X BURNERを放ち終わった後、そこは辺り一面ボロボロになっていた。
『ジンジャー!アイリス!聞こえるか!?…あまり期待は出来ないか……もし無事なら応答してくれ!!』
ジンジャーの人形の手首に取り付けられていた、腕時計から声を発していた。
どうやら、その腕時計は通信機のようだった。
ツナはその腕時計を人形から引き剥がした。
「入江正一か。」
自分の味方の名を呼んでいた入江正一はジンジャーとアイリス以外の声が聞こえてきて、呼びかけるのを止めた。
「入江正一、お前が俺達を過去からこの時代に連れてきた事は解ってる。」
『沢田綱吉か!!』
「何処に居る?研究室と丸い装置は何処にあるんだ!!何処に居ても、俺はお前を見つけ出す!!」
ツナがそう言いきった後、通信機が壊れた。
「くっ…」
手に持っていた腕時計を捨て、超モードを解いたツナ
その時、ツナの傍に3D映像のリボーンの姿が現れる。
『やったな。ツナ』
「リボーン…」
『あまりの威力にこっちの通信装置までブラックアウトしちまった。』
『ホントですよ。再起動するのが大変でしたよ。10代目』
「ご…ごめん。俺もこんなに威力が凄いなんて思わなくて……これも、スパナさんが作ってくれたコンタクトのおかげ……
あっ!そういえば姫ちゃん達は!?」
ソラ達の事を思い出したツナは周りを見回す。
「ボンゴレ、ここだ。」
スパナの声が聞こえ、そちらに視線を向けたツナ
そこには、晴の炎で作られたシールドと、前方に向けて構えてる大きな盾で守られていたソラ達が居た。
「太陽、シールド解除。レオ、元の姿に戻っていいよ。」
ソラがそう言うと、太陽はシールドを解除し、レオは元の姿に戻ってソラの左肩に乗った。
「姫ちゃん!!」
ソラ達に駆け寄るツナ
「ハァっ…ハァっ…」
肩で息をしていたソラ
「姫ちゃん、大丈夫!?」
「だ…大丈夫っ…少し、疲れただけだから…」
「そ、そう…って、腕、怪我してるじゃん!!」
ソラの左腕にほんの少しだけ怪我を負っているのに気付くツナ
「その怪我……もしかして、ジンジャーの攻撃を受けた時のか?」
スパナが言った通り、確かにその怪我はジンジャーの攻撃を盾で受け止めた時に出来た怪我だった。
攻撃を受け止めていた時、爆発範囲が予想以上だったのか、盾だけでは防ぎ切れなかったようだ。
『大丈夫ですか!?姫さん!!』心配するジャンニーニ
『姫、すぐにモモに治療して貰え。』モモを呼び出すように言うリボーン
「これくらいの傷で呼びだす訳にはいかないよ。それに、少しでも炎を温存して置かないと……まだ目的は果たしてないんだし。」
「でっ…でもっ……(この怪我をこのままにしておくなんてっ…)」
そう言いながら、その怪我してる左腕に軽く触れたツナ
ツナが触れた瞬間、痛かったのか、すぐに触れてきたツナの手から腕を引いたソラ
「やっぱ痛いんじゃん!!すぐ治そうよ!!」
「…これくらいの怪我なら平気だよ。慣れてるから…」
「慣れちゃダメ!!」
「!?」ツナの怒鳴り声に少し驚くソラ
「ボンゴレ、これを…」
スパナがツナに声を掛けた。
「えっ?」
スパナの手には工具箱が握られていた。
「工具箱?」
