あれから、ソラはリボーンに自分の匣兵器・戦闘力の全てを見せた。
死ぬ気モード(超モードは見せていない。)、アニマル匣(友達)、武器の入った匣の全てを。
よほどの事がない限り、死ぬ気・超モードにはならない事。
精製度A以上のリングは本当にやばい時にしか使わない事。
基本的に銃で応戦しているが、状況によっては、使う武器を変えている事。
リボーンはソラとの戦いの中で、時々驚きながらも、嬉しそうに笑みを浮かべていた。
ーー夜ーー地下7階ーー小食堂ーー
ソラ達は晩御飯を食べながら、話をしていた。
ここには、ソラ、リボーン、山本、ジャンニーニが居た。
「小僧、どうだった?ソラは」
「ああ、強かったぞ。」
「だろっ」
「えっ!?た、戦ったんですか!?ソラさんっ!リボーンさんっ!」
「ああ。」
「うん、戦ったよ。10年前のリボ兄も強かったよ。」
「お前が死ぬ気モードになった時は、ちょっとやばかったぞ。」
「そう?」
「ソラさん、宜しかったんですか?10年前のリボーンさんにあなたの戦い方を全部見せてしまって…」
「うん、リボ兄なら別に構わないよ。あっ、ジャンニーニさん」
「何でしょう?」
「リボ兄の特殊スーツ…新しいのを作ってよ、いつもの黒スーツを。」
「…お、おかしかったでしょうか?今のスーツ…」
「うん。」笑顔で即答。
「そ…そうですか…わかりました、明日の朝までには完成させます。」
その言葉でジャンニーニは少しショックを受けていた。
山本はソラとジャンニーニを見て、苦笑いしていた。
「そういえば、隼人兄はまだ帰ってきてないの?」
「あっ、はい。獄寺様は夕方までには戻ると聞いていたのですが…」
「どうしたんだろう?トラブルかな?」
「獄寺なら、大丈夫だろ。それよりもジャンニーニ、門外顧問とこの使者を迎えにはまだ行かなくてもいいのか?」
「それが…まだなんです。夕方には到着していてもおかしくないのですが…」
「連絡はないの?」
「ありません。どうしましょう?」
「なら、迎えに行くか。ソラ、一緒に来るか?」
「うん、行く。」
「じゃあ、行こうぜ!」
4人は小食堂を後にし、地下5階へ行った。
ーー地下5階通路ーー
ソラ達は地下5階の通路の先にあるエレベーターの方へ向かっていた。
「あれ?これ……なに?こんなのあったっけ?」
見れば、アジトから通路に出る出入り口にバリアが張ってあった。
「ああ、それはノン・トゥリニセッテの物質を遮るバリアですよ。」
「俺のためにジャンニーニが急いで作ってくれたんだぞ。」
「そうだったんだ。」
「すみません。私、ソラさんに報告するのをすっかり忘れていました。」
「気にしないで。」
「んじゃ、行くぜ。ソラ」
「うん。ラル姉を連れて、応接室に行くね?」
ソラはフードを被った。
「ああ、待ってるぞ。」
「じゃあ、行ってくるぜ。」
「行ってきます。」
「いってらっしゃいませ、ソラさん、山本さん」
「気をつけて行けよ。」
ソラと山本はバリアを通り抜けて、アジトの出口に向かった。
ーーアジトの入口付近ーー森の中ーー
「さて、行くか。歩いてれば、向こうと合流出来るはずだ。」
「…タケ兄、何か嫌な予感がする。」
「わかったっ!」
二人は周囲に注意を払いながら、急ぎ足で移動していた。
その時、少し先で音がした。
二人はその音に気付き……
「あっちから、音がしたな…」
「…タケ兄、音を立てずに近づいてみよう。」
「行くのか?」
「行かなきゃいけない気がする。」
「そうか、なら行くか。」
ソラと山本は。少しずつ慎重に忍び足で音のする方に向かっていた。
少しすると、音の正体が見えてきた。
「あれは…ストゥラオ・モスカ」
「けど、なんで何もない岩の方に向かってんだ?」
「…僅かだけど、あそこに気配がある。この気配は……ラル姉だ。たぶんステルスリングで気配を消してるんだ!」
「けど、あのストゥラオは、マモンチェーンでリングの力を封じさえしていれば、見つからないはずだろ!?」
「…たぶん、マモンチェーンをしていないリングを持っていた人が傍に居るのかも。」
「じゃあ…」
そこで声が聞こえ、二人は振り向いた。
