モスカとの戦い

ーー地下10階ーー用水路ーー

「地下10階、用水路……うん、間違いない。ここだ…」
腕時計に表示されてる地図を確認しながらそう呟いたソラ

「敵は……まだ来てないみたいだね?」

「そうみたいだね。…でも、たぶんすぐに来るよ。」

「誰が来るんだろう?」

「さぁ?また隊長、副隊長クラスの人かもしれないね。もう敵には侵入した事バレてるし。」

「そ…そうだよね…(今度はどんな人が来るんだろう…?)」

「ん?」

「どうしたの?」

「来るよ、この音は………機械音だね。」

「えっ!?」

ツナは耳を澄まして良く聴いてみる。

「確かに……」

「機械って事は……ストゥラオ・モスカの可能性が高いね。」

「えっ!?あのモスカ!?」

「たぶん。」

「…姫ちゃん、倒した事ある?」

「あるよ。あのモスカに遭遇した時はいつもなるべく近づかずにやり過ごしてるんだけど…1回だけ戦った事がある。
その時戦ったストゥラオ・モスカ、思いっきりぶっ壊しちゃった。」
平然と言ってのけたソラ

「なぁ!?」驚くツナ

「機械相手だと、遠慮しないで炎を出せるから、ついやり過ぎちゃうんだよね。」

(凄っ…)

「とりあえず、何体来るか確認して、何体引き受けるか決めよう?」

ソラはマントの内側から匣を2回取り出して開匣していた。

1つ目は、晴カンガルーの太陽が入ってる匣を。
2つ目は、晴カメレオンのレオが入ってる匣を。

「太陽、レオ、力を借りるよ?」

【ああ!極限任せろ!!】
【任せて!!】
太陽、レオがそれぞれ応える。

「太陽も戦うの?」

「うん。音からすると、2体や3体じゃない気がするし、太陽にも手伝ってもらえば、すぐに数減らせるしね。」

「そ…そう。(ソラちゃん、もし本気で戦ったら、絶対に俺が負ける…?)」

「綱吉さん、そろそろ準備を…」

「あっ…そうだね!」

我に返ったツナはすぐにポケットから手の甲部分に「27」と刺繍された毛糸の手袋と死ぬ気丸の入ったケースを取り出した。
毛糸の手袋を両手に嵌め、死ぬ気丸を呑むと、超モードになったツナ

