ーー地下7階ーー大食堂ーー
ソラは最初、小食堂の方に向かおうとしたが…
(…なんでこっちに来ちゃったんだろ…?)
ソラは無意識に大食堂に着いてしまったらしく、仕方ないので、そのまま中に入り、
冷蔵庫にある氷をビニール袋にたくさん入れて結び、タオルで包んだ。
それを持って、椅子に座り、左頬に当てた。
「つめたっ…ひんやりする…」
ソラはさっき応接室であった出来事を思い出していた。
…リボ兄だけじゃなくて、パパや隼人兄まで10年バズーカで来ちゃった…
リボ兄もどうしてこうなったかはわからないって言ってた。
でも…何か理由がある気がする…
この時代にはもう無い、ボンゴレリングが、関係しているのかな…?
時間が経ち、冷やしていた左頬から、タオルで包んでいた氷を離した。
「ん…もう大丈夫かな?」
そう言いながら、左頬を撫でていた。
その時、誰かが入って来た。
「ソラ、頬は腫れてねぇか?」
「リボ兄?」
リボーンはソラの隣の椅子に飛び乗った。
「…腫れてねぇみてぇだな。」
「うん、大丈夫だよ。心配掛けてごめんね?」
「まったくだぞ。なんで避けなかったんだ?お前なら避けられたはずだぞ?」
「…うん、避けれたよ。でも、避けちゃいけない気がして…」
「超直感…か。ソラ、獄寺に睨まれてた事、気付いてたろ?」
「っ!!」
「俺が気付かないはずがねぇだろ?なぜ気付かない振りをした?」
「…だって…隼人兄、私の知ってる隼人兄じゃない。昔の事を聞いて知っていたから、解るんだ……
10年前の隼人兄は…パパにしか心を開いていないって。気付かない振りして耐えたのは、
私の事を知らない隼人兄からしたら当然だから、仕方ないと思った…」
「そうか……ツナ達には言わねぇのか?お前の事…」
「……なこと……ない…」
「ん?」
「そんな事、言えないよ…」
震えた声で言うソラ
「なぜだ?」
「今のパパ達は、過去に帰れなくなって…その上、この時代の状況を知って動揺してる。
なのに、そこに私の事まで知ってしまったら…きっとパパ、パニックを起こす。」
「ソラ…」
「それに……怖いんだ。も、もし、私の存在が否定されたらって……そう思うと、怖くて言えないよ…」
ソラの体が小刻みに震えていた。
「ツナはそんな奴じゃねぇぞ?」
「わかってるっ、わかってるけどっ……でも、怖いものは怖いよっ!」
ソラは体を震わせたまま、涙を流していた。
「…わかった。お前がツナに話すその時までは言わねぇ…」
「リボ兄…」
「そのかわり、俺を頼れ。」
「えっ…」
「お前はまだ子供なんだ。甘えたい時はちゃんと甘えておけ。子供の特権だぞ?」
「でもっ…」
「それとも、俺は頼りにならねぇか?」
「そんな事ないっ!リボ兄、とっても頼りになるよ?だけど…」
「なら、頼れ。俺はお前が望むなら、安心できるまで傍にいてやるぞ?」
「…ほんとに…いいの?」
「ああ、いいぞ。」
「ありがとう…リボ兄」
お礼を言いながらリボーンを抱きしめて泣いていた。
「落ち着いたみてぇだな?」
「うん。」
「さて、もう寝るのか?」
「ううん、まだ寝ない。ちょっとお菓子作ってから寝るよ。」
「そうか。んじゃ、作りながらでいいから、俺の話を聞いてくれるか?」
「うん、わかった。」
「さっき山本と今後の事について話し合ったんだが…最初に即戦力となる守護者を探す事になったぞ。」
「即戦力っていうと…恭兄?」
「ああ。」
「でも、私もタケ兄もしばらく並盛離れてたから、恭兄の居場所、まったく解らないよ?」
「山本もそう言っていた。だが、雲雀の手掛かりはヒバードの写真らしいぞ。」
「…もしかして、ヒバードを探すの?」
「さすがソラだな。その通りだぞ。」
「確かに、恭兄は人一倍並盛が好きだがら、長い事ここを離れたりしないと思うけど…」
「だろ?」
「でも、そう簡単には見つからないと思うよ?」
「それでも探すしかねぇだろ。とりあえず明日はそれで行くぞ。ソラ、ツナ達を頼むぞ。」
「うん、任せて。……ランボ兄とイー姉は、大丈夫かな?ちゃんと…ママとハル姉と合流出来たかな?」
「さぁな…だが、きっと大丈夫だぞ。アホ牛はともかく、イーピンが一緒だからな。」
「…リボ兄、ランボ兄だって大丈夫だよ。」
「俺はそうは思わねぇがな。」
「んも〜…リボ兄、あんまりランボ兄を苛めちゃ駄目だよ。」
そう言いながら、ソラは今まで作っていた物を冷蔵庫にしまっていた。
「ん?出来たのか?」
「うん、あとは冷蔵庫に入れておくだけだから。」
「そうか。」
「リボ兄」
「ん?」
「…ありがとう。」
「礼はいらねぇぞ。ゆっくり休めよ?ソラ」
「うん。おやすみ、リボ兄」
ソラはリボーンにそう言った後、大食堂を後にした。
ーー地下14階ーーソラの私室ーー
部屋に戻ったソラはマントとガンホルダーとポシェットを外して、
部屋に備え付けのお風呂に入りに行った。
時間が経ち、お風呂から出たソラはそのままベッドへ寝転んだ。
「……これからどうなるのかな?…パパ達、無事に過去へ戻れるのかな?」
ソラは服の下に仕舞ってあるお守りを取り出した。
それは、ツナが持っているお守りの色違いだった。
ツナのが青色なのに対し、ソラのはオレンジ色で、
文字も「安全必勝」ではなく、「安全祈願」と書かれているお守りだった。
「…大丈夫…だよね?ママ…」
そう呟いて、お守りを握り締めながら、ゆっくりと眠りについた。
今回のお話はソラの心境を綴ったオリジナルです。
ソラが10年前から来た、ツナ達をどう思っているかを書いたのですが、上手く書けているかは自信がありません。
ただ、ソラが今こんな気持ちでいるっていうのを書きたくて書いただけなので。
それでは、標的6へお進みください。