達の
データと見比べても君の炎は素晴らしいよ!ボンゴレリングではないのに、ここまで純度の高い炎を出せるなんて!!』

「しまったっ…!?最後の一瞬のデータを読み取られたっ…」悔しそうに呟くソラ

「最後の一瞬?ソラ、もしかしてリングを自分の意志で壊したの?」

「はい、そうです。波動に耐えられない死ぬ気の炎を出せば、リングは砕ける……
だから少し死ぬ気の炎を強くしたんです。最後の一瞬だけ…」

「そうなのか…(けど、これでヴェルデの奴、ソラの死ぬ気の炎に興味を持っちまった!避けられなかったっ…くそっ…!!)」
悔しそうな表情をしていた山本

『フフフっ…どの属性の炎と相性が良いのか実験段階だったのだが…この純度の炎なら…』

潜水艦からまた新たに何かが出現した。

大空、雨、嵐、雲、晴の炎を纏ったザリガニがそれぞれ1匹ずつ現れた。

「こいつらは、俺達の死ぬ気の炎をっ!!」

大空ザリガニが空に飛び上がった。

ツナも飛び上がろうとしたが、グローブに炎が灯らなかった。

「!?…死ぬ気の炎が出ない!?…あ!?」
襲いかかって来た大空ザリガニをなんとかギリギリの所で受け止めたツナ

「10代目!!………なんだと!?」
ツナを助けようと赤炎の矢を放とうとしたが、同じく炎が出せなかった獄寺

灯せない事に困惑していた獄寺に嵐ザリガニが攻撃してきたので、かわした。

山本は雨ザリガニに、雲雀は雲ザリガニに応戦していた。

「!?…クロームさん、危ない!!」
そう言いながら、傍に居たクロームを後方へ突き飛ばしたソラ

そこに晴ザリガニがソラに襲いかかり、砂埃が上がった。

「ソラ!?」叫ぶクローム

砂埃が晴れると、そこには砂の中に刺さったままの晴ザリガニの姿が……
傍にはソラが無事な姿も見えた。

それを見てホッとするクローム

『フフフっ…不完全な匣兵器をここまで強力にするとは……やはり匣兵器完成への鍵は、強力なリングと炎に他ならない。
今の貴様らは無力だ!こいつらを救いたいのなら…ボンゴレリングを渡せ!』

その時、どこかに隠れて大人しくしていたはずのイーピンが現れ、雲雀が相手をしている雲ザリガニに向かって
餃子拳を放ったが、まったく効いていなかった。

そして、雲ザリガニは、雲の炎の竜巻を雲雀やイーピンに向かって放つ。

2人は避けたが、イーピンの後ろから来ていたランボに直撃し、そのままヴェルデの潜水艦の上に落ちていった。

「「ランボ!?/ランボ君!?」」飛ばされたランボを心配するツナとソラ

ソラはウェストポーチに仕舞っておいたもう1つの晴系リングを取り出し、左手に嵌め、リングに炎を灯した。

「あれだけたくさんの死ぬ気の炎が吸い取られたのに、まだそんなに炎が出せるのかよ!?」
「ソラ、無茶してないか!?」
獄寺は驚き、山本は心配していた。

ソラが炎を灯せた事には、獄寺や山本だけでなく、他のみんなも驚いていた。

「ボンゴレリングは絶対に渡しませんし、リボ兄達も絶対に助ける!!」
迷いのない、強い覚悟を秘めた眼をしていたソラ

(ソラ……リボーン…俺は、どうしたらっ……)
大空ザリガニを未だ受け止めたままの体勢で、ポーンロケットに拘束されてるリボーンを見るツナ

リボーンの言葉が頭の中でフラッシュバックしたツナ


『自分達で乗り越えろ。それが試練っていうもんだぞ。』

『この試練を乗り越えられないんじゃ、10年後の世界に戻っても、白蘭を倒すなんて無理だからな。』

『仲間がボロボロになって戦ってんのに、まだ甘さが抜け切れねぇのか!ボンゴレリングを受け継ぐ事の意味が解ってんのか!?
仲間の為、世界の為の覚悟がお前にはない!!』


(みんな…)

