幻騎士

ツナに追いついたソラ達が上を見上げると、ツナの前に4つの刀を腰に着けている男がいた。

(あの人はっ…)ソラはその男が誰なのか解った。

「よく見破ったと言いたいが、相手が超直感を持つボンゴレである以上、驚きはしない。」

その時、周りの景色が突然変わった。

「ここは通行止めだ。研究室には指一本触れる事も叶わぬ。」

『あいつ、幻覚を使うみてーだな。』
3D映像のリボーンがそう呟く。

「綱吉さん!その人が六弔花の1人、幻騎士だよ!!」

「な…なぜここに…?みんなと戦っている相手のはず…」
ソラの言葉を聞いてそう呟いたツナ

「……みんな?貴様の守護者達の事か。………なかなか手こずったが、奴らは今頃、藻屑と化しているだろう。」
ツナにそう答えた幻騎士

「何をした!?」
炎の推進力で幻騎士に近寄りながら叫んだツナ

幻騎士に近づくと、すぐに殴りかかったツナ

だが、幻騎士は幻覚で回避し、背後からツナに向かって刀を振るう。

背後からの攻撃に気付き、すぐに刀を受け止めるが、そのまま吹き飛ばれていたツナ

飛ばされる先に幻騎士が居るのに気付き、攻撃を仕掛けた。

ツナは次々と突きを繰り出すが、幻騎士は2本の刀をクロスさせてすべて受け止めていた。

だが、それも幻覚による姿だったのか、霧となって消えた。

「ボンゴレ10代目といえど、所詮子供。」
そう呟き、背後からツナの背中を2本の刀で斬りつけた。

斬られたその背中は「X」の文字が刻まれていた。

「ぐあぁ」
斬りつけた後、ツナにかかと落としをして、地面に叩きつけた幻騎士

「綱吉さん!!」

「ボンゴレ!!」

『あいつ、半端ねーな。姫の言う通り、10年後の雲雀と同じレベルの体術だ。今のツナじゃ、歯が立たねぇ…』

ツナはなんとか立ち上がろうとしていたが、すぐには立ち上がれないようだった。

ソラが上に居る幻騎士に視線を向けると……

「あれはっ!?(霧属性最高ランクの…骨残像(オッサ・インプレショーネ)のヘルリング!?)」
幻騎士の右手の薬指にあるリングを見て驚くソラ

幻騎士は骨残像のヘルリングに炎を灯した後、霧に包まれた。

少しすると、霧が晴れ、大剣を右手に持ち、甲冑を身に纏った幻騎士の姿があった。

『さらにゴツくなりやがったな。』
「…まるで騎士だ…あんな兵器、初めて見る…」
幻騎士の姿を見て呟くリボーンとスパナ

(…あれはケーニッヒが残した霧属性最強の剣…幻剣(スペットロ・スパダ)と、ケーニッヒの傑作と呼ばれてる甲冑(アルマトゥーラ)シリーズの一つ、
霧の2番(ネッビア・ヌーメロ・ドゥエ)……どれも取り扱いが難しいのに、これを3つ同時に扱う事が出来るの!?)
幻騎士が持ってる大剣と身に纏っている甲冑を見て、驚きを隠せないソラ

「白蘭様は貴様を全力で倒せと仰せられた。…白蘭様の言葉は神の啓示……覆る事はない。無駄な抵抗はやめ、一息に死んでいくがいい。」

『やべーぞ。』呟くリボーン

『10代目、しっかり!私がついています!いえ、みんながついています!』
ジャンニーニがツナに向けてそう言う。


「オレとの実力差は骨身に沁みて解ったはずだ。…同じ事を貴様の守護者達にも言ってきたが、どいつも力の差を解りつつも抵抗し、
無残に散った。貴様はそれほど愚かでもなかろう。ボンゴレ]世(デーシモ)」

