白くて丸い装置

『ここ、どこだろう…?』
周りを見回してみても、真っ暗で何も見えなかった。

<コ…コ…ニ…ア…ル…>

『この声はっ……骸兄?』
ソラは骸の声が聞こえた方へ、暗闇の中、ゆっくりと歩いて行った。

少し行った先に見えたのは……

『っ!!(何!?この白くて丸い装置はっ…!?)』

ソラから少し離れた所に見えたのは、白くて丸い大きな装置だった。

(何だろう……凄く、気になる……)
そう思いながら、その装置をもっと近くで見ようと近づこうとしたら…

『近づくな!!』

(!!…この声はっ…)ソラには聞き覚えがあった。

その声の持ち主は、幼いが、入江正一と思われる人物が現れた。

(…10年前の……正一さん…?)

すぐに幼い姿から、この時代の入江正一に姿を変えた。
その姿を見て、入江正一だと確信した。
装置の前に、彼の他にもう1人居るのに気付いたソラ

『あれはっ…』



目を覚ましたソラ

「……今の夢はっ……」体を起こしながら呟くソラ

ソラはあれから何時間かずっと眠り続けていたのだ。

【ソラ、どうかした?…怖い夢でも見た?】
ソラが起きたのに気付いて、目を覚ましたモモが心配そうに見ていた。

「あっ…ごめん。起こしちゃったね……」

【ううん、気にしないで。】

「ありがとう。」

【ねぇ、ソラ】

「何?」

【京子ママに会いたいっ!】

「えっ…ママに?」

【うん!!】

「でも…今居るの、10年前のママだから、モモの事知らないよ?」

【それでも良い!!ダメ?】

「……良いよ。じゃあ、会わせてあげる。」

【やったーーっ!!】大喜びするモモ

ソラは左手の晴系リングに炎を灯し、モモに差し出した。

「そろそろ、炎が切れかけてるみたいから……」

【わぁーいっ!ありがとう!いただきまーす!!】そう言って、晴の炎を舐め始めたモモ

モモに晴の炎を与えながら、机の上にあるデジタル時計に視線を向けた。

「もうこんな時間か……モモ」
モモに視線を戻しながら、呼ぶ。

【何?】

「それが終わったら、大食堂へ行こうか?たぶんママもそこに居ると思うから…」

【うん!!】炎を舐めながら、ソラに答えたモモ


ーー地下7階ーー大食堂ーー

モモを右肩に乗せたまま、大食堂まで来てきた。

「あれ?ビアンキ姉?」
扉の前に居るビアンキに気付いて声を掛ける。

「あら、ソラじゃない。」
ビアンキはソラの声に気付き、振り向いた。

ソラはそのまま歩いて、扉の前まで来た。
中を見ると、ツナ達が居た。

「……獄寺さん、なんで顔に引っ掻かれた跡があるんですか?」
中に入りながら、獄寺の顔に引っ掻かれた跡がいくつかあるのに気付いてそう言ったソラ

「いや、これはっ…」

【あっ!ソラ!!】

ソラは久しぶりに聞く声が聞こえ、獄寺の抱いてる猫に視線を向けた。
そこには、両耳に嵐の炎を灯し、何かを食べたばかりなのか、口の周りが汚れていた嵐猫が居た。

嵐猫を見て、驚いた表情になるソラ

【あっ!なんでここに居るの!?】
モモも気付いて嵐猫に話しかけた。

【そんなの隼人が俺を匣から出したからに決まってんだろ?】
モモにそう言い返した嵐猫

「……これはいったい…どうなってるの?」

「実はね……」

地下12階にある資料室で修行をしていた獄寺が、資料室の壁を破壊してしまった事…
嵐猫も、その修行の際、誤って匣から出してしまった事をフゥ太から聞いたソラ

「…っという訳なんだよ。」

「資料室の壁を、壊したぁ!?」

「う…うん。」

体をブルブル震わせるソラ

「ソ…ソラ?」ソラの様子が心配になって声を掛けたフゥ太

「なんて事してくれたんですかー!?獄寺さん!!」獄寺に向かって叫んだソラ

「わ…わりぃっ!!」資料室の壁を壊してしまった事については反省しているのか、素直に謝る獄寺

「修理するジャンニーニさんの事もあるけど、修理の費用だって掛かるんですよ!?トレーニングルームならまだしも、資料室の壁を壊しただなんてっ…
それにあそこは貴重な資料がたくさんあるんですよ!?もし、壁ではなくて、資料室ごと吹っ飛んでたらどうするつもりだったんですか!?」
獄寺に向かって捲し立てるソラ