獄寺、山本、了平、雲雀、クローム……そしてソラを見た。

「俺は……」
両手のグローブに炎が灯り始める。

「俺は…みんなを、守りたいんだ!!」
完全にグローブに炎が灯り、そのまま大空ザリガニを撃破したツナ

『な、何!?』ソラだけでなく、ツナも炎を灯せた事に驚きの声を出すヴェルデ

「10代目っ…ボンゴレ舐めんじゃねぇ!!」
リングに嵐の炎を灯し、嵐ザリガニに向かって赤炎の矢を放す獄寺

雨ザリガニの攻撃を刀で受け止めていた山本は、リングに雨の炎を灯し、刀に雨の炎を纏わせて弾き返した。

「どこまで僕をムカつかせるつもりだい?」
リングに雲の炎を灯し、トンファーに雲の炎を纏わせて雲ザリガニの攻撃を弾く雲雀

『まさかっ…死ぬ気の炎は限界置まで吸収したはず……』

ツナは両手のグローブを噴射させて飛び上がった。

「リボーン、待ってろ。」
そう言いながら、丸い装置に近づく。

「うおぉぉー!!」
右拳で思いっきり丸い装置を殴った。

その瞬間、丸い装置が爆発し、煙が上がった。

「リボーン…」
今度はリボーン達を助けようと近づこうとしたツナだったが…

再び、爆発が起こった。

ツナが眼を開けてみると、リボーンが拘束されていたポーンロケットが破壊され、リボーンの姿がなかった。

それを合図に、他のアルコバレーノ達を拘束していたポーンロケットも次々に爆発を起こした。

「あっ…」
「そんなっ…」
「師匠!」
「小僧…」
「あぁ…」
「お師匠様!?」
ツナ、獄寺、了平、山本、クローム、イーピンが呟く。

「リボ…にぃ…?(コロ兄…ラル姉…風(フォン)…バイパー…スカル………!?……この気配はっ…!?)」
信じられないものを見るような眼をしていたが、すぐに何かに気付いたソラ

「な…なんて事をっ…」

『さぁ、ボンゴレリングを渡せ。それとも、あいつらみたいにこの世から消えるかい?』

「何!?」

『あいつらも感謝しているだろう。…無意味な人生を終わらせてやったんだ。』

「なんだと!?」

『この世でもっとも価値がある物とは何なのか…科学だよ、テクノロジーだよ!!これほど美しく、心を興奮させる物が他にあるか!?
まさに未来あるものだ!奴らは私の邪魔をする事でそれを否定した。だから私は、奴らの命を否定してやったんだよ!!』

「ヴェルデ……お前を許さない!!」怒りを見せるツナ

「俺達もだぞ!」

「!?」良く知っている声が突然聞こえて来て驚くツナ

『な!?今の声はっ…』ヴェルデも驚きの声を上げた。

ツナが浜辺の方へ視線を向けると、今まで姿を隠していたらしいリボーン達の姿が……

「リ…リボーン!?」
「リボーンさん!!」
「師匠!!」
「大丈夫か!?小僧っ」
「良かったっ…」
「赤ん坊…」
「リボ兄!みんな!」
「お師匠様!」
ツナ、獄寺、了平、山本、クローム、雲雀、ソラ、イーピンがリボーン達の無事を知り、ホッとしていた。

『これは…バイパーの仕業か!?』

「フっ…あの光る粉を見た瞬間、幻覚を作り出したのさ。(あのロケットの時も、あの子が忠告してくれてなかったら、危なかったかもね。)」

どうやらリボーン達はマーモンの幻覚で危機を免れていたようだ。

「とは言っても、ツナがあの装置を壊してくれるまで動けなかったがな。」

「大丈夫なのか?」
リボーンの傍に降りてきたツナ

「ああ。どうやらアレは、本物のノン・トゥリニセッテより、効果が弱かったみてーだ。」
ツナが心配していた事にそう答えるリボーン

「ふざけた事をしてくれたな!?」
「この借りはたっぷり返させてもらうぞ!!」
「こんな目に遭わされて黙ってられるかー!!」
「フゥー……参りましょう!!」
コロネロ、ラル、スカル、風(フォン)は怒っていた。

