第6の試練「ボス力」

ーー翌日の早朝ーーボート乗り場ーー

ツナの招集を受け、守護者全員が集まった。
雲雀だけはソラからの連絡で集まったが…

全員が集合したのを確認した後、2つのボートを使い、2組に分かれて並盛島に行く事を言い、
雲雀は群れを嫌うので、了平に頼んで2人で1組になるようお願いしたツナ

了平が自分と同じボートへ乗る事に関しては何も文句を言わなかった雲雀

ところが、咬み殺されなくてホッとしていたツナの隙をついて、ツナの傍に居たソラを掻っ攫い、
自分が乗るボートへそのまま乗せてしまった。

雲雀のこの行動に誰もが驚いていたが、特にその事で揉める事はなく、もう1つのボートに残りの守護者全員が乗って出発した。

当の本人のソラは、突然掻っ攫われたにも関わらず、文句も言わず、大人しく雲雀と一緒のボートに乗っていた。

そんなソラを不思議に思い、ツナが聞いてみると、どうやらこういう事は初めてではないようで、たまに大人の雲雀が突然掻っ攫う事があったらしい。
そのため、いつの間にかこういう事態には慣れてしまったらしい。

それを聞いたツナは、「10年後の雲雀さんが!?」っと叫びながら驚いていたとか。


ーー船の中ーー

「良く眠ってんな、ランボ」
櫂を漕ぎながら、クロームの膝の上で眠ってるランボを見る山本

「たくっ、緊張感がねんだから…」寝てるランボを見て不満げな獄寺

(隼人兄……今のランボ兄はまだ5歳だし、それに試練自体理解してないから、緊張感も何もないと思うんだけど……)
隣のボートから聞こえてきた獄寺の言葉に呆れていたソラ

「ん〜…アホ寺ー、勝ったもんねー!!」寝言を言うランボ

そんなランボの言葉にカチンと来た獄寺

(ランボまで強制参加だなんて……)ランボを見て、不安そうに表情を曇らせていたツナ

「クローム、今日は来てくれてありがとう。(それに…雲雀さんも…)」
クロームにお礼を言い、声には出さないも、雲雀が来てくれた事を嬉しく思ったツナ

「赤ん坊とは、1度本気で戦ってみたかったんだ。」
目を瞑って、腕を組んでいる状態だというのに、なぜかツナの思いを見透かしてそう呟いた雲雀

「ああ!相手にとって不足はない!!」
櫂を漕ぎながらも、気合い十分な了平

「どうしよう……リボーンと戦うなんて……)
雲雀と了平の言葉を聞いても、不安が消えないツナ

「でも、リボーンさんの試練って何スかね?」

「そうか、何もバトルとは限らないんだ!リボーンの事だから隠し芸とかかも。」

(なぁっ!?)
ツナのその言葉を聞いて、心の中で盛大に叫びながら、
驚きのあまり座っていた体制からずっこけてしまったソラ

「ソラ、大丈夫か!?」慌てて声を掛けた了平

「君、いきなり何?」口ではそう言いながらも、心配していた雲雀

「ソ、ソラちゃん!?」
「ソラ、大丈夫か〜?」
「何やってんだよ…」
「ソラ、大丈夫?」
隣のボートに乗ってるツナ達もソラの心配をして声を掛けていた。

「ごめん、ちょっと驚いただけだから。(ハァ…仕方ない。ちょっときつい言い方になるだろうけど……はっきり言っといた方が良いよね?)」
心配して声を掛けてくれたみんなにそう言いながら、座り直していたソラ

「?…沢田の言葉のどこに驚いたのだ?」
気になってソラに聞いた了平

「え!?俺のせい!?」

「あのね、綱吉さん…この際だからはっきり言っておくけど……」

「な、何!?」

「これはアルコバレーノの試練なんだよ?こんな大事な試練に隠し芸だなんて、まず立会人のラル姉がそんなの許す訳がないよ。
それに、あのリボ兄が生温い試練をするなんて、例え明日が世界の最後だったとしても、絶対にありえない!!」
ソラはリボーンに鍛えられていたので、リボーンがそんな甘い試練をする訳がないとはっきりとツナに言った。

