サブリング

ーー地下5階ーー応接室ーー

「京子ちゃん達、ご飯作りに行ってくれましたよ。」

「では話そう……俺はある案件について、10代目の使いとしてヴァリアーに出向いていてな、
その最中、ボンゴレ狩りが酷くなり始めてしまったんだ。」

「えっ?俺の使い?」きょとんとするツナ

「10年後のお前のな。」
ツナにそう答えた了平

「10年前から来たお前達の事は、ある情報筋より、ヴァリアーに伝えられ、俺もそこで知った。」

(ある情報筋…?もしかして、骸兄かな?)
ソラは了平の傍で話を聞きながらそう思っていた。

「この事を知るのは、残存しているボンゴレと同盟ファミリーのトップのみ……信じぬ者も多いがな。」

「同盟ファミリーってディーノさんのキャバッローネも!?」

「ああ、あそこも健在だ。」

「良かったっ」ディーノの居るキャバッローネが無事だと知り、ほっとするツナ

「そしてお前達が居ると仮定し、ファミリー首脳により、大規模な作戦が計画された。ここに居る俺達への指示は、5日後に……
5日後に、ミルフィオーレ日本支部の主要施設を破壊する事だ!」

それを聞いて、張り詰めた表情をするツナ達

(ファミリーの首脳同士で、そんな大規模な作戦が計画されてたんだ……)
自分の知らない情報を知って驚いたソラ

(それって……殴り込み…)声には出さず、心の中でつぶやくツナ

「急だな。」了平の話を聞いてそう言ったリボーン

「了兄、その作戦の事、まだ何か隠してるよね?」
了平がまだ何か隠している事を超直感で感じとったソラ

「!!」ソラの言葉で動揺した表情を見せた了平

「お兄さん、まだ何かあるんですか?」

「な、何もないぞ!!」誤魔化そうとする了平

「嘘だよね?」
了平に視線を向けたまま、はっきりそう言ったソラ

「う゛ぐっ…」図星を指された了平

「了兄…」

頑なに口を閉ざす了平

「了兄っ!」

「…すまんっ!!」そう言いながら、突然その場でソラに土下座した了平

「ちょっ…お兄さん!?」

「芝生頭!?」

「先輩!?」

その場に居た全員が了平の土下座を見て驚いていた。

「……了兄、何言われたの?」
了平が自分に土下座したのを見て、何か良くない事を言われたのだろうと思ったソラ

「この作戦を決行する場合に限り……絶対の条件が、あるのだ。」

その言葉だけでなんとなく何かを察したソラ

「お前を……『陽色の姫君』であるお前も、作戦に参加させるようにって、言われたのだ!」
体を起こし、床に手をついたまま、そう言った了平

「なんだとっ!?」ソファーから立ち上がったラル

「それってどういう事ですか!?なんでソラちゃんがっ…」
ツナもそれを聞いて驚いていた。

「それは本当なの!?」
ビアンキも驚いていた。

他のみんなも同じように驚いた表情をしていた……ソラ以外は。

「俺だって納得していないっ!だが、押し切れなかったのだ!!」
そう言いながら、床に拳を打ちつける了平

「ソラの戦闘力か?」
リボーンが了平に聞いた。

「ああ、そうだ。『陽色の姫君』としてのソラの実力は…マフィア間で噂になっていたから、当然聞いて知っていてな。ファミリーの首脳で『陽色の姫君』の
正体を知っている者は極僅か……そして、その中の1人…『陽色の姫君』の素性をまったく知らないファミリーの首脳が、『陽色の姫君』も作戦に
参加させるべきではないか?っと言った事から抗議が始まった。もちろん、俺は極限に反対した!!だが、俺が『陽色の姫君』はまだ子供だから、
この作戦からは外すべきだと言っても、それだけの実力を持っているなら、たとえ子供でも作戦に参加させるべきだ!…っと言い張った奴が居たのだっ!!
それに同意した奴、同意しなかった奴に分かれた結果、同意した奴の方が僅かに多かったため、ソラが作戦参加決定になってしまったっ…
しかも、その同意した者の中には、うちのボンゴレの上層部の奴も何人か居たのだ!!」
悔しそうに、声を張り上げてそう言った了平

「そんなっ…」
「なんて事をっ…」
フゥ太、ビアンキが信じられないという表情をしていた。

それは他のみんなも同じだった。

「了兄、自分をそんなに責めないで?」
話を黙って聞いていたソラが了平に話しかける。

「ソラ…」

「なんとなく、いつかそうなるような気はしてたよ。(ボンゴレの上層部の中には、私の事を良く思っていない人がまだ何人か居るからね…
たぶん、そのせいで多数決で僅かに同意した者の方が多かったんだろうし。)」