『ならば、今度こそ本当に消滅させてやる!!』

それぞれのザリガニが再び戦闘態勢になった。

「行くぞ!!」

リボーンの掛け声にヴェルデ以外のアルコバレーノ達全員が応じ、動き出した。


「マキシマム・バースト!!」
「サバイバル・ブラスト!!」
嵐ザリガニに向かって必殺技をそれぞれ放つコロネロとラル

「トドメを刺せ!獄寺!!」

「おう!!喰らえ!“赤炎の矢!!(フレイムアロー)”」
ラルに言われた通り、嵐ザリガニにトドメを刺した獄寺


「こうなったらっ…“アーマード・マッスルボディ!!”」
スカルの体が紫色に光り出し、筋肉を隆起させた。

そこに雨ザリガニがスカルを岩の方へ叩きつけた。

しかし、叩きつけられたにも関わらず、スカルは無傷だった。

「お前の必殺技、役立たせてもらうぞ。」

「なっ!?」

リボーンはスカルを雨ザリガニの方へ蹴飛ばした。

雨ザリガニはスカルを容赦なく叩きつけ始めた。

「彼、大丈夫なの!?」
リボーンの傍に駆け寄り、銃を構えたアリアがスカルの心配をする。

「ああ、心配ねぇ。あいつが囮になっている今がチャンスだ。山本、やれるか?」

「おう!!(時雨蒼燕流特式十の型…“燕特攻!!(スコントロ・ディ・ローンディネ)”)」
周囲に大量の水を纏いながら特攻をかまし、斬撃を繰り出して、雨ザリガニを倒した山本

「おのれ、リボ―ン!覚えてろ、ちくしょーっ!!」
あれだけ叩きつけられたにも関わらず、すぐに起き上がったスカル

「あれがスカルの必殺技…無敵の肉体、“アーマード・マッスルボディ”だ。」

「ハハっ…すげーな!!」爽やかな笑顔を浮かべる山本


雲雀はトンファーで雲ザリガニに応戦していた。

「爆龍拳!!」
両手から赤き炎の力を龍状に変化させて、それを雲ザリガニに向けて飛ばした風(フォン)

「助けてくれなんて頼んでないよ。」

「これは失礼致しました。」

雲雀と風(フォン)がまったく同じタイミングで雲ザリガニにトドメを刺した。


これで、嵐、雨、雲のザリガニは倒された。
残るは、ソラが相手にしている晴ザリガニだけだった。


ソラは銃と体術を使って晴ザリガニに応戦していた。

「ソラ!」
ソラの元にツナが駆けつけた。

「!…綱吉さんっ…」

「下がってろ!俺が倒す!!」

ツナが死ぬ気の炎を纏わせた右拳で思いっきり殴った。
しかし、思いっきり殴ったのに、ぴくともしなかった晴ザリガニだった。

「なっ…効いてないのか!?」

「無理だよ!!私の死ぬ気の炎を纏ったこいつは、綱吉さん達が相手していたザリガニ達よりも凄く強い!簡単には倒せない!
だから…私が倒す!!(今のパパ達じゃ、こいつは倒せない!!)」

「けどっ…!!」

「10代目!!」
「ツナ!」
「沢田!!」
「ボス!!」
ツナの元にランボ以外の守護者が集結する。

「みんな!!」

「10代目!俺に任せて下さい!!“赤炎の矢!!(フレイムアロー)”」
獄寺は赤炎の矢を放ったが、晴ザリガニにはあまりダメージが無かった。

「何!?俺の“赤炎の矢(フレイムアロー)”がっ…!?」

「今度は俺が行くのな!攻式八の型…“篠突く雨!!”」
山本は得意の篠突く雨で攻撃を仕掛けたが、これもダメージをほとんど与えられなかった。

「なっ…嘘だろ!?ほとんど効いてねぇ!?」

雲雀、了平、クロームもそれぞれ攻撃を仕掛けてみたが、どれもほとんどダメージがなかった。

「そんなっ…俺達の攻撃が、効かない!?」獄寺達の攻撃もあまり効いていないのを見て驚いていたツナ

「だから言ったでしょ!?今の綱吉さん達じゃ無理なんだよ!!」

「あっ!?ボス、あれを見て!!」
晴ザリガニを指差しながら、ツナを呼ぶクローム

視線を向けると、晴ザリガニがわずかに受けた傷が見る見る内に消えていった。

「傷が…治っていく!?」
「な!?マジかよっ…!?」
「くそっ…どうすればっ…!?」
「どうすればいいのだ!?」
ツナ、獄寺、山本、了平が困惑した表情で呟く。

クロームもツナ達と同じように困惑した表情で晴ザリガニを見つめていた。

雲雀は自分の攻撃が効かなかったのが悔しいのか、ムカムカしていた。

(晴の活性の力で治癒してるんだ……私の晴の炎だからこそ可能になる、瞬時に傷を治す高速自己治癒能力がっ…
もし今のが大ダメージだったとしても、あのザリガニは回復出来るのかもしれない。私の晴の炎は、そういう炎だからっ…)
自分の炎を上手く使ってる晴ザリガニを見てそう思っていたソラ