「太陽、今回は空中戦だよ。」

【了解!】太陽は、自分の両足に晴の死ぬ気の炎を纏わせた。

「…そうする事で、空中戦が可能になるのか?」

「うん、そうだよ。足に死ぬ気の炎を纏わせる事で、飛べるようになるんだ。」

【姫、僕は銃になればいいのかな?】

「うん、お願いね?“武器変化!!(カンビオ・アルマ)”」

レオはソラの合図で銃に姿を変えた。

銃になったレオを右手に持ち、左手には、左太股のガンホルダーから取り出した銃を持ったソラ

「さっきのジンジャーの時と同じ、二丁拳銃で戦うのか?」

「空中戦だからね。レオ、今回はあまり炎の出力を制限せずに行くよ?相手は機械だからね。」

【解った。】

その時、前方からこちらに向かって、何かが飛んできているのに気付いたツナとソラ

「あれは…」

「ストゥラオ・モスカだね。それも、7体も…」

「………姫、何体まで大丈夫なんだ?」

「う〜ん…今の状態なら、3、4体までなら大丈夫。(出来るだけ、あのモスカ達に私のデータを取られないようにしたいし、
炎の消費を少しでも抑えておきたいしね。)」

「(今の状態…?)…解った。じゃあ俺が4体引き受ける。だから残りの3体を頼む。」

「解った。…太陽、3体のうち2体をなんとか後方へ飛ばしてくれる?残りの一体は私が後方へ飛ばすから。」

【任せろ!】

「じゃあ、行こうか?太陽、レオ」

【ああ!/うん!】
ソラに応える太陽とレオ

ソラは2人の返事を聞いた後、ツナに視線を向けた。

ツナはソラに微笑みかけてから合図を出した。

「行くぞ!!」

ツナ、ソラ、太陽はその場でそれぞれ飛び、炎の推進力で前方に居る、ストゥラオ・モスカに近づいた。

ツナは、その内の一体に炎を纏わせたパンチを喰らわす。

ソラは、その中の一体に蹴りを思いっきり入れて後方に飛ばし、そのまま後方に飛んでいく。

太陽は、体術で2体をなんとか後方へ思いっきり飛ばし、自分もそのまま後方へ飛んでいった。

ツナが引き受けた4体から残りの3体を引き離す事に成功したソラと太陽

「太陽、なんとか後方に飛ばせたみたいだね。」

【まぁな。装甲が固いせいで、普通の打撃があまり効かないのが痛いところだがな。】

「そうだね……」

ソラは、アジトに居る時に、ストゥラオ・モスカの説明をしていた時の事を思い出す。


ーー回想ーー

「近づくな。それがストゥラオ・モスカの対処法の1番の方法だ。」

ラルの説明を静かに聞くツナ達。

「ストゥラオ・モスカは、死ぬ気の炎を内部に蓄積出来る、最新型の蓄炎(チャージ)システムを搭載している。それによって、無人機としての
運用が可能になった。初の対匣戦闘用マシンだ。」
モニターに映しているストゥラオ・モスカのデータを見ながら、説明するラル

「なっ……無人機!?んじゃ、誰も載ってないのに動けるのか?」
「まさにロボット研究だ…いくらでも量産出来る訳だ。」
ラルの説明を聞いてそう呟いた獄寺と了平

「説明を続けるぞ。ボディはこれまでよりもかなり大型化され、ざまざまな武器を搭載している。その戦闘力は、ゴーラ・モスカとは比べものにならぬ。」

「マ…マジかよ!!」叫ぶ獄寺

「1番の特徴は装甲だ。2万層からなる、ナノコンポジットアーマーはあらゆる衝撃や炎をものともしない。格闘戦となれば、ほとんどダメージを
与える事は……沢田!!何がおかしい?さっきからニヤニヤとっ…真面目に話を聞く気があるのか!?」
説明していたラルがツナの顔が笑っているのを見て怒鳴る。

それを聞いて、ソラは隣に座っているツナに視線を向けた。

「ラルの身体を見て、変な想像をしてたんだろ?」
ソラの膝の上に座って抱きしめられてる状態のまま、顔だけをツナの方に向けてそう言い放ったリボーン

リボーンの言葉を聞いて、顔を真っ赤にするツナと獄寺

「ち…違うよ!!」

「リボーンさん!!」

「リボ兄、からかっちゃ駄目だよ。」

「おまっ…からかってたのか!?」

「さぁな。」

「………ラル姉、綱吉さんが笑ってたのはたぶん、ストゥラオ・モスカに人が乗ってないと解ったからだよ。」
ツナを少し見つめた後、ラルに視線を向けてそう言ったソラ

「何?…そうなのか?沢田」

「あっ、はい!だって、人が乗ってないなら、壊しても誰も死んだりしないでしょ?」

ーー回想終了ーー

「(…この3体からは人の気配がない…無人機だね。)太陽、速攻で終わらせるよ?」

【ああ!】

「今回は単独行動でよろしく。」

【了解!】

太陽は3体の内の1体へ近づき、晴の炎を纏わせた右手でアッパーを喰らわしていた。
ただの打撃攻撃では全然ダメージを与えられないので、こうやって炎を纏わせた攻撃を喰らわして、ダメージを少しずつ蓄積していくのだ。
太陽はそのまま体術でストゥラオ・モスカと戦っていた。