「俺もそう思う。」

「や…山本?」

「俺は10年後の世界で特訓を受けたから、身を持って知っている。もし、小僧とガチで戦う事になったら…」

「勝ち目はない。」

「!?」自分が思った事を見透かされて驚く山本

「そう言いたいんだよね?武さん」

「あ…ああ。」

「ハァ……あのね、もし本当にガチバトルだったとしても、リボ兄に完全勝利する必要はない。だってリボ兄は最強のヒットマンなんだよ?
まだマフィアとしての経験が浅い綱吉さん達が束になっても勝てる訳がない。でも、全力で戦わないと、あっという間にやられる。」

「リ、リボーンさんが10代目にガチはないですよ!案ずるより産むが易しって事になるんじゃないっスか!?」
ソラの言葉を聞いて益々不安を募らせたツナをなんとか元気づけようとしていた獄寺

「隼人さん、そんな事言っても何にもならない。確かにあれこれと心配するよりは良いかもしれない…
でも、リボ兄の試練はあっさり終わってしまう程、簡単なものじゃない。“本気”で相手にならないと…不合格になるよ?
(隼人兄には悪いけど、ホントにリボ兄の試練は簡単じゃないんだよ?…これは修行じゃなくて、試練なんだから…)」
口では厳しい口調だが、内心でツナ達の事を凄く心配していたソラだった。


ーー並盛島ーー

それぞれが緊張した面をしたまま、目的地に着いた。

「この崖を登るの!?」崖を見上げて叫んだツナ

着いたはいいが、崖が目の前にあり、ここを登らないと陸に上がれないようだった。

「大丈夫ですよ、10代目!!右腕である自分がついてます!!」
「ツナ、頑張って登ろうぜ!!」
「極限気合いだ!沢田!!」
崖を見て悲鳴を上げていたツナに獄寺、山本、了平がそれぞれ言う。

