ダクトの中でレーザーが放たれる寸前の所で、ソラに言われた通りに下を切り裂いた山本
切り裂かれた事で、レーザーの餌食ならずに済んだ。
床に綺麗に着地出来た者とそうでない者が居たが、全員無事だった。
(た…助かったっ……)レーザーの餌食ならずに済んで良かったと本気でそう思ったソラ
「おっ…おもっ…」下敷きになってるツナがそう呟いた。
「すんませんっ、10代目!!」
「わりぃ、わりぃ、大丈夫か?ツナ」
獄寺と山本がツナの上から避けながら謝っていた。
「な…なんとか。」
ツナがそう言ったのを聞き、ほっとする獄寺と山本
「だけど、危なかったな…」天井を見上げながら言う獄寺
「ああ、ギリだぜっ…姫が言ってくれてなかったら、やばかったのな……」山本も天井を見上げながらそう言う。
「武さんが私の言った通りに下を切り裂いてくれて助かったよ。」
ソラも天井を見上げながらそう言う。
「なぜだ?赤外線には触れてなかったはず…」
赤外線には全く触れていないのにレーザーが起動した事に疑問を抱くラル
その時、ツナ達以外の声が聞こえてきた。
「ハハァ〜俺がスイッチを押したからだぁ〜…ハァ〜モグラでなく人間のガキだ〜」
ツナ達は突然聞こえた声の方に振り向いた。
そこには、肩にアーマー型のレーザー発射装置を装着している大きな男の人がいた。
「でけっ」驚く山本
それは山本に限らず、ツナ達も同様に驚いてた。
「んん〜?ガキ…?確かボンゴレ10代目達もガキだって言ってたな〜でも奴らは今攻められてボコボコにされてんだもん、違うよな〜」
(………この人、パパ達がその10代目ファミリーだって気付いてないの?)
今この時代に居るボンゴレ10代目達が10年前の姿だという情報は知っているのに、ツナ達に気付かないのを見てそう思ったソラ
「って事は一般人が紛れ込んだんだなぁ〜」
「えっ!?一般人…」呆然とするツナ
「そりゃ違いねぇけど……」山本が呟く。
「頭はあまり良くないようだな。」了平が大きな男を見ながら言う。
「ちっ…」舌打ちする獄寺
(こ…この人、頭悪過ぎるっ…一般人がこんな所に紛れ込む訳ないじゃん。)
大きな男を見ながら呆れるソラ
「ま〜いいや。お前達のおかげで、ここに届いた武器の試し撃ちが出来るな〜」
「えっ!?」男の言葉に驚くツナ
(あのレーザー発射装置を使う気!?マズイっ…)
冷静さを保ちながらも少し焦るソラ
「兵器の威力を見るのは、生身の標的が1番だからな〜」
そう言いながら、右手の中指に嵌めている雷系リングに炎を灯し、アーマー型レーザー発射装置に付いてる、
炎を注入する所にリングを差し込んだ。
するとその装置が雷の炎のレーザーをツナ達に向けて放った。
「ハハハァ〜…なかなかの威力だな、これは。使えそうだ〜…これじゃ骨も残らんな〜」
「今の誰だ?」
煙がまだ晴れてないせいで状況を確認する事は出来ないが、
誰かが防いだ事だけは解った山本
「ぬ!!」声が聞こえてきて、自分が今撃った方を凝視する。
「オレではない。」
「同じく。」
「俺も何も…」
「俺もっス」
少しずつ煙が晴れながら、ラル、了平、ツナ、獄寺がそう言う。
「私だよ。」
その時、煙が完全に晴れ、ツナ達がソラの方に視線を向ければ、いつの間にかソラの傍に晴カンガルーの太陽が居た。
どうやったかは解らないが、太陽を匣から出して、あのレーザーを防いでくれた事だけは解った。
「ありがとう、姫ちゃん」ツナがお礼を言う。
「お礼なら、私じゃなくて太陽に言って。…太陽、ありがとう、助かったよ。」
自分の横に居る太陽に視線を向けながら、そう言ったソラ
【フっ…お前達が無事なら、それでいい。】そう言いながら、ソラの頭を撫でた太陽
「な…何ぃっ!?」自分が放ったレーザーを防いだ事に驚く。