「お前の強さは……良く解った。…だが、解っていても、俺は闘る!!」
そう言いながら起き上がり、覚悟を秘めた眼を幻騎士に向けたツナ

(この目っ…この目はっ…)ツナの眼を見た幻騎士はツナと誰かを重ねていた。

「オペレーション…X」

『了解シマシタ、ボス。“X BURNER(イクスバーナー)”発射シークエンスヲ開始シマス』
ツナの掛け声で、ヘッドホンから機械の声が発された。

ツナは右手を後ろに向けて柔の炎を噴射させた。

(炎を逆噴射……この技は一瞬にして3区画(ブロック)を消滅させたという…)
ツナの様子を見て、何をするのかが解った幻騎士

『ライトバーナー炎圧上昇。2万…2万5千…』

幻騎士はすぐに阻止するため、ツナの視界から消え、一気に詰め寄った。

「そうはさせんぞ!!」そう言いながら、刀でツナに攻撃を仕掛けた幻騎士

ツナは両腕をクロスさせて受け止めたが、そのまま床に落ちていった。


『バカツナめ。ただでさえ、“X BURNER(イクスバーナー)”は発射までに隙がでかいんだ。あれを奴相手にあんなバカ正直に撃てるわけねぇ』

(確かにリボ兄の言う通りだけど、それだけじゃない。これまでの戦いのせいで疲労が溜まってて、炎力(パワー)が落ちてる……
それをどうにかする方法はある。だけど、おそらくチャンスは1回だけだろうね…)
ツナの今の状態を把握し、それをどうにかする方法も解っている様子のソラ

「問題はそれだけじゃない。ボンゴレの炎力(パワー)が著しく落ちてる。“X BURNER(イクスバーナー)”の炎圧の伸びも5分の1以下だ…」
ノートパソコンのモニターを見ながら、リボーンにそう言ったスパナ

『やはりそうか…ツナの疲労はピークに達してるんだ。』

『どういう事ですか?リボーンさん』

『連戦と3回の“X BURNER(イクスバーナー)”で、もう気力もほとんど残ってねぇんだろう…』
ジャンニーニの問いにそう答えるリボーン

「この出力は“X BURNER(イクスバーナー)”を撃てたとしても…」呟くスパナ

「綱吉さん、私が今から時間を稼ぐ。だからその間に綱吉さんが今やろうとしてる事の準備をして。」
ヘッドホンでツナにそう伝えたソラ

『姫、何をする気だ?』

「見てれば解る。太陽、ここ任せるよ?」

【ああ、任せろ。】

「レオ、“武器変化(カンビオ・アルマ)”」

【了解!】ソラの掛け声で銃に姿を変えるレオ

左手にガンボルダーから出した銃を、右手に銃に姿を変えたレオを握ると、幻騎士に向かって飛んでいった。


「ん?貴様は……『陽色の姫君』か…」
自分の前に現れたソラを見て呟く幻騎士

「幻騎士、少しの間、私の相手をしてもらいます。(今の私では、時間稼ぎは出来るけど、幻騎士に勝つ事は出来ない。
本気を出せば倒せるけど、今ここで敵に知られる訳にはいかないしね。)」

「ほぅ…貴様が…?そういえば、貴様の事は白蘭様から生け捕りにするように言われていたな…」

「その事なんですが、なぜ私を欲しているのか、あなたは知っていますか?」

「知らん。」

「そうですか。その剣…使いこなせるんですね。」

「これか?我が幻剣(スペットロ・スパダ)の太刀筋は分裂させ、複数ポイントの同時攻撃が可能。超直感で気付く事が出来ても、対処は出来ぬ。
もっとも、貴様には超直感がないから、気付く事すらも叶わぬがな。」