雲雀はそんなツナ達に目もくれず、黙って崖を登り始めようとしていた。

「恭兄、私先に行ってるね。」

雲雀の横に居たソラが思いっきり大きく跳躍して崖に飛び移り、そのまま両足だけを使って、
崖の所々にある、丈夫な岩を蹴りながら、跳んで登っていった。

「なっ!?……あの子、凄過ぎでしょ…」
この崖を手を使わず、足だけで軽々と登っていったソラに驚いたが、すぐに正気に戻ってそう呟いていた雲雀だった。

その様子はツナ達も目撃しており、驚きのあまり、唖然と立ち尽くしていたとか。


崖の上に1番に辿り着いたソラ

「ちゃおっス、ソラ」

「リボ兄」

少し先の岩山の上にリボーン、ラル、コロネロが居るのが見えた。

「ソラ、ツナ達は?」

「まだ崖を登り始めたばかりだよ。」

「そうか。とりあえずこっちに来い。」

「うん、わかった。」

リボーンにそう言われ、ここから助走してそのまま思いっきり地面を蹴り、崖の上に跳んだソラ

「……おめぇ、ツナがここで見てたら、絶叫してるぞ。」

「居ないから思いっきり跳んだの。」

「そうかい。」

「お前、凄いな!コラ」
「この岩山でも充分高さはあったはずだが…」
ソラの跳躍力に驚きを隠せなかったコロネロとラル

「ん…アリアさんも来てるの?」
近くにアリアの気配を感じ取ったソラ

「ああ。アリアはそこの林の方からこの試練を見届けるんだぞ。」

「そっか。」

「そろそろだな……ソラ、フード被っとけ。」

「え?」

「ツナ達との戦い…いくらお前でも、平気でいられる訳がねぇ…顔を隠しとけ。」

「うん……そうするね。」
そう言ってから、フードを被ったソラ

ちょうどその時、やっとツナ達が現れ、それに気付いたコロネロ

「来たぞ!コラ」


崖を登り切ったツナ達は歩き出したが……

「うわ!?」
自分が踏んでしまったヒトデを見て驚いた声を出したツナ

「大丈夫ですか!?10代目!!」

「ただのヒトデだぜ?」

山本の言う通り、ただのヒトデだった。

「フゥ…匣兵器かと思った……」
ただのヒトデだと解って安心したツナ

「この間のやつか。」

了平が言うこの間のやつとは、マーモンが使っていたヒトデの匣兵器の事だ。

「リボーンが相手だって言うんで、どうも神経質になってるみたいだ……ここは深呼吸でもして…」

「試練を始めるぞ。」

「え!?……い、いきなりもう!?」
息を吸い込もうとしていたが、突然リボーンの声が聞こえ、驚くツナ

ツナ達は少し先に見える岩山の上に、リボーン、ラル、コロネロ…そしてフードを被ったソラが居るのを見つけた。

「ソラ、いつの間にそっちに行ったのな?」
ソラを見つけて声を掛けた山本

「リ…リボーン…」岩山を見上げたまま呟くツナ

「俺の試練は、守護者も全員参加だ。」

「ちょっと待ってよ、リボーン!ランボまで一緒じゃなくってもっ…」

「あめーな。」

「試練は遊びじゃないんだぞ、コラ」
リボーンの後にコロネロがそう言った。

「そ…その試練は何なの?」
何を言っても無駄だと悟ったツナは試練の内容を聞く。

「アルコバレーノ、第6の試練は……沢田綱吉がボスとして相応しいかを試す、『ボス力』をはかるものだ。」

「ボス力?」

「そんなの相応しいに決まってんじゃないっスか!ボンゴレ9代目が正統後継者に決めたんだし…!!」

そんな獄寺の言葉にリボーンは…

「それはどうかな?」

リボーンのその言葉に呆気に取られたツナ達。

「で…でも、『ボス力』ってどうやって?」

「この俺とガチバトルだ。」
ツナの問いに答えたリボーン

「ええ!?」
「リボーンさんと…」
「ガチバトル…」
「やはりな…」
ツナ達は驚き、不安を募らせた。

もっとも、雲雀だけは嬉しそうに笑みを浮かべていたが。

(やっぱりみんな、リボ兄と戦う事に躊躇しちゃってる……恭兄は嬉しそうだけど……)
みんながこうなると初めから解っていたソラ

「ホントにリボーンと戦うの!?そんな事出来ないよ!?」

「だからおめーはいつまで経っても甘ちゃんなんだ。」

リボーンは岩山から飛び下り、そのままツナの鳩尾に蹴りを思いっきり入れ、
岩壁に叩きつけた後、近くにあった岩の上に着地した。

「10代目!」
「ツナ!」
ツナを心配して声を掛けた獄寺、山本

岩壁に叩きつけられたツナはそのまま意識を手放し、倒れてしまった。

「さ…沢田!」
「ボス!」
了平、クロームもツナの心配をしていた。

(パパ……リボ兄、昨日言っていた通り、最初から本気で行くんだね…)
岩山の上から、倒れたツナを心配そうに見ていたソラ

「いきなり何をする!?」怒る了平

「試練を始めると言ったはずだ。」
「その通り。試練はすでに開始されている。」
リボーンとラルがそう言った。

今までにないリボーンの態度に戸惑う獄寺達。

「誰でもいいからかかってこい。」
倒れたツナを気にする様子もなく、獄寺達を挑発するリボーン

「ならばっ…」了平が拳を構えた。