「ありがとう!太陽」ツナが太陽に笑顔を向けてお礼を言う。
【気にするな。】
自分の言葉は伝わらないので、代わりにツナの頭をボンポン叩いた。
「……気にするな?」ツナは太陽の言いたい事がなんとなく解った。
ツナに頷いて肯定した太陽
「姫、今のどうやって防いだんだ?太陽が防いでくれたのは解ったんだけどよ…」
「さて、どうやってだろうね?」
ソラは山本の質問に答える気はないようだ。
「…道を開けろ、無駄マッチョ…遊んでる暇はねぇ…」
「む…無駄!?チキショー!!このガキが〜!!俺の事知らずに〜!!」
獄寺の言葉にキレ、匣を取り出し、リングに炎を灯して開匣した。
(隼人兄、敵を怒らせてどうするの…)呆れるソラ
「許さんっ……蹴散らしてやる!!デンドロ様のこの“電槍(ランチャ・エレットリカ)”でな〜!!」
槍を右手に持ったデンドロ
匣から出て来たのは、雷の炎を纏った、大きな槍だった。
「槍?」ツナがデンドロの持っている武器を見てそう言った。
(デンドロ?それにあの雷の炎を纏った槍………間違いない、あの人は…)
敵の正体に気付いたソラ
「こいつは…『一番槍(アラッタッコ)』の異名を持つ、切り込み重装兵のデンドロ・キラムだ。」
「アラッタッコって?」首を傾げたツナ
「一番槍って意味だよ。…頭は見ての通り、物凄く悪いみたいだけど……デンドロ・キラムは第16ロドデンドロ隊の隊長だよ。」
「なっ!?あいつ、隊長なのかよ!?」ソラの言葉を聞いて驚く獄寺
【…馬鹿なのに、よく隊長になれたな……】信じられないという表情をしていた太陽
「たぶんミルフィオーレでは、頭が良くなくても、実力があれば隊長になる事が出来るんだよ。」
【なるほど……それなら納得だ。】
「あの人を後方に配置すると、背後から味方ごと串刺しにするキレた男…」
「なっ…味方ごと!?」驚くツナ
「どおりで、やばそうな奴だぜ。」デンドロがどんな奴が理解した獄寺
「槍を持った、奴の突破力はミルフィオーレ随一…雷の匣の特徴である“硬化”により、コーティングされた槍に貫けぬものは無いとも聞く。」
(……ラル姉の言う通り、『一番槍(アラッタッコ)』は確かに凄い突破力を持ってると聞く。でも、あの槍は…違う。)
デンドロが今出してる槍を見てそう思ったソラ
「やっかいだな…」
「いったん間合いを取るぞ。」
了平とラルがそう言った。
「ハァ〜?間合い!?そんなものやるか!!ぶっ散れ!!“電撃突き!!(コルボ・エレットロ・ショック)”」
デンドロがツナ達に向けて、槍を突いた。
(…会心の一突きだな〜)ニヤニヤするデンドロ
「ハハァ〜今度こそ飛び散った!!……ん?引けないぞ?なんでだ?おかしいな〜」
高笑いしながら、槍を引こうとしたが、なぜか引けなかった。
「なっ…何ぃ!?」
煙が晴れ、状況を確認したデンドロが驚いた声を出した。
槍を引けなかったのは、超モードになったツナが槍を受け止めていたからだった。
「聞こえなかったのか?遊んでいる暇はない。」
「ぬぅぅぅ〜っ!!(こんのヤロー…引いてもダメなら、押してやれ!!)」
片手で引くのをやめ、両手で押し始めたデンドロ
「ふぬ〜!!…なんでだ!?なんでビクともしない〜!!」
ビクともせず、槍の先端がつぶれていくだけだった。
「後ろ側にある、手の炎だな…」
「ああ。あの炎は絶妙だぜ。」
山本と獄寺がツナを見てそう言った。
【ふむ。武と隼人、あの炎が見えるのか。】
2人の様子を見て感心していた太陽
(タケ兄と隼人兄、あの炎が見えるようになったんだ……相当腕を上げたみたいだね。そう…パパを支えているのは足の力だけじゃなく、
薄く放射され、目視さえ難しい後方の手が放っている柔の炎!!)