「レオ、私達もそろそろ始めようか?」

【うん。速攻で倒して、綱吉の所へ行こう?】

「じゃあ、行くよ!!」

炎の推進力を上げて、2体のストゥラオ・モスカに高速接近し、右手に持ってる、銃に姿を変えてるレオで2体に攻撃を仕掛けた。

「カオスショット!!」

銃から放たれた晴の炎は、最初は1つの砲撃だったのに、すぐに何本かに分かれ、2体のモスカに向かって放たれた。

【今日のはいつもより威力強めだから、いくら装甲が固くっても、耐炎性でも関係ない!ダメージは確実だよ!!】

レオが言った通り、直撃した瞬間、確実にダメージを受けていた2体のモスカ
サブリングの力を使っているので、いつもより炎の威力が強いのだ。

「……装甲が固いだけあって、頑丈だね。」

【そうだね。】

「レオ、もう少し威力上げようか?」

【そうだね。トドメは太陽と一緒に“アレ”を放すんでしょ?】

「うん。駄目かな?」

【いいよ。大丈夫、僕が君の負担を減らしてあげるから。】

「ありがとう。じゃあ、充分なダメージを与えてから、太陽と合流しよっか。」
そう言って、2体のモスカとの戦闘を再開する。


一方、太陽の方は1体のモスカに次々と突きや蹴りを喰らわして、少しずつダメージを与えていた。

【このストゥラオ・モスカ……本当に装甲が固いな……(ソラがもしものためって言って、ストゥラオ・モスカと戦闘になった時の対処法を
教えて貰っておいたおかげでなんとかダメージを与える事が出来ているが、なかなか良い様にダメージを与えられないな…)】

太陽はソラとは違い、1体のモスカに少し苦戦を強いられているようだった。

【(もう少しっ…もう少しダメージを与えなければ、動きを止められないっ………仕方ない、少し炎の威力を強くするか…)】
そう言って、右手に纏わせている炎の威力を少しだけ増し、モスカの顔面に向かって右拳を放った。

その瞬間、モスカの顔面に拳がめり込み、顔面が凹んだ状態になった。

【……少しやり過ぎたか。(サブリングの力は本当に凄いな…いや、リングの力だけではなく、ソラ自身の炎の純度も高いからだろうな…)】
自身に纏う晴の炎を見つめながら、そう思っていた太陽

