ーー並盛神社ーー
並盛島から帰って来たソラは、起きたランボを家に帰した後、リボーンに並盛神社へ来るように言われていたので、そこへ来ていた。
「あれ?リボ兄達だけじゃない…?」
階段を上がってる途中で、リボーン、コロネロ、ラル、アリア以外の人の気配もあるのに気付いたソラ
その気配は、どれもソラが良く知っている気配だった。
神社内に着くと、拝殿の段差の上の所にリボーン達を見つけ、そこに近づいた。
「ん?来たな。」ソラに気付いたリボーン
「おや?あなたは…」
「ムムっ…君はあの時リボーン達と一緒に居た…」
「おい!なんでアルコバレーノでないお前がここに居るんだ!?」
リボーン、コロネロ、ラル、アリア以外に、風(フォン)、マーモン、スカルも居た。
「……リボ兄、もしかしてこれって…アルコバレーノの招集じゃ?」
「そうだぞ。」
「………帰る。」
くるりと向きを変えて、リボーン達に背を向け、歩き出そうとしたソラ
「帰っちゃダメよ?」そう言いながら、ソラの左肩に手を置いて止めるアリア
「ソラ、帰るな。お前は俺が呼んだんだからここに居ろ。」
アリアの後にリボーンがそう言った。
「リボーンに呼ばれて来たのだから、ここに居ればいい。」
「確かにこれはアルコバレーノの招集だが…気にするな!コラ」
「私は別に構いませんよ。この子が居ても…」
「僕も別にいい。」
ラル、コロネロ、風(フォン)、マーモンもソラが居る事に反対していなかった。
「スカル、何か文句あるか?」
「い、いえ!そんな事ないですよ!リボーン先輩!!」
相変わらずリボーンに頭が上がらないスカル
「ってわけだから、帰るなよ?」
「………わかった。」
渋々とだが、帰るのをやめたソラ
ソラはアリアと同じように段差に座った。
ソラが帰らず座ったのを見て微笑んでいたが、すぐに深刻な表情になったリボーン
「ヴェルデの奴、来ねぇな…」
「やはりですか…」困った表情で呟く風(フォン)
「おい、バイパー」マーモンに声を掛けたラル
「ん?」
「ヴェルデは今どこに居るんだ?」
「知らないよ。」
「連絡取ってたんだろ?コラ」
「依頼を受けた時、テレビ電話で話したくらいさ。」
コロネロの問いにそう答えた。
「相手がどこに居るかぐらい、普通は気にするだろ。」
「例の匣兵器は郵送で届いたし、実験データはメールで充分だからね。それに報酬は年額一括で
スイス銀行に振り込まれた…僕としては何の問題もないよ。」
ラルの問いに守銭奴なマーモンらしい答えが帰って来た。
「さて、どこに居るのやら…」
「困りましたね。」
ヴェルデの居場所が解らず、困り果てる風(フォン)とアリア
(そういえばヴェルデ、前にいくつか研究所を持ってるって言ってたような気が…)
リボーン達の話を黙って聞きながら、そんな事を思い出していたソラ
「そんな事より、いつまで僕達を拘束するつもりだい?」
「俺も早くカルカッサファミリーに戻らなきゃならないんだ。」
「どうするんだ?コラ」
マーモンとスカルの意見を聞き、リボーンに問うコロネロ
黙ってるリボーン
「試練に合格出来なければ、沢田はボンゴレ10代目として認められんぞ。」
ラルもそう言い、リボーンの答えを待つ。
「お前が悪いんだ!さっさと合格にすれば…」
「バカ言ってんじゃねぇ!だからおめーはダメなんだ。」
スカルの言葉を遮ったリボーン
「リボ兄、そこまで言わなくても……でも、さっさと合格にしてしまったら、試練の意味がありませんよ。スカルさん」
「その通りだぞ。くだらねー事言ってる暇があったら、飲み物でも買ってきやがれ。」