本当に悪いと思っているからか、黙ってソラの言葉を聞いていた獄寺

「ソ…ソラ、落ち着いてっ…」

「フゥ太兄は黙ってて!!」

「はいっ!」思わず返事をしてしまったフゥ太

「だいたい、なんで資料室に居たんですか!?獄寺さんの修行する場所は、地下16階にある、ストームルームのはずでしょ!?」

「隼人は私の修行をサボったのよ。」
「獄寺君はビアンキの修行から逃げて、自分1人で修行してて……」
ビアンキとツナがそう答えた。

「なんとなく、いつかこうなるかな?…っとは思ってた!思ってたけどっ……資料室の壁を壊すだなんて、さすがの私も予測出来ないよ!!」
怒鳴り散らし続けるソラ

【ソラが怒るのも無理ないけど、とりあえず落ち着こうよ?】怒ってるソラを肩の上から宥めるモモ

「ハァ……また始末書、書かないと……」モモに言われて落ち着いたソラが肩を落としながらそう呟いた。

「わりぃな!獄寺も悪気があった訳じゃねぇんだ、許してやってくれよ?」
獄寺をフォローする山本

「う゛ぅ〜…」唸るソラ

【ソラ、元気出して?】
ソラを励ますモモ

「ありがとう、モモ」

「はひっ!?可愛いハムスターですね!!」

「違うよ、ハルちゃん。モモンガだよね?」

「うん、そうだよ。」

【あっ!京子ママだーー!!】そう言って、ソラの肩から京子へと飛んで行き、そのまま京子に飛びついた。

「きゃっ!?」いきなりの事に驚いた京子

「こらっ、モモ!いきなり飛びついたら、京子さんが驚くでしょ!!」

【ごめんなさ〜いっ!】

「まったくっ…」

「この子、京子ちゃんに凄く懐いてますね?」
京子にぺったりなモモを見てそう言ったハル

「モモ、この時代の京子さんに凄く懐いてたから……」

「そうなんだ。」京子はモモの頭を撫でた。

京子に撫でられ、嬉しそうにするモモ

「この子、モモちゃんって言うんですね?」

「うん。」

【モモは相変わらず甘えん坊だな!】

【むっ…】

言葉が解らずとも、モモと嵐猫の間で火花が散っているのを感じとったツナ達。

「ご、獄寺君、やっぱり匣に戻した方がいいんじゃ……」

「そ…そうっスね……」ツナにそう言われ、嵐猫を仕舞おうと動いた獄寺

【だから俺は戻らねぇって言ってんだろーか!】そう言いながら、獄寺の顔を引っ掻いた

「いでっ…」

「獄寺君!!」

「こらっ!獄寺さんを引っ掻くのをやめなさい!」

嵐猫がその声に反応して、引っ掻くのをやめる。

「獄寺さんに今すぐ謝りなさい!!じゃないと……」

【じゃ…じゃないと?】恐る恐る聞く嵐猫

「しばらくの間、大好きなお魚が食べられないようにするよ?」
笑顔でさらっと言い放ったソラ

【!…そんなの嫌だーー!!】
嵐猫は魚が食べられないと聞き、即座に獄寺の傷口を舐めながら、謝る。

「な、なんだ?急におとなしくなった……」

「謝ってるんですよ、獄寺さんに。」

「そうなのか?」

【謝ったぜ!】

「うん、良く出来ました。おいで、瓜」