その時、その横を走って行く黒い人影が見えた。

その黒い人影は、雲の炎を灯したトンファーを持った雲雀だった。

「雲雀!!」

「手出しは無用だよ。」
そう言って右手のトンファーをリボーンに向かって繰り出した。

だが、十手に姿を変えたレオンで防がれた。

「ワォ、十手とは懐かしいね…だけど!」

そのままトンファーを振り続けるが、全て十手で防がれてしまう雲雀。

2人が戦っている間に獄寺と山本は、気絶してしまったツナを岩壁に背を預けさせる形で座らせた。
その後、リボーンと雲雀の戦いに目を向けた。

しばらくトンファーを振り続けていた雲雀が、ついにリボーンが持つ十手を弾いた。

十手をやっと弾けて嬉しそうに笑みを浮かべた雲雀

だが、そんな雲雀にリボーンは不敵な笑みを浮かべてみせた。

リボーンのその不敵な笑みを見て、はっとした表情になる雲雀

リボーンは上へ跳躍し、空中で回転するレオンは十手から銃へと姿を変え、リボーンはそれを右手に握った後、雲雀に銃を向けた。

そんなリボーンに目を見開いて凝視した雲雀
なぜか金縛りにあったかのようにその場から動けなかった。

そして、雲雀に向かって1発撃った、強力な一撃を……
そのまま雲雀に直撃し、周りに土ぼこりが上がった。

煙が晴れると、雲雀はトンファーを落とし、そのまま倒れてしまった。

「す…すげぇ…これがリボーンさんの実力…!!」
「未来で俺が特訓を受けた時とは比べもんにならねぇ…」
リボーンと雲雀の戦いを見てそれぞれ呟く獄寺と山本

「よし!今度は俺が挑戦する!おおー!!」

了平は、一直線にリボーンに向かっていき、拳を次々と繰り出すが、一度も掠る事もなくかわされていく。

しばらくの間、連続でパンチを繰り出していたが、息切れし始めた了平

「それだけか?1人ずつ来たんじゃ、ウォーミングアップにもならねぇ……全員で来い。」
先程のように、挑発したリボーン

「おう!」
リングに炎を灯し、匣から雨燕を出した後、時雨金時を真剣に変形させて、死ぬ気の炎を纏わせた山本

「ここで10代目のお役に立つのが、右腕としての俺の使命だ!リボーンさんとはいえ、手加減はしません!」
赤炎の矢を左腕に装着し、やる気満々な獄寺

クロームは気絶しているツナの傍にまだ寝ているランボを寝かせてから三又槍を手に持った。

「さぁ、どこからでもかかってこい。」

「行くぞ!“極限太陽!!(マキシマム・キャノン)”」

岩の上に居たリボーンは、了平の極限太陽を上に跳躍する事でかわしたので、その攻撃は岩を砕いただけだった。
空中で、山本とクロームが攻撃を仕掛けてきたが、それも軽々とかわす。

「今度はこっちから行くぞ。」
地面に着地した後、1発撃ったリボーン

リボーンが放ったその一撃は、始めは1つだった砲撃が途中で2つに分かれた。

「た…弾が2つに!?」驚く獄寺

1つは山本の方へ……もう1つはクロームの方へ……
それぞれ武器で防ごうと踏ん張った。

山本は時雨金時でなんとか防ぎ切り、クロームはあまりの威力に防ぎ切れず、弾かれて倒れてしまった。

「次はおめーの番だ。」

レオンを元の姿に戻しながら、了平の元へ跳んだ。

リボーンが攻撃してくると解り、とっさにガードした了平にパンチを連続で繰り出すリボーン

了平は素早く、そして力強く打ち込んでくるリボーンのパンチをなんとかガードする事で精一杯だった。

「下がガラ空きだぞ。」
そう言いながら、了平の腹を右拳で殴ったリボーン

「ぐぁ!?」

「遊びはおしめぇだ。」
そのまま右拳でアッパーを喰らわしたリボーン

顎に強力なダメージを受けたのか、そのまま倒れてしまった了平

「芝生ー!!」
「せ…先輩!!」

「心配すんな、顎は砕けてねぇ。」
獄寺と山本にそう言ったリボーン

リボーンの言葉を聞いてホッとした獄寺は再び戦闘態勢になり、リボーンに攻撃を仕掛けた。

まず、嵐と晴を混合させた、晴の「活性」の力で、弾の速度が不規則に加速していく弾丸を放った。

だが、リボーンはその無数に放たれた弾丸を跳躍してかわす。

「そうくると思ってたぜ!嵐+雷…“赤炎の雷!!(フレイムサンダー)“」

かわしたリボーンに向かって、次は嵐と雷を混合させた、雷の「硬化」の力で、赤炎の炎の破壊力を強化した砲撃を放った。

リボ―ンはその赤炎の雷を、シールドに姿を変えたレオンで、獄寺へ跳ね返した。

「うわあぁぁ!?」

「獄寺!!」

「すみません、じゅ…10代目…」
倒れた獄寺がそう呟いた後、気絶してしまった。

「どうした、山本…おめーももう終わりか?」

リボーンにそう言われ、再び立ち上がった山本がリボーンに攻撃し始めた。

1つの技を放つだけじゃ、絶対にリボーンに攻撃が当たる訳がないと思った山本は……

攻式八の型「篠突く雨」、そしてすぐに攻式九の型「うつし雨」を放つ事で連携技を仕掛け、リボーンの背後から刀を振り落としたが、
読まれていたのか、素早く回避され、逆に背後を取られてしまい、顔面に蹴りを喰らった山本