すると、ストゥラオの目の前にラル・ミルチが姿を現し、後ろに居る2人の人影に向かって、逃げるように言っていた。
「あいつ、まさかっ」
「囮になるつもりなんだっ!タケ兄っ!」
「おうっ、任せろっ!」
そう言って、山本は走りながら刀を抜き、ストゥラオ・モスカに駆け寄り、鮫衝撃(アタッコ・ディ・スクアーロ)を放った。
衝撃を与えた瞬間、ストゥラオ・モスカは動かなくなった。
ソラはそれを見て、ほっとしたのか、走っていた足を緩め、ゆっくり歩いて近づいていた。
ラル達は突然の事に戸惑っていた。
「“鮫衝撃(アタッコ・ディ・スクアーロ)”、こいつで1分は稼げるはずだ……助っ人とーじょー」
「ま…まさか、おまえ…」
「や…山本!?」
あれ……あの二人はっ……
10年前の、パパと…隼人兄?
…どういう事なの?
ソラは困惑しながらも、山本達が居る場所まで行く。
山本はツナと獄寺を見て、混乱していた。
「幻…?妖怪か?」
「んな訳ないっ」
「うぉっ!?ビックリさせんなよ…」
後ろから、気配を消したまま、いきなりソラが声を掛けたからか、山本はビックリしていた。
ツナと獄寺は山本の後ろから現れた、フードを被った子供を見て、
((誰っ!?))突然の子供の登場に驚いていた。
「お前はっ…」ラルがその子供を見て、驚いた表情をしていた。
「タケ兄がおかしな事言うからだよ。良く見てよ、この二人はどう見ても中学生でしょ!
つまり、10年バズーカでこっちに飛ばされてきたって事。そうですよね?」
ソラは抱き着きたい衝動を必死に抑え込みながら、ツナに視線を向けて確認した。
「あっ、うん、そう。俺たち、10年バズーカで過去から…」
「ああ、そっか、昔の!ははっ…焦ったぜ。」
(タケ兄の天然ボケは一生治りそうにないね。)
ソラは心の中でツッコんだ。
「どーりでな。…元気そうだな、ツナ」
「あ…はぁ…」
「タケ兄、感慨にふけってるとこ悪いけど、はやくここから離れないと…」
「おっと、そうだったな。とりあえず行こーぜ、こんな奴…相手にするだけ損だ。」
「その前に、リングにマモンチェーンを付けないと。」
「あっ!そうだったっ!あの、まだマモンチェーン、残ってますか?」
その言葉でツナは思い出したのか、すぐにラルに聞いた。
「悪いが、もう持っていない。」
「そんなっ…」
それを聞いたソラは、ウェストポーチから予備のマモンチェーンを取り出し、ツナに差し出した。
「はい、予備のマモンチェーンです。これでリングに巻きつけて下さい。」
「あ、ありがとうっ!」
ツナはお礼を言い、すぐにマモンチェーンをリングに巻きつけた。
「それじゃ、移動しましょう。」
「あっ、待ってっ!君は?」
「…アジトに着いてから話します。」
そう言ってソラは歩きだしたため、ツナ達も移動し始めた。
「あははっ…そっか!10年前っていうと、リング争奪戦が終わった頃か。」
「う、うん。」
「懐かしいな…」
山本は10年前のツナと獄寺と楽しそうに話していた。
ソラとラルは、3人の会話には加わらずに、後ろから着いてきていた。
その時、ラルがソラに話しかけてきた。
「お前…ソラだろ?」
「うん、そうだよ。でも、今は『姫』だよ。」
「すまないっ…」
「久しぶりだね、ラル姉」
「ああ…無事だったんだな。」
「うん。タケ兄と隼人兄が守ってくれてたから。」
「そうか…」
「それより……どうなってるの?」
ソラは前にいる、ツナと獄寺を見ながら言った。
「それはオレにもわからん。だが、沢田達は10年バズーカでこちらに来て、5分経っても過去に戻れないということしか……
オレがあいつらに会った時には、既に入れ替わった後だったんだ。」
「そうなんだ。ラル姉は…大丈夫?」
「……ああ、大丈夫だ。」
「そっか。」ソラはラルのその言葉が嘘だと気付きながら、あえて気付かない振りをした。
「ところで、沢田達には…「言わないで!」」
ソラがラルの言葉を遮った。
「……言わないのか?」
「10年前のリボ兄には…話しちゃったけど、パパ達には言わないつもりだから…」
「リボーンも10年バズーカで来ているのか。だが、それでは姫がつらいだけだぞ?本当に言わないつもりなのか?