「(私の正体はまだバレてないみたいだね…)ご丁寧な説明ありがとうございます。では、始めましょうか。」
そう言ってから、ソラは幻騎士に向かって殺気を放った。

「!?(この殺気はっ…!?この子供、侮れんっ…!!)」
警戒を強める幻騎士

「レオ、行くよ?」

【うん、任せて。】

ソラは炎の推進力を上げ、超高速で移動し始めた。

幻騎士はソラがあまりにも速く動くので、動きを捕らえる事が出来ないでいた。
そのせいで攻撃を繰り出す事が出来ず、焦る幻騎士

(くっ…どこだ!?…どこにいる!?)
周りを見回すが、現れてはすぐに消えるので、なかなか動きを捕らえられない。

「どうです?相手に素早く動かれては、攻撃を放とうにも、放てませんよね?」

「くっ…」

「そろそろ行きますよ?」

ソラは超高速移動を続けたまま、幻騎士に向けて、銃で撃ち始めた。

(なんなんだ!?この攻撃はっ…重いっ…何度も幻剣(スペットロ・スパダ)で受け止めていたら、ヒビが入るかもしれんな……
情報によると、『陽色の姫君』はいつも真っ先に相手の武器を壊すという……)
幻騎士はソラの撃った晴の炎をなんとか受け止めたり、回避したりしながら、ソラの情報を思い出していた。


「……凄い。」呟くスパナ

『(ソラ……ついに『陽色の姫君』としての本気を出してきたか……だが、今のお前では……本当の本気を出していないお前では、
あいつには勝てねぇだろうな…)ツナ、早くしやがれっ…』
ソラを心配しながらも、戦いを見守りながら、ツナにそう言っていたリボーン


ーー入江正一が居る所ーー

「何なんだっ……『陽色の姫君』はいったいどれだけ強いんだ!?飛べる事も知らなかったが、こんな超高速で動ける事も情報にはないぞ!?」

「入江様。おそらく『陽色の姫君』は、今まで本気を出した事がないのかもしれません。」

「情報によると、いつも実力のある者と行動を共にしています。その結果、今まで本気を出すような状況にならなかったのかも知れません。」

「現に、今の『陽色の姫君』の炎力(パワー)は、未だ上昇を見せています。」

入江正一の傍に居る2人の女性がそう言った。

「なんという事だっ……沢田綱吉や守護者達以外にも、こんな実力のある奴がボンゴレに居たとはっ…」
動揺を隠せない入江正一だった。


場所は戻って、ソラと幻騎士は戦い続けていた。

(そろそろ準備は整ったかな…?)

ソラは攻撃をやめ、動きも止めた。

「?…どうした?もう終わりか?」

「ええ。私の役目は終わりましたから。時間稼ぎという名の戦闘はね…」

「何!?」

「下を見れば解りますよ?その理由が。」

ソラにそう言われ、下に視線を向けた幻騎士

そこにはX BURNERを撃つ準備をしていたツナの姿があった。

(『陽色の姫君』は囮だったのか!?)

『レフトバーナー炎圧上昇……2万5千…3万FV……ケージシンメトリー!発射スタンバイ!!』
ヘッドホンから機械の声がそう発した。

(撃たせん!!)警戒する幻騎士

「X BURNER!!(イクスバーナー)」そう言って、X BURNERを放ったツナ

「こうなれば……斬る!!」
自分に向かってきたX BURNERを斬りながら、
前進し、ツナとの距離を詰めた幻騎士

(それでいい……やっぱり幻騎士は情報に踊らされてる。でもこれで、あの技が使う事が出来る。)
ソラは焦るどころか、落ち着いて様子を見ていた。

あともう少しで斬りつけるという所まで来た幻騎士の幻剣を受け止めたツナ

「情報に踊らされたな……お前は“X BURNER!!(イクスバーナー)”を警戒するあまり…太刀筋を分裂させず、
最も強力で確実な一本に絞った…それなら取れる。」
幻剣を受け止めたまま、そう言ったツナ

(そう…“X BURNER!!(イクスバーナー)”はこれのための布石……)
ツナの構えを見て、心の中でそう呟いたソラ

「零地点突破・改…白刃取り!!」

(これでパパの炎力(パワー)が回復する。それに…また、強くなってる。)

「(やはりこの目…)はっ…」

「手遅れだ。」

(炎が…吸われる…!!)