「ソラさん、この事、雲雀には……」

「ダメだよ、哲兄」
草壁に視線を向けたソラ

「しかしっ…」

「今は少しでも戦力が欲しい時……言ったら、恭兄…イタリアに飛んで殴り込みしちゃうよ。」

「確かにそうですがっ…」

「哲兄、お願いっ…作戦には自分から参加するって言ったって報告して?」

「っ……わかり…ました……」渋々ながらも、了承した草壁

「ありがとう。」
草壁にそう言ってから、再び了平に視線を戻したソラ

「了兄、この作戦、決行の場合は参加するよ。『陽色の姫君』として…」
決意の籠った眼で了平にはっきりと言ったソラ

「!!……すまんっ…」

(……まだ小さいのに、とても決意の籠った眼をしてる……迷いのない、決して揺るぐ事のない眼を……)
ツナはソラの決意の籠った眼を見てそう思っていた。


少し経って、落ち着いた了平が立ち上がり、作戦の詳細をツナ達に伝えていた。

「5日後か……」獄寺がつぶやいた。

「それが、ボンゴレと同盟の首脳が立てた作戦だ。ソラが作戦に参加しなければならない事は極限に気に入らんが、
我々も足並を揃えて、作戦に参加する必要がある。」

「そんなっ…いきなり言われても…」戸惑うツナ

「だが、この機会を逃すと、次にいつ、ミルフィオーレに対し、有効な手立てを打てるかわからんのだ。」

「このアジトだって、敵にいつ見つかるか解らんのだ。早くて悪い事はない。」

「でも…なんか…こんなマフィアの戦争みたいなのに参加するって…俺達の目的と違うっていうか…」

(パパ……)ツナを心配そうに見つめるソラ

「目的は入江正一を倒す事だろ?作戦と一致している。」

「でもっ…」

「それにだ!了平がクロームを連れて来た事で、俺が出した、最初の条件もクリアしたしな。」

「条件?」リボーンに言われた事が何の事か解らず、首を傾げたツナ

「守護者集めっスよ、10代目!」
獄寺がツナにそう答えた。

「えっ…あっ、そういえば!!(なにげに全員揃ってるーー!?)
獄寺にそう言われ、いつの間にか揃っている守護者に気付いた。

「よほどみんなの日ごろの行いが良いんだなっ」
爽やかな笑顔でそう言った山本

「バカか!!ノーテンキな言い方すんな!」
山本に向かって怒鳴った獄寺

山本からツナに視線を移した後…

「ボンゴレの守護者としての宿命が、俺達7名を引き合わせたんスよ!」
ツナに向かってそう力説する獄寺

(……隼人兄、こんな恥ずかしい台詞、よく照れずに言えるね……)
少しだけ顔が引きずっていたソラ

「あっ!でも、守護者は確かに揃ったけど、サブリングがまだ揃ってないよ!?」
G文字で書かれた手紙にあった、もう1つのリングの存在を思い出したツナ

「確か……守護者は集合…ボンゴレリングとサブリングにて、白蘭を退け、写真の眼鏡の男消すべし。すべて元に戻る……でしたよね?」

「そのサブリングって結局何なんだ?そのリングを持っている奴を探さないといけないのか?」

「いや、探す必要はねぇぞ。」リボーンがツナ達にそう言った。

「「「えっ?」」」ツナ、獄寺、山本

「もうここに居るからな、そのサブリングの所持者が。」

「えっ!?」

「それ、本当なんスか!?」

「誰なんだよ?小僧」

「なんだ。お前ら、サブリングの事…知らなかったのか?」

「お、お兄さんも知ってるんですか!?」

「知っているも何も……」自分の横に居るソラに視線を落とした了平

「……もう話してもいいだろ?ソラ」
リボーンがソラにそう言い放った。

「「「えっ!?」」」ツナ、獄寺、山本が驚く。

「そうだね……作戦に参加する以上、このリングを使わざるを得ない。」

「ソラちゃん、それってどういう……?」

「サブリングは……私が持っています。」

「なっ!?ソラちゃんが!?」驚くツナ

「てめーっ、なんで今まで言わなかったんだよ!?」怒鳴る獄寺

「まぁ、まぁっ…落ちつけよ獄寺!」怒鳴っている獄寺を宥める山本

「……言いたくなかったからですよ。」
獄寺の質問に答えるソラ

「言いたくなかった?」
「なんでだよ!?」