「ああ。だけど中には薬や包帯が入ってる。」
そう言いながら、その工具箱をツナの傍に置いたスパナ
どうやら、ツナ達が話をしている間にスパナはミニモスカと一緒に救急箱を取りに行っていたようだ。
「あ、ありがとうございます!あっ…スパナさんは大丈夫なんですか?」
「ああ。ウチは姫達が守ってくれたおかげで怪我1つない。」
「そうですか。」
「姫、ありがとう。ミニモスカも、少し修理が必要だが…この通り無事だ。」
「いえ。お礼は太陽とレオにお願いします。2人が居たから守れたので。」
ツナは工具箱の中から、消毒液と包帯を取り出した。
「姫ちゃん、匣での治療しないなら、せめて手当させて。」
「えっ…」
ツナはソラの返答を待たず、左腕を掴むと、怪我した所に消毒液を染み込ませた綿を当てた。
「っ…」
「あっ…ごめん!痛かった?」
「だ、大丈夫っ…」
「(まただ…)…君はまだ子供なんだからさ、痛い時は痛いって言っていいんだ。我慢する必要なんてないんだ。」
そう言いながら、消毒し終わった後、ガーゼを貼って、包帯を巻くツナ
黙ったまま耳を傾けるソラ
「…もっと自分の体を大事にして欲しい。傷がついても平気だなんて言わないで欲しい。痛い時は我慢しないで、
ちゃんと痛いって言って欲しい。それに…君は女の子なんだから、どんなに小さな傷でも残って欲しくないんだ。」
包帯を巻き終わった後、ソラの事を本当に心配そうに見つめていたツナ
『自分の体をもっと大事にしなさい!!怪我をしたら、放っておかずにすぐに手当てをしなさい!!痛かったら、我慢せず痛いって言いなさい!!
……ソラ、君は女の子なんだよ?だから、どんなに小さな傷でも放っておかないで?お願いだからっ…』
父親であるツナに叱られ、その後自分を強く抱きしめていた時の事を思い出したソラ
(同じ事言ってる……怒ってもいたけれど、心配もしてた、あの時のパパと同じだ…)
自分を心配そうに見てるツナを見上げたソラ
「姫ちゃん、俺は勉強も運動もダメで頼りないかもしれないけど……君が頼ってくれたら、ちゃんと…ちゃんと応えるから!!
だから、もっと俺を頼ってよ?」
ソラの頭を撫でながらそう言ったツナ
「綱吉さん…」
『ツナ、姫』
リボーンに呼ばれ、視線を向けたツナとソラ
『草壁から緊急通信が入ったぞ。』
「えっ!?草壁さん!?」
「哲兄!?」
驚くツナとソラ
『奴もここに来てるが、お前達とは無線のシステムが違うから、ボンゴレアジトに連絡してきたんだ。』
「哲兄、ここに来てるの?(もしかして恭兄も?)」
『ああ。』
「何かあったの?」
『連絡によると、10年前の雲雀が研究室近くの部屋で戦ってるらしい。』
ツナの問いにそう答えたリボーン
「え!?10年前の雲雀さんが!?」
「!?(…恭兄も、入れ替わっちゃったんだ……10年前の自分と……)」
『どうやら他の連中も来ちまってるらしいな。そっちに居るのは、ラルや獄寺、山本、了平だけじゃねぇ。』
「え?じゃあ…」
「雲雀と草壁の他に、クローム、ランボにイーピンもだ。」
「んな!?クロームに…ランボにイーピンまで!?な、何で!?」
(凪姉と…ランボ兄と…イー姉が…ここに、来てる…!?)
