ーー朝ーーツナの部屋ーー
もう太陽は上がり始めているのに、未だに眠ったままのツナとソラだった。
窓のカーテンの隙間から差す太陽の光を浴びて、目が覚めてしまったツナ
「朝…か……」
ツナは体を起こし、自分の横で未だ寝ているソラを見た。
ソラは昨日、自分なんかより起きるのが早かったのに、今日はまだ寝ていた。
無理もない、夜中に目が覚めて睡眠時間が削られてしまっていたのだから…
その時、ソラにも太陽の光が差し込み、目を覚ます。
「あ…起きた?」
まだ寝ぼけてるのか、少しぼーとしながらも起き上がったソラは、窓のカーテンから差しこんできている太陽の光を見て、
いつもより長く寝てしまっている事に気付いた。
「寝過ごした!?」
眠かった目は一気に覚め、目覚まし時計を見た。
時計の針は、もう10時を指そうとしていた。
「嘘!?もうこんな時間っ!?か…完全に寝過ごしたっ…」
ショックを受けて落ち込んだソラ
(え!?ここ、落ち込む所!?)
心の中で盛大にツッコミを入れていたツナ
「(ガクッ)朝ご飯、作りたかった…」
「へ?何で?」
「こんな機会、滅多にないのに〜……」
ツナの声に気付かず、そのままぶつぶつと呟いていたソラだった。
「ソラちゃん?あの、もしも〜し!」
そう言いながら、ソラの顔の目の前で手をヒラヒラさせるが、まったく気付かない。
(おばあちゃんと一緒にお料理作るの、久しぶりだったから、こっちに居る間は絶対毎日朝ご飯を一緒に作ろうと思ってたのに〜!!)
心の中で悔しそうに言いながら、未だ落ち込んでいたソラ
(うわっ…めっちゃ落ち込んでる!?もしかして、未来の世界で母さんに会った事があるのか…?)
ソラの様子を見てそう思ったツナ
「ねぇ、ソラちゃんってば!!」ソラの肩を掴みながら呼びかけるツナ
「あっ……ゴメン。何?」やっとツナの呼び掛けに気付いたソラ
「ソラちゃん…未来で俺の母さんに会った事あるの?」
「ある、綱吉さん経由で。(おばあちゃんの事、知ってて当たり前だよ。だってパパのおばあちゃんだし、まだ日本に住んでた時、
ママが居ない間はおばあちゃんが私の面倒を見てくれてたんだもん。)」
ツナの問いに即答し、そのまま思わず自分と奈々の関係を言いそうになったが、なんとか呑み込んで、心の中でそう呟いていたソラだった。
「そうなんだ。」
「とりあえず…綱吉さん、先に降りてて?着替えるから。」
「あ、うん。わかったよ。」
「あ!つ、綱吉さん!!」部屋を出て行こうと歩み始めていたツナに声を掛けたソラ
「ん?何?」足を止めて、顔だけソラの方に向けるツナ
「その……」
「?」
「えっと……パジャマ、ごめんなさい。それと…ありがとう。」
「!!……パジャマの事はホントに気にしなくて良いよ、どう致しまして!」
ソラの言葉に驚いて目を見開くが、すぐに笑顔を向けたツナ
(パパ…)自分が知ってる父親と変わらない優しい笑顔を向けてくれるツナを見て嬉しかったソラ
ツナが出ていった後、ソラは服を着替えていた。
「ん…?この気配……近くにバイパーが居る…?って事は…次はバイパーの試練なのかな?」
そんな事をソラが考えていると、ツナが戻って来た。
「あれ?綱吉さん??」戻って来たツナを不思議そうに見るソラ
「あっ…ごめん!まだ着替えてた!?」あたふたするツナ
「もう終わる。それより、どうかしたの?」
「う…うん。今電話が掛かって来てね…」
“並中で待つ。早く来ないと、大変な事になるよ。”
「…って言われて…」
服を着替えながら、ソラに教えるツナ
「試練…だね?」
「たぶんね。」
(って事は、やっぱり次の試練はバイパー…そして試練の内容は『適応力』…)
「ご飯食べたらすぐに出掛けるんだけど…ソラちゃんも来る?」
「行く。」
その後、ツナとソラは奈々が作った、少し早い昼ご飯を急いで食べて出掛けていった。
ツナとソラは今、並盛中学校に向かって歩いていた。
だが、周りはだんだん霧に包まれ、視界が悪くなっていった。
「こんな霧の中じゃ、何がなんだか…」
周りを見回しながら呟くツナ
「そうだね…(これはたぶん、バイパーの幻術…)」
周りを見回しながら、ソラはそう思っていた。
その時、前から誰かがやってくるのが見えたツナとソラ
「あ!」
「あれ?ツナじゃないか。それにソラも。」
前からやってきたのは山本だった。
「山本か…あれ?でも何でここに?」
「ああ…電話で呼び出されてさ。」
「え!?山本も!?」
その時、ツナから見て左側からまた誰かが走って来るのが見えた。
「お兄さん!」
「おお!沢田に山本にソラか!」
走って来たのは了平だった。
「やっぱりコレって…」