「な…なんで俺が!?」
リボーンの言葉に納得いかないスカル
「俺はエスプレッソコーヒーだぞ。」
「お…おい!?」
「じゃあ僕はいちごミルク」
「スポーツドリンクだ!コラ」
「同じく。」
「私はミルクティーで。」
「すみません、私は烏龍茶を。」
スカルに次々と注文するアルコバレーノ達だった。
(スカルの扱いが酷過ぎる……)
その様子を見て、スカルが可哀想だと思ってしまったソラ
「ソラ、おめぇは?」
「要らない。喉渇いたら、自分で買うから良い。」
リボーンにそう答えたソラ
「………ソラにはアリアと同じミルクティーだぞ。」
「ちょっ…リボ兄!?話聞いてた!?むぐっ…!?」
リボーンに反論しようとしていたソラの口を塞いだアリア
「金は立て替えといてくれ。あ、ソラの分も俺が払うぞ。」
ソラの言葉が聞こえなかったかのように振舞うリボーン
「どいつも、こいつも…!ち、ちくしょー!待ってろよー!!」
文句を言いながらも、叫びながら、買い出しに出かけて行ったスカルだった。
「あぁっ…!?」アリアから解放されたソラが、スカルが走り去っていった、神社の入口の方を唖然と見つめていた。
「まぁ、スカルの意見はともかく…」
「そうだぞ、コラ。このまま沢田達が合格出来なかったら…」
ラルとコロネロがツナ達の心配をする。
「そんときゃ、そん時だ。」
「でもっ…」アリアが言い淀む。
「手加減は出来ねぇ。(それに、こんなもんじゃねぇんだ…未来であいつらを待ってる試練は…)」
(リボ兄……)リボーンが今何を考えているか、なんとなく察したソラ
「どうした?リボーン」
黙り込んだリボーンに声を掛けたラル
「ん…いや。それに、印が足りねぇのか俺のだけじゃねぇぞ。」
「ヴェルデか…」
「どんな試練をする気かしら…?」
「わかりませんね…」
「奴は昔からそうだ。一体何を考えているのか…」
コロネロ、アリア、風(フォン)、ラルの順に呟く。
「力ずくで聞きゃいいんだ!」
「それはどうでしょう…我々が相争うのは、避けねばなりません。」)
「僕達が元の姿に戻るためには、彼も必要だからね。」
「7人の誰も欠けちゃならねぇ…それだけは、どうしようもねぇんだ。」
コロネロの意見に賛同出来ない風(フォン)、マーモン、リボーン
「めんどくせー話だぜ。コラ」
「ヴェルデがどんな試練を仕掛けてくるのかは解らんが、沢田達は受けて立つしかあるまい。」
ヴェルデの試練は危険性が極めて高いが、ツナ達は受けて立つしかないと言うラル
「僕達はどうする?その為に集めたんだろ?」リボーンに問うマーモン
「今は見てるしかねぇ。ただし…」
「ただし…なんです?」続きを急かす風(フォン)
「奴が掟を破らなければだ。」
「もし、掟を破り、トゥリニセッテを乱すよな事があれば…」
「その時は、動かざるを得ませんね。」
「我々としても、対策を講じておかねばなるまい。」
アリアの問いに、風(フォン)、ラルがそう答えた。
「やれやれ…」めんどくさそうにするマーモン
「すべては奴の出方次第だな。」
しばらく深刻な表情をしていたリボーン達。
そこに買い出しに行っていたスカルが戻って来て、
それぞれ飲み物を受け取り、その後も少し話し合いをした後、解散した。
その場に残ったのは、リボーン、コロネロ、ラル、ソラだけだった。
「さて、そろそろツナ達の様子を見に行くか。」
「そうだな……少しは回復してる頃だろ。」
「シャマルがちゃんと治療していれば、だがな…」
(ラル姉、地味にありそうな事言わないで欲しい……シャマルさん、ちゃんと治療…してくれてるよね…?)