「ありえないんだな!!デンドロ様がこんなガキにぃ〜!!」
「まだカタギだと思ってやがる。」
「めでたいな。」
「いくらなんでも…頭悪過ぎでしょ。…今までよく隊長が務まったねと言いたい……」
【同感だ。】
呆れる獄寺、ラル、ソラ、太陽
「沢田、手を貸そうか?」ツナに声を掛けた了平
「下がってろ」
「フっ…だろうな。どう見ても必要ない。」
「チッ…チクショー!!お前達舐めやがって〜!!」
押すのやめて、ボロボロになった槍を捨てた後、ツナから間合いを取ったデンドロ
「こうなれば、俺の本気の力を見せてやるぞ!!」
「そうしてくれ。」
「!……何をしている、沢田!!敵に隙を与えるなと教えたはずだ!!奴はまだ匣を持っている可能性があるんだぞ!!」
ツナに忠告するラル
「わかってる。」
「ラル姉、大丈夫だよ。」
「だがっ…」
「匣はたぶん持ってると思うよ?だって……デンドロはまだ『一番槍(タラッタッコ)』と呼ばれてる槍を出してないもん。」
「何だと!?」驚くラル
「ヒハハハッ…ベソをかいても、もう遅いな!!出て来い!!“雷猪!!(エレットロ・チンギャーレ)”」
そう言いながら、また別の匣を出して、開匣したデンドロ
匣から出て来たのは、雷の炎を全身に纏った、巨大な猪だった。
「雷属性の猪!!」匣から出て来た動物を見てそう言ったラル
「な…なんつー巨大な!!」普通の猪よりでかくて驚いた獄寺
「槍じゃなくて、アニマル匣か…」デンドロが出した雷猪を見ながら呟いたソラ
「ハハァ〜これがデンドロ様の相棒“電猪(エレットロ・チンギャーレ)”だ!こいつの2本の角こそが、デンドロ様の
もう1つの“2本槍(トッピオ・コルノ・ランチャ)”なんだな!!」
「トッピオ・コルノ・ランチャ……2本の槍…」獄寺がそう呟く。
「聞いて驚くな!!こいつの突破力は俺の5倍だ!!止めた者は誰も居ないぞ!!」
「だろうな。」デンドロの言葉にまったく動揺する様子を見せないツナ
(なるほど…これがデンドロの『一番槍(アラッタッコ)』か。)
デンドロの言葉を聞いて、1人納得していたソラ
「待っていたぜ、本当の『一番槍』」ツナがそう言った。
「!……ミルフィオーレの誇る『一番槍(アラッタッコ)』とは、デンドロ自身ではなく、匣兵器という事か!」
ツナの言葉を聞いて、一番槍(アラッタッコ)の正体が解った了平
「ツナの奴、見抜いていたんだな。」
「さすがっス!!」
「姫、お前も気付いていたようだが……なぜ解ったんだ?」
ラルが気になってソラに聞いた。
「ん〜…さっき出してた“電撃突き(コルボ・エレットロ・ショック)”……綱吉さんがあんなに簡単に止めてるんだもん。
絶対『一番槍(アラッタッコ)』じゃないと思った。それにあの槍なら、ぶっ壊せばすぐに終わるしね。」
「ぶ…ぶっ壊せばってっ…」ソラの言葉を聞いて唖然とするラル
【確かにぶっ壊してしまえばその攻撃を喰らう事はないが……そんな早技が出来るのは、たぶんお前だけだぞ?素早くかつ、
威力ある攻撃をぶつけて武器を破壊するのだからな。】
「………」太陽にそう言われ、黙ってしまったソラ
「なぁ、獄寺」
「んだよ?」
「あいつがさっき持ってた槍…すぐに壊せるか?」
「……壊せねぇ…」
「俺もだ。」
「あいつ、ぶっ壊すだなんて簡単に言いやがってっ……」
獄寺と山本は、改めてソラの凄さを知った瞬間だった。
「あの嫌なガキを消せ!!行け!!猪突猛進、“チンギャーレ・スコントロ・フロンターレ”だ!!」
デンドロの指示通り、ツナに向かって突進してきた雷猪
突進してくる雷猪に対して、ツナはその場を動かず、受け止める体制に入った。
「避けんのか、沢田!!」避けないツナを見て、叫んだ了平