瓜と呼ばれた嵐猫は獄寺の腕から抜け、ソラに駆け寄り、ソラに飛びついた。

「久しぶりだね。」飛びついて来た瓜をしっかりと受け止めてからそう言ったソラ

【ああ、久しぶりだな!ソラ】
そう言ってから、ソラの頬を舐め始めた瓜

「くすぐったいよっ…」

「ソラちゃん、瓜って?」ツナが気になって聞く。

「ん?この子の名前。この時代の獄寺さんが付けた名前だよ。」

「この時代の俺が?」

「あれ?この匂い……瓜、お魚食べてたの?」

【ああ!美味かったぜ!!】魚が食べられて満足な瓜

【瓜、相変わらず魚好きだね〜…】

【んだよ、別にいいだろ!?】

その時、了平が入って来た。

「おおっ!ここにおったか!大変だ、ミルフィオーレのっ……」
そこで、京子とハルも居る事に気付いた了平

「じ…次期相撲大会について話し合うぞ!!作戦室に来てくれ!!」
そう言って、また京子とハルに誤魔化す了平

「またお相撲?」

(了兄、無理があると思うのは私だけかな……?)
ソラはまた京子やハルに誤魔化している了平を見てそう思った。

【ソラ!モモ、ここに居たい!!】

「えっ!?」

【京子ママとここに居ちゃダメ?】

「……京子さん」

「何?ソラちゃん」

「モモ、しばらく預かってもらっていい?この子、京子さんの傍に居たいみたいだから…」

「うん!いいよ!!」

「ありがとう。じゃあモモ、京子さんに迷惑掛けないようにね?」

【うん!!】

その後、ツナ達は作戦室へ向かった。


ーー地下5階ーー作戦室ーー

作戦室に集まり、それぞれ椅子に座った後、了平からの報告を聞いていたツナ達

「ミルフィオーレのアジトの図面ですか!?」驚くツナ

「ああ、敵のアジトの情報ファイルのいくつかが雲雀のアジトのサーバーに流れ込んでいたのだ。敵のアジトの図面と、
内部の施設についてのものらしい…見てくれ。」

了平がそう言った後、みんなの目の前にある、それぞれのモニターに敵のアジトの図面が映し出された。

(これが…敵のアジト……)ソラはモニターに映ったアジトの図面じっくりと隅から隅まで見ていた。

「このアジトの図面が本物なら、大した物だな。だが、いったい誰がこんな事したんだ?」
モニターを見ながらそう言ったリボーン

「もしかしてだけど…骸って事は考えられませんか?」
ツナが突然そう言い出した。

「確かに、こういうやり方は、直接マフィアに手を貸さぬあの男らしいとも思える…だが。ファイルの送信は、2時頃途絶えたそうだ。」

「2時頃っつったらっ……」山本がその時間に起きた事を思い出す。

「クロームの内臓が失われた頃…」ビアンキがそう言った。

「そ、そんな……」ツナが悲痛の声を出す。

ドンッ

いきなり聞こえてきた音に驚いて、一斉にその音が聞こえた方に視線を向けたツナ達。
視線の先には……両手を握って拳を作り、小指側を机についた状態で、モニターを睨みつけていたソラが居た。
さっきの音はソラが机を叩いた音だったのだ。