ラルの言葉を聞いて、ツナ達が心配になってきたソラ
「心配すんな。シャマルにはしっかり言っといたから、ちゃんと治療してくれてるぞ。」
「ホント?」
「ああ、ホントだぞ。」
「良かった……」ホッとしたソラ
「それより…」
「ん?」
「どうだ?ヴェルデの奴…来るか?」
「……来るよ、必ず。それも、最悪な事態になる可能性が高い…」
「そうか。(ソラの超直感はかなり優れていると聞く……この勘は絶対に当たるな…)」
「おい、リボーン」
「ん?なんだ?」
「なぜそんな事を聞くんだ?」
不思議そうな顔をするコロネロとラル
「なぜかは知らねぇが、ソラの直感はかなりの確率で当たるんだ。だからちょっと聞いてみたんだぞ。」
超直感の事を言わずに誤魔化したリボーン
「そうなのか?」
「ホントに当たるんだろうな?」
「ああ、こいつの勘は信用して大丈夫だぞ。」
「リボーンがそこまで言うなら…」
「!?」何かを感じ取り、立ち上がったソラ
「ソラ、どうした?」
「………ヴェルデさんが、動き出す。」
「!…ツナ達の所に行くぞ。」
リボーン達は並盛神社を後にし、ツナ達の元へ向かった。
ーー並盛海岸ーー
並盛島から戻って、コロネロが用意した建物の中のベッドで休んでいたツナ達。
リボーン達が駆けつけた頃には、休んで少し回復したのか、外に出て話をしていたツナ、獄寺、山本、了平だった。
「よし!もう1度リボーンに…」
「少しは回復したようだな。コラ」
「リボーンにやられてすっかり落ち込んでいると思ったがな。」
コロネロとラルがツナ達に声を掛けた。
(あ…パパのあの眼……そっか、迷いが吹っ切れたんだね?隼人兄、タケ兄、了兄も…さっきより良い眼をしてる。)
ツナ達に気付かれない程度に笑みを浮かべていたソラ
ツナ達はリボーンが伝えたかった事を理解し、新たに覚悟を決めた様子だった。
「落ち込んでるよ……でも、落ち込んでるだけじゃダメだから!リボーン、もう1回俺達にチャンスをくれないか?」
何も答えず、黙ってるリボーン
「リボーン!!」
「!…来たよ。」
海の方に視線を向けながら呟くソラ
ソラが言った通り、海の中から、緑色の雷…雷属性の炎を纏ったヒトデや、「ポーン」と呼ばれる白色のチェスの駒…ポーンロケットや、
戦車など、1つや2つではなく、無数出現した。
「始めやがったな。」呟くリボーン
「ヴェルデの奴だ。」
ヴェルデが現れた事を教えるラル
「俺の試練の事を気にしてるみてーだが、今は奴の試練の事だけ考えろ。」
「厄介な事になるかもしれん…」
「え!?」ラルの言葉が気になったツナ
「ヴェルデの行動には不可解な所があってな…ただの試練ではなくなるかもしれないという事だ。」
「不可解な所って?」
「忘れたのか?マーモンが渡された匣兵器。」
「あ!?そうだった…」
リボーンにそう言われ、ハッとした表情になるツナ
山本は、3日前にヴェルデの事で話していた時に聞いたソラの言葉が頭の中でフラッシュバックした。
『………ただの試練じゃ終わらない気がする。ヴェルデは研究のためならどんな事でもする。これは私の推測だけど……
たぶん死ぬ気の炎を…ボンゴレリングから発せられる死ぬ気の炎を狙ってくるような気がする。』
『匣を開匣するのに必要なのは、炎を灯せるリング。そしてボンゴレリングは中でも特別なリング…そのリングから発せられた炎は
匣を完成させるための近道になる。ヴェルデはそう考えて、何かしら仕掛けてくる気がする。試練の事なんかそっちのけでね…』
『私が知ってるヴェルデは……研究のためならどんな事もしちゃう所は変わらないけど、私にはいつも優しかった。いろんな発明品を見せてくれてたし、
私が今使ってるマント…耐炎性で防弾仕様の物なんだけど、これはヴェルデが作ってくれた物なんだよ。』