「これくらいの攻撃…止められなければ、入江の所まで辿り着けそうにないからな。」
(戯けが…)ツナの言葉を聞いて、心の中で呟くラル
【これくらい、止めて貰わなければ困るぞ。綱吉】
「手厳しいね、太陽」
【フっ…綱吉は本当に強い。だからこそ、こんな奴に負けて欲しくないだけだ。】
「そうだね………負けたりなんかしないよ?絶対にっ…」太陽に迷いなく、はっきりと答えたソラ
【ああ、そうだな。(…お前の父親がこんな奴に負けるはずがないよな。)】
突進してきた雷猪の2本の角を両手で掴んだツナ
そのまま突進し続ける雷猪
「10代目!!」
「ツナ!!」
心配する獄寺と山本
突進し続けている雷猪はそのまま、山積みされた貨物の中に突っ込んでいった。
ぶつかった後、積まれていた貨物が崩れた。
「なっ……10代目!!」
「ハハハァ〜!!見たかっ、一瞬だ!!」
フオオ……
崩れた貨物の方から、何かの音が聞こえて来た。
そして、崩れていた貨物を全部吹き飛ばされた。
「のわ!?」驚くデンドロ
左手で雷猪を押さえ、右手に剛の炎を放射させて、食い止めていたツナ
「と…止めてる!!」驚く山本
「当然だ。剛の炎を使う時の衝撃はこんなものではないからな。」
ラルが驚いている山本にそう言った。
【剛の炎……随分と使いこなせるようになっているな。この短期間の間に…】
ツナを見て感心していた太陽
その時、デンドロがツナに向かって走りながら、また別の匣にリングを差し込んで、雷槍を出した。
どうやら、もう1つ持っていたようだ。
「わかってないな〜!!両手を使えないんだぞ!!トドメの一突きだな!!」
そう言いながら、雷猪の後ろの方から走って跳び、ツナに向かって、トドメの一撃を与えようとしていた。
ツナは顔を上に向け、雷猪に右膝蹴りを喰らわして、上に居るデンドロの方へぶっ飛ばした。
雷猪をぶつけられ、そのまま床に落ち、下敷きになったデンドロ
「くそっ…何て事するんだな〜!!」
自分の上に乗っかっていた雷猪を退かしながら言う。
「あれ?どこだ?」立ち上がったデンドロが周りを見回した。
「ん?はぅあっ…てっ…天井〜!?」
ふと上に視線を向けると、そこにツナが天井に足をついた状態で居るのを見て驚いたデンドロ
ツナは天井から降りて来た。
「終わらせるぞ。」左手で拳を作り、右手の手の平に甲の部分をつけた状態で構えたツナ
「な!!」
「あの構えは…」
(やる気か…)
(あの構えは、“X BURNER(イクスバーナー)”……)
【(あの構え……あれを撃つのか…)】
ツナの構えを見て何をするのか解った獄寺、ラル、ソラ、太陽
「優しくしてれば、調子に乗りやがって!!こうなれば、3本同時の“3本槍(トリプロ・コルノ・ランチャ)”だぁ!!」
雷猪の上に乗り、雷槍を構えたデンドロ
「今度は3本槍か…」了平が呟く。
「行けぇ!!」デンドロがそう言うと、雷猪がツナに向かって突進してきた。
ツナは左手を後ろに向けて柔の炎を放射させる。
(そうだ…この柔の炎の支えがあるからこそ…)
ツナを黙って見つめながら心の中で言うラル
左手に柔の炎を出した後、右手を前に出して、剛の炎を出す。
「X BURNER!!(イクスバーナー)」
そう言いながら、突進してくる雷猪に乗った、デンドロに向けて剛の炎を放出した。
「うわあぁぁーっ…」ツナのX BURNERの直撃を受けたデンドロが悲鳴をあげていた。
X BURNERを撃ち終えた後、そこには、雷猪の姿はなく、デンドロが気を失って倒れているだけだった。
「ラル姉、あそこに監視カメラがある。」
監視カメラがある方を指しながら、ラルに言うソラ
「ああ、わかった。オレに任せろ。」