お前が言いづらいなら、俺が代わりに言ってやってもいいんだぞ?」
ラルはソラを心配そうに見つめながら言った。
「ううん、いいの。だから…お願い、言わないでっ…」
「…わかった。」
「ありがとう、ラル姉」
ラルは前にいる山本に声を掛けた。
「おい…走らなくていいのか?歩いていては朝までかかるぞ。」
「そっか、言ってなかったな。お前が知ってるアジトの在処の情報はガセなんだ。」
「ガセ?」
「そうだよ、ごめんね。タケ兄、そろそろじゃない?」
「そうだな…」そう言いながら、山本は匣を取り出し、リングに巻かれているマモンチェーンを解いた。
「姫、俺の傍に来いよ。」
3日前の事を思い出して、ソラを呼ぶ。
ソラは山本の言わんとしている事がわかったのか、黙って山本の隣に行き、ズボンをしっかりと握った。
山本はそれを確認した後、ツナ達の方を振り向いた。
「俺を見失わないようについてきてくれ。」
そう言った後、雨匣に炎を灯した雨系リングを差し込み、雨燕を出した。
雨燕は周囲を飛び回った。
その瞬間、周囲に雨が降り始めた。
ツナ達はいきなり雨が降り出した事に驚いていた。
「防犯対策のカモフラージュだ、余所見はするなよ。」
初めは少しずつ降っていたが、やがて強い雨になった。
目の前が雨のカーテンのように見えなくなるほどの豪雨になり、視界が遮られた。
ツナ達は雨に打たれながらも、必死に山本についていった。
「こっちだ。」
ツナ達は山本の誘導で、地下ボンゴレアジトの入口に辿り着いた。
ーー地下ボンゴレアジト入口ーー
階段を降りながら、ツナは驚いていた。
「アジトって地下にあんのー!?」
「ああ、そうだ。他にもこんな入口が6か所ある。」
エレベーターの前に着き、山本は指紋認証して、起動させた。
エレベータに全員乗り、地下5階へと動き出した。
「ここはボンゴレの重要な拠点として、建造中だったんだ。」
「まだ出来ていな所はたくさんありますけど…」
そこでエレベーターが止まったので、降りて、歩きだした。
「いまんとこ、6割方できてるってとこだな。」
「す…すげー!ボンゴレってこんなの作れちゃうの!?」
「あははっ、いい事教えてやろーか?……お前が作らせたんだぜ?ツナ」
「えー!?お…俺がー!?」
(パパ、驚いてる。)
「ああ、もう少しでかくなったお前がな。」
「し…信じられない…」
「おっ…そうだ、もうフードを外したらどうだ?姫」
「あっ…」
「なんだ、忘れてたのか?」
「うん。」
「そういえば、君…誰なの?アジトに着いたら、教えてくれるって言ってたよね?」
っと言いながら、ツナはソラの傍に行き、視線を合わせるためにしゃがんだ。
ソラはフードを外した。
「紹介が遅れて申し訳ありませんでした。はじめまして、私はボンゴレ所属、10代目ファミリーの一員、ソラです。
よろしくお願いします。ボス、獄寺さん」
「あっ、うん、よろしく。(っていうかボスって、俺の事!?)」
「お、おう…」
「あれ?でもさっき山本は『姫』って…」
「ん?ああ。訳あって、ソラは味方以外には素性を隠しててな。だから、素性がバレないように呼び方を変えてるんだ。」
「混乱させてすみません。本名は『ソラ』で、素性を隠してる時は『姫』です。」
「そうなんだ…(こんな小さい女の子がマフィア!?ランボより年上…だよね?)」
「何か質問はありますか?」
「あ、あのさ、君…いくつ?」
「6歳です。」