『詳しい話は後だ。これで研究室の位置は掴めそうだが、かなりヤバイらしいんだ。』
「えっ…ヤバイってっ……」
『幻騎士とかいう奴と戦ってる上に、雲雀の匣兵器がとんでもない事になってるみてぇだ。獄寺に山本、ラルや了平、
クロームも動けなくなっちまってるそうだ。』
「幻騎士!?幻騎士と戦ってるの!?」
『知ってるのか?』
「知ってるよ。だって幻騎士はっ…って説明してる場合じゃない!!すぐに助けに行かないとっ……今の恭兄が勝てる相手じゃないっ!!」
そう言いながら、立ち上がったソラ
『そんなにつえーのか?幻騎士って奴は…』
「強いよ。直接会った事はないけど、良く噂を聞いてた。10年前から来たばかりの恭兄じゃ、絶対に勝てない。体術でいえば、
たぶんこの時代の恭兄と同じくらいあると思う。」
「なっ!?…急いで行かなくちゃっ…」
それを聞いてツナも立ち上がった。
「ウチも連れてけ、ボンゴレ」
「え!?でもっ…」
「“X BURNER(イクスバーナー)”用のコンタクトはデリケートなんだ。メンテナンスはウチにしか出来ない。」
「だけどっ…」
「それに、足手まといにはならない。」
「で、でもっ…ミニモスカはどうするんですか!?」
「それが問題だな……ミニモスカには飛行機能がついてないんだ。だからと言ってウチはミニモスカをここに置いていきたくない。」
手を組んで悩むスパナ
「………太陽、悪いけど、お願いしていい?」
少し考えた後、ソラは太陽に声を掛けた。
【ん?ミニモスカを飛んで運ぶのか?】
「うん。腕が疲れるかもなんだけど…ダメ?」
【いや、構わないぞ。】
「ありがとう!じゃあお願い。スパナさん、ミニモスカは太陽が飛んで運びます。」
「ホントか?」
【任せな。】そう言いながら、胸を叩く太陽
「任せろだそうです。」
「助かる。」
「レオもまだ行ける?」
【もちろんだよ。】
「綱吉さん、スパナさんも連れて行こう?ここに置いて行かない方が良いと思う。スパナさん、裏切り者扱いになっちゃってるし。」
「確かに……」
「じゃ、決まりだね。」
その後、ツナは忘れ物がないか確認し、ソラは太陽とレオに死ぬ気の炎を新たに与え、スパナは持って行くものを整理していた。
それぞれ準備が整うと、その場を飛び去った。
今、ツナ達は第4ドックから飛び去って、草壁から連絡のあった地点に向かっていた。
スパナは超モードになったツナとロープで繋ぎ、ツナの後ろからパラシュートで飛んでおり、
ミニモスカは足に死ぬ気の炎を灯した太陽に抱えられて飛び、ソラは二丁拳銃で飛んでいた。
「大丈夫か?スパナ」
「あ…ああ、問題ない。」
「ミニモスカ、絶対暴れちゃダメだよ?」
頭を頷かせたミニモスカ
「太陽、平気?」
【ああ、大丈夫だ。お前の方こそ、大丈夫なのか?】
「私も平気。」
【そうか。】
少し進むと、前方に今まさに閉ざされようとしているゲートが見えた。
「ゲートが!?」道が閉ざされようとしているのを見て叫ぶソラ
「任せろ。」そう言いながら、手に持っていたリモコンを操作するスパナ
すると、閉ざされかけたゲートはまた開き始めた。
そのおかげで通り抜ける事が出来た。
「リボーン、研究室はまだか?」
自分の背中に乗っている3D映像のリボーンに声を掛けるツナ
『ああ。直線ならすぐだが、ルートが入り込んでてな。………あっ、そこ左だぞ。』
リボーンの指示通り、左に曲がるツナ達。
「リボーン、お前…みんながここに来てる事、知ってたのか?」
『知らねーぞ。』
「リボ兄達の目を盗んで、恭兄と哲兄が、クロームさんとランボ君とイーピンちゃんを勝手に連れ出したんだろうね。」
「………」黙りこんだツナ
『心配か?』
「………なんでランボまで…」
「たぶん、ランボ君がボンゴレの守護者だからだよ。」