「ソ、ソラさん…?」ジャンニーニが隣に座っているソラに恐る恐る声を掛けた。

「骸兄、敵のボスと戦うだけでなく、敵のアジトの情報ファイルまでっ……(危険な事ばっかりしてる!)」
両拳をさらに強く握るソラ

「ソラ…」ソラを心配そうに見るフゥ太

「……ソラ、これは骸からで間違いないな?」

「…ミルフィオーレでいろいろしてるって言ってたから、たぶん間違いないよ。それに……こんなやり方、私は骸兄しか知らないっ…」
リボーンにそう答えたソラ

「ん!?…この黒い部屋は何だ…?」
図面を見ていたラルが何かに気付いた。

ラルにそう言われ、全員がモニターに視線を戻した。

(この黒い部屋、いくつもある………何か、あるような気がする……)
ソラはこの黒い部屋がいくつもあるのを見て、重要性の高い何かがあるような気がした。

「詳細は不明だ。ファイルには他にも用途不明ながら、今作戦でターゲットになりうる特殊な敵施設のデータがあった。」

了平がそう言った後、モニターに別のファイルが映された。

(!?…これって、さっき夢で見たのと…同じだ!!)
モニターを見ながら、眼を見開いたソラ

そう、モニターに新たに映されたのは、ソラが夢で見たのと同じ、白くて丸い装置だった。

「この装置……見た事がある……」
ツナがそうつぶやいた。

「何!?これを見た事があるのか!?」
ラルがツナに聞いた。

「う、うん…これの前に…入江正一が居た…」

「なっ!?入江正一だと!?」驚いて、椅子から立ち上がってからそう言ったラル

(!?…パパも、私と同じ夢を…?)ソラはツナの言葉で、自分と同じ夢を見た事に気付いた。

「ツナ兄、どこで見たの!?」
「資料室か何かっスか!?」
フゥ太と獄寺がツナに聞く。

「いや、それがあの……夢なんだけど…」)

「夢…!?ふざけているのか、沢田!!」怒鳴るラル

(っ…普通信じないよね……夢で見ただなんて……)ラルの言葉に少しだけ顔をしかめ、胸を痛めたソラ

ソラのその表情にリボーンだけが気付いた。

「す、すみません!そんなつもりは!!」
ラルに怒鳴られ、ビビるツナ

「で?」

「えっ…」リボーンに視線を向けたツナ

「んで?他には何を見たんだ?」

「リボーン!!」リボーンを信じられないという眼で見たラル

「どうなんだ?ツナ」

「え……んと…微かにしか覚えていないんだけど……入江正一以外の誰かも居て、これを見ていたんだ…中に、大事な物が入ってるみたいで…」

「大事な物か…案外、この白くて丸い装置が、入江正一とすべての謎を解く鍵を握っているのかもな。」
ツナから聞いた話でそう思ったリボーン

「本気かリボーン!!たかが夢だぞ!」

「いいじゃねーか。重要な装置である可能性は高いんだ。ターゲットにしたって損はないはずだぞ。」
ラルにそう言ったリボーン

「ふむ…それはそーだな。」
リボーンの言葉に同意する了平

「それにな、ラル」

「なんだ!?」

「お前の言葉にソラが傷ついてるぞ?」

「なっ…!?」リボーンの言葉に驚くラル

全員一斉にソラへ視線を向けた。

「ソラ、おめぇも見たんだろ?ツナと同じ夢……」

「っ…」図星を指されたソラ

「本当なのか…?」ラルがソラに聞く。

ソラはそれに答えなかった。

「神経が研ぎ澄まされてると、こういう不思議な事はあるもんだ。俺もこのおしゃぶりをゲットする時、似たような事があったからな。」

「え!?」その言葉を聞いて驚くツナ

「んで、どうなんだ?ソラ」

ソラは黙っていた。

「ソラちゃん?」心配になって声を掛けたツナ

「ソラ、話してやれ。」

「了兄…?」

「この時代の沢田と小僧には話してたんだろ?」

「!!…どうしてそれをっ…」

「沢田が教えてくれたのだ。俺達守護者は全員知っている。」

「了平、こういう事は初めてじゃないのか?」

「ああ。前にも何度かこういう事はあったらしい。見た事無いはずのものを見たりするのはな……最も、俺達守護者は、
最近までは知らなかった。沢田から聞くまではな……」

「そうなのか。」

「ソラ、お前も沢田と同じ夢を見たのなら、話してくれないか?」

「…………見たよ、綱吉さんと同じ夢を。見た事はほとんど一緒…違うのは、入江正一以外に居た、もう1人が誰かが解ってる事。」
了平にそう言われ、少し間を置いたあと、話し出したソラ