『うん…おそらく私の死ぬ気の炎に興味を持ったら、研究のために手段を選ばないだろうね……』
(あの時ソラが言ってた通り、ヴェルデが試練の事そっちのけで、俺達の死ぬ気の炎を狙ってくる可能性があるという事か……
そして、もし万が一、ヴェルデがソラの死ぬ気の炎に興味を持っちまったら、狙われてしまう。それだけは、なんとかして避けねぇとな…)
真剣な表情をしながら、ソラを見つめていた山本
「精々気をつける事だな。奴が何を考えているか、俺達にも解らん。」
気をつけるように言うラル
「同じアルコバレーノでしょ!?」
「一緒にすんな!コラ」
ヴェルデと一緒にされて嫌気が差すコロネロ
「ヴェルデはアルコバレーノだが、仲間とは言えねぇ。」
リボーンもヴェルデの事を良く思っていないと言う。
「え!?」
「研究のためには、手段を選ばねぇ奴だ。そいつを肝に銘じておけ。」
その時、海から陸に上がってきた戦車が、ツナ達が今居る崖の下の岩壁に砲弾を放ってきた。
「これが試練だというのか!?」
「試練じゃねぇとも言えねぇ…」
了平の疑問に、肯定も否定もしないリボーン
「そ、そんなっ…」情けない声を出すツナ
「これがヴェルデの試練なら、クリアするしかねぇんだ。お前らがな…」
次は空中から襲いかかって来るのに気付き、ツナ達は戦闘態勢になり、それぞれ駆け出した。
「リボーン、良いのか?」
「俺達は見てるだけで?」
「リボ兄…」
コロネロ、ラル、ソラがリボーンに聞くが、リボーンは黙ったまま何も答えなかった。
ツナ達はそれぞれ必殺技で襲ってくる兵器を破壊していた。
ツナも空中でX BURNERを放って、雷の炎を纏ったヒトデと、ポーンロケットを次々と破壊するが、
3つのポーンロケットだけ破壊し損ねてしまい、3方面に分かれた。
1つは中でまだ寝ていたクロームが居る、コロネロが用意した建物へ……
2つ目と3つ目は了平と山本へ……それぞれ直撃していた。
「リボ兄!!」
「このままでは全滅だぞ!?」
「どうすんだ!?コラ」
崖の上から様子を見ていたソラ、ラル、コロネロが焦り出していた。
その時、誰かの高笑いが聞こえてきた。
『フハハハっ……』
(この声はっ…ヴェルデ!!)
聞き覚えのある声が聞こえ、すぐにヴェルデの声だと気付くソラ
海の中から潜水艦が姿を現し、潜水艦の中から、ドーム状のガラスが現れ、その中に、緑色のおしゃぶりを持ち、
眼鏡を掛けて白衣を身に付けた赤ん坊が居た。
「ヴェルデ!!」名を呼ぶラル
『ボンゴレリング所持者の諸君!!楽しんでもらえているかな?』
「あいつがヴェルデ…」
「出おったな!!」
「あの野郎が前に10代目を暗殺しようとした奴か!!」
ツナ、了平、獄寺がそれぞれヴェルデを見て言う。
「これがお前の試練なのか!?コラ」
ヴェルデにこれが試練なのか問うコロネロ
『フフフっ…試練か。私は常に高みを目指し、研究を続けている。この世の全てが私の実験材料であり、
私の研究を完成させるためだけに存在を許されているのだ。ボンゴレリングだって例外ではない。』
「アルコバレーノの掟を破るというなら承知せんぞ!!」
『アルコバレーノの掟?フフフっ…そんなもの私にはどうでもいい。』
ラルの言葉にそう言い返したヴェルデ
それを聞いて、どうするか決めたリボーン
『私の研究にはボンゴレリングが必要だ。故に提供して貰う。』
ヴェルデの言葉を聞いてムカっときた獄寺
(死ぬ気の炎をじゃなくて、リングその物が欲しいとは思わなかった……でも、たとえボンゴレリングを奪えたとしても、
ヴェルデは雷だから、それ以外の属性のリングに炎を灯す事は出来ないと思うんだけど……解ってて言ってるのかな…?)