その時、晴ザリガニが晴の炎の竜巻をツナ達に向けて放った。

ツナ達はその事に気付き、すぐに回避しようとしたが、それよりも早く晴竜巻が襲いかかってきた。

晴竜巻を受けたダメージが酷かったのか、みんな立っていられなくなり、片膝つく者、両膝つく者、座り込む者と、
それぞれ違うが、辛そうな表情をしていた。

『フフフっ……どうだい?その子の炎は?お前達の炎でも不完全な匣兵器を強力にしていたが、その子のはそれ以上なんだよ。
頑丈な体に、威力の高い攻撃を繰り出す事が可能!!そして、私も今知ったが、どうやら傷を治癒する事が出来るようだ!!』
ソラの死ぬ気の炎の素晴らしさを興奮しながら話すヴェルデ

「くっ……みんな下がってて!」
そう言いながら、晴ザリガニに向かって駆け出したソラ

『ソラ!?』叫ぶツナ達。

(思っていた以上に頑丈みたいだね……仕方ない、ここは10年前だから使わないようにしてたんだけど……)

ソラは駆け出しながら、1度銃をガンホルダーに仕舞い、晴ザリガニに接近して、突きや蹴りを喰らわし始めた。


「効いてる…?なぜだ!?」

「ツナ、落ちつけ。良く目を凝らして見てみろ。わずかだが、ソラは手や足に薄く死ぬ気の炎を纏わせて攻撃してるんだぞ。」

「なんだって!?」

リボーンにそう言われ、良く目を凝らしてみたツナ

良く見ると、確かにソラは殴る時は、拳に炎を纏わせて突き、蹴る時は履いてるシューズに炎を纏わせて蹴っていた。


ソラは攻撃の手を緩めず、次々とダメージを与え、ある程度ダメージを与えた後、
後ろにバックステップしながら、仕舞っていた銃を取り出した。

「カオスショット!!」

放たれた晴の炎は、1つの砲撃から、途中で何本かに分かれ、それぞれ狙う所は違うが、全て晴ザリガニに命中させて撃破した。


「何!?“カオスショット”だと!?」
「バカな!?アレはリボーンの技だろ!?」
「どういう事です?リボーン」
「ア…アレを教えたのかい!?」
「なんであいつがリボーン先輩の技をっ…!?」
コロネロ、ラル、風(フォン)、マーモン、スカルがそれぞれ驚いていた。
アリアはあまり驚いていなかったが…

『なんだと!?アレはリボーンの技じゃないか!?なぜあの子がその技を使えるんだ!?』
ヴェルデもこれには驚いていた。

「俺が伝授したからに決まってんだろ。(そう……10年後の俺がな…)」
驚いてる自分以外のアルコバレーノ達にあっさり言うリボーン

ソラがリボーンの技を使ったのを見たツナ達もコロネロ達と同じように驚いていた。

「伝授しただと!?まさかお前、あいつに特殊弾を撃ったのか!?」
リボーンに問うコロネロ

「いや、撃ってねぇぞ。俺がその技を何度か見せて修練した結果、見事修得したんだぞ。
(俺も初めは特殊弾を使ったのかと思っていたが、ソラは特殊弾なんか受けてねぇって言ってたしな。)」


「ハァっ…ハァっ…ハァっ…(晴系リングだから、威力は弱めなんだけど、なんとかなったみたいっ…)」
撃ち終わったソラは片膝をついて、肩で息をしていた。

『フっ…君がリボーンの技を使った事には、正直驚かされたよ。しかし……』

また新たに晴の炎を纏ったヒトデが無数現れた。

「なっ…!?」絶句するソラ

『フフフっ…君の炎は他の4人よりも多く死ぬ気の炎を吸収出来たからね……まだ、これだけの炎が残ってたんだよ。』

無数の晴ヒトデは、ツナ達に襲いかかった。

「カオスショット!!」
「マキシマム・バースト!!」
「サバイバル・ブラスト!!」
「爆龍拳!!」
リボ―ン、コロネロ、ラル、風(フォン)の必殺技がそれぞれ放たれた。