ツナは幻騎士の幻剣を通じて、幻騎士の霧の炎を吸収していた。

このままではヤバいと感じた幻騎士は、なんとかして幻剣を掴んでるツナの手から逃れようとしていた。

少しすると、ツナの手から幻剣を離させる事に成功した幻騎士だったが、
もう充分に吸収したのか、額と両手の炎が大きくなったツナがそこに居た。

「これで、本気で闘える。」

「まるで、今まで本気を出せていなかったような口ぶりだな。」

「そうだ。」

ツナは超高速で幻騎士に接近し、左アッパーを喰らわした。
その後、すぐに2発目を繰り出したツナだったが、幻騎士は幻剣で受け止めていた。
続いて3発目を繰り出すツナの攻撃を素早く回避し、ツナの背後に回っていた。
だが、すぐにツナも超高速で幻騎士の背後に回った。

「おのれ!!」
そう言いながら、後ろに振り返った幻騎士

幻騎士が振り返った瞬間、左頬を右拳で殴ったツナ

殴られた幻騎士はそのまま壁に衝突した。


「………おかしい。幻騎士の動きに精彩がない。それにいくら綱吉さんが強くなったからといっても、
幻騎士とこんなに差がつくはずがない…」
ツナと幻騎士の戦いを見ながら、疑問に思ったソラ

【確かに、あの幻騎士とこんなに差がつくなんておかしいよね?】

「………幻騎士、戦いに集中出来てない感じだね。」
幻騎士の様子を見てそう感じたソラ

【どうして急に…?さっきまで戦いに集中出来ていたような気がするんだけど…】

「そうだね。私もそう思う。」

「白蘭様への真の忠誠は叶わぬ!!」

幻騎士のその叫びを聞いて、レオと話すのを中断して、視線を幻騎士に戻したソラ


幻騎士は右手の骨残像のヘルリングに灯す炎を大きくすると、霧に包まれ、
1度散り散りになった霧が再び1つに固まり、何かの形になろうとしていた。

「なっ!?ヘルリングに己の精神を喰わせちゃったの!?」驚きの声を上げるソラ

霧が晴れると、そこには甲冑を身に纏った骸骨が現れた。

『あれも幻覚か?』
「そう願うけど…」
姿の変わった幻騎士を見て呟くリボーンとスパナ

「あれは幻覚なんかじゃない!幻騎士が着けてるヘルリングによって、戦闘力が何倍にもなった姿だよ!!」
リボーンとスパナにそう答えるソラ

『ヘルリングって何だ?』

「後で説明するから今は聞かないで!!」
リボーンの問いにそう答えるソラ

リボーン達から幻騎士に視線を戻したソラ

ヘルリングは死ぬ気の炎が発見される以前より、使用者との契約により強大な力を享受するとされてきた。
この世に6つしかない霧属性の呪いのリング…
その力を受けた者は凶悪な力を授けられ、戦闘力が何倍にもなると言われている。
そして力を引き出すために必要な契約とは地獄との契約……ヘルリングに己の精神を喰わせる事。
使用者の中には、理性を失い、人が変わってしまう者もいると言われてる…
温厚だった人物が凶悪な独裁者になった裏には、このリングが関係していたという噂もある。

ソラはヘルリングに関する情報を全て思い出していた。

(それにしても……あの幻騎士がここまで変わるとはっ…)