ほんの少しだけ外れたが、推測していた通り、ボンゴレリングを狙おうとしている事が解ったが、
奪ってからどうやって炎を灯すつもりなのか気になったソラ
『君達の意志などは聞いていない。必要な物は、実力で手に入れる。抵抗があれば、排除する。
そう…たとえそれがアルコバレーノだとしてもだ。』
「なんだと!?コラ」
コロネロとラルの後ろに居たリボーンが前に出てきた。
「リボーン…」
リボーンは、レオンを銃の姿に変え、右手に握った。
「これはもう試練じゃねぇ…ヴェルデは掟を破った、俺達も動くぞ。」
リボーンのその言葉を聞いて武器を取り出したコロネロとラル
崖の上に居たリボーン達は、ツナ達が居る海岸へ急いで移動し始めた。
リボーンとの戦いでのダメージがまだ抜け切っていないせいで全力を出し切れず、苦戦を強いられていたツナ達。
獄寺、山本、了平にポーンロケットが向かってきた時にピンチを救ったクロームも参戦していた。
「くそ!ヴェルデの奴、沢田達が弱ってる所を狙ってくるとはっ…」
「昔から気に入らない奴だった……」
移動してきたコロネロとラルはヴェルデのやり方に腹を立てていた。
リボーン達の傍に降りてきたツナが片膝をついて、乱れた呼吸を整えていた。
「綱吉さん、大丈夫?」
片膝をついたツナを心配し、傍に寄ったソラ
「あ、ああ……大丈夫だ。」
ソラを心配させまいと、苦し紛れながらも笑みを見せたツナ
(リボ兄との戦いでのダメージがまだ回復し切ってない状態で戦ってるせいか、体力の消耗が激しそう…)
ツナの辛そうな表情を見てそう思ったソラ
「リボーン…」
「奴はアルコバレーノの掟を破った…これはもう試練じゃねぇ、俺達も参戦するぞ。」
「ヴェルデ、これでもまだやるつもりか!?」
『まだ?とんでもない、始まったばかりだよ。』
ラルにそう言い返すヴェルデ
「いい加減にしろ!コラ………ショット!!」
ライフルで弾を放ったが、ヴェルデの周りを覆っていたガラスに弾かれてしまった。
「何!?」
「防弾ガラスか!?」
ヴェルデを覆っていたドーム状のガラスが防弾ガラスだと気付いたコロネロとラル
『フフフっ…無駄だよ。ところで、リボーンの試練は守護者が全員参加のはずだったが…雲と雷の守護者が居ないようだな。』
白衣のポケットの中からリモコンを取り出し、スイッチを押したヴェルデ
すると、潜水艦から2つのポーンロケットが放たれ、向かう先を見ると、どうやら街の方へ向かったようだった。
(あのロケット、街の方に向かってる…1つは恭兄、もう1つはランボ兄の所へ向かった…?)
『さてと、ボンゴレリングが集まるまで、君達にはコレで遊んでいて貰うよ。』
ヴェルデがそう言うと、また潜水艦から何かが出てきた。
雷の炎を纏った未完成の匣兵器が次々と現れた。
雷ヒトデが無数、雷ザリガニが2匹、雷エイが1匹
『時間稼ぎがてら、君達のデータを吸収させて貰う。
そう言い、潜水艦の中へ戻っていったヴェルデ
「行くぞ!」
戦闘態勢に入るコロネロ
「ちょっと待ってくれ!さっき飛んでいったロケット…雲と雷の守護者…」
「恭兄は大丈夫だけど、家に帰したランボ君がっ…!?」
ランボの心配をするツナとソラ
「マーモン、そこに居るだろ?」
リボーンに呼ばれ、幻覚で姿を隠していたマーモンが姿を現した。
「やれやれ、高見の見物をしようと思ったのに。」
「街に向かったロケットを頼むぞ。」
「フっ…タダ働きは主義じゃないんだけどね…」
「いいから行け。」
「はいはい。」
「待って下さい!マーモンさん」
霧の中に消えようとしていたマーモンを呼び止めるソラ
「ん?なんだい?」
「今から追うロケットに…“気をつけて”下さいね?(あのロケット、何かがあるような気がする…)」
「……わかったよ。」
そう言って、霧に包まれて消えたマーモンだった。
一方、ツナ達が並盛海岸で戦闘をしている頃、京子とハルは商店街で買い物をし、