「誰なんだ?」リボーンが問う。

「クロームさんだよ。そして、私と綱吉さんが見たその夢は、たぶんクロームさんが見てた夢…」

「クロームか。すると、それは…」

「…骸兄が完全にクロームさんとの繋がりが途絶える前に、残った力で、その白くて丸い装置の事を伝えたんじゃないかな?って私は思ってる。」

「そうか…」

「ふむ。するとやはり、この白くて丸い装置が重要な装置と見て間違いないだろう。」
ソラの話を聞いてそう判断した了平

「ちょっ…了兄!これは私の推測だから、ほんとは重要な装置じゃないかもしれないんだよ!?」

「いや、重要に決まってる!!」断言する了平

「……何で?」了平が断言する理由が解らず、そう聞くソラ

「お前が見たと言ったからだ!」

「ソラちゃんが見たから……ですか?」首を傾げたツナ

他のみんなもどうしてか解らない様子。

「…この時代の沢田から言われたのだ。ソラにそういう事がまた起きた時には知らせるから、その時は迷わず信じろと…」

「この時代の10代目が?」

「ああ。詳しい事は話せんが……ソラが見たものは、まだ1度も外れた事がないらしい。」

「ほぉ……つまり、ソラのは実証済みってわけか。」

「そういう事だ。」

「あははっ…ソラ、すげーのな!」

「ソラ、また何か見た時は教えてくれねぇか?」

「……必要と感じた時は話す。」

「……わかったぞ。」そう言いながらも、あまり納得していなさそうなリボーン

その後、リボーンはビアンキの腕から抜け、出入口の方へジャンプした。

「よし、山本。俺達は修行を再開すんぞ。今んとこ、お前が1番遅れてるみてーだからな。」
そう言いながら、歩き出したリボーン

「あっ…ああ!オッケ!」慌ててリボーンを追い掛ける。

「乗ってけ、小僧」走りながらそう言った山本

「サンキュ」山本の右肩に飛び乗りながらお礼を言ったリボーン

「ねぇ、ラル…おしゃぶりゲットって…」ツナが気になってラルに聞いた。

「本人から直接聞けば良いだろ。いちいち、オレに甘えんな。」

「あっ…はぁ…」

(そうは言っても、たぶんリボ兄は話さないだろうけどね……少なくとも、今は……)
ツナとラルの様子を見てそう思ったソラ

ソラは隣に居るジャンニーニに視線を移した後、声を掛けた。

「ジャンニーニさん」

「はい、何でしょう?」

「ミルフィオーレから流れて来た、他の情報ファイルも全部見せて?」

「えっ…しかし……残りのファイルは、日本以外のアジトの情報ばかりですよ?」

「わかってる。でも…私の立場上、その全てを把握しとかないといけない。」

「!……そうでしたね……解りました!!」
そう言って、キーボードを打ち始めたジャンニーニ

(ソラちゃんの……立場……?)
ツナはソラの言葉が気になっていた。

(ソラの立場……か。確かにそうだな…ソラはボンゴレ11代目だ。次期ボスとして、全てを知っておく必要はあるだろうな……)
ソラを見つめながら、そう思っていたラル

「では、そちらに送りますね?」
そう言って、キーボードを叩いた。

ソラの前にあるモニターに他の情報ファイルが映し出された

「ありがとう。」そう言いながら、モニターを見るソラ

「次のファイルを見たい時は言って下さい。すぐに表示致しますから。」

「わかった。」

ソラはしばらくの間、ミルフィオーレから流れてきた情報ファイル全部に目を通していた。

その間にビアンキ、フゥ太、ラル、獄寺は出て行き、残っているのは、ソラ、ジャンニーニ、ツナ、了平の4人だけだった。

「ふぅ〜…」全部に目を通し終わったソラが一息ついた。

「大丈夫ですか?ソラさん」

「大丈夫。」

「ソラ、あまり気負い過ぎるなよ?」そう言いながら、ソラの傍まで来た了平

「……気をつける。」

「ソラ、昼間の火傷……もう痛まないか?」昼間の事を思い出して聞いた了平

「うん、平気。薬が良く効いてるみたいだから。」

「……疲れの方は?」

「大丈夫…「ではないだろ?」」
ソラの言葉を遮った了平

「………」図星だからなのか、言い返せないソラ

「お兄さん、今のどういう…?」

「クロームにたくさん死ぬ気の炎を使ったから、まだ疲れているはずなのだ。まぁ、ゆっくり寝て少しは回復したのだろうが…」
ソラに視線を向けたまま、ツナの質問に答えた了平