「だろうな。」
「お前達もか。」
ツナ、山本、了平の3人は同じ電話で呼び出された事が解り、試練なのでは?と思い始めた。
(この3人が、今回の試練の参加者だね。ん…?まだ誰かが来る…)
3人の様子を黙って見ていたソラ
その時、今度はツナから見て右側からまた誰かがやってきた。
「ん!?お出ましか?」
誰かがやって来てるのに気付いた了平がそう呟く。
「あ!10代目、おはようございます!」
やってきたのは獄寺だった。
「獄寺君!?」
「なんだ…タコ頭ではないか!」
「なんだとは何だ!?この芝生!!」
「ちょっ…ちょっと待ってよ!…ねぇ、獄寺君も電話で呼び出されたの?」
今にもブチ切れそうな獄寺を止めて、質問したツナ
「いえ!10代目のお宅に伺ったら、並盛中だと聞きまして。」
「ええ!?じゃあ…」
「フフっ…」
突然声が聞こえ、上を見上げると、マーモンが浮いていた。
「マーモン!?」叫ぶツナ
「やあ、久しぶり。」
「次の試練はマーモンが…?」
「まぁね。金にならない事はしたくないけど、僕もアルコバレーノである以上、仕方ない。」
「どーせ結果は見えてんだ!さっさと合格の印、渡しちまえよ!!」
マーモンに向かってそう言った獄寺
「黙りなよ!これを見な。」
そう言って、自分の横に幻覚で出来た映像を映した。
そこに映し出されたのは、檻の中に閉じ込められてる京子の姿があった。
「京子!?」真っ先に反応する了平
「どうして京子ちゃんが!?」ツナも驚きを隠せない。
(あれはっ!?……幻覚…だね。本物じゃない…)
最初はその映像を見て驚いていたが、すぐに超直感であれは本物の京子ではないと感じたソラ
「貴様ー!!京子に何をした!?」
「ゲームを盛り上げるためには、賞品は必要だろ?」
「人質ってわけか。」呟く山本
「そんなっ…」
「きたねーぞ!」
『助けて!お兄ちゃん!ツナ君!』
映像の中の京子が助けを求めていた。
「今助けるぞ!!」
了平がそう言った後、映像が消えた。
毛糸の手袋と死ぬ気丸を手に持って、今にも超モードになろうとしていたツナだったが…
「おおっと、下手な真似はやめてもらおうか。あの子がどうなっても知らないよ?」
「なんだと!?」
ツナはそれを聞いて、超モードになるのをやめた。
「彼女を助けたければ、僕の試練をクリアする事だよ。」
「くそー!なぜあの時っ…」
今朝出掛けて行く京子を止めなかった事を悔やむ了平
そんな了平を見て、ツナも自分を責めていた。
「情けねぇぞ、ツナ」
「!…リボーン!!」
後ろを振り向くツナ
後ろに居たのは、リボーンとラルだった。
「お前が助けりゃいいだけだ。」
「だけど、こんなの卑怯だよ!!同じアルコバレーノだろ!?マーモンに言って、京子ちゃんだけはっ…」
「なに勘違いしてんだ。」
「リボーンは試練を与える側だぞ。そして、俺もあくまで中立の立場だ。」
「自分達で乗り越えろ。それが試練っていうもんだぞ。」
リボーンとラルは助ける気がまったくなかった。
(出来る事なら…今すぐにでもあれは幻覚であって本物のママじゃないって教えてあげたいけど……
これも試練の一部……手出しする事は出来ない。)
戸惑ってるツナ達を申し訳なさそうに見てたソラ
「人質など、言語道断!!この正義の鉄拳で、京子を救い出してくれる!!」
妹である京子を助けようと気合いを入れていた了平
「じゃあ始めようか。僕の試練は『適応力』だ。」
「適応力?」
「いったい何をさせるつもりだ?」
呟くツナと獄寺
「どんな試練だろうと、極限打ち勝ってみせるぞ!!」気合いを入れる了平
「フっ…これからお前達に次々と難問を与える。それを解いていけば、笹川京子に辿り着けるよ。」
マーモンがこれからツナ達がするべき事を言った。
「謎解きか。」呟く獄寺
「つまり、解けなければ京子ちゃんを助けられない!!」
「その通り。では第1問、豚の寝ている場所はどーこだ?」
ツナの言葉に肯定し、1問目の問題を出したマーモン
「豚の寝ている場所?なぞなぞの試練!?」
「任せて下さい、10代目!こんな問題、俺の頭脳に掛かれば…」
ツナの役に立てると張り切る獄寺
「あ、そうそう…忘れてた。」
ツナ達がマーモンの呟きを聞き、視線を上に居るマーモンに向けると、
マーモンは幻術でビアンキの姿になった。
「邪魔よ、隼人」ビアンキの声で獄寺に言い放った。
「あ…姉貴っ!?」
姉であるビアンキの姿を見て、顔を真っ青にさせて倒れた獄寺
たとえ本物ではなく偽物でも、ビアンキの姿をしていれば、獄寺は幼少期のトラウマで倒れてしまうようだ。
(隼人兄は今回の参加者じゃないみたいだね。)
