明日はいよいよ敵のアジトに突入する日……
ツナ達は、それぞれ修行の仕上げをしていた。
もちろん、ソラも約束通り、最後の仕上げの相手をリボーンにして貰っていた。
ーー地下8階ーー個人トレーニングルームーー
ソラとリボーンは戦っていた。
敵のアジトに突入する前の最終調整のために……
「レオ、そろそろ終わらせるよ?」
ソラは右手に握っている、銃に姿を変えているレオに言う。
【わかった!】
ソラは左の銃を後ろに向けて、晴の炎を噴射させて、その推進力で一気にリボーンに詰め寄った。
リボーンは銃に姿を変えていたレオンで、ソラを狙い撃ちするが、
ソラは右の銃で撃って、相殺して防いでいた。
「レオ!“武器変化!!(カンビオ・アルマ)”」
その掛け声で、レオは銃から刀に姿を変えた。
その刀は晴の死ぬ気の炎を纏わせていた。
ソラは一気にそのままリボーンに刀を振り下ろした。
リボーンは少しだけ反応するのが遅れたが、直撃する直前、レオンが銃から盾に姿を変えた事でその刀を防いでいた。
「……やっぱおめーはすげーな。」そう言いながら、レオンを元の姿に戻した。
「どう……かな?」リボーンに聞きながら、ソラもレオを元の姿に戻した。
「ああ、良いと思うぞ。死ぬ気状態じゃねぇのに、これ程とはな……(やっぱソラは、その並外れた戦闘力があるから強いんじゃねぇ……
よく考えて、その時の状況に合わせて戦ってるから強いんだな。)」
今の戦いを思い出しながら、リボーンは心の中でそう思っていた。
左手に持っていた銃を左太股のガンホルダーに仕舞い、レオを左肩の乗せた。
【お疲れ様!ソラ】ソラの左肩からレオが声を掛けた。
「ありがとう!レオもお疲れ様!!ゆっくり休んでて?」そう言いながら、レオに向けて匣を翳したソラ
【ソラも明日に備えて、しっかり休んでね!】そう言ってから、匣の中へ戻っていったレオ
「リボ兄、付き合ってくれてありがとう。」満面の笑顔でお礼を言うソラ
「どう致しましてだぞ。それじゃ、俺は山本の抜き打ちの最終試験に行って来るぞ。」
「頑張ってね。」
「ああ。」
リボーンは山本の居る、地下10階へ行った。
「明日はいよいよ突入か………タケ兄、リボ兄から合格貰えるかな……?」
少しの間そのままで居たが、個人トレーニングルームを出ていった。
ーー地下13階ーー集中治療室ーー
ソラはお風呂に入る前に、クロームの様子を見に来ていた。
クロームは酸素マスクを着けた状態で、ベッドで眠っていた。
ソラは起こさないように、音を立てずにベッドへ近づき、傍にある椅子に座った。
(凪姉の容態…安定してるみたいだね。)
クロームの様子を見てそう思ったソラ
「う…う〜ん……」
ゆっくりと目を覚ましたクローム
首を動かして横を見ると、ソラが居る事に気付いた。
「あなたは…あの時のっ…」
自分の幻覚で内臓を作っていた時の事を思い出す。
「具合はどうですか?クロームさん」
「……大丈夫……」
「そうですか。それは良かったです。」
クロームに向けて、満面の笑顔を浮かべたソラ
「あのっ……」
「はじめまして、私の名前はソラです。」
クロームの聞きたい事が解ったソラがそう言った。
「……ソラ…?」
「はい、そうです。」
「………骸様が、言ってた人……」
「ん?」
「骸様がソラを頼りなさいって……」
「私を?」自分を指差しながら確認するソラ
「うん……骸様が言ってた。…あなたは、私の過去の事も知ってるって…………私の本当の名前……知ってる?」
「………知ってます。この時代のクロームさんが教えてくれました。本当の名前は…「凪」だと…」
言うか迷ったが、話す事に決めたソラ
「私の内臓が…なぜ失われているのかも、知ってるの?」
「はい。……クロームさんのご両親の事も含めて、過去の事は全て教えてくれました。骸兄と出会った経緯も……」
「そうなんだ……(この時代の私が…)」
「……骸兄は他に何か言ってました?」