「なんでだ?」
理由が気になるツナ、獄寺、山本

ソラはウェストポーチに仕舞ってある、2つのリングのうち、一つだけ取り出した。
そして、それをツナ達に見えるようにした。

「あっ!!ボンゴレリング!?」ソラが持っているリングを見てそう言ったツナ

そう、ソラが持っていたリングは、ツナの大空のボンゴレリングにそっくりで、色が違うだけだった。
絵柄の周りの色が、ツナのが青色なのに対し、ソラのは黄色だった。

「なんで10代目の持っているリングとそっくりなんだよ!?」
「ほんとなのな……違う所って言ったら、色が違う事くらいか?」
獄寺と山本もリングを見て驚いていた。

「これはボンゴレリングじゃありませんよ。」

「ボンゴレリングじゃ…ない?」マジマジとリングを見るツナ

「ボンゴレリングのレプリカみたいな物ですよ。」

「レプリカ?」

「そして、正式名称は…『サブボンゴレリング』です。長いので、みんなは『サブリング』と呼んでますが。」

「サブボンゴレリング?なんで、そんな名前なんだ?」なんとなく気になって聞いた山本

「名前を付けたのは私じゃないから、推測になっちゃうんですが……」

「なら、僕が話そうか?ずっと前にツナ兄に聞いたから、知ってるよ。」
フゥ太が助け舟を出した。

「あっ、じゃあお願い。」

「フゥ太、この時代の俺に聞いたって……」

「うん、本当だよ。だってこのリングは、ツナ兄がソラのために作った、特注のリングだもん。」

「えっ!?俺が!?」
「10代目が!?」
「ツナが?」
驚く3人

「このリングはね、ツナ兄達が持つボンゴレリングを参考に作った物だから、ほとんどボンゴレリングと変わりないんだ。
精製度もツナ兄達と同じA以上でね、ボンゴレリングやマーレリングとほぼ同等のリングなんだよ。」

「んなぁーー!?なんでこの時代の俺、ソラちゃんにそんな物を作ったのーー!?」

「10代目、なぜそんな凄いリングをっ…」

「あははっ…すげーのな!」

「でね、大空のボンゴレリングそっくりに作ったから、『サブボンゴレリング』って名前にしたんだってツナ兄が言ってた。」

「名前を付けた理由が単純過ぎるぞ。」
リボーンがツナに向かってそう言う。

「俺に言うなよ!この時代の俺が決めたんだからっ!!」

「あははっ……まぁ、名前の由来はそういう事です。」

「んで?なんでそんなすげぇリング、今まで使ってなかったんだよ?つーか、今までのリングはなんだ?」
獄寺が最もな疑問をぶつけた。

「今着けているのは、精製度Bのリングで、サブのリングです。」

「えっ!?それって……」

「私の本来のリングは、このサブボンゴレリングなんですよ。」
左手に持っている、晴のサブボンゴレリングを見つめながらそう言ったソラ

「それって……まだ本気を出していない……って事か?」
驚きながらも、思った事を口にした山本

「……そうなりますね。このリングの事をあの時言っても使う事はないので、とりあえず守護者が揃うまでは言わない事にしたんです。」

「なんで?」疑問に思って聞くツナ

「なら逆に聞くぞ。もし、その時ソラが言っていたら、お前達はどうしていた?サブリングがあっても、ソラがその晴系リングで戦っていたら、
お前達はどう思う?」
ラルがツナ達に問いかけた。

「どうって……」
ツナはどう答えていたか考える。

「ん〜……なんでサブのリングで戦ったのかな〜?っとは思うだろうな…」
山本が真剣に考えてそう言った。

「んなの決まってんだろっ!!なんで本気で戦わねぇっ…!って思うぜっ!!」
はっきり断言する獄寺

「山本や獄寺の言う通り、そんな凄いリングがあるなら、なぜそれを使わない?…っと思うだろうな。」

「当たり前だ!!なんでそのリングを使わねぇんだよ!?そのリングを使っていれば、俺達が初めてミルフィオーレと戦った時、
10代目が怪我する事なかったかもしれねぇし、あのアホ女がアジトを飛び出した時に戦ったブラックスペル隊員もすぐに
倒してアジトへ戻れてたかもしれねぇだろ!?」
そう言いながら、ソラの目の前まで来た獄寺