ビアンキに姿を変えたマーモンと倒れた獄寺を交互に見ながら心の中で呟いたソラ
「ご…獄寺君!?」
倒れた獄寺を心配するツナ
「す…すみません、10代目!あとは…頼みます。」
そう言って、気を失った獄寺
「っていきなりリタイア…」
「違うよ、綱吉さん」ツナの言葉を否定するソラ
「え…?」
「隼人さんは今回の参加者じゃない。」
「その通り。今回の試練は…」
ビアンキの姿から、元の姿に戻ったマーモン
「沢田綱吉、山本武、笹川了平の3人…余計なのには退場してもらわないとね。」
「そ…そんなっ…」
「あと……君にも退場してもらいたい所だけど…」
そう言いながら、ソラに視線を向けたマーモン
「ソラの事なら気にするな。初めから参加する気はねぇからな。」
リボーンがマーモンにそう言う。
「そうなのかい?」
「私は守護者じゃないので、元々参加資格はないですしね。」
「そうかい。じゃあ、答えの場所で待ってるよ。」
ソラからツナ達に視線を戻してそう言い、霧に包まれて消えたマーモン
「俺達でやるっきゃねーな。」
「極限任せておけ!沢田」
「そ…そうですよね!なぞなぞなら、俺達でもなんとかっ…」
「うん…豚の寝ている場所はどこだー!!」
ツナの言葉に頷いた後、周りをキョロキョロしながら、叫ぶ了平
了平の行動を見て、呆気に取られるツナ
「やっぱ豚小屋じゃないっスか?」
「や…山本…」
「よーし!豚小屋だな!」
「そ…そうじゃなくって!」
(うわっ…パパ、大変そう……)
3丁目に豚を飼ってる人が居ると山本が言ったため、3丁目に向かおうと駆け出した山本と了平
「違いますってば〜!!」
3丁目に向かって走る2人を必死に止めようと奮闘するツナの姿があった。
「……綱吉さん、最初から大変そう……」
「ツナなら大丈夫だろ。俺達も行くぞ。」
「そうだね。でも……」
「ん?どうしたんだ?」
「なんでなぞなぞなの?難問って言うから、てっきり難しいやつだと思ってたのに、全然簡単な問題じゃん…しかも小学生レベルの。」
「まぁ、おめぇにとっちゃあ確かに簡単過ぎるな。(そういえば…ソラの奴、いったい未来の俺にどこまで勉強教わってたんだ?
本来ツナがするべき書類を片付けてしまうくらいだから、おそらく中学までの勉強は終わっているだろうが…)」
ソラの学力がどこまであるのか、ふと気になったリボーン
「あの様子だと、綱吉さんは答えが解ったみたいだけど……他の2人はなぞなぞなのに、そのまま本物の豚を探してるし。」
「山本と了平は頭で考えるより行動派だからな。」
「確か…ソラ、だったな?」
「何ですか?」
「お前は、もう答えが解っているのか?」
「はい、答えはトンネルです。」
ラルの問いに考える素振りもなく、すぐに答えていたソラだった。
ーーどこかの道路のトンネルの前ーー
なんとか3丁目に向かおうとしていた2人を止める事の成功し、この場にやってきたツナ達。
「答えはトンネルだと?」トンネルを見つめながら呟く了平
「はい。豚はトンカツのトン。豚の寝る場所だからトンネルってわけで…」
了平と山本にクイズの答えの説明をするツナ
「へぇ…ツナ、冴えてるじゃん!」
爽やかな笑顔でツナを褒める山本
「うむ、極限見直したぞ!沢田」
(っていうか、小学生レベルのなぞなぞなんですけど…)
心の中でツッコミを入れていたツナ
3人のやりとりを少し離れた所で見ているリボーン達。
「先が思いやられるな。」
「大丈夫…だよね?」
「ツナにとっちゃ、これも試練の内ってもんだ。」
ラルは呆れ、ソラは心配し、リボーンはいつも通りだった。
ーートンネルの中ーー
ツナ、山本、了平の3人はトンネルの中を歩いていた。
「車が1台も通らねぇな…」呟く山本
「そういえば…どうしてだろう?」疑問に思ったツナ
「それは僕が幻術で、今だけ通行禁止にしてるからさ。」
ツナの問いに答えながら、姿を現したマーモン
マーモンが現れ、歩みを止めたツナ達。
「第1問正解おめでとう。ちょっと簡単過ぎたかな?」
「御託はいいから、さっさと2問目を出せー!!」叫ぶ了平
「では、実験を始めるよ。」
了平の言葉通り、2問目を出さす、何かを始ようとしていたマーモン
「実験!?」
マーモンのコートの中から藍色を纏った、銅鉄製の球が3つ飛び出した。
藍色を纏った球は、ツナ達に襲いかかった。
了平が球を殴っても効果がなく、トンネルの中なので、壁にぶつかるたび速度が増していく。
本当にピンボールをしている時のように……
このたった3つの球に苦戦しているツナ達だった。
トンネルの中の様子を外から見ていたリボーン達は…
(あれはっ!?そんな…どうしてっ……あの球、炎を纏ってる!!)