「太陽!!」

【ん?】自分の方に向かって飛んでくるソラに目を留めた太陽

「うわっ!?顔面が凹んでるっ…」
太陽が相手にしていたモスカを見て驚くソラ

【少し、炎の威力を強くし過ぎたようだ。】

「無人機だから別に良いけど……気をつけてね?今日はいつもの晴系リングじゃなくて、サブリングなんだから。」

【うむ。】

「それじゃ、太陽…こっちの2体のストゥラオ・モスカも大ダメージを受けて動けないから、今のうちに3体まとめて倒すよ?」

太陽はソラが相手していたストゥラオ・モスカを見て固まってしまった。

「太陽?」

【………姫、お前もやり過ぎじゃないか?】

太陽がそう言うのも無理はない。
太陽が戦っていたモスカは顔面が凹んでるだけだが、ソラが相手していたモスカは
どちらも、所々凹んだ部分があり、ボロボロだった。

「ア…アハハハっ……機械が相手だし、人が乗ってないって解ってたから、つい…」

【レオ…】

【いつもより炎の威力を強くして、“カオスショット”を連発しただけだよ。】

【………それだけか?】

【そうだよ。僕もビックリした…】

【(………いっその事、あのままぶっ壊せば良かったんじゃないか?)】

太陽とレオは、今回の戦闘でソラの今の実力を知り、また強くなっている事が解り、驚いていた。

「太陽、早く終わらせよう?」

【あ…ああ。】

ソラは太陽が相手していたモスカに高速接近して、先程自分が相手していた2体のモスカの方へ思いっきり蹴飛ばした。

「行くよ!!」

【ああ!!】

「【極限太陽!!(マキシマム・キャノン)】」
ソラと太陽が同時に声を揃えてそう言った。

ソラは右手に握っている銃に晴の炎を一点集中させる事で放し、
太陽は、了平と同じように右拳に晴の炎を一点集中させて放していた。

2つの極限太陽が1つになった時、巨大な砲撃になり、3体のモスカを撃ち抜いた。

少し経つと砲撃が止み、3体のモスカは撃つ前よりもさらにボロボロになっており、機能が停止したからか、
そのまま落下し始め、水の中に落ちていった。

「ふぅ……」

【お疲れ様。姫】

「レオもね。…太陽もお疲れ様。」

【お前もな。さて、綱吉の所に戻るか。少し距離を離して戦ったから、向こうがどうなっているか解らん。】

「そうだね…行こう!」

ソラと太陽はツナが戦っている所へ全速力で飛んで行った。


ツナの姿が見える所まで、戻って来たソラと太陽

「…居た!」
【あっちは……まだ3体残ってるのか…しかも、その真下は凍らされているな…】

太陽が言った通り、ツナとモスカ達の真下の水が凍らされていた。

「あれは…“零地点突破・初代エディション”だね。」

【ふむ…そのようだな。】

会話をしながら、ツナの所へ近づいていた。

「あれ…?」
ツナによって倒され、地面に寝転がっているストゥラオ・モスカを見つけたソラが、何かに気付く。

【どうした?】

「あのストゥラオ・モスカから、人の気配がする。」

【何!?】
【それ、本当?】
太陽とレオがそれぞれ反応する。

「うん、間違いないよ。(いったい誰が…?)」

『“零地点突破・改”で吸収した炎を自分のエネルギーに変換する事で、あんたの戦闘力は1.7倍に跳ね上がった…
これは相当に高い数値だ。人としてはね…』

(!…この声は!?)
【この声、いったいどこから!?】
突然、どこかから男の声がして、宙に浮いたまま、その場で立ち止まったソラと太陽

(この声…ランボ兄の声に似てる…でも、違う。別の誰かだ…)
ソラはどこから聞こえるのか、周りを見回していた。

『それでも、うちのモスカの方が強い。』

【…!…姫、あれを見ろ!!】

「ん?」

太陽の声を聞いて、前方に視線を向けると、3体のモスカの内、2体が胸のあたりの穴から赤色のレーザーを出し、
残りの1体に向けて放っていた。

「なっ!?」

【味方を撃ってどうするつもりなのだ!?】

【味方を!?】太陽の言葉を聞いて驚くレオ

「………太陽、レオ、あれ……たぶん嵐の死ぬ気の炎だよ。」

【【そうなのか?/そうなの?】】
太陽とレオが同時に声を揃えてソラに聞いた。

「うん。あのモスカ…2体から放たれるレーザーを吸収しているような気がする…」
嵐の炎を受けているモスカを見ながらそう言ったソラ

【姫の言う通り、炎を吸収しているとしたら…どうなるんだ…?】

「解らない…」

【まだモスカには、僕らの知らない何かがあるみたいだね。】

そのまま3体のモスカの様子を見ていると、2体のモスカがレーザーを放し終えた後、落下し始め、そのまま氷の上に落ちた。
どうやら嵐の炎が空っぽになった事で、活動を停止してしまったようだ。