「えっと……」急いでその時の事を思い出そうとしたクローム
「焦らないで、ゆっくり思い出して下さい。」焦るクロームに優しい声を掛けて落ち着かせるソラ
「う、うん…」
少し時間が経ち……
「思い出した…」
「教えてくれますか?」
「うん。…骸様が、あなたと仲良くするようにって言ってた。」
「そうですか。」
「あと………あなたに何かお願いされたら、迷わず引き受けるようにって……」
「(骸兄、何言っちゃってるかな……)…お願いの事は別に断ったって構わないですよ。骸兄の言葉は無視して下さって結構です。」
「で、でもっ……」
「自分で判断して、引き受けるか、断るか、決めて下さい。お願いを聞くのも、聞かないのも、クロームさんの自由です。」
(……でも、骸様はこの子の事を気に入ってる……)
骸が気に掛けている子だからこそ、お願いは聞かなければと思っているクローム
「……ハァ〜…仕方ありませんね。じゃあ、こうしましょう。」
「?」
「私と友達になって下さい。」
「えっ…」
「骸兄の事を気にせず、あなたの判断で決めて下さい。友達になるも、ならないも、あなたの…凪さんの自由です。どうしますか?」
「!!」眼を見開くクローム
「私は、骸兄と繋がりがあるからとか関係ない。凪さんとただ友達になりたいんです。」
「私と…?」
「はい。」
「私は……(嬉しい……でも、友達になっても良いのかな……?)」
「………年下はダメですか?」
クロームが悩んでいるのを見て、クロームに聞くソラ
「そんな事っ……」
「じゃあ、もしYesなら、名前を呼んで下さい。この時代の凪さんは私の事を「ソラ」って呼んでくれていました。」
クロームには、友達と呼べる存在が今まで居なかったので、どうすればいいのか解らないだけだと知っているソラがそう助言した。
「!(友達に……なっても、良いの……?)」
ソラの言葉が嬉しくて、涙を流すクローム
ソラはポケットからハンカチを取り出して、クロームの涙を黙って拭いていた。
「あり…がとう………ソラ」
「それが答えですか?」クロームの涙を拭った後、ハンカチを仕舞った。
「うんっ…」
「どうですか?自分で判断して選んだ答えは…」
「あっ……」
「骸兄に言われてお願いを聞くのと、自分の判断でお願いを聞くのとでは、また違うと思うんです。今みたいに、私が友達になってって言って、
骸兄に言われた通り、お願いを聞いたとする。でもそれは骸に仲良くするように言われたからそうするだけ……って言うのは、本当の意味で
友達とは言わないと思います。でも、自分で選んで決めたなら、どうですか?」
「とっても嬉しい……」
「でしょ?お願いの中にはもしかしたら、自分がやりたくないのもあるかもしれません。そんな時、骸兄の言う通りにしていたら、きっとあとで
後悔しますよ?自分で判断して選べば、きっと後悔なんてしないはずです。だから、今みたいに、自分で選んで決めて下さい。もし、それで
骸兄が何か言ってきたら、私に言って下さい。」
「ありがとう…」そう言いながら、少し微笑んだクローム
「どう致しまして。」
「…ソラ、いくつなの?」
「6歳ですよ。」
「えっ…!?……ほんとに?」信じられないという顔をしていたクローム
「本当ですよ。みんな6歳に見えないって言いますけどね。」
(……6歳にしては、しっかりし過ぎてるからだと思う……)
声にこそ出さなかったが、心の中でそうつぶやいたクロームだった。
「あっ、みんなと居る時はクロームさんって呼びますね?」
「うん。」
「あと……」
「?」
「凪さん、内臓を作ってた時の事……どこまで覚えてます?」
「えっと……ソラとモモンガが私に炎を流してくれてたのは覚えてるよ?オレンジと黄色の炎を……」
「やっぱりっ…」頭に右手を添えたソラ
「どうか…した?」
「あのですね、オレンジ色が大空で、黄色が晴なんですけど、その……私が大空の炎を灯せる事、綱吉さん達に黙ってて欲しいんです。」