マーモンが出した、藍色を纏った球を見て驚いていたソラ
「いつまで遊んでんだ?」
「このままだと失格だぞ?」
リボーンとラルがツナ達にそう声を掛けていた。
このままではやばいと思ったツナの前に山本が時雨金時を使って、3つの球を切り裂いた。
すると、マーモンが拍手した。
「ステージクリアおめでとう。」
「京子ちゃんを返せ!マーモン!!」
「では第2問。」
ツナの要求を無視して、次の問題を出すマーモン
「マーモン!!」
「沢田綱吉の家にワニがひっくり返ってるよ。どーこだ。」
そう言って、また霧に包まれて消えていったマーモン
「俺ん家にワニ!?」
「沢田がワニを飼っていたとは初耳だ!」
「飼ってませんよ!」ツッコむツナ
「とにかく、ツナん家に行ってみようぜ!!」
山本の言う通り、すぐにツナの家へと駆けて行ったツナ達だった。
「あぁ〜…今度は綱吉さんまで……なぞなぞだって事を忘れてるよ……」
この場を去っていった3人を見送りながら、ため息をついていたソラ
「おい、ソラ」
「ん?」
「コレ…」
リボーンが見ている物に視線を向けたソラ
そこには先程、山本が真っ二つにした球があった。
ソラはしゃがんでそれに触れた。
「コレ……今はただの球だけど……さっき藍色を纏ってた……あれは間違いなく霧属性の死ぬ気の炎…」
「やはりそうか…だが、なぜあいつが…?」
「解らない。でも、ヴェルデが関係しているのはまず間違いないと思う。」
「ヴェルデか…」
リボーンとソラは先程マーモンが使っていた球について話し合っていた。
ーー沢田家ーー
「リボ兄、私はここで待ってるね?」
「解ったぞ。行くぞ、ラル」
「ああ。」
リボーンとラルはそのまま家の中に入っていった。
「家の中に入る必要はない。ワニがひっくり返る……「ワニ」を反対にして「ニワ」、だから第2問の答えは庭…」
ソラがそう呟きながら庭に視線を向けると、ちょうどツナ達がなぞなぞの答えに辿り着き、庭に出てきた時だった。
ツナが庭に出てくると、庭に水溜まりが現れ、その中からワニが現れた。
(!…あのワニの尻尾にも藍色の炎がっ…)
出てきたワニの大口が閉じないように口を掴んでいた了平
「お兄さん!?」
「大丈夫!力比べなら任せろ!!」
意気込んでいた了平だったが、ワニは徐々に形が保てなくなったのか、崩れていき、水溜りの中に消えていった。
崩れていったワニを唖然と見ていたツナ達。
(間違いない……あれは匣兵器だ…)
先程の球も、今見たワニも匣兵器だと確信したソラ
「第2ステージクリア。そろそろゲームを終わりにしようか。」
ツナ達の前に姿を見せたマーモンがそう言った。
「京子はどこだー!?」マーモンに聞く了平
「並盛神社だよ。でも、そこまで無事辿り着けるかな?」
そう言って、水溜まりとともにまた消えたマーモン
今庭に出現していた水溜まりは、マーモンの幻術だったようだ。
「次で最後……でも、あの様子だと……“アレ”を使うのかな…?」
ソラにはマーモンがこれから何をしようとしているのか解るようだった。
マーモンが消えた後、奈々達にワニの事をリボーンの機転で、手品って事で誤魔化し、
すぐに並盛神社に向かったツナ達。
「行ったか?」
「うん。でも…」
「ああ。マーモンはおそらく、ツナ達に“バイパーミラージュ”を使ったはずだ。簡単には並盛神社へ辿り着く事は出来ねぇだろうな。」
「上手く切り抜けられるといいけど……」ツナ達を心配するソラ
「ツナ達なら大丈夫だ。俺達は先に行って待つぞ。」
「うん…そうだね。(いつもロードワークを欠かさずやっている了兄なら、きっと切り抜けられるはず。お願い…パパ達を導いて!!)」
ツナ達が無事に並盛神社に辿り着ける事を祈るソラだった。
ーー並盛神社ーー
先に神社に来た、ソラ、リボーン、ラルの3人はツナ達が来るのを、階段を昇った所にある鳥居の上で待っていた。
しばらくすると、目隠しした了平の後に続くように、ツナと山本が現れた。
「切り抜けられたみたいだね…」
ツナ達が無事切り抜けられてほっとしたソラ
そのまま鳥居の上でツナ達を見守るリボーン達。
「着いたぞ。…よし!並盛神社だ!!」
目隠しを外し、目的地である並盛神社に着いた事を確認した了平
「お疲れ様っス、先輩」
「お兄さんのおかげです。やっと京子ちゃんの所に…」
神社内の拝殿の段差の所に居る京子を見つけたツナ達はすぐに駆け寄った。
「京子ちゃん!」
「京子!」
ツナと了平は京子の名を呼びながら駆け寄った。
「ごめんね?もう大丈夫だから。」
「うん…ありがとう、ツナ君」
そう言った後、京子の姿が消え、マーモンが現れた。
現れたマーモンはそのまま空に浮いた。
「マーモン!?」驚きの声を上げるツナ
「どう?笹川京子の声にそっくりだろ?」
そう、今ツナ達の前に居たのは、本物の京子ではなく、マーモンの幻覚で作りだされた偽物だったのだ。
「おのれ、謀ったな!?」怒る了平
「マーモン!本物の京子ちゃんはどこに居るんだ!?」マーモンに問い詰めるツナ
「ああ、笹川京子ね。」
そう言いながら、自分の横に幻術で映像を映し出した。
「ショッピングを楽しんでいるよ。今はお茶の時間かな?」