それを聞いて苦痛の表情を浮かべるツナ
『そーいや、ツナ』
「?」
『確認し忘れたんだが…お』
前方に何かあるのか、視線を前に戻したツナとソラ
また前方のゲートが閉ざされようとしていた。
「スパナ!」さっきと同じようにゲートを操作して貰おうと声を掛けたツナ
「あれは荷電式じゃないから、ウチには操作不可能だ!」
「くっ…」
「太陽!レオ!スピード上げるよ!!」
【【了解!!】】
ツナ、太陽、ソラは炎の推進力を上げてゲートを全速力で通り抜けようとしていた。
ツナ達がゲートを通過した時、このままではスパナが挟まれてしまうのに気付き、ロープを引っ張ったツナ
そのおかげで、スパナも無事通過する事が出来た。
それを見て安心するツナ達。
前を向くと、縦穴になっていた。
「こんな所に縦穴…?ウチの知ってる基地内とちょっと違う。」
上を見上げながら呟くスパナ
『これは…入江の仕業だな。』
「入江の?」
『獄寺の情報では、奴は基地の中を自由に動かせるらしい。』
「…凄い。さすが正一らしい仕掛けだ。」
「基地内を自由に…?じゃあもしかして、頻繁に起こっていた、あの揺れは…」
『ああ。おそらく入江が基地内を動かしてたからだろう。』
「そうだったんだ…(…っという事は、図面で見たあの黒い部屋は、部屋じゃなくて、ただの空洞…そして…あの時、壁の通気孔にあったカビは、
たぶん晴の炎の活性が作用して出来た物なのかもしれない。正一さん、晴属性だったし。)」
このアジトの図面にいくつもあった黒い部屋の事と、カビがあった原因が解ったソラ
『ツナ!姫!』
リボーンの呼び掛けで上に視線を戻したツナとソラ
上からでかくて四角いのがいくつかこちらに向かって落下してきていた。
ツナ、ソラ、太陽はそれぞれ落下してくる物を上手く回避しながら、上に向かって前進していた。
『リボーン…さっき確認し忘れた事って何だ?』
「ああ。お前、大事なお守り、忘れてこなかったか?」
「!!…ああ、忘れてない。」
『フっ…ならいい。』笑みを浮かべるリボーン
(パパ、本当にお守りを大事にしてるんだね……10年前からずっと……)
『姫、おめーも大事なお守り、失くしてねぇな?』
「!?…リボ兄、なんで知ってるの?」
『ん?お守りの事か?了平と話してた時に、お前が落としたお守りを持った京子が来てな…
その時聞いたんだ、お前の大事なお守りだってな。』
「そうだったんだ。」
『んで?失くしてねぇな?』
「失くしてないよ。」
『そうか。』優しい眼差しでソラを見るリボーン
【姫!前を見てみろ!!】
太陽の叫び声を聞き、前方に視線を戻したソラ
前方には、人食い植物みたいなのが居た。
「こ…これはっ…食虫植物ってレベルじゃない!!」叫ぶスパナ
「(みんな…)…邪魔をするな!!」
お守りを仕舞ってる左胸のポケットを右手で掴んだ後、そう叫んで、前方に右手を翳し、炎を噴射させて、
その人食い植物みたいなのを突き破って通過していったツナ
【やるな。綱吉】感心する太陽
「太陽はミニモスカを抱えてるんだから突き破っちゃダメだよ?下手したらミニモスカが壊れちゃうから。
私が撃ち破るからその後に続いてね?」
【ああ、解った。】
「レオ、行くよ?」
【うん、アレを撃とうか。】
ソラがやろうとしている事が解るのか、そう呟いたレオ
ソラはツナが突き破ったのとは別の方に向けて、銃に姿を変えているレオを構え、銃に晴の炎を一点集中させる。
「極限太陽!!(マキシマム・キャノン)」
そう言って、一点集中させた晴の炎を放った。
その砲撃はまっすぐに人食い植物みたいなやつを撃ち破り、その時に出来た穴からソラと太陽が通り抜けた。
「“極限太陽(マキシマム・キャノン)”だって!?」
ソラが了平が使う極限太陽を放ったのを見て驚くツナ