「ボス達に?……どうして?」
「それは言えません。でも、綱吉さん達には言ってないんです。大空の炎が灯せる事は……」
「………わかった。ボス達には言わない。」
何が理由があって言わないのだと察したクロームがそう言った。
「ありがとうございます。」
「ど…どう致しまして。」
お礼を言われる事に慣れていないのか、照れるクローム
「うふふっ……なんか不思議ですね。こうやって昔の凪さんと話すのは……」
「そう…?」
「はい。」
「ソラは……この時代の私と仲が良かったの?」
「はい。私、この時代の凪さんには時々面倒見て貰ってましたから。」
「私に?」
「はい。」
「そっか……ソラはこの時代の人だもんね………何年待てばいいのかな?あなたと出会うのはいつ?」
「それは……」
「?」
「たぶん、4年後に……」
「4年後って事は……赤ちゃんの時?」
「はい……でも、本当に生まれてくるかは解りません。」
「どうして?」
「……凪さん達が、過去から来た事で、おそらく過去に戻った時には、未来が変わってると思うんです。だから……」
過去からツナ達が来たので、戻った時にはこことは違う未来を歩むと思ったソラ
それを聞いて、何も言えなかったクローム
少し沈黙が続いた…
「……私、信じてる。元の世界でソラに会える事を……」
(凪姉…)クロームの言葉が素直に嬉しかったソラ
「ソラ」
「何ですか?」
「助けてくれて……ありがとう。」
「どう致しまして。それじゃ、私、もう行きますね?」
「えっ…」
「容態は随分良くなっているみたいですけど、まだ、体力が回復し切ってないんですから、ゆっくり休んでて下さい。」
「……ありがとう……」
そう言ってから、眼を閉じて、眠り始めたクローム
「おやすみなさい。」
ソラは椅子を降りて、音を立てないように、静かに病室を出て行った。
ーー地下6階通路ーー
クロームの病室から出ていった後、自分の私室へ戻って、お風呂に入ろうとした時になって、
いつも身に着けていたお守りが無い事に気付いたソラ
とりあえず、お風呂に入ってから探そうと思い、出て来た後から探し始めていたのだが、
自分の部屋の中のどこにもなく、どこかで落としたと思い、探し回っていた。
(ないっ…どこで落としちゃったんだろ!?あれはママがくれた物なのにっ…)
いつも着けていたお守りを無くして不安になるソラ
「あったー!!」
「ん?この声って……」
そう言いながら、一旦探すのを中断して、聞こえた方に視線を向けると…
少し先に、床に座り込んでいるツナと京子を見つけた。
(……なんでパパとママ、あんな所で座りこんでるの?)
そう思いながらも、気になって2人に近づいていた。
ツナと京子は座りこんで話をしていた。
ツナは京子の膝の上に置いてる服の上にあるお守りを指差していた。
「あっ…これ?シャワー室に落ちてたから、届けようと思って。」
「着替える時、ポケットから落ちたんだ!!ゴっ…ゴメン!!普段は大事にしてるんだよ!?ほ…ほんとに、いつもちゃんと持ち歩いてるんだけど!!」
京子に嫌われたくないからなのか、お守りの事を必死になって弁解していたツナ
「うん、知ってるよ。」
「えっ?」
「リボーン君が…教えてくれたから。」
「リボーンが?」
「とっても大事にしてくれてるって。」
「う…うん。」
「この時代の綱吉さんも、そのお守り…持ってたよ。」
「「えっ!?」」突然聞こえた声に驚く2人
2人同時に聞こえた方に振り向くと、そこにはソラが居た。
「「ソラちゃん!!」」息ピッタリなツナと京子
「驚かせちゃった?ごめんなさい。」
「ううん、いいよ!気にしないで!それより、今の本当?」
「うん。綱吉さん、いつもそのお守りを持ち歩いていたよ。とっても大事にしてた。(昔ママから貰った大事なお守りだって…)」
ツナにそう答たソラ
「へぇ〜…この時代のツナ君も、私達が作ったお守り、大事にしてくれてるんだ!!なんか嬉しいな〜!」