2体のモスカから受けた嵐の炎を全身に纏っていたモスカ

「あれ?姿が…少し変わってない?」

【言われてみれば……そうだな。】
ソラにそう言われ、確かにモスカの姿がさっきと違っているのに気付いた太陽

【そうなの?】
レオはまだ銃に姿を変えたまま、炎を噴射させているので、姿を確認する事が出来ない。

『キング・モスカ』

「キング…モスカ…(聞いた事ない名前だ…)」

【どうやらこの声は、モスカ達を操縦している者の声のようだな…】

「そうみたいだね。」

纏わせていた嵐の炎が消えた後、姿の変わったモスカはそのまま、前方に居るツナに襲いかかった。

最初の攻撃をなんとか防いだツナだったが、次々とキング・モスカが素早く攻撃を繰り出していたので、防御する事が出来ずにやられていた。

【は…速いっ…ストゥラオ・モスカよりもスピードが格段に上がってる!】

「………降りよう、太陽」

【ん?】

「出来るだけ気配を消して、様子を見よう。」

太陽とレオに話しかけながら見ていると、ツナはそのままやられて、氷の上に落ちていった。

【……いいのか?】

【綱吉、助けなくていいの?】

「うん、大丈夫だよ。今の綱吉さんなら…キング・モスカを倒す方法がある。だからあとはそれに気付く事さえ出来れば、
キング・モスカを倒す事が出来る。」

【………解った。】

【姫がそう言うなら…】

ソラと太陽は、その場で降りた。

地面に足を着いた後、太陽は足に纏わせていた晴の炎を消し、ソラはレオに元に戻るように指示を出して、
元に戻ったレオを左肩に乗せてから、もう片方の銃を左太股のガンホルダーに仕舞った。
そして、気配を小さくして様子を見る。


『モスカはとっておきだ。徹底的に細部をチェーンアップし、装甲は2倍。…そして目玉は零地点突破・改から着想を得て開発した、
炎吸収パワーアップシステム。…その優れたエネルギー変換効率により、キング・モスカの戦闘力は10倍に跳ね上がる。
全てにおいて、ボンゴレ10代目より上…楽勝だ。』

「その計算は本当に合っているのか?……10倍でその程度とは、大した事がないな。」

煙が少しずつ晴れながら、氷の上で…左手で拳を作り、右手の手の平に甲の部分ををつけた状態で構えていたツナ

「そいつがお前のとっておきなら………次は俺のとっておきを見せてやるぜ。」

『とっておき?』

「ああ…これ以上、お前1人に構ってられないからな。(この声の言っている事がもし本当なら、ソラ達に任せた残り3体のモスカを倒した後、
こちらに戻ってきているはずだ…俺も早く終わらせないとな。………“初代エディション”で足場は出来た。高出力の“X BURNER(イクスバーナー)”なら、
キング・モスカを倒せる。…問題は、あのスピードだ。確実に当てるためには…)」


【どうやら綱吉は、“X BURNER(イクスバーナー)”を放とうとしているようだな…】
ツナの構えを見てそう呟いた太陽

【姫が言ってた、あのキング・モスカを倒す方法って…あれだよね?】
ソラの左肩から戦いの様子を見ながら、問いかけるレオ

「うん。高出力の“X BURNER(イクスバーナー)”なら、キング・モスカを倒す事が出来る事に気付いたみたいだね。」


『“零地点突破・改”以外にも技があるとか?』

「どうだろうな。」

『どのみち、キング・モスカには勝てやしない。このスパナが造った、最高の機体だからな。』

「やって見なけりゃ解らないぜ。(奴を墜とす!!アレを狙うしかないな…)

両手を後ろにし、死ぬ気の炎を噴射させて、キング・モスカに接近戦を仕掛けたツナ

交戦しながら、隙を見て、キング・モスカの右足に装着している推進装置を自分の左足で蹴って壊したツナ

だが、キング・モスカはそのまま、右足でツナを蹴った。

蹴飛ばされて、壁に衝突したツナ


【この声の持ち主、スパナというみだいだな。しかも、モスカを開発した張本人…】

「みたいだね。(その情報は知らなかったから驚いたよ。もしかして…あのストゥラオ・モスカに乗ってるのかな…?)」
ソラは一度ツナから視線を外し、地面に寝転がってるストゥラオ・モスカに視線を向けていた。

【それにしても……なんで綱吉、“X BURNER(イクスバーナー)”を撃たずに接近戦を仕掛けて、推進装置(スラスター)を壊してるの?】

【確かに…】

「………もしかして、気付いてない…?」
倒れてるモスカから、再びツナに視線を向けながら、呟いたソラ

【何にだ?】ソラの言ってる事が解らず、聞いた太陽

レオも首を傾げながらも、ソラに視線を向けていた。

「…“X BURNER(イクスバーナー)”は、地上でも空中でも撃てるって事にだよ。」

【そういえば…あの綱吉は、まだ空中での“X BURNER(イクスバーナー)”を放った事がなかったな…】

【そういえばそうだね…いつも地上で撃ってた。】

ツナとキング・モスカの戦いに視線を戻すと、ちょうどモスカの方が、胸の穴から嵐の炎のレーザーを放し、両手の5本の指からミサイルが
発射され、嵐の炎のレーザーにそのミサイルが紛れ込んだ事で、零地点突破・改を使う事が出来ず、回避していたツナだった。