『ほぉ…了平の技をあそこまで威力を発揮する事が出来るのか。』
「リボーン、お前知ってたのか?」
『ああ、知ってるぞ。前に言ったろ?戦ったって。アレを見るのは初めてだが、使える事は聞いて知ってたぞ。』
「そうか…」
『姫、すげーな。』
ツナに追いついたソラにそう声を掛けたリボーン
「ありがとう。リボ兄」
『だが、それは体に負担はないのか?』
「炎で撃ってるから、そこまで体に負担はないよ。そのかわり、炎はたくさん使うけどね。」
『そうか。おめーもそう何度も撃てねぇってわけか。ちなみにここに来てから何発目だ?』
「2発目。」
『1発目はいつ使ったんだ?』
「ウチのモスカ達を倒した時だ。」
ソラではなく、スパナがそう答えた。
「モスカを倒した時に?だが、あれだけの砲撃では…」
「姫は太陽と一緒にその技を放って、ウチのモスカ達を倒してた。」
ツナの疑問にそう答えたスパナ
『なるほどな。2つの“極限太陽(マキシマム・キャノン)”を1つの砲撃にして放ったんだな?』
「ああ、そうだ。」
「太陽も使えるのか!?」
「使えるよ。前に話したでしょ?初めは了兄の所に居たって。了兄に鍛えられる過程であの技を使えるようになったんだよ。」
前方に視線を戻したその時、今までのようにゲートが閉じるのではなく、部屋が動かされてるのが見えた。
急いで完全に道を塞がれてしまう前に通り抜けようとしたが、間に合わず、完全に向こう側へ行くのを阻止されてしまった。
そして目の前には丸い穴が現れた。
『入江にはこっちの動きが完全に読まれてる。気を抜くなよ。』
「ああ。」
「うん、わかった。」
リボーンにそれぞれ返事を返したツナとソラ
ツナ達はその丸い穴の中に入って行く。
中に入ると、周りの壁にはミサイルの形をした凹みがたくさんあった。
(これはいったい……ミサイルがそこから出てくるのかな…?)
周りの壁を見回してそう思ったソラ
「正一はいつも慎重だ。いくつも先を考えて、万全な手を打っている。だが…何か変だ。まるで焦ってるみたいな気がする。」
『どうあっても、俺達をこの先に行かせたくないんだろ。…目的地は近いって事だ。』
リボーンの言葉に頷くツナとソラ
「急ごう、綱吉さん」
「ああ。」
その時、後ろから無数のミサイルがツナ達に向かって発射された。
「きた!」叫ぶスパナ
「ミサイルがいっぱいだ…」
自分が思った通り、ミサイルの形をした凹みからミサイルが現れ、
発射されているのを見て呟いていたソラ
『ツナ、姫、太陽、左に入り込めるぞ。』
リボーンが言った通り、前方に左に曲がれる所があった。
「わかってる。」
「太陽!」
【ああ、了解だ。】
ツナ達は左に曲がった。
だが、曲がっても、ミサイルが追ってきていた。
「どうやらあのミサイルは追尾機能式みたいだね。」
ミサイルが自分達に向かって未だ追いかけて来ているのを見て呟くソラ
『これじゃあ撒けねぇな。スピードもあっちの方が早い、すぐに追いつかれちまうぞ。』
「でも、太陽はミニモスカを抱えて飛んでるし、速く飛ぶのにはあまり慣れてないんだよ。」
「こっちもだ。これ以上のスピードはスパナの体が持たない。」
ソラが太陽の心配をし、ツナがスパナの心配をしていた。
「心配するな、ボンゴレ。足手まといにはならない。」
そう言いながら、背中に背負ってるバックの中を漁っていたスパナ
『何する気だ?』
スパナに問うリボーン
「エアガン持ってきた……違う……」
バックからお茶碗と箸を取り出したが、すぐに仕舞い、また漁るスパナ
(……今出したお茶碗にも「酢花゜」って書いてあった……ホントに日本が好きだね……)
声には出さなかったが、心の中でそう呟きながら、呆れていたソラ
「……あった!」
やっと出そうとしてた物を見つけたスパナ