4人の必殺技が見事命中したが、まだ倒し切れてなかったのか、
残骸が一つに集まり、先程の大きなヒトデよりさらに巨大な晴ヒトデになった。

「な!?さっきのヒトデより大きいぞ!?コラ」

巨大な晴ヒトデは回転し始め、ツナ達に襲いかかった。

物凄い旋風が巻き起こり、吹き飛ばされてしまうツナ達。

最強と言われたアルコバレーノ達も少々ダメージを受けていた。

「くっ…なんて力だ!?」
「あの子の炎、どんだけ強いんだい!?」
「まさか、これ程とはっ……少し油断してしまいましたか…」
「あのザリガニ、化物じみた力を持ってやがるっ…!?」
ラル、マーモン、風(フォン)、スカルがそれぞれ呟いた。

「っ…」眉を顰めたソラ

(!…スカルの奴、後で覚えてろよ…)
ソラが眉を顰めた訳がスカルの言葉にあると悟ったリボーン

片膝をついていたソラは立ち上がった。

「ソ…ラ…?」悲鳴を上げてる体を無理やり起こして呟くツナ

「綱吉さん、大丈夫?」

「あ…ああ。」

「良かった…みんなも、なんとか大丈夫そうだね。」

ツナ以外のの守護者達も、起き上がろうとしていた。

みんなの無事を確認した後、銃を巨大晴ヒトデに向けた。

「カオスショット!!」

巨大晴ヒトデにカオスショットを放ったソラ

だが、命中し、傷を負わせる事は出来たが、完全に粉砕する事は出来なかった。

「なっ…!?(この巨大ヒトデ……さっきのザリガニの時よりさらに頑丈になってる!?)」

粉砕出来なかっただけでなく、せっかく負わせた傷も見る見る内に治っていった。

『フフフっ…素晴らしいっ…素晴らしいよ!!君のその炎…普通の死ぬ気の炎とは何か違う力が秘められているようだな。
…君の死ぬ気の炎に興味が湧いた、私の元へ来い!!君の死ぬ気の炎を研究したくなった!!』

(くっ……“カオスショット”以外の技も使えば、このままでもなんとか倒せるけど、それは出来ない。でも、これ以上の炎を出そうと思ったら、
サブリングを使うしかっ……でも、それも今ここで、そのリングを使う訳にもいかない……やむを得ない、大空の炎を使おう。使う事でもしかしたら、
何か気付かれるかもしれない。だけど大空なら、Bランクのリングでも晴の炎よりは威力がある。こっちなら、きっと倒せるっ…!!)