「俺にはもう弱点はない。さぁ、地獄に落としてやる!!」
ツナに向かってそう言い放った幻騎士

「お前には無理だ。化物…」

ツナの言葉を聞いて、少し体が強張ってしまったソラ

【姫、落ち着いて……綱吉は幻騎士に向かってそう言ったんだ。君にじゃない。】

「う…うん、わかってる。ありがとう…レオ」

「減らず口の童め…そう言っていられるのも、今のうちだ!!」
そう言って、ツナに襲いかかった幻騎士

ツナと幻騎士の戦いを見ると、互角というより、ツナの方が優勢に見えた。

「やはり対して強くなっていないな。」呟くツナ

「何!?」

「お前の強さは研ぎ澄まされた感覚のキレと、それを無駄のない動きに変える、冷静で抑制のきいた判断力にある。
頭に血が上っていては、恐くない。」

ツナのその言葉を聞いて、高笑いしだした幻騎士

「こんなものがヘルリングで何倍にも増した俺の力だと思ったか!!真の力は、これからだ!!」

幻騎士の周りに霧が放出された。

(!?…幻騎士、なんか人としてやっちゃいけない事をやろうとしてる気がするっ……超直感もそう感じてる!何をする気なの!?)
幻騎士の様子を見て嫌な予感がしたソラ

放出していた霧が消え、幻騎士の口から霧の炎を吐き出した。

吐き出されたそれは、霧の炎を纏った骸骨だった。

「!?…この気配はっ…」呟くソラ

その骸骨はだんだんと形を変え、人の姿になり、山本武の姿になった。

「ツナ…」

(こ…これはっ…)驚きを隠せないツナ

ツナの傍まで来た山本はツナの頭を掴んだ。

(何をっ…)

(タケ兄!?)信じられない光景を見て驚きを隠せないソラ

幻騎士はまた口から霧の炎を吐き出した。

2体の骸骨はすぐに人の姿になり、獄寺隼人とクローム髑髏の姿になった。

「ボス!!」

「10代目!!」

獄寺がツナの左腕を、クロームがツナの右腕を掴んだ。

(隼人兄や凪姉まで!?…!!…これ、ただの幻覚なんかじゃない!!)
超直感で何かを感じとったソラ

『しっかりしやがれ、ツナ!そいつらは幻覚だぞ!!』

「わかってる!!」
リボーンにそう言われ、その幻覚達をすぐに消そうとしたツナ

「綱吉さん!その幻覚達を、消しちゃダメーーっ!!」
精一杯叫びながら、ツナの傍まで飛んで来たソラ

「な…なぜだ!?」

「その幻覚、ただの幻覚じゃない!!私、人の気配が解るからっ……ずっと傍に居た、みんなの気配、解る!!
それが例え10年前の姿でもっ……私には解る!!タケ兄も隼人兄もクローム姉も……私が知ってる気配と同じ!!
これは確かに幻覚だけど、たぶん本物と繋がってる!!もしそれを消してしまったらっ…」
動揺しているからなのか、無意識に山本、獄寺、クロームの事を本来の呼び方に戻していたソラ

「『陽色の姫君』の言う通りだ。その幻覚達と、貴様の守護者達の命は繋がっているのだぞ!!」
ツナ達に向かってそう叫んだ幻騎士

幻騎士はまた霧の炎を吐き出した。

今度は小さな骸骨が2体、すぐに人の姿になり、ランボとイーピンの姿になった。

「ランボにイーピン!」

ランボとイーピンは泣きながら、ツナの頭を押した。

(ランボ兄やイー姉までっ…)