ソラの言わんとしている事が解り、すぐに監視カメラにある物を取り付けに行った。
【さて、匣に戻るか。…姫、俺はいつでも戦えるから、遠慮なく呼べ。】
「うん、ありがとう!」太陽に向けて匣を翳したソラ
すると、匣の中に戻っていった太陽
「さて、次はこのデンドロって人を縛らないといけないんだけど……」
倒れてるデンドロを見ながら言うソラ
「それは俺と獄寺に任せてくれよ!」
「なっ!?何勝手に決めてやがる!野球バカ!!」
怒鳴る獄寺
「良いじゃねぇか!ほらっ」
そう言って獄寺に縄を渡した。
山本は獄寺に縄を渡した後、デンドロを縄で縛り始めた。
「ちっ…」舌打ちしながらも、獄寺もデンドロを縄で縛り始める。
「ふぅっ…出来たぜっ」縛り終わった山本が一息ついていた。
「体が馬鹿でけんで、縛り上げんのもひと苦労だぜ!!」
そう言いながら、獄寺も縛り終わった。
「バレてないよね?」超モードから戻ったツナがラルに聞く。
「心配ない。姫に言われて、今、ステルスリングを使って、カメラに特殊なフィルターを取り付けた。連中には、いつもと変わらず、
何もない光景が見えているはずだ。」
(ジャンニーニさんが作ってくれた『偽景フィルター』……名前の通り、偽物の風景を見せる物だけど、それも時間稼ぎに過ぎない……
いつ敵にバレるかっ……)偽景フィルターをつけた監視カメラを見つめながらそう思っていたソラ
「よし!では次に行こう。」
「そうだね。あれを取り付けているとはいえ、いつ敵に見つかるか解らないし。」
了平の後にソラがそう付け加えた。
「次は地下8階だ。警備システムのサーバーをダウンさせる。」ラルが次の目的地を言う。
「こっちの居場所を掴ませないようにするんスね?」
「後は一気に入江正一をっ…!!」
「う…うん!(そうすればあのっ…夢で見た謎の装置も、過去に戻れる重要な鍵も…全てが解るはずだ…)」
山本、獄寺、ツナの順に言った。
(……正一さん、このアジトのどこかに、居るんだよね…?……本当に敵なのかな…?あんまり戦いたくないんだけどな……)
ソラは心の中でそう呟いていた。
「ぐずぐずしている暇はない!行くぞ、沢田!!」
ツナにそう言うラル
「う…うん!……行こう!!」
ツナがそう言い、駆け出した。
ツナの後に続くように、他のみんなも駆け出して、この場を去った。
ーー地下8階へ繋がるダクト前ーー
山本と獄寺がダクトの入り口の扉を開けた。
「よし、ここから一気に地下8階まで降りる。」
ラルがツナ達にそう言った。
「ここから一気に!?かなりあるよ。」
ツナと山本と獄寺がダクトの中を覗きながら、話をしていた。
(地下3階から地下8階まで一気に…)ソラもダクトの中を覗き込んでいた。
「よし、沢田」
「え?」
覗きこんでいたツナ達がラルに視線を向けた。
「先に行け。」
「ええ!?俺が!?」驚くツナ
「万一、足を滑らせても、お前が先頭なら、他の者が巻き添えを喰らう心配はないからな。」
「は…はぁ…」ラルの説明で納得したツナ
「てっ…てめぇっ…10代目、俺が行きます!!」
「あっ…い、いや、いいよ。獄寺君」
「し…しかし…」
「ラル・ミルチの言う通りだよ。俺が先に行く。」
そう言いながら、梯子に捕まって下り始めたツナ
「10代目、お気をつけて。」
「沢田、もし落ちても極限鍛えていれば、捻挫しないで済む!」
「頭だけは守れよ?ツナ」
「足元に気をつけてね?綱吉さん」
ツナが落ちる事前提で声を掛けていた、獄寺、了平、山本、ソラだった。
(うわぁ…みんな、俺が落ちる事前提にしてっ…しかも、ソラちゃんまで〜…)
ソラまで落ちる事前提で言っているのを聞いて少し落ち込むツナだった。