了平から視線を逸らしたソラ

「ですが、ソラさんはまだ小さいので、まだ完全には疲れが抜けきってないはずですよ?」
了平に続いて、ジャンニーニもソラの事を心配してそう言った。

了平とジャンニーニの話を聞いて、ソラが心配になってきたツナ

「ちょっとっ…了兄、ジャンニーニさん、心配し過ぎだよ。まだ疲れが抜けきってない事は認めるけど……
明日には完全回復するから大丈夫だよ。」

「ソラちゃん…」

「それじゃ、私は大食堂に行くね。モモをそこに置いてきたままだし。」

「あっ…そういえば、まだご飯食べてないんだよね?」
“大食堂”と聞いて、思い出したツナ

「え゛っ!?ソラさん、まだ食べてなかったんですか!?」

「だって食べようと思ったら、了兄が来たんだもん。」

「…すまん。」

「それじゃ、行くね?」
そう言ってから、椅子から降りて、作戦室を出て行ったソラ

「あっ…待って!俺も一緒に行くよ!!ジャンニーニさん、お兄さん、俺ももう行きますね!!」
そう言って、作戦室を出てソラを追いかけていったツナ

「……笹川様」

「ん?」

「ソラさんは……いつになったら、10代目達にご自分の事をお話になるのでしょうか……?」

「……それは極限俺にもわからんっ……だが、ソラが自分から話してくれるのを待つしかない。」

「そう、ですね……」

ソラとツナが出て行ったあと、了平とジャンニーニの間でこのような会話が繰り広げられていた。


ーー地下5階通路ーー

「ねぇ、ソラちゃん」

「何?」

「さっき言ってたソラちゃんの立場って、いったいどういう事なの?」
ツナはずっとこの言葉が頭から離れず、気になっていたようだ。

「ごめんなさい、それには答えられない。」

「そっか…(なんとなく、そう言われるような気はしてたよ…)」

「綱吉さん」

「ん?」

「袖…焦げてるけど、何したの?」

「えっ…」ツナはそこで自分の服の袖を見た。

見てみると、確かにTシャツの右側の袖が少し焦げていた。

「あぁ、これはね…」

ツナは雲雀に「武器を使っていない」っと言われて、いろいろ考えている内に、]グローブには
まだ使っていない機能かあるんじゃないかという結論に辿り着き、そこから新技を考え出した事。
柔の炎で支え、剛の炎を前方に撃ち出すという新技を思いついた事。
その新技を試してみたが、まだまだ未完成だという事。

「たぶん袖が焦げたのは、その新技を試した時だと思うよ。」

「そうなんだ。(それって……“X BURNER(イクスバーナー)”…だよね?)

「この技、やってみると、扱いが凄く難しくてね……」

「……柔の炎と剛の炎のバランスが重要になってくる技だね。」

「やっぱり?」

エレベーターの前に着いたので、2人はそれに乗った。

「でも、たぶん綱吉さんなら、大丈夫なんじゃないかな?」

「そうかな?」

「綱吉さんには超直感がある。だから、練習すれば、きっと使えるようになるよ!」

「ソラちゃんがそう言うと、本当にそうなるような気がしてきたよ!」

(大丈夫だよ。だって、この時代のパパが使えてたんだから……)

「よ〜し!絶対に完成させるぞ!!」やる気が湧いてきたツナ

「頑張って!」満面の笑顔をツナに向けながら、そう言うソラ

エレベーターが止まり、地下7階へ着いた。
2人はエレベーターから降りて、大食堂へ向かった。


標的32へ進む。


今回のお話は、敵のアジトの情報と白くて丸い装置の事を知り、その白くて丸い装置がある所を
目標に敵のアジトに乗り込む事が決まった所ですね。
ツナが見た夢をソラも見た事にしました。
ソラは嵐猫「瓜」の事を知っています。
正直いって、瓜の口調…悩みました。
獄寺の猫なので、生意気な言葉を使ってそうだな〜っと思ったら、
あんな感じになったのですが……どうでしょう?
それでは標的32へお進み下さい。

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