「みんな、やめてくれっ…」

(………みんなの意志関係なく、パパをしめつけてる…?)
ツナをしめつけている山本達の表情を見てそう思ったソラ

「くっ…やめろっ……離すんだ!みんな!!」

「ツナ…」

「10代目…」

「ボス…」

ランボとイーピンは未だに泣き続けていた。

「ハハハ!!悟(さと)しても無駄だぞ!!そいつらは自らの意志とは関係なく、体が勝手に貴様を怪力でしめつける!!」

「「なっ!?」」驚きの声を上げるツナとソラ

「そいつらを殺らぬ限り、振り解く事は不可能!!貴様にファミリーを殺れるのか!?」

「ぐっ…」

「幻騎士、人としてやっちゃいけない事をっ……自分が今何してのるか解ってるんですか!?」叫ぶソラ

「ああ、解っているとも!!」

(さっきの幻騎士とは全然違うっ…まるで別人だ!!)
今の幻騎士を見てそう思ったソラ

ソラは右手の銃を幻騎士に向けた。

「……何のつもりだ?」

「……タケ兄達を解放して下さい。」
いつもよりトーンの落ちた声で言うソラ

「ハァハハハ!!バカめ!俺が素直に聞く訳がなかろう!!」
そう言って、幻騎士はまた口から2回霧の炎を吐き出した。

計4人の骸骨が現れ、すぐに人の姿になり、雲雀、草壁、ラル、了平の姿になった。

雲雀と草壁はソラの方へ…ラルと了平はツナの方に向かった。

雲雀と草壁は、ソラの両手を雲雀が掴み、草壁が両足を掴んだ。

攻撃する事も出来ず、その場に留まっていたせいで掴まれてしまったソラ

「ぐっ…しまった!?」
両手を掴まれ、動きを封じられたので、銃を噴射させて飛ぶ事が出来なり、落下し始めていた。

「姫!!」叫ぶツナ

「レオ、“形態変化!!(カンビオ・フォルマ)”」
そう言いながら、右手の銃を自分の後ろの方に放り投げた。

【了解!!】
レオは銃から姿を変えながらソラの背中に張り付いて
推進装置になり、晴の炎を噴射させて落下を止めた。

「ふぅ…(危なかったっ…)」

「姫さん!」

視線を自分の両足を掴んでる草壁に向けたソラ

「哲兄」

「すみません!すぐに手を離したいのですが、離れないんです!!」

「うん、わかってるよ。」

ソラは自分の両腕を掴んでる、雲雀に視線を向けた。

「……10年前の…恭兄…?」

今、ソラの目の前に居るのは、自分の知ってる雲雀ではなく、10年前の雲雀だった。

「ん?」自分を見つめてるソラに気付き、視線を向けた雲雀

「ハァハハハ!!どうだ?『陽色の姫君』…これで身動き取れまい!ん?貴様、左腕を怪我しているようだな。ならばっ…」

幻騎士が何かしたのか、ソラの左手を掴んでる雲雀の手の握る力が強まった。

「ぐっ…」

ソラの怪我はそんなに大した事ないのだが、小さな子供には酷だろう怪力でしめつけられているのか、
怪我の痛みとしめつけられる痛みが重なり、かなり痛いようだ。

「姫さん!?」ソラを心配する草壁

「ハァハハハ!!良い眺めだ!!どうだ?自分の信じた仲間に殺られる気分は?……俺も殺りたかった!!あの時、あいつらを…
あいつらをぶっ潰してやりたかった!!」
ツナとソラに向かってそう言い放つ幻騎士