満面の笑顔を見せる京子
それを見て、ツナは顔を真っ赤にしていた。
「あっ!」京子が何かを思い出したのか、声を上げた。
「な、何!?どうしたの!?京子ちゃん」そんな京子に声を掛けたツナ
「お守りって言えば……」そう言いながら、京子はポケットを漁って何かを取り出した。
京子の手に載っていたのは、オレンジ色のお守りだった。
「あっ!?俺のお守りとそっくり!!」自分のと良く似たお守りを見て驚くツナ
「それ、私のお守り!!」探していた物を見つけて声を上げたソラ
「えっ!?これ、ソラちゃんのなの?」
「お兄ちゃんが言ってた。ソラちゃんの大事な物だって……だからソラちゃんを見つけたらすぐに渡そうと思ってたの。」
「それ、どこに落ちてたの?」
「地下7階の通路に落ちてたよ。紐が切れて落ちたのに気付かなかったんだね。」
「そっか。(そういえば紐が古くなってたんだっけ…?)」
「それでね、紐なんだけど…最初は結ぶだけにしようと思ってたんだけど、古くなってたから、取り替えたんだ。ちょうど同じ色の紐があったから。」
「えっ…」京子が持っているお守りに視線を向けた。
確かに首に掛ける方の紐が真新しいのに変わっていた。
「勝手に変えちゃってごめんね?」そう言いながら、ソラにお守りを差し出す京子
「…ううん、ありがとう!京子さん」そう言って、京子からお守りを受け取ったソラ
「どう致しまして。」
(良かったっ…見つかって……)
戻って来たお守りを見て、安心したソラ
「これ、もしかしてこの時代の京子ちゃんが作ったの?」
ソラがお守りを大事に持っているのを見てツナが聞いた。
「うん!(ママが私のために作ってくれた大事なお守り。)」
満面の笑顔で頷くソラ
「そうなんだ。俺とお揃いだね!」
「そうだね!(ママがパパとお揃いにしてくれたからね。)」
ツナと同じなのが素直に嬉しいソラ
(この時代の私が?……何を思って作ったのかな…?)
ソラがお守りを大事そうに持っているのを見ながら、そう思った京子
「あっ…ツナ君」
「何?京子ちゃん」
「ハルちゃん達と相談して、ジャケットにこれを着けてみました!」
そう言って、ツナのジャケットを広げた。
「じゃじゃーん!お守り用内ポケット!!」
ジャケットの内側に内ポケットが着いていた。
「ああ!!ずっと前から、お守り入れる場所があればと思ってたんだ!!」
そう言いながら、ジャケットを受け取るツナ
「いいよ、これ!!蓋もあるから、落ちないし!!ありがとう!!明日はこれを着け…「綱吉さん!!」あ…」
その先を言おうとしていたツナを止めたソラ
(パパ、自分でママ達に言わないって決めたのに、なんで口滑らしそうになるの!?嬉しいのは解るけどっ…)
「明日は、過去に戻るための大事な日なんでしょ?みんな知ってるよ?」
「えっ…そっ…そっか…(ビアンキから聞いたんだな、きっと…)」
「そっ…そうなんだ……(ビアンキ姉がママ達に教えたんだね。)」
ツナとソラはビアンキが京子達に教えたと思っていた。
「それと、ソラちゃんも……行くんだよね?」
「!?……誰に、聞いたの?」
「聞いたんじゃないよ。なんとなくそう思ったの。だってソラちゃんもツナ君達みたいに、毎日修行してるんだもん。
だから、きっと私達を過去へ戻すために頑張ってくれてるんだろうな〜?って思って。」
(そういえばママ、なぜか時々鋭いんだったっ…)
この時代の京子が時々鋭かったのを思い出していたソラ
「京子ちゃん、俺…必ずみんなを過去に…」
「無茶しないで…」
「えっ!?」京子の言葉に驚くツナ
(あれ?)京子も自分で言った言葉に驚いていた。
(……ママ、自分の言った言葉に驚いてる……)
京子の様子を見ていたソラ
「そーだよね!無茶しちゃ意味ないよね!アハハっ…ハハハっ…(カッコつけそびれたーー!!)」
(本当は頑張って…って言おうと思ってたのに。)
ツナを見ながらそう思っていた京子