(ろ、6歳!?ランボより1つ上なだけなのー!?しっかりしてるから、てっきりもう少し上かと思ってたよ…)
ツナは目の前に居るソラとランボを比べて驚いていた。
「あの、どうかしましたか?ボス」
「あっ、いや、何でもないよ。ん?…ねぇ、なんで俺の事…ボスって呼ぶの?」
「えっ…なんでって言われましても…あなたがボンゴレファミリー10代目ボスだからですよ。」
「んなー!?お、お願いっ!ボスって言わないでっ!!(ボスになんてなりたくないのに、何でなってんだよ!?10年後の俺!?)」
心の中でここにはいない10年後の自分にツッコんだ。
(昔の事はよく聞いてたから知ってたけど……ほんとにボスになりたくなかったんだね…パパ)
ソラはここには居ない10年後のツナの事を思い出しながら、目の前のツナを見つめていた。
「だ、だからっ…そのっ…」
「……綱吉さん」
「えっ…」
「ボスって呼ばれたくないんですよね?だったら、綱吉さんって呼ばせて貰っても良いですか?」
ソラはツナにそう言って、微笑んでいた。
「…あ、ありがとうっ!うん、その呼び方で構わないよ!(よ、良かった〜…獄寺君みたいに
呼び方が変わらなかったら、どうしようかと思ったよ…)」
ツナもソラに釣られたのか、満面の笑顔で答えていた。
ツナとソラのやり取りを見ていた獄寺は…
(じゅ、10代目が笑ってらっしゃる…あのガキ、10代目の事を名前で呼ぶなんて、なんて恐れ多い事をっ…)
と心の中で言いながら、獄寺はソラを睨みつけていた。
当然ソラはそれに気付いていたが、気付かない振りをして耐えていた。
バリアの張ってある出入り口まで着くと…
「おい、あの装置は何だ?」ラルが山本に聞いた。
「ああ、メカニックのジャンニーニが作った、なんとかって物質を遮るバリアだそうだ。」
「タケ兄、ノン・トゥリニセッテだよ。」
「そう、それっ」
ツナはバリアを見て、不安そうな顔をしてした。
「大丈夫だって、来いよ。」っと言いながら、バリアを通り抜けて、安全性を保障した。
「10年前よりはちゃんとした物を発明しているみたいですから、心配はいりませんよ。」
ソラも山本と同じように、バリアを通り抜けて、ツナを安心させた。
ツナは勇気を出して、通り抜けた。
「…何ともないや」ツナはほっとした。
獄寺が通り抜け、ラルが通り抜けけようとした時…
「あっ!ラル姉、待ってっ!」
言うのが遅かったのか、ラルはバリアを通り抜けている時、体にショックを受けて、気絶した。
「ラル姉っ!」
倒れそうになったのを、ソラが駆けつけて、受け止め、ゆっくりと降ろした。
「しまったっ…すまない。」
山本はソラとラルに駆け寄った。
「ど…どうなってんの!?なんでこの人だけ!?」
「とりあえず心配ない、環境の急激な変化に体がショックを起こしただけだ。」
「ここはラル姉達にとって、外界とは違う作りになってますから…」
「少しすりゃ、目を覚ます」
山本はそう言いながら、ラルをお姫様抱っこして歩き始めた。
ついに10年前のツナと獄寺登場!
やっと10年前のツナを出せましたっ!
ここからはアニメ沿いなので、悪戦苦闘しながら、ソラの出番をしっかり入れて書いています!!
この調子で頑張って書いていきますので、どうぞよろしくお願いします!
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