「見事なもんだぜ。」
「ああ。こんなに本気のリボーンを見たのは久しぶりだ。」
戦いを見ていたコロネロとラルが昔を思い出して懐かしんでいた。

山本に銃を向け2発撃つが、かわした山本

「今のは良く避けたな。俺と特訓していただけあるぞ。」

「余裕だな、小僧!勝負だ!!」

特式十の型「燕特攻」で攻撃を仕掛けたが失敗し、逆に攻撃されてしまった山本

その時、やっと今まで気絶していたツナが意識を取り戻した。

「あっ…や、山本!?」

目が覚めたツナの目の前には、今まさにやられたばかりの山本の姿が。

「ツナ…」ツナにゆっくり振り向きながら、小さな笑みを浮かべた後、そのまま倒れてしまった山本

「山本ー!!あっ…獄寺君!…クロームも!お兄さん!……雲雀さんまで!?」
ランボ以外の守護者全員が倒れている事に気付いたツナ

「残ったのはお前だけだ、ツナ」

「そ…そんなっ…無事なのはランボだけで、みんなボロボロじゃないか!?」

「お前がボスだろ?ボスならなんとかしやがれ。」
冷たく言い放ったリボーン

「そんなっ…リボーンと戦うなんて…」顔を俯かせたツナ

「まだそんな事を言ってやがるのか!お前がこの試練をクリアしなけりゃ、世界はおしめぇなんだ!
京子やハルやソラ、ママン達がどうなってもいいのか!?」
ツナを激しく叱咤していたリボーン

「あっ………ダメだ…そんなのはダメだ!!」
リボーンと戦う決心をし、死ぬ気丸を呑み込んで超モードになったツナ

超モードになったツナは空に飛び上がった。

「ようやくやる気になったか。(覚えとけ、ツナ……試練からは決して逃げられねぇんだ…試練からはな。)」

ツナとリボーンの戦いが始まった。

(パパ……リボ兄……)
2人の戦いを心配しながらも、黙って見守っていたソラ

ーー回想ーー

『ソラ、手加減なんかするんじゃねぇ!本気でかかってこいって言ってんだろ!?』

(でも…)銃を握ったまま、体を震わせていたソラ

まだ幼いソラに厳しく叱咤するリボーン

『いいか?お前が相手にしてるのは、最強のヒットマンだ。だから力を抑える必要はねぇ!思いっきりぶつかってこい!!』

体を震わせたまま、顔を俯かせるソラ

『力を怖がるな!怖がったままだと、いつか自分に押し潰されるぞ!?そうなったら、力を制御出来ず、
傷つけたくない、壊したくないものにまで力を振るってしまうんだぞ!それでもいいのか!?』

俯かせていた顔を上げ、「そんなの嫌だ」とでも言うように、激しく首を横に振ったソラ

「だったら全力で戦え!!俺はぜってー死なねぇし、ちゃんと全部受け止めてやっから!!』

不安に揺れる瞳をリボーンに向けるソラ

『本気で来い…俺も本気で行くからな。』

険しい表情は変わらなかったが、優しい声でソラにそう言っていたリボーンだった。

ーー回想終了ーー

(初めてリボ兄の本気を見た時、とても怖かった。…普段見る事のない、リボ兄の険しい表情と殺気だった……)
2人の戦いを見ながら、リボーンの本気と初めて戦った時の事を思い出したソラ

ツナとリボーンが戦っている間に、気を失っていた守護者達が次々に目を覚まし、2人の戦いに目を向けていた。

繰り出す攻撃を次々かわされていくが、決して攻撃の手を緩めず攻め続けていたツナ
何度目かの突きがリボーンにやっと当たり、そのまま岩壁の方へ激突していった。

「やった!さすが10代目!!」

(リボ兄がわざと隙を作った……これが、たった一度きりのチャンス…)
リボーンがわざと隙を作った事に気付いていたソラが心の中でそう呟く。

「オペレーション…X(イクス)」

『了解シマシタ、ボス。“X BURNERイクスバーナー)”発射シークエンスヲ開始シマス。』

「え!?リボーンさんに“X BURNERイクスバーナー)”を!?」驚きの声を上げる獄寺

『ターゲットロック…ライトバーナー炎圧上昇…20万FV!!……レフトバーナー炎圧上昇…18万…19万…20万FV!!
ケージシンメトリー!!発射スタンバイ!!』
ツナのヘッドホンからX BURNER発射準備が整った事が告げられた。

発射準備が整ったというのに、そこで甘さが迷いを生じさせ、X BURNERを撃つのを止めたツナ

「ツナ…」
「10代目…」
そんなツナを心配そうに見上げた山本と獄寺

「絶好のチャンスを逃したな。」
「ああ。リボーンがわざと作ってくれた、たった1度のチャンスだったのに。」
「そのチャンスを生かす事が出来なかった……それは…(不合格を意味する…)」
コロネロ、ラル、ソラが呟く。