マーモンの言った通り、京子とあともう1人の女の子が楽しそうにお喋りしながらケーキを食べている様子が見えた。
「えっ…それじゃ…」
「人質というのは嘘だったのだな!?」
「当然さ。関係ない人間を巻き込んでも、一銭にもならないからね。」
了平の問いにそう答えながら出していた映像を消したマーモン
「そうだったんだ…良かったっ…」
京子が初めから巻き込まれておらず、今も無事な姿なのを見て安心していたツナだった。
「京子さんと一緒に居た人……誰?」
隣に居るリボーンに尋ねるソラ
「昨日転校してきた針山姉弟の双子の姉…針山姫子だぞ。」
「ふ〜ん…(針山姫子さんね……もしかしてバイパーと関係ある…?)」
針山姉弟が昨日転校してきた事と、今京子の傍にその姉が居るのを見て、そう思ったソラだった。
「まずは通常状態のお前達でいろいろ試してみたかったのさ。」
「え!?」
「いきなり本気のお前達相手じゃ、実験にならないからね。」
「俺達で試す?…俺達をじゃなくて…?」呟くツナ
「フフっ…さてと、ハンデも無くしてやった。最後のテストは、全力で君達相手に試させてもらおうかな。“バイパーミラージュ!!”」
マーモンの体が藍色に光り出した。
光が止むと、ツナ達に向かって波が襲いかかった。
「こ…これはっ!?」
マーモンの幻覚だとすぐに気付いたツナ
「どうなっている!?」いきなり波が襲いかかって焦る了平
「幻覚っス!落ち着いてっ…」
「そうです!お兄さん」
山本とツナが了平に落ち着くように声を掛けた。
「な…なんと!?こ…これがかっ…」
驚きながらも落ち着きを取り戻した了平
「幻覚はサービスさ。メインディッシュはこれだよ。」
そう言い、左手に匣を、右手にリングを持ったマーモン
「なっ!?あれはっ…」マーモンが持っている物を見て、驚くツナ
マーモンは匣に藍色の炎を灯したリングを差し込み、開匣した。
匣から出てきたのは、藍色の炎を纏ったヒトデが何匹か出てきた。
「匣兵器!?」
「まさか!?」
ツナと山本は、マーモンが出したヒトデを見ながら驚いていた。
「なんでこの時代に匣兵器があるんだ!?」
信じられない物を見て混乱するツナ
「リボーン、あの兵器を知っているのか?」
ラルが気になってリボーンに聞く。
だが、ラルの問いには答えることなく、ただ黙って見ていたリボーンだった。
(やっぱり匣兵器だったんだ…まだ未完成みたいだけど。でも、まさか10年前にはもう存在してたなんてっ…)
ソラも表面上には出さないが、充分驚いていた。
「そうか!じゃあ今までのも、匣兵器だったんだ!!」
トンネルで見た球も、ツナの家で見たワニも匣兵器だと、やっと気付いたツナ達だった。
「どうしてマーモンがそんな物持っているんだ!?マーモン!!」
「本気で戦わないと、命を落とすよ!」
ツナの問いに聞く耳を持たず、戦闘を開始したマーモン
「京子ちゃんが無事なら……遠慮は要らない。」
死ぬ気丸を飲んで超モードになったツナ
「よくも騙したな!極限許さん!!」
「いっちょクリアといきますか!」
戦闘態勢に入ったツナ、了平、山本
「それはどうかな?」
ヒトデが回転し始め、ツナ達に襲いかかった。
了平が襲ってきたヒトデを拳で次々と打ち砕くが、砕けたヒトデが1つに集まって合体し、大きなヒトデとなって復活した。
ヒトデがダメながらマーモンをと思った山本は、時雨金時を構えてマーモンに向かって技を放とうとしたが、
マーモンに辿り着く前に何かに気付いて立ち止まった。
正面に手を当てると、木がある事が解った山本
幻術を使う相手と戦った経験がある山本だからこそ気付けたのだろう。
幻覚の中に居るツナ達に向かって、実際には神社内に居るので、下手に動くと危ないと忠告したマーモン
まずはマーモンを倒して幻術を解かないと自分達が危ないと思ったツナ達。
ツナが飛び上がってマーモンの前に立った。
自分がマーモンの相手をするから、ヒトデの相手を頼むと言うツナ
そんなツナにヒトデを倒しても大きくなって復活すると言う山本
それでいいと言うツナの言葉に何か気付いた山本は戦闘態勢に入った。
山本と了平は、ヒトデを片っぱしから倒し始めた。
ツナの方は、無数に現れたマーモンの幻覚相手にX BURNERAIRを撃ってマーモンを倒した。
マーモンを倒した事により、幻覚が解けた。
「ん…?」
鳥居の上に居たソラは知ってる気配が近づいてきているのに気付き、階段の方に視線を向けた。
そこには、京子と針山姫子が居た。
(ママだ……それに針山姫子さん……ん!?この気配はっ…)
針山姫子の気配がわずかではあるが、ソラの知ってる気配な事に気付く。
その時、ちょうど1つの巨大なヒトデになった所を山本と了平の2人が連携して倒して砕け、残骸が辺りに散らばった。
「きゃあー!」悲鳴を上げる京子
残骸は京子達の方にも飛び散っていた。
それに気付き、すぐに動こうとしたソラだったが、その前に京子の横に居た針山姫子が4枚のナイフを取り出して残骸に向けて投げつけた。
そのおかげで京子達の方へ飛び散る事はなかったが、もし当たっていたらどうなっていただろう?