「うわぁ!?」さっそく足を滑らせたツナ
少し滑ったが、両手を梯子に引っ掛けて止まった。
「10代目!!」
「大丈夫か!?」
「綱吉さん、大丈夫!?」
山本、獄寺、ソラがダクトの中を覗きこみながら、声を掛けた。
「だ…大丈夫!!(でも、顎打った〜…)」
ツナがそう言ったのを聞いてほっとした獄寺達
(パパが運動駄目なのは知ってるけど、言った傍から、いきなり足を滑らせないでよ…)
ツナが無事なのにほっとしながらも、心の中でそう言っていたソラだった。
その後、獄寺、山本、ラル、ソラ、了平の順でダクトの中を下り始めた。
ーー地下8階へ続くダクトの中ーー中間あたりーー
「あともう半分と言ったところだ。」ラルがゴーグルで地図を見て、現在地を確認しながら言った。
「まだ半分しか下りてないの!?結構下りたのにっ…」
「頑張りましょう!10代目!!」
「ツナ、頑張ろうぜ!!」
ツナを励ます獄寺と山本
(あと半分っ……ハァ……ハァ……みんなより体が小さい分、長く感じるんだっ……)
ラルの言葉を聞きながら、肩で息をしていたソラ
「ふむ……ようやく半分か。ん…?」
ラルの言葉を聞いて呟き、その時何か気付いた了平
「よし、このまま続けて下りるぞ。」
「ちょっと待ってくれ!!」
了平が待ったを掛けた。
「どうした?笹川……!…姫!?」
「えっ!?姫ちゃんがどうかしたんですか!?」
真っ先に反応するツナ
「姫がどうかしたんスか?」
山本も気になって上を見上げた。
獄寺も口には出さなかったが、気になって上を見上げた。
「姫、大丈夫か?」
了平がソラに声を掛けた。
「だ…大丈夫っ…っ……」
ソラは梯子に捕まった状態で肩で息をしていた。
フードで顔は隠れているが、かなり疲れている様子が見てるだけで解った。
「……姫、俺に掴まれ。ここからは俺がお前を背負って下りる。」
「で…でもっ…それじゃ了兄がっ…」
「心配は要らん!!俺は極限に鍛えているからな!!それに……その小さな体で良くここまで来れたと褒めたいくらいだぞ!お前が極限に
鍛えられている証拠だからな!!俺達のペースに合わせた上、下りる回数も多かったんだ。疲れてしまっても仕方あるまい…」
敵アジトのダクト内なので、声のボリュームは普段の時より抑えているが、それでも大きい声を出していた了平
「笹川の言う通りだ。素直に笹川に背負われてろ。その間に少しでも体力を回復させておけ。」
「ラル姉…」
「ラルの言う通りだ。だから…な?」
「………解った。」
上から、了平が自分の事を本当に心配そうな顔で見ているのを見て、大人しく背負われる事にしたソラ
了平は真下に居るソラに右手を差し伸べ、ソラは了平の手を握った。すると、了平が片手だけでソラを持ちあげ、
その時、ソラが自分から背中へ移動した事で了平に背負われた状態になった。
「姫、しっかり掴まってろよ?」
「うん……ありがとう、了兄」
「気にするな!(…ソラ、遠慮なんて要らないんだぞ?俺はお前の伯父なんだからな…)」
(ソラ、お前は少し頑張り過ぎだ。休める時には休んでおけ。)
(ソラ、頑張るな〜……俺も頑張らねぇとな!!)
(…あいつ、頑張り過ぎだろっ…)
(ソラちゃん……肩で息するくらい疲れてたんだ……そうだよね、体の大きい俺達より酷だもんね、ここを下りるの……
よ〜しっ、俺もソラちゃんに負けてられない!頑張れ!俺っ!!)
ラル、山本、獄寺、ツナがその様子を静かに見守りながら、心の中でそれぞれ思っていた。
今回のお話はデンドロ・キラムと戦闘をする所です。
デンドロの最初の攻撃……レーザーを防ぐのが、本来は獄寺だが、
ここをソラのアニマル匣「太陽」で防がせました!
それでは標的37へお進み下さい。