「何!?わざとだと!?」驚きの声を上げる了平

「あめーな。仲間がボロボロになって戦ってんのに、まだ甘さが抜け切れねぇのか!ボンゴレリングを受け継ぐ事の意味が解ってんのか!?
仲間の為、世界の為の覚悟がお前にはない!!”カオスショット!!”」
厳しい言葉をツナに浴びせた後、銃に姿を変えていたレオンで必殺技を放ったリボーン

1つの砲撃が途中でいくつかに分かれ、すべてツナに命中させた。

大ダメージを受けたツナは、そのまま地面に落下し、再び気を失ってしまった。

「ボスとしてなってねぇやつは、合格とは言えねぇな。」
気を失ったツナに向かってそう言い放ち、ツナの傍を去った。


「終わったな。」

「ああ。」

(やっぱり不合格になっちゃったか……当たって欲しくなかったけど、当たってしまった。この戦いを見ていて思ったけど…
みんな、覚悟が中途半端だった。こんな覚悟じゃ、たとえ無事に印を全部集めたとしても、向こうに戻った時、
ミルフィオーレとの…白蘭との戦いには…絶対に勝てない。)

ソラは超直感で初めからこの試練は不合格になると感じていたようだ。
当たって欲しくなかった事が当たって、悲しい表情を浮かべていたソラだった。

だが、その表情はフードを被っていたので、誰も気付く事はなかった。

「ソラ、大丈夫か?」
いつの間にか岩山の上に戻ってきて、ソラを覗き込んでいたリボーン

「リボ兄……お疲れ様。」そう言いながら、今まで被っていたフードを外したソラ

「……平気な訳、ねぇか。」
試練が始まる前よりも元気がないソラを見てそう言ったリボーン

「ちょっとね…」

「……俺がなぜ始めから本気で戦っていたか、お前には解っているんだろ?」

「うん、解ってる。リボ兄が本気を出して、綱吉さん達に伝えたかった事はね…」

「フっ…さて、ツナ達の事はシャマルに任せて、俺達は先に街に帰るぞ?」

「え…でも、ここには休む場所が……」

「その事なら心配しなくて良いぜ。リボーンに言われて、俺が用意しておいたからな!コラ」
ソラの心配している事をコロネロがそう言って安心させていた。

「そうなんですか?ありがとうございます、コロネロさん」

「おう!」

「ソラ、行くぞ。」

「あ…待って。」

「何だ?」

「あの…コロネロさん、お願いがあるんですが…」

「何だ?言ってみろ。」

「ファルコに頼んで、あそこでまだ眠っているランボ君をこっちに連れて来て貰えませんか?」

「ランボを?…いいぜ、任せな!」
了承したコロネロはすぐにファルコを呼んで、ランボを連れ出しに行った。

「ランボも連れて帰るのか?」

「うん。ランボ君、まだ寝てるし。それに目を覚ましても、1人じゃ街に帰れないよ。
たぶん街に戻った頃には目を覚ますだろうから、家に連れて帰るよ。」

「そうか。」

その時、林の中に隠れていたアリアがリボーン達の前に現れた。

「アリアさん」

「また会ったわね、ソラちゃん」

「……昨日の夜、綱吉さんの家の門の前に居ましたよね?」

「あら、やっぱり気付いてたの?なら、声を掛けてくれれば良かったのに…」

「何を言ってるんですか…そんな事したら綱吉さんに見つかっちゃうかもしれないじゃないですか。」

「それはそうだけれど……」

「連れて来たぜ、コラ」
寝てるランボを起こさないように連れて来てくれたコロネロ

「ありがとうございます!!コロネロさん!ファルコ!」

「おう!」

ファルコもお礼を言われて嬉しそうに鳴いていた。

「んじゃ、帰るぞ。」

リボーンのその一言でツナ達を残し、先に並盛町へと帰っていった。


標的62へ進む。


今回はリボーンの試練です!
この試練ではツナと守護者全員参加のガチバトル。
ソラはただ見守る事しか出来ないので、今回はほとんど出番無しです。
なので、ほとんどそのままアニメ沿いです。
それでは標的62へお進み下さい。

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