(……パパやママ、みんなが過去に戻れるように頑張るから……)
ツナと京子を交互に見ながら、お守りを握り締めていたソラ
「10代目〜!!夕飯っスよー!」
獄寺の声がツナ達に聞こえて来た。
ツナ、京子、ソラは聞こえた方に視線を向けた。
獄寺、ランボ、イーピン、山本がこっちに来ていた。
「今日は、すんげーごちそーだったぜ!!」
「み…みんな!!」洗濯物を持って立ち上がったツナ
「あっ…そうなの!ハルちゃん達といろいろ作ったんだよ。」そう言いながら、京子も洗濯物を持って立ち上がった。
「ステーキは全部オレっちのもんだもんね〜!!」
「ランボ!一人占め、ダメ!!」山本の右腕に掴まった状態でランボにそう言った。
「早い者勝ちだもんねー!!」走り出したランボ
山本の腕から降りて、走り出したランボを追いかけたイーピン
「急ぎましょう、10代目!!あのアホ牛なら、全部食べかねません!!」
「いこーぜ!ツナ!ソラ!他のごちそーも楽しみだよな〜!!」
「あ…うん。」
「そうだね。」
「うふふっ…大丈夫だよ!食べきれないほど、いっぱい作ったから!!」
「うわぁっ…楽しみだなーー!!」
(きっと張り切ってたくさん作ったんだろうな。ママやハル姉が一緒にご馳走を作る時、いつもこうだったし。)
声には出さないが、ソラもご馳走を楽しみしていた。
持ってる洗濯物を各部屋に置いてから、大食堂に向かったツナ達だった。
ーー地下7階ーー大食堂ーー
テーブルには、次々とご馳走が並べられていた。
「いよいよ明日は殴り込みだ!覚悟はいいか?お前らっ」
テーブルの上で座っていたリボーンがツナ達に向かって言う。
「う…うん!」
「ああ!」
「任せて下さい!ミルフィオーレの奴ら、俺がぶっ飛ばしてみせますよ!!」
ツナ、山本、獄寺の順にリボーンにそう応える。
「ソラ、おめぇは?」声のなかったソラに視線を向けたリボーン
「えっ…」
「俺はお前にも聞いたんだぞ?」
「ごめんっ、大丈夫だよ!」
「そうか。それじゃ、たくさん飯食って明日に備えろっ!!」
「「はーい!お待たせしましたー!!」」
鉄板に載せてある肉をオープンから出して、2人で持っていた京子とハル
「わぁっ…凄いご馳走だ!!ハル姉、京子姉、ありがとう!」
2人にお礼を言うフゥ太
「ほんとだよ!!こんなにっ…」
次々運ばれてくるご馳走に喜ぶツナ
「喜んで貰えれば、作った甲斐があります!」喜ぶハル
「さっ、みんなどうぞ!」
京子の掛け声で食べ始めたツナ達
「いただきます。」そう言ってから、ソラも箸を持って食べ始めた。
「そっちも食べろ、ツナ」
「えっ!?」
リボーンとツナの声が聞こえ、横を見たソラ
「せっかくビアンキが作ったんだ。」
(作った…?)後ろを見るソラ
そこにはビアンキがポイズン化した料理を持っていた。
「あ…後で貰うよ!後でっ…」
「私の愛が籠もった料理が食べられないって言うの?」
「え…えーとっ…(決戦前にポイズンクッキングなんか食べられないよー)」
顔を真っ青にしながら、涙を流すツナ
「ビアンキ姉、決戦前にそんな物食べられるわけないでしょ。今すぐ仕舞ってね?(パパにポイズンクッキングを食べさせないでっ!!)」
ビアンキを睨みつけながらそう言ったソラ
「……ソラ、あなた眼が怖いわよっ…(ツナに食べさせるなって言ってるのがビシバシ伝わってくるわ…)」
「そうさせてるのは誰だっけ?」そう言いながら、睨みつけるのをやめないソラ
「………わかったわ。仕舞うから、睨むのをやめて頂戴。」
そう言って、手に持っていたポイズンクッキングを仕舞ったビアンキ
(ビアンキがあっさり引き下がったーっ!?)心の中でツッコんだツナ
(あのビアンキがあっさり引き下がるとはな……まぁ、気持ちは解らなくもねぇ、俺もソラに睨まれるのは耐えられねぇぞ。)
ソラとビアンキのやり取りを見てそう思ったリボーン
その時、ビアンキが獄寺の方に視線を向けると……ランボが唐揚げを独占しようとしていたのを、獄寺と取り合いになっていた。