見た所、その残骸は飛び散った後溶けていたので、もしかしたら、怪我を負っていたかもしれなかったのだ。
(あのナイフは!…やっぱりそうだ、針山姫子はマーモンの幻覚で作り出した姿で、その正体はベルなんだ…この時代の…)
京子が無事なのにほっとしながらも、針山姫子の正体がベルだと気付いたソラ
その時、山本と了平が駆けつけ、京子にここに居る理由を誤魔化している了平の姿があった。
「ソラ、マーモンの所に行くぞ?」
「あ…うん。」
リボーンに呼ばれたので、そのままマーモンが居る、拝殿の屋根の上へ向かった。
拝殿の屋根の上に行くと、ボロボロになったマーモンが居た。
「やれやれ…ゲームセットだね。」
マーモン以外に、リボーン、ラル、ソラ…そして超モードを解いたツナが居た。
「ボスとして、お前は守護者である笹川了平と山本武…2人の特徴を適材適所で上手く活かしてきた。」
「僕の試練は『適応力』…残念ながら、お前はクリアーって事さ。さぁ、リングを出しな。」
ラルの後にマーモンが続けてそう言った。
「うん。」
ツナは頷いた後、右手に嵌めてるボンゴレリングを
マーモンに向けて差し出した。
マーモンのおしゃぶりから藍色の光がリングに向かって射し込んだ。
ツナのボンゴレリングは藍色の光を放った後、すぐに消えた。
「これで3つ目の試練クリアだね。綱吉さん」
「うん。(でも、1番嬉しかったのは、京子ちゃんが無事だった事だ。本当に良かったっ…)」
「おい、マーモン」
今まで黙っていたリボーンがマーモンに声を掛けた。
「ん?」
「おめぇに聞いとく事があるぞ。」
「あっ…そうだよ!なんでマーモンが匣兵器を持ってるんだよ!?」
リボーンの言葉を聞いて、気になっていた事を思い出したツナ
「これの事かい?」
そう言いながら、匣を取り出したマーモン
「これは最近、マフィアの間で出回ってるのさ。ちょっと面白い新兵器としてね。」
「新兵器だと!?」驚きの声を上げるラル
「僕はその実験を頼まれていただけさ。報酬を貰ってね。」
「誰からだ?」
「ヴェルデからさ。」
リボーンの問いにあっさり答えるマーモン
「何!?ヴェルデ!!」自分の知っている奴が作っている事を知り、また驚きの声を上げたラル
「………気に入らねぇな。」
少し間を置いてから、そう吐き捨てたリボーン
「ど…どういう事!?リボーン!!」
リボーンの呟きの意味が解らず、聞くツナ
だが、リボーンはそんなツナの問いに応える事はなかった。
(やっぱりヴェルデか…匣の研究、10年前には既に始まっていたんだね。バイパーが持っている匣はおそらくプロトタイプ……
まだ未完成みたいだけど、匣としての機能はもう充分に発揮されてる。さすが科学者としてはトップクラスの知識と技術の持ち主…)
マーモンが持っている匣を見つめながらそう思っていたソラだった。
ーー笹川家ーー
マーモン、ラルがそれぞれ帰っていった後、ツナ達は山本達と合流し、
針山姫子とも別れてから笹川家に来ていた。
「じゃあツナ君、山本君にリボーン君にソラちゃんも。送ってくれてありがとう!」
ツナ達にお礼を言う京子
「うん…じゃあまた。」
ツナが京子に返事を返した。
京子は目の前に居るソラの視線に合わせるためにしゃがんでから、ソラの耳元にそっと口を近づけた。
「あんまり1人で頑張り過ぎちゃダメだよ?不安な気持ち…隠さないで?ソラちゃんは1人じゃない…私やツナ君、そしてみんなが居る。
だから…その不安な気持ちを誰でも良いから吐き出して?少しは気持ちが楽になるはずだから…」
ソラにだけ聞こえるようにそう囁いた京子
「!?」その言葉を聞いて目を見開いたソラ
(当たってたみたいだね。ソラちゃん、凄く頑張って隠してたけど、なんとなく解っちゃったんだよね……10年後から戻って来た日のソラちゃんも
少し不安そうにしてたけど、今はその時以上……不安な気持ちがなんとなくだけど、大きくなってる気がする。)
京子は神社から家に帰るまでの間、話をしながらも、ソラの様子を見て、
ソラが1人で頑張って不安な気持ちを隠そうとしてる事を見破ったようだ。
ソラはその事を知られないように隠していたはずなのに、それでも見抜けた京子に驚いたのだ。
(京子ちゃん、何言ったんだろう?ソラちゃん、なんか驚いてるけど……)
京子がソラに囁いた言葉はツナには聞こえなかったので、ソラが驚いた顔をしてるのを見て、なんとなく気になったツナだった。