今は偶然出くわした奈々やフゥ太とともに、行きつけのケーキ屋さんで、
ケーキを食べながら楽しくお喋りをしていた。
「あっ……解ったわ!」
奈々がお喋り中に突然ふと思い出したように声を出しながら手をポンと叩いていた。
「はひ!?ビックリしました〜…お母様、何が解ったんですか?」首を傾げるハル
「あ、ごめんなさいね。大した事じゃないんだけど……ツー君達がピクニックから帰って来てから、
少しの間だけ家に居候する事になった子の事でちょっとね。」
「ソラの事?何が解ったの?ママン」気になるフゥ太
「ソラちゃんの何が解ったんですか?」
「あら…京子ちゃん達、ソラちゃんの事知ってるの?」
「はい!知ってますよ!」
奈々の問いにハルが元気良く答えた。
「そうなの?知らなかったわ〜…それでね、その子が誰かに似てるような気がしてて、ずっと気になってたんだけど…
やっと解ったのよ、誰に似てるのかが。」
「はひ?誰に似てるんですか?」
「ソラちゃん、どことなく京子ちゃんに似てないかしら?」
そう言いながら、京子に視線を向けた奈々
「え!?私ですか?」
自分を指差しながら言う京子
「ええ!なんか京子ちゃんをそのまま小さくしたような感じね。良く見たら、とっても良く似てるわよ?」
「……言われてみればそうですね。なんで今まで気付かなったんでしょう?」
奈々に言われ、改めて京子とソラの顔を頭の中で見比べていたハル
「そういえば京子姉に似てるかも!!もしかして京子姉の親戚の子だったりして?」
「…・…私とソラちゃん、そんなに似てるかな?」
「はい!とっても!!京子ちゃん、鏡で見てみればすぐに似てるって解りますよ!!」
「そうかな?」
ハルに言われ、気になるのか、スカートのポケットの中から
手鏡を取り出して、自分の顔を見た。
「ね?似てるでしょ?」
横から覗き込んでくるハル
「……確かに、似てるかも。目の色は違うけど…」
「ウフフっ…ずっと気になってたから、やっと解ってスッキリしたわ!」
「良かったね!ママン」
(どうして今まで気付かなかったんだろう?こんなに良く似てるのに……未来の私とソラちゃんの関係っていったい……
フゥ太君が言うように、親戚の子…なのかな?)
手鏡に映る自分の顔を見つめながらそんな事を考えていた京子だった。
ーー並盛海岸ーー
「喰らいやがれ!!」
「極限太陽!!(マキシマム・キャノン)」
獄寺と了平はそれぞれ必殺技を1匹の雷ザリガニに放った。
「くっ…こんな奴、普段なら簡単にやっつけられるはずなのにっ…」
「フルパワーが出せん!」
悔しそうな声を出す獄寺と了平
雷ザリガニの鋏のような両手がそれぞれ襲いかかろうとしていたが、
そのピンチをラルのショットガンから放った弾で救出する。
「ラル・ミルチ!」ラルに視線を向ける獄寺
「しっかりしろ!お前らはボンゴレの守護者だろ!?」
森の中では雷エイが飛び回っていた。
「(どこだ?どこから来る!?)…なっ…しまった!?」
茂みに隠れながら、雷エイの動向を探っていたが、
いつの間にか自分の上空に雷エイが居る事に気付いた山本
ピンチかと思われたその時、リボーンが弾を一発撃って、山本を助けた。
「サンキュ、小僧」
空中ではツナが無数の雷ヒトデを1人で相手にしていた。
「俺に任せろ!コラ」
ファルコに頭を掴ませたコロネロがライフルで弾を放し、無数に居た雷ヒトデを一掃する。
だが、バラバラになった残骸が1つに集まって合体し、大きな雷ヒトデになってしまった。
「な…何!?」驚くコロネロ
浜辺に居た、もう1匹のザリガニはソラが1人で相手をしていた。
次々と鋏のような両手が襲いかかって来るが、それを軽々と回避していた。
「(このザリガニは…本物の生き物じゃない。)……ごめんね?倒させて貰うよ。」
たとえ匣兵器のザリガニでも倒す事に少し躊躇したが、すぐに迷いを消し、晴系リングに炎を灯し、