ビアンキはそれを見て、ターゲットをツナから獄寺に変え、再びポイズンクッキングを取り出して、獄寺の所に行った。
当然、獄寺はビアンキのポイズンクッキングから逃げ回り始めた。
その様子を唖然と見つめていたツナとソラ
「ソラのおかげで一難去ったな。ツナ」
「あっ!ソラちゃん、ありがとう!!」
満面の笑顔でソラにお礼を言ったツナ
「どう致しまして。ビアンキ姉には悪いけど、ポイズンクッキングは私も食べたくないからね。」
「食べた事あるの?」
「ないよ。」
「そっか。」
「ほんっとうめーな!」フライドチキンを美味しそうに食べながら言う山本
「うん!元気が出るって感じ!!」山本の後にツナもそう言う。
「まだまだありますからね!ジャンジャン食べて下さい!!」
ツナの前にお茶の入った湯呑を置いてからそう言ったハル
「はい、ソラちゃんもどうぞ。」そう言いながら、ソラの前にお茶の入った湯呑を置く京子
「ありがとう。」
「どう致しまして。…お兄ちゃん達も喜んでくれてるかなー?」
「あれ?そういえばお兄さんどうしたの?」
京子に言われて、了平が居ない事に気付いたツナ
「そういえば……鬼教官が居ないのはいつもの事だけどな。」山本も了平が居ない事に気付いてそう言った。
「せっかくだから、雲雀さんと草壁さんも誘ってみたんだけど…」
「大人のみなさんは、しっとり、まったり飲み会するらしくて、断られちゃいました。」
フゥ太とハルがそう言う。
「そうなんだ。恭兄や哲兄はともかく、了兄まで断ってるとは思わなかったよ。」
「あっ、やっぱ珍しいよね?了平兄が断って、雲雀さんの所に行くなんて……」
「了兄、恭兄のアジトに行ったの?」
「うん。雲雀さんと飲んでくるって言ってたよ。」
ソラの問いに答えたフゥ太
「そっか。(了兄が恭兄の所にね……)」
了平が雲雀のアジトに行ったのを聞いて何かあると思ってしまったソラ
「ソラちゃん?どうかした?」
急に黙り込んで考え事をし出したソラが心配なって声を掛けたツナ
「あっ……ううん、何でもない。(気のせい、だよね……?)」
気にはなるが、考えるのをやめたソラ
「ソラ!こっちのフライドチキンも美味いぜ!」
そう言いながら、ソラにフライドチキンを差し出した山本
「ありがとう!」お礼を言いながら、受け取ってから食べ始めたソラ
「ツナも食べろよ!!」ツナにもフライドチキンを差し出した山本
「ありがとう!山本」ツナもソラと同じようにお礼を言いながら、受け取ってから食べ始めた。
「どうだ?美味いだろ?」
「「美味しい!!」」ツナとソラが同時にそう言った。
「おっ…息ピッタリだな!!」
「あははっ……でも美味しいよね?」
ソラに視線を向けながらそう言ったツナ
「うん!美味しい!!」
笑顔で頷くソラ
「うふふっ…たくさんあるから、いっぱい食べてね?」
ソラにそう言った京子
「うん!(明日は大事な日なんだから、しっかり食べないと。)」
しばらく時間が経って、食べ終わったツナ達
「いやー、食った、食った〜!!」たくさん食べてお腹いっぱいになった山本
「皆さんよく食べましたね〜!!」そう言いながら、お茶の入った湯呑をいくつかお盆に載せて運んできたハル
「凄く美味しかったよ!!」
「良かったです!ツナさんにそう言って貰えて。」ツナの言葉に嬉しくなったハル
その時、お魚をたくさん食べてお腹いっぱいになった瓜があくびをしていた。
「なんだ、もうおねむか?」そう言いながら、瓜に触れようとした獄寺
だが、瓜は触れられる前にそこから逃げて、床で丸まって眠った。
「随分食べたからね。」眠った瓜を見ながらそう言ったフゥ太
「なんだよっ」瓜に逃げられて不機嫌な獄寺
「飼い主そっくりだなっ」山本がそう言った。
「どういう意味だーー!?」叫ぶ獄寺
笑い出したツナ達
(確かにっ……隼人兄と瓜、生意気な所がそっくりっ…)ソラも笑いながら、心の中でそう思っていた。