次々と、嵐の炎を纏わせたミサイルがツナに襲いかかる。
ツナはそれを次々と避けていた。


【どうやら敵は、“零地点突破・改”の長所も短所も把握しているみたいだね。】

【そのようだな。姫、本当に助けに行かなくていいのか?】

【今からでも間に合うよ?】

「………大丈夫、綱吉さんは絶対に勝つ。(超直感も大丈夫だって言ってるし…何より、パパは絶対に負けたりなんかしない!
過去に帰るためにずっと修行してたんだからっ…)」

【……お前がそう言うなら、何も言わん。】

【でも、助けにはいつでも行けるようにしてるから、その時は遠慮なく言って?】

「うん…ありがとう、2人とも。」

【気にするな!だってお前と俺達は…】

【【友達だろ?/友達でしょ?】】
太陽とレオを声を揃えてソラにそう言った。

【…僕らに君が友達のように接してくれているように、僕らも友達として、君のために何かをしてあげたいだけなんだ。】

【だから、気にする事はない。】

「太陽…レオ…」

ジ…ジジ……

「!?…無線がっ…」


水路の上に張り巡らされていた氷が壊されており、ツナはキング・モスカの攻撃でふっ飛ばされていた。

『スピードはさっきの倍にしたよ。これが正真正銘のキング・モスカMAXパワーだ。』

(なんだって!?)

『本領発揮はこれからだって言っただろ?フィニッシュだ…』
キング・モスカから、再び嵐の炎のレーザーがツナに向かって放たれようとしていた。

(油断した…これ程の力を残していたとは………このままでは…もう…どうすればいいんだ……)
諦めかけているツナ

「………“X BURNER(イクスバーナー)”さえ……」呟くツナ

『撃ちゃあいいじゃねぇか。』

『リボ兄の言う通りだよ。あるのは、剛と柔の炎だけ…地上も空中も関係ないよ。』

諦めかけていた所に、自分の耳に装着しているヘッドバンド型のヘッドホンから2つの声が聞こえて来た。

『ダメツナが、頭で考えてんじゃねぇ…ダメもとで突っ込んでこそダメツナだろ?』

『今は何も考えず、ただキング・モスカを撃って!!あんなに練習したんだもん、絶対大丈夫!!』

(リボーン…ソラ…ああ、そうだな…)

リボーンとソラの言葉を聞いて、考えるのをやめたツナ

右手を前方に居るキング・モスカに向けて翳し、左手を後ろに向けた。

ツナに迫って来るモスカがツナに向かって飛びながら、嵐の炎のレーザーを放す。

ツナも、左手で柔の炎を出し、右手で剛の炎を出す。

(決めてやるぜ!!“X BURNERAIR!!(イクスバーナーエアー)”)

前方に向けている右手から、剛の炎が放たれ、少しずつ出力を上げながら、
嵐の炎のレーザーを押し返し、そのままキング・モスカに直撃した。

放し終わった後も、大空の炎を纏ったまま、そのまま落下し始め、地面に落ち、そのまま動かなくなったキング・モスカ

ツナはX BURNERAIRを撃ち終えた後、超モードが解かれ、地面に横たわって気絶していた。

一番最初に戦闘不能になったストゥラオ・モスカの体が開き、そこから緑色のつなぎを着た青年が出てきた。
おそらく、この人がスパナという人物なのだろう。
銃を右手に持って、機体から降りたスパナ