左手に持っていた銃に死ぬ気の炎を吸収させ始めていたソラだった。
「ボス…」
上空で戦っているツナを心配そうに見上げていたクローム
そこに海の中から何かがクロームに襲いかかった。
「うわあぁぁー!?」
「クローム!?」クロームの悲鳴を聞き、下に視線を向けたツナ
獄寺、了平、ソラもその悲鳴を聞き、クロームに視線を向けた。
雷の炎を纏ったイカがクロームを触手で捕まえていた。
「まだ他にも居たの!?」
驚きの声を上げるソラ
「待っていろ!今行くぞ!!」
了平、獄寺がクロームに駆け寄ろうとするが、雷ザリガニに行く手を阻まれてしまう。
「クローム!」
ツナも駆けつけようとするが、こちらも大きくなった雷ヒトデが行く手が阻まれてしまっていた。
「クロームさん!!」
ソラが駆けつけようとしたその時、突然拘束されていたはずのクロームが解放された。
「な…何?」
触手から離されたクロームが起き上がって、雷イカを見た。
クロームの危機を救ったのは、鎧を纏った巨大なタコだった。
「あれは……巨大鎧タコ!!」
クロームを助けたタコを見てそう言ったラル
「って事は…」海の方へ視線を向けたコロネロ
少し離れた所に、スカルの所属してるファミリーの船が見えた。
『待たせたな!俺様の出番だぜ!!もうこれで、パシリだなんて言わせないぜ!!』
船のスピーカーから、スカルの声が聞こえてきた。
スカルの指示で、次々と船から砲弾が放たれた。
その砲弾は広範囲に放たれていたので、ヴェルデだげでなく、ツナ達の方にも襲いかかって来た。
当然ソラの方にもその砲弾は襲いかかって来ていた。
「み、味方巻き込んでどうするんですかーっ!?」
スカルに向かってそう叫びながらも、雷ザリガニにやられないように気をつけながら、降って来た砲弾を回避していたソラだった。
「スカルの奴、派手にやりやがって…」
「数が多ければ当たるというものではないぞ!?」
「後でお仕置きだ!コラ」
スカルの攻め方に、リボーン、コロネロ、ラルは呆れていた。
『無駄な事だ。』
ヴェルデがスカルの乗ってる船に何かをしたのが、船がダメージを受け、海の中に沈んでいった。
船が沈んだ後、スカルは自力で海岸に辿り着いていた。
「酷い目にあったぜー…」
「スカル、まったく見てらんねぇな。」
「俺達の戦いをよく見ておけ!」
リボーン、コロネロがスカルにそう言った。
「行くぞ!」
ラルの声で再び戦闘に戻った。
「サバイバル・ブラスト!!」
雷ザリガニの真下をスライディングするように滑り込みながら、ショットガンを真上に向けて連続で弾を撃って撃破したラル
「なんとっ…」
「すげぇ…」
呆気に取られる了平と獄寺
森の中で飛び回る雷エイには、リボ−ンが銃で一発で仕留め、撃破した。
「さすがだな、小僧!」爽快な笑顔で言う山本
無数に居る雷ヒトデには……
「喰らえ!“マキシマム・バースト!!”」
雷ヒトデが一つに固まった所を狙い、鳥の姿をした雨の炎を撃って撃破したコロネロ
「すまない、コロネロ」お礼を言うツナ
(このザリガニが纏ってる炎…ヴェルデのだよね…?だったら、威力の高い攻撃を当てないとね。)
雷ザリガニから距離を取り、銃に吸収させていた死ぬ気の炎を、いつものように球体を作らず、思いっきり放った。
強力な砲撃が雷ザリガニに襲いかかり、そのまま雷ザリガニの体を貫通させて撃破したソラ
雷イカの方は、スカルのタコとクロームが協力して倒していた。
「どうだ!俺達の実力、思い知ったか!!」
何もしてないスカルが威張る。
「お前は黙ってろ!コラ」
ファルコから降りて、そのままスカルの頭上に落ちてきたコロネロ
ツナは上空に、他のみんなはリボーン達の傍に集結した。
「あれ…?(ランボ兄とイー姉の気配が近くにある……)…風(フォン)さん、もしかしてランボ君達、来てるんですか?」