「あっ!ランボちゃん、ダメですよ。こんな所で寝たら風邪引いちゃいます。」床で寝ているランボに気付いたハル
「ご馳走はランボさんが一人占めだもんね〜…」寝言を言うランボ
どうやらランボは夢の中でもご馳走を食べているようだった。
「ランボちゃんったら……」
「イーピンちゃんも。」寝てるイーピンを抱く京子
「お腹いっぱいになって眠くなっちゃったんですね。」
「まぁ、ガキはもう寝る時間だしな。」
「うん。」そこでツナは酔いつぶれているジャンニーニに視線を向けた。
「ジャンニーニさん!お酒飲み過ぎだよ!!フゥ太兄!お水と酔い醒ましの薬を持ってきて!!」
「う…うん!」
酔いつぶれているジャンニーニに声を掛けながらも、フゥ太に指示を出しているソラが居た。
「………ソラちゃん、眠くないのかな??」
ツナのその言葉を聞いて、山本、獄寺、京子、ハル、リボーンも同じ事を思っていた。
「ジャンニーニさん!起きてっ!!これから寝ずの番するんでしょ!?」
ジャンニーニの服の襟元を掴んで、体を揺さぶるソラ
「ソラ、持って来たよ!」
フゥ太が持ってきた薬をジャンニーニの口の中に入れ、そのまま水を流し込んで口を閉じた。
すると、ジャンニーニが薬を飲み込んだ。
「ふぅ……フゥ太兄、悪いけど、酔いつぶれたジャンニーニさんをこのまま作戦室へ運んでくれる?薬が効いてくれば、酔いが醒めるだろうから。」
「わかった。ほら、ジャンニーニ、行くよ?」
ジャンニーニに肩を貸しながら、立たせて、大食堂を出て行った。
「そろそろお開きだな。」
ソラはリボーンの声が聞こえ、そちらに視線を向けた。
「そうだね。明日の事もあるし。」リボーンに同意するツナ
「ソラ、おめぇ…眠くねぇのか?」みんなが思ってる疑問を代表して聞いたリボーン
「ん?眠くないよ。」
「ホントか?」
「嘘言ってどうするの?」
「まぁ、そりゃそーだな。」
「さて…京子さん、ハルさん、ご馳走様でした。」
「「お粗末さまでした!!」」
「それじゃ、おやすみなさい。」
そう言って、大食堂を出て行こうとしたソラ
「ちょっと待ったーーっ!!」ソラを呼び止めるツナ
「今日は良いよ、大丈夫だから。」
ツナが言おうとしている事を察してそう言った。
「で…でもっ…」
「それに、今日は太陽達と寝るから。」
「太陽達と?」
「うん。久しぶりにみんなで寝ようと思ってね。」
「久しぶりにって……匣兵器と一緒に良く寝てるの!?」驚くツナ
「うん、そうだよ。私はあの子達と仲良しで居たいから、時々一緒に寝てるんだ。」
「そうなんだ。」
「そういう訳だから、心配しないで。」そう言って、大食堂を出ていった。
通路に出て歩き出したソラ
……正一さん、本当に倒さないといけないのかな…?
私、覚えてるよ?正一さんと会った時の事……
本当に敵なのかな?あんなに優しい正一さんが敵だなんて、
パパ達には悪いけど、私にはどうしてもそうは思えないよ……
自分の私室に戻りながら、敵である入江正一の事をそう思っていた。
明日はいよいよ敵のアジトに突入する日……
ツナ達は無事に白くて丸い装置のある部屋に辿り着く事が出来るのか…?
過去へ戻る手掛かりを掴む事が出来るのだろうか…?
そして、入江正一を倒す事が出来るのであろうが…?
ざまざま思いを抱く中、みんなは明日に備えて眠りにつくのであった。
今回のお話は突入前夜です。
クロームは無口であまり喋らないので、会話が書きにくかったですが、突入前にソラと会話させたくて書いちゃいました!!
ツナがお守りを探し回ってる時に京子とぶつかった所が何階なのか解らなかったので、地下6階にしました。
洗濯室が地下6階だし、ツナ達の服を持っていたので、これからツナ達の部屋に服を届けに行く所だったのかな〜?っと思って。
誰か知ってる人居たら教えて欲しいくらいですよ。
この話で突入前のお話は終了です。次回からは突入編です。
それでは標的35へお進みください。