「キング・モスカをあそこまで破壊するなんて…何て凄い技だ……」
そう言いながら、ツナの真上の壁に視線を向けたスパナ

壁には、減り込んだ、ツナの人形が出来ていた。

「だが…これは未完成のようだね。」
ツナの傍まで来たスパナ

「任務は迎撃…」
しゃがんで、ツナを見つめる。

「さいなら」
ツナに銃を向けたスパナ

「!?」
その時、スパナの後頭部に固い物が当たった。

「うちのボスをどうするつもりです?」
スパナの後頭部に銃を押し当てたまま話しかけるソラだった。

先程、ツナがX BURNERAIRを放し終えた後、太陽とレオを匣に戻し、気配を完全に消して近づいて来ていた。

スパナはソラが既にこの場に居た事も、近づいてきていた事にもまったく気付いていなかったようだ。

(…もう1人居るの、忘れてた。)

「どうします?」
未だに銃を押しつけたまま、スパナに問うソラ

スパナは少し考えた後、両手を上に挙げて降参の意を示した。

「………随分とあっさり降参しちゃうんですね?」

「ウチ、まだ死にたくない。それに…ボンゴレ10代目が最後に放った技に興味が湧いた…この技が完成する所が見てみたい。」

「………ミルフィオーレの人…ですよね?」
敵同士のはずなのに、わざわざ敵の技を完成させたいと言う、スパナが信じられなくて、思わず聞いてしまったソラ

「うん。でも、ウチはこの技を完成させたい。」

「(変わった人だな…)…ボスを撃つ気はないんですね?」

「うん。」

(今の言葉に嘘はないみたいだ……それに、この人からは、悪意をまったく感じられない…)

少しそのまま背後からスパナを観察していたソラだったが、敵意がない事が解り、銃を降ろした。

スパナは銃が降ろされた事が解り、両手を降ろして、背後に振り向いた。

「あんた、『陽色の姫君』だろ?」

「そうですよ。」

「…ウチ、あんたの戦いも見た。ストゥラオ・モスカ3体をあっさり倒しちゃったから驚いた。おかげでデータがあまり取れなかったのが残念な所だ…」

「えっと………ぶっ壊しちゃってごめんなさい。」
敵なのに、思わず謝ってしまったソラ

「なんで謝る?ウチは別に気にしてない。」

「でも、あのモスカ達、あなたが作ったんですよね?」

「確かにウチが作ったが、ホントに気にしてない。」

「そう…ですか。(普通、自分の作品壊されたらショックを受けるんじゃないの?)」
ホントに気にしてない様子を見て、心の中でそう呟いてたソラ

「…とりあえず移動しよう。いつまでもここに居ると、他の奴らが時期にここへ来る。」

「そうですね。」
銃を仕舞った後、ツナの傍まで行ってしゃがみ、容態を見て怪我がないか確認していたソラ

「ウチ、スパナ。…あんたは?」

「………みんなからは「姫」って呼ばれてます。」
本名を告げず、偽名を名乗るソラ

「なら、「姫」って呼ばせてもらってもいいか?」

「お好きにどうぞ。…うん、怪我はないみたいだね。服が濡れてるみたいだけど……水の中に落ちたんですか?」
ツナに怪我がない事を確認して安心し、なぜ服が濡れてるかをスパナに聞いた。

「ああ…それはさっき戦闘中に、ウチのモスカで水の中に落とした。」

「そうなんですか。」

「ウチが背負うが…いいか?」

「あっ…はい、お願いします。(太陽を出して運んでもらう事も出来るけど…今戻したばかりだしね。)」

スパナがツナを背負った。

「こっちだ。ウチに着いてきてくれ。」

「解りました。」

ソラはそのままスパナに着いていった。

本当にこのスパナという人は大丈夫なのだろうか…?


標的41へ進む。


今回はストゥラオ・モスカと戦う所です。
アニメや漫画では、モスカは4体しか登場していませんでしたが、
ここではソラも居るので、7体にしました。
太陽の単独戦闘と、ソラ&レオの戦闘を初めて書きました。
上手く書けてるか、やっぱり自信がありませんが、そこは突っ込まないで下さい。
それでは標的41へお進みください。

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