「ぐっ…なんとか、しないとっ…」
左腕に痛みが走っていたが、なんとか手を動かそうとしていたソラ

「貴様、まだ足掻くつもりか?…ならば、徹底的に苦しめ!!」

幻騎士がそう言うと、左腕だけだけでなく、右腕、右足、左足を掴んでいる雲雀と草壁の手の握る力が強まった。

「!!…う゛あ゛ぁぁぁっ…」悲鳴を上げるソラ

あまりの激痛に耐えられず、左手に握っていた銃を手放してしまい、そのまま下に落下していった。

【【姫!?】】レオ、太陽

『姫!!』ツナ、獄寺、山本、了平、ラル、リボーン、スパナ

『「姫さん!!」』ジャンニーニ、草壁

それぞれソラに呼びかけていた。

泣いているランボとイーピン、ソラを知らない雲雀、姫がソラだと知らないクロームは呼びかけなかったが…

「ハァハハハ!!もっと苦しめ!!だが、心配するな!貴様は死なせん!!生け捕りにと白蘭様に言われているからな!!」
そう言って、また高笑いし出した幻騎士


「………ねぇ、副委員長」
苦しむソラを見て何を思ったのか、草壁に声を掛けた雲雀

「はい、何でしょう?」

「この子、僕の事知ってるみたいだけど、どういう関係?」

「そ…それは…」

「早く言いなよ。」

「……この時代の恭さんは、姫さんの事をとても大事にしてらっしゃいました。唯一自分と群れる事を許し、
そして……並盛以外であなたが初めて守ると決めた子です。」

「ふぅーん……この僕が並盛以外のものをね…」
そう呟きながら、ソラの事を見ていた雲雀


「『陽色の姫君』、ボンゴレを倒したら、次は貴様を白蘭様に差し出す!!さぁ、落ちろ!!終わりだ、ボンゴレ!!」

「幻騎士、お前だけはっ……お前だけは死んでも許さねぇ!!」
幻騎士に向かってそう叫んだツナ

「はぁ?何と言った!?死んでも許さないと言ったのか!?この状況を見てからほざけ!!」

「くっ…」

「許すも許さぬもあるか!!貴様は仲間の手によって、もがき苦しみながら地獄に落ちるのだ!!」

「幻…騎士っ……あなたの思い通りになんか…なりません…」

「貴様もか!この状況で良くそんな事が言えるな!?」

「あなたは…やってはいけない事を…しました。……そして…ウチのボスを、怒らせました。」
両手両足を怪力でしめつけられながらも、幻騎士に向かってそう言っていたソラ

「イーピン…ランボ…いつまでも泣いてないで、退いてくれよ。…な?」
泣いてるイーピンとランボにそう言うツナ

イーピンとランボはツナの言葉を聞いて泣き止み、ツナの言った通り離れた。

「なにぃ!?」驚く幻騎士

「みんなも、手を離してくれ。」

ツナがそう言うと、山本、獄寺、クローム、了平、ラルも手を離した。

「バ…バカな!?霧の炎で練られた幻覚が俺の意志に背くなど!!」

(みんなの手が…凍ってる……パパ、気付いたんだね…あの幻覚達は、霧の炎で練られた幻覚だから、“零地点突破・初代エディション”で
みんなの手を凍らせてしまえばいいって…)
みんながツナから離れるのを見て、心の中で呟いたソラ

右手の柔の炎を後ろに噴射させたまま、すぐ傍に居るソラに左手の炎を噴射させて近寄ったツナは、
雲雀と草壁の手にも零地点突破・初代エディションをし、2人もソラから離れた。