すぐに取り出して手に持ち、後ろに向いて撃った。
銃口から煙が出て、煙が晴れると、無数の晴の炎が出てきた。
無数のミサイルはその晴の炎に触れ、攪乱を起こし、次々とその場で爆発が起こっていた。
『戦闘機なんかが搭載しているミサイルを攪乱する、チャフと火炎弾(フレア)だな。』
スパナが持っているエアガンを見てそう言ったリボーン
「今の炎は?」
「このチャフフレア砲は、ウチが改良した特性で、最近の死ぬ気の炎を追尾するタイプの兵器にも対応している。」
ツナの問いにそう答えるスパナ
「死ぬ気の炎を追尾する兵器…」
ツナは太猿と戦っていた時に見た、黒手裏剣の事を思い出していた。
「ミルフィオーレが使っている武器の性能は良く知っている。ウチが作ったもんもあるし。」
『やるじゃねぇか、スパナ。この戦いが終わったら、ウチのメカニックと発明勝負させてみてぇな。』
『望むところです!このジャンニーニ、発明でミルフィオーレのメカニックなんかに負けません!』
ヘッドホンからジャンニーニの意気込んだ声が聞こえてきた。
『フっ…って事だ。こっちはやる気だぞ。』
「発明…勝負…ウチも負けない。」ワクワクした表情でそう答えたスパナ
『こう申してはなんですが、私もボンゴレのメカニックを任された身…その辺のメカニックと一緒にされては困ります。』
(……ジャンニーニさん、その辺のメカニックと一緒にされたくないなら、まず発明の失敗を減らして欲しい……あと、変な発明も。)
ジャンニーニのその言葉を聞いて、これまで見た、ジャンニーニの失敗を含めた、
数々の発明品を思い出しながら、心の中で呟いていたソラ
『ツナ、そろそろ草壁から連絡があった地点だぞ。』
「……何か来る。」コンタクトディスプレイで前方から何か来るのが解ったツナ
少しすると、その何かが見えてきた。
「あっ…でかいぞ!!」
「ロケットがこっちに向かって来てる!!」
スパナとソラが前方を見ながら叫んだ。
そう、前方から大きなロケットがこちらに向かってきていたのだ。
「任せろ、ボンゴレ。またウチがこいつでコースを逸らす。」
スパナの言葉を聞いて頷くツナ
ツナ、ソラ、太陽は少し後方に下がり、スパナがチャフフレア砲を撃ち、無数の晴の炎が出てきた。
だが、ロケットには何の効果もなかった。
「マズイ!!追尾型じゃないんだ!!チャフが効かない!!」
大きなロケットは4つに分かれ、さらに分かれた無数のロケットが雨の炎に包まれ、こちらに向かってきていた。
「スパナ、下がってろ!!」そう言いながら、自分の腹に巻きつけていた縄を外すツナ
「えっ!?」驚きの声を上げながらも、素早く左手に持っていた銃を仕舞い、スパナと繋がってる縄を掴んだソラ
それにより、そのままスパナが落ちるのを阻止した。
その間にツナは無数になったロケットを破壊して、前進していった。
ソラは右手の銃だけでスパナを連れて飛ぶのは不可能なので、その場にスパナを降ろした。
「スパナさん、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。助かった、姫」
【綱吉の奴、後で覚えてろっ…】
「まぁ、まぁ…押さえて、押さえて。」
怒る太陽を宥めるソラ
ソラ達はそのまま歩いてツナの後を追っていた。
今回は、草壁から緊急通信があった地点に向かう所ですね。
みんなの所に向かいながらも、入江正一の妨害が次々入って来るんですよね。
ミサイルが追ってきたり、人食い植物みたいなのが襲ってきたり、巨大なロケットが落ちてきたり……
凄く妨害されまくってましたよね。
アニメ沿いに少しオリジナル入ってますが、ほぼ変化ないと思います。
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