ランボとイーピンの気配が近くにある事に気付き、風(フォン)に聞いたソラ
「ええ、すみません。付いて行くと言って聞かなかったものですから…」
申し訳なさそうに言う風(フォン)
「出てこないようには言ってあるんですよね?」
「はい、しっかり言っておきました。」
「それなら良いです。」
「終わりだな。」
『いや、計算通りだよ。』
ラルに言い返すヴェルデ
「何!?」
『言っただろ?時間稼ぎに過ぎないって…』
ヴェルデがそう言った後、リボーン達アルコバレーノのおしゃぶりが光り出した。
「揃ったようだな。七色の虹……アルコバレーノが。」呟くリボーン
アリア、風(フォン)、マーモンが駆けつけた事により、この場に7人のアルコバレーノ全員が集結した。
『フフフっ…今ここに時空を越え、呪われし7人が集まった。しかしこれは運命のイタズラなどという非科学的なものではない。
私の研究を成功させるための必然だよ。貴様らが私の邪魔をする事など、想定内だ。
ならば、揃った所を一網打尽にすればいいだけの事。喜ぶがいい、貴様らは私の科学の礎となるのだよ。』
緑色をした、丸い装置が飛び出し、リボーン達の真上で停止した後、緑色に光る小さな粉がリボーン達に降りかかった。
「くっ…」
「こ、これはっ…マズイ…」
「な…何なのだ!?コラ」
「視界がっ…」
「動けませんっ…」
リボーン、マーモン、コロネロ、ラル、風(フォン)が突然苦しみ出した。
「!?…あの苦しみ方はっ…!?」
見覚えのある苦しみ方をするリボーン達を見て、
あの粉が何なのか解ってしまったソラ
「小僧!!」
「どうしたのだ!?師匠」
「ラルまでっ…」
山本、了平、獄寺もリボーン達の様子がおかしいのを見て戸惑う。
緑色に光る粉を浴びて、動けなくなっているリボーン達の背後に、6個のポーンロケットが降りて来て、
それぞれのロケットにリボーン達を拘束した。
「おいおい!どうしたんだ!?」
リボーン達が苦しむ中、スカルだけはまだ何も影響がなく、リボーン達に呼び掛けていた。
『おやおや…そのヘルメットは浄化装置付きだね?』
「だったらどうした!?」
ポーンロケットから出てきた手で、スカルのヘルメットを外し、放り捨てた。
抵抗していたスカルがヘルメットが外れた事により、緑色に光る粉の影響を受け、気を失ってしまった。
リボーン達の傍に降りてきたツナは超モードを解いた。
「リボーン!どうしたんだよ!?」
「この感じは……10年後の世界に居た時と同じだ…うっ…」
遂にはリボーンまでもが気を失ってしまった。
「やっぱりっ…」
リボーンの言葉を聞いて確信を持ったソラ
「リボーン!…まさか、ノン・トゥリニセッテ!?」見上げるツナ
『ノン・トゥリニセッテ?なんだい、それは?これはある研究の途中で偶然発見したブツだよ。
どうやらアルコバレーノには有害な物質のようでね…』
6個のポーンロケットが動き出し、丸い装置と一緒に、ヴェルデの潜水艦の上空に移動した。
『さぁ、ボンゴレリングを渡すんだ!!』
あまりの出来事に、呆気に取られていたツナ達。
『さぁ、早く!』
「リボ兄っ…みんなっ…」
気を失っているリボーン達を見上げながら、悲痛の声を出していたソラだった。
果たして、ツナ達はどんな決断をするのだろうか?
そして、リボーン達の運命はっ!?
今回はヴェルデ襲撃です!
最初、ツナ達の方にするか、リボーン達の所にするか、
かなーり悩みましたが、リボーン達の方にしようと思い、
アルコバレーノ招集の場にソラを加えてみました!
その後は並盛海岸で戦闘開始。
この時ヴェルデが放った匣兵器が1匹多いですが、それはソラが居るからです。
最初は他の海に棲む生き物のどれかにしようか考えていたのですが、良いのが見つからなかったので、
この時の雷ザリガニを1匹から2匹にしました。。
それでは標的63へお進み下さい。