(ソラちゃんが抱えてる不安はきっと自分の事を知らない人ばかりのこの時代に居る事だけじゃない…他にもあるはず。
それが何かは解らないけど、私で力になれるならなりたい……1人で抱え込まないで…)
どうしてこんなにもソラの事が気になるのかは解らないけど、なんとなくほっとけない京子だった。
未だ驚いて固まってるソラの頭を撫でてから立ち上がった京子
「じゃあお兄ちゃん、先に家に入ってるね?」
「おう!」
京子は兄である了平にそう言った後、家の中へと入っていった。
(いつの時代でも、敵わないな…ママには。いつでもそうやって見抜いてくる。例えそれがテレビ電話越しでも、
私が体調悪い時や不安になってる時にその事を隠していても、必ず見破る。パパは超直感を持っていても、
ママよりも私の傍に居ても、見抜けない事が多いのに、ママは違った…超直感を持っていないし、
パパよりも今は傍に居なくても、ママはどんな時も、私の事には敏感だった。)
時代は違っても、母親である京子には一生敵わないと思った瞬間だった。
「やったではないか!沢田!!」
京子が家の中に入っていくのを見届けた後、ツナに話しかけた了平
「これで7つのうち、3つの試練クリアだな!」
山本も試練をまた1つクリア出来た事を喜んでいた。
「うん…でも、気になるな…マーモンが使ってた匣…」
マーモンが匣を使ってた時の事を思い出すツナ
「そういえば、10年後の世界で聞いた、3人の発明家って…」
「イノチェンティ、ケーニッヒ、そしてヴェルデだな。」
ツナの呟きにリボーンが答えた。
「ヴェルデ…さっきマーモンが言ってた奴だな。」
「匣兵器は、この時代には既に作られ始めていたって訳か。」
「ソラ」
「何?」
今まで黙って聞いていたソラはリボーンに呼ばれたので返事をする。
「おめぇは知ってたのか?もうこの時代のヴェルデが匣兵器を作り始めていた事…」
「……ううん、知らなかった。ずっと前にヴェルデと匣の事を話してた時、随分前から研究しているって事は聞いてたけど、
まさかこんなに前から匣を作り始めていたとは思わなかった。少なくとも、私が生まれた頃には既に匣はマフィアの間で
結構出回っていた事はリボ兄から聞いて知ってたけど、いつから作られていたかは誰からも聞いた事がない。
解っているのは……バイパーが持ってた匣はおそらくプロトタイプで、まだ作られ始めたばかりの物だって事だけ。
ごめん…こっちに来る前に少し調べておけば良かった。」
そう言って、少し落ち込んでしまったソラ
「いや、気にする事ねぇぞ。少なくとも、匣兵器に関しては今の所、ソラが1番詳しいしな。」
「そうだぜ!次にどんな匣兵器が来るかは解んねぇけど、なんとかするさ!」
「うむ!極限任せろ!!」
「ソラちゃん、教えてくれてありがとう!!」
落ち込んでるソラにそれぞれ言葉を掛けていた。
「どけどけー!!」
その場に聞き覚えのある声が聞こえてきた。
塀の上を走っているランボがこちらに向かってきていた。
「ランボ君、なんでここに…」ランボを見て呟くソラ
「どくんだもんねーー!!」
そう言いながら、ツナ達の傍まで来た後、ツナを踏みつけて地面に着地してそのまま駆けて行った。
「試練はどこだもんねーー!!」
「試練?(なんでランボ兄がその事を…?)」
アルコバレーノの試練の事を知らないはずのランボが知っている様子を見てそう思ったソラ
「いてててっ…何なんだ!?」
いきなりやってきて、踏みつけられて状況が呑み込めていないツナ
その時、地面に座り込んでいたツナの元にイーピンがやってきた。
「ツナさん、大丈夫?」踏み台にされたツナを心配するイーピン
「ねぇイーピンちゃん、ランボ君どうしちゃったの?」
「ランボ、試練受けるって…」
ソラの問いにそう答えたイーピン
「なんであいつが試練の事知ってんだ!?」驚くツナ
「ランボ君には試練の事は教えてないはずなのに…」
「それは…」
イーピンは家を出る前の事を話した。
ツナの部屋に居た時、ランボの頭からはみ出ていた雷のボンゴレリングが藍色に突然輝いた事。
ちょうどツナのベットで寝込んでいた獄寺にその事を聞くと、アルコバレーノの試練をクリアした証だと聞き、
またリングが光る所を見たいランボは、試練をすると言い、飛び出していった事。
「だから…」
「ハァ…ランボの奴…」ため息をつくツナ
(ランボ兄…)ソラもその話を聞いて思わずため息をついてしまった。