巨大晴ヒトデを倒すにはこれしかないと思い、ソラはウェストポーチからまたリングを取り出そうとした。
だが、その手を誰かが掴んだ。

「!?……つ…綱吉さん…?」
掴まれた手の先を見ると、ツナが起き上がって、自分の腕を掴んでいるのが解った。。

「ソラ、ここは、俺達にやらせてくれないか?」

「え…?」

「今度は必ず倒す!だから…」

「で、でもっ…」

「10代目がこうおっしゃってんだ、黙って下がってろ!」

「ソラ、下がってろよ?言ったろ?お前を守ってやるって。」

「極限その通りだ!!俺達に任せろ!!」

「ソラ、下がってて?さっき助けて貰った…だから今度は……私が助ける!!」

「下がってなよ、君を守るって約束したでしょ。」

ツナに続いて、獄寺、山本、了平、クローム、雲雀がソラに下がってるように言う。

「綱吉さん…みんな…」

「ソラ、ここはツナ達を信じて下がれ。……おめーら、ぜってーに仕留めろよ?」

リボーンのその言葉に一斉に応えるツナ達。

「ここは一人一人で攻撃してもダメだ、全員で連携を取って一気に倒すんだ!!」

ツナがそう言った後、それぞれ戦闘態勢に入る。

「行くぜ!!“赤炎の雷!!(フレイム・サンダー)”」

「特式十の型…“燕特攻!!(スコントロ・ディ・ローンディネ)”」

「極限太陽!!(マキシマムキャノン)」

「並盛の風紀を荒らす奴にソラを渡す訳にはいかない。…咬み殺す!!」

「ソラをあなたの所になんか行かせない!!」

獄寺、山本、了平はそれぞれの必殺技を……
雲雀はトンファーで、クロームは幻術で攻撃していた。

そして……

「みんな下がってくれ!“X BURNERAIR!!(イクスバーナーエアー)”」

みんなが次々と攻撃を仕掛けてる間に準備したX BURNERでトドメを刺したツナ

ツナのX BURNERが直撃し、巨大晴ヒトデは木端微塵に粉砕し、残骸も残らず、消し飛んだ。

「………倒しちゃったっ…(10年前のパパ達では倒せないと思ってたのに……)」
10年前のツナ達が、宣言した通り見事倒したのを見て唖然としたソラ

「フっ…」
自分が予想した通りの反応を見せるソラを見て、笑みを浮かべていたリボーン


「もう終わりにしよう。」
「これ以上やっても無駄だぞ。」
ツナとリボーンがヴェルデに向かってそう言った。

『フっ…無駄だと?』

潜水艦から姿を現したヴェルデ
今度はドーム状のガラスの中ではなかった。

(防弾ガラスの中じゃない……ヴェルデ、何をする気だろう?)
ヴェルデが何かしてくると感じ、警戒心を強めたソラ

「それは貴様らのしてる事だ。なぜこの研究の重要性が解らないんだ。自分の欲望から目を背け、
無意味に生きるなど、私には出来ない。“エレットリコ・サンダー!!”」
腰を低く構え両手を同じ方向に伸ばし、おしゃぶりから雷の炎を放出し、ツナ達に向かって降らせた。

その瞬間、強力な電撃を浴び、全員動きを封じられた。

「くっ…(“エレットリコ・サンダー”…ヴェルデの必殺技の事を忘れてたっ…)」
ヴェルデの必殺技の存在をすっかり忘れていたソラ

「奥の手は、最後まで取っておくものさ。」
苦しむツナ達に向かってそう言ったヴェルデ

その時、潜水艦の上で気を失っていたランボが電撃を浴びて目を覚ました。

「何!?何これ!?」あたふたするランボ

「アホ牛、何してやがる!?」

「なんで奴は動けるんだ!?」

「雷の守護者は、電撃はお手の物だ。」
ラルの疑問に答えるリボーン

「もう怒ったもんねー!!」
電撃で起こされ、今も浴び続けている事に腹が立ったランボは手榴弾を大量にばら撒いた。

その衝撃で、今までヴェルデのおしゃぶりから放たれていた雷の炎が途切れた。

「しまった!?」

その隙をついて、いつの間にか上空に飛び上がっていたツナが、X BURNERの発射準備をしていた。

「反撃だ!!」

潜水艦から、ポーンロケットを2回発射させ、全部で12個がツナに向かって放たれた。

「「カオスショット!!」」

リボーンが銃に姿を変えたレオで…
ソラが左手に握っていた銃で…
2人で同じ技を同時に放し、ポーンロケット12個を
相殺させてツナへの直撃を防いだ。

その間にファルコに頭を掴ませたコロネロが潜水艦に居たランボを連れてその場から離れた。

それを確認してから、思いっきりX BURNERを放ったツナ

「あっ…違う!あれはロボット!?」
撃ち終わったツナが、潜水艦の方に視線を向けたままそう言った。

「え?ロケットですって?」
「じゃあ奴はどこにいるんだ?コラ」
ツナの言葉を聞いて呟くアリアとコロネロ

(ロボット…?でも、おしゃぶりは本物っぽかったけど…)
ソラもあれがロボットだとはまったく気付けなかったようだった。


ツナが倒したヴェルデは本物ではなく、ロボットだった。
では、本物のヴェルデは一体どこに…?


標的64へ進む。


今回は、リボーン救出のために動き出したツナ達。
ここでも数合わせにザリガニを1匹増やしました。
そして、ツナ達が戦っていたザリガニより強くしちゃいました。
死ぬ気の炎が勝敗を決めるというなら、ソラの覚悟もかなりの物のはず…
そう思った結果、あんなに強いザリガニになってしまいました。(笑)
それでは標的64へお進み下さい。

標的62へ戻る。

長編小説各標的へ戻る。

リボーン小説一覧へ戻る。

トップページへ戻る。