「姫、大丈夫か?」ソラを心配するツナ

「大丈夫…ありがとう。」

【姫、大丈夫か!?】
太陽が飛びながらこちらに向かっていた。

「太陽……」

ソラの所まで来た太陽はすぐにソラを抱きかかえた。
その際、推進装置に姿を変えていたレオは元の姿に戻り、ソラの左肩に移動した。

「ありがとう、太陽。」

【姫、大丈夫?】ソラを心配するレオ

「大丈夫だよ。」

【無理して強がるな、今は力を抜け。……綱吉、後任せるぞ。】
ソラに話しかけた後、ツナにそう言い、ソラを抱きかかえたままスパナ達の元に戻っていく太陽

(ソラ……幻騎士、お前はやはり許せないっ!!)
みんなの幻覚に加え、ソラを苦しめた幻騎士にさらに怒りを覚えていたツナ


スパナ達の元に戻った太陽はソラを降ろした。

『姫、大丈夫か?』
『痛くありませんか?姫さん』
ソラに声を掛けるリボーンとジャンニーニ

「大丈夫だよ。」
声ではそう言いながらも、まだ痛みが抜けてないせいか、
立つのが維持出来なくなり、その場に座り込んだソラ

『無理すんな。お前は充分頑張った。後はツナに任せておけ。』
そう言って、上に視線を向けたリボーン

釣られて、ソラ達も上を見上げた。


上空では、ツナが“X BURNER発射準備をしていた。

「お前も全力で来い。幻騎士!!」

「己…青二才が生意気な!?」

『レフトバーナー、23万…24万…レッドゾーン突入!!』

『コンタクトは大丈夫なのか?』呟くリボーン

「それより、ボンゴレの体が……あの炎圧に持つのか…」
ツナが出してる炎に耐えられるか心配するスパナ

ソラは黙って様子を見ていた。
それは太陽とレオも同じだった。


『ケージシンメトリー!!発射スタンバイ!!』

「行くぞ!!幻騎士!!」
ヘッドホンから発射準備が整った事が伝えられ、
ツナは幻騎士に向かってそう言い放った。

その言葉を聞いて幻騎士は高笑いした。

「ほざいたな、童!!この俺に全力で来いだと!?良かろう!俺の真の力を見せてやる!!
そう言った後、霧になった幻騎士

霧の中から、幻剣と霧の2番が出てきた。

(…まさかっ!?)
霧の中から出てきた、幻剣と霧の2番を見て何かに感づいたソラ

霧が晴れると、そこには元の姿の幻騎士が居た。

「霧属性最高ランク、恐るべき力を持つヘルリング…貴様を倒すためなら、この身を地獄に捧げる。
ケーニッヒが残した最強の剣…幻剣(スペットロ・スパダ)」
幻騎士がそう言うと、幻剣が霧の炎を纏った。

(幻騎士、自分の身を捧げて大きな力を得ようとしてる……パパを倒すために…)
幻騎士が何をしようとしているのか解ってしまったソラ

「ケーニッヒの傑作と呼ばれる甲冑シリーズの1つ、霧の2番(ネッビア・ヌーメロ・ドゥエ)」
幻騎士が続けてそう呟くと、霧の2番も霧の炎を纏った。

「我がこの身と引き換えに、大いなる力を与えよ!!地獄の力を!!」
幻騎士がそう叫ぶと、再び霧に包まれた幻騎士

「共に地獄へ落ちよ!ボンゴレ!!」
霧に包まれた幻騎士に幻剣と霧の2番も取り込まれた。

すると霧が大きくなり、その霧は、元の幻騎士とヘルリングによって姿を変えた骸骨の幻騎士の2人が
交互に移り変わりながらツナに語りかけていた。

そして……霧の中から巨大な骸骨が現れた。

「ハハハ…どうだ!これが俺の力だ!!」

「あれも幻覚か…?」
『かもしれねぇが、それで済ませられえねぇのがやっかいだな。』
スパナとリボーンが巨大な骸骨の幻騎士を見てそう言う。

「幻覚ではなく、幻術!!幻術ではなく、幻覚!!それはこれも真実は1つ!貴様の敗北だ!!もがけ!泣き叫ぶがいい!
恐怖に震えて、地獄の底に引きずり込んでやる!!」

「地獄に行くのはお前だ。」

「貴様ー!!」

「かかってこい。」

ツナに挑発されたからなのか、襲いかかる幻騎士

「俺は絶対にっ…絶対に負けない!!(“X BURNER超爆発!!(イクスバーナーハイパーイクスプロージョン)”)」

X BURNER超爆発を放ったツナ

それに対し、幻騎士は幻剣で斬ろうとしていた。

だが、幻剣がツナの放った炎に耐えられずに砕け、そのまま幻騎士に直撃していた。


標的48へ進む。


今回は、ツナが幻騎士と戦う所です。
原作やアニメでは、零地点突破・改 白刃切りをする前、立体映像で時間を稼いでいましたが、
そこを立体映像ではなく、ソラに幻騎士と戦って時間を稼いで貰いました。
それでは標的48へお進みください。

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