「しょーがねぇな。ツナ、ランボを連れて来い。」
ツナにランボを連れ戻してくるように言ったリボーン
「ええ!?なんで俺がっ…」
「お前はボスだろ?部下の面倒は自分で見ろ。」
「そんなっ…」
「いいからさっさと行ってこい!」
「わかったよ…」
渋々しながらも立ち上がってリボーンに言われた通り、
ランボを連れ戻すためにランボを追いかけて行ったツナ
「俺達は先に帰ってるからな。」
遠のくツナに向かってそう言い放ったリボーン
ツナが見えなくなった後、ソラに視線を向けたリボーン
「ソラ、ヴェルデの事…どう思う?」
「………ただの試練じゃ終わらない気がする。ヴェルデは研究のためならどんな事でもする。これは私の推測だけど……
たぶん死ぬ気の炎を…ボンゴレリングから発せられる死ぬ気の炎を狙ってくるような気がする。」
「なんでだ?」疑問を抱く山本
「匣を開匣するのに必要なのは、炎を灯せるリング。そしてボンゴレリングは中でも特別なリング…そのリングから発せられた炎は
匣を完成させるための近道になる。ヴェルデはそう考えて、何かしら仕掛けてくる気がする。試練の事なんかそっちのけでね…」
「なんとっ!?」驚きの声を上げる了平
「ヴェルデはそういう人だよ。私以外には、だけどね。」
「おめぇには違うのか?」
「うん、少しだけね。ヴェルデは私の死ぬ気の炎に興味を持ってるみたいでね、それを許可の元やってるから強制ではないし、
軽く死ぬ気の炎を提供するだけで済んでる。それに……もしそれ以上の事をするような事があればリボ兄達が黙ってなかったしね。」
リボーンの疑問に答えるソラ
「あたりめぇだ、お前にそれ以上の事をしたら俺はキレるぞ。」
当然だと言うリボーン
「私が知ってるヴェルデは……研究のためならどんな事もしちゃう所は変わらないけど、私にはいつも優しかった。いろんな発明品を見せてくれてたし、
私が今使ってるマント…耐炎性で防弾仕様の物なんだけど、これはヴェルデが作ってくれた物なんだよ。」
「何!?あのヴェルデがか!?」
信じられないという表情をするリボーン
「うん。あと、私が持ってる匣のいくつかはヴェルデから直接貰った物だよ。」
「ただでか?」
「うん。ヴェルデ、私用の匣はいつも無償で作ってくれてたんだよ。」
「マジかっ…だが、ここのヴェルデは…」
「うん…おそらく私の死ぬ気の炎に興味を持ったら、研究のために手段を選ばないだろうね……」
悲しそうな顔でそう呟いたソラ
「俺がぜってーにそんな事はさせねぇ……心配すんな。」
ボルサリーノを深く被る素振りをしながらも、はっきりとソラにそう断言したリボーン
「俺も!ソラの事、守ってやるからな!!」爽やかな笑顔で言う山本
「うむ!極限守るそ!!」気合いを入れる了平
「ありがとう…(でも、自分の身は自分で守る……私は、誰かに守って貰わなければならない程弱くはない。
だから、タケ兄や了兄はパパを守る事だけ考えてて欲しいんだけどな…)」
守ると言ってくれた山本と了平の言葉は嬉しいが、素直に喜べないソラだった。
「んじゃ、そろそろ帰るぞ。」
「そうだね、もうすぐ夕飯の時間だし。」
「イーピン、空腹!」
「ツナが居ねぇから送っていくのな。」
「サンキュー、山本」
「帰ったら極限しっかり休めよ!」
了平と別れ、帰路につくソラ達。
7つのうち、3つの試練は無事に終え、印を得る事が出来た。
だけど、バイパーが使ってた匣を作ったヴェルデの出方が気になる…
リボ兄達はいつもヴェルデの事をあまり良く思ってなかった。
確かにヴェルデはいつも研究のためならどんな事でもしてた…それは良く解る。
それに…この時代のヴェルデがどういう行動に出るのかがまったく解らない……これじゃ手の打ちようがない。
アルコバレーノの印……ちゃんと揃うのかな……?
ツナの家に帰りながら、この時代のヴェルデの事を考えていたソラだった。
今回はマーモンの試練です!!
リボーンとラルと一緒にツナ達の試練を見守りながら、合間に会話を入れました。
ほとんど変化ないな…合間に会話入れて、最後に笹川家での会話に少しオリジナルを入れた以外は。
ソラとヴェルデは仲が良い設定です!
そんでもってヴェルデが必要以上の実験をソラにしようとすれば、
ヴェルデ以外のリボーン達アルコバレーノ全員が黙っちゃいないって事で。
ソラはアルコバレーノのみんなに好かれているんです。
それでは標的58へお進みください。