ソラは獄寺のその怒鳴り声を聞いて、胸が痛んだ。

「おい、聞いてんのか!?」

「もうやめろっ!!タコ頭!」
ソラの様子を見て、了平が獄寺を止める。

「なんだよ、芝生頭!!」

「ソラを怒鳴ってどうする!?」

「だってこいつ、今まで本気を出していなかったんだぞ!?それをっ…」

獄寺が言葉を言い切る前に、了平が右拳で獄寺の左頬を殴った。

殴られて、後ろにふっ飛ばされた獄寺

「何すんだよ!?」体を起こしながら、了平に怒鳴る獄寺

「ソラをこれ以上責める事は、俺が極限に許さんっ!!」

「つな…よしさん、ごめん、なさいっ……ごめん……なさいっ……」
顔を俯かせたまま、ツナに謝罪していたソラ

「どうして…謝るの……?」

「このリングの事、言わなかったしっ……初めから、このリングを使っていれば、綱吉さんが怪我する事はなかったかもしれなかったからっ…」

「ソラちゃん……」

「ソラ、そう自分を責めるな。お前は何も悪くない、沢田に謝る必要などないのだぞ?」
そう言いながら、隣に居るソラの頭を右手で撫でながら、慰める了平

「でもっ…」納得いかないソラ

「……そもそも、沢田がソラにそのサブリングを作り、授けたのは、戦う時に使うためではない。」
ソラの頭を撫で続けたまま、話し出す了平

「じゃあ何のためだよ?」気になる獄寺

「体内の死ぬ気の炎が暴れるのを防ぐためだ。」

「体内の……死ぬ気の炎が暴れるのを……防ぐため?」首を傾げたツナ

「そうだ。時々、死ぬ気の炎を思いっきり使わせて、体外に流出させるためだ。」

「なら、今着けているリングでも……」山本がそう言う。

「それではダメなのだ。随分前に、それで精製度Bのリングが波動に耐えられずに砕けてしまった。」

「なっ……!?精製度Bのリングを……砕いた、だどっ!?」信じられないという顔をしながら言う獄寺

「今、ソラが着けているリングが砕けていないのは、ソラ自身が上手く炎を調整しながら使っているからなんだ。精製度Bのリングでも、
波動に耐えられずに砕けた事を知った沢田は、このままではまた体内の死ぬ気の炎が暴れてしまうと思い、9代目や門外顧問……
つまり、沢田の親父さんに相談しながら、悩みに悩み抜いて、決めたのだ。ソラ専用のリングを作る事を……」

「9代目や、父さんにも相談したの?」

「ああ。このリングを作るには、特殊な材料が必要だし、費用だって掛かる。そう簡単には作り出す事は出来んのだ。」
ツナにそう答えた了平

「おい、芝生頭」

「何だ?」

「さっき、“また体内の死ぬ気の炎が暴れてしまう”って言ったよな?」
さっき了平が言っていた言葉が気になった獄寺

「うむ。確かに言ったな。」

「…っという事は、前に体内の死ぬ気の炎が暴れた事があるって事だよな?」

「「あっ!?」」獄寺の言葉を聞いて、ツナと山本もその事に気付いた。

「………ソラは生まれた時から、高純度の炎を宿していな、小さな体が背負うにはきついと思うくらいの死ぬ気の炎……
つまり、強い波動が体全体を常に駆け巡っているのだ。」
少し間を置いてからそう言った了平

「体全体を……駆け巡る……?」首を傾げる山本

「うむ。ソラはこれまで何度も死ぬ気の炎が体内で暴れて、苦しんできた。」

「……あの、1つ聞いていいっスか?」山本が了平に聞く。

「なんだ?」

「その、体内の死ぬ気の炎が暴れている時、ソラはどんな風に苦しんでるんですか?」

「死ぬ気の炎が体内で暴れている間は、いつも高熱を出して苦しんでいた。」

「高熱を…スか?」

「普通熱を出した時は、冷却シートや氷枕などして症状を和らげるが、死ぬ気の炎が原因の高熱には、まるっきり効果がないのだ。」

「えっ……効果が、ない?」了平に聞き返したツナ

「ああ。体内の死ぬ気の炎を鎮静化させるための薬を飲ます以外はひたずら落ち着くまで安静させるしかないのだ。もちろん、その間も
体力が落ちてるから、飯をしっかり食わせ、水分も補給してやらねばならんがな。」

「そうなんですか…」

「だから、そのサブリングがいかに凄いリングであろうと、戦うために作られたわけではないので、本当にやばいと思った時にしか
使わないように、沢田から言い聞かされていたのだ。このリングの情報が広まらないようにする事も含めてな……」
そう言いながら、ソラが落ち着いてきたのに気付いて、右手を頭から離した了平

「この時代の俺から?……ほんとなの?ソラちゃん」
ソラに視線を向けたツナ

「本当だよ。この時代のボスとの約束…」
俯かせていた顔を上げて、ツナに言うソラ

「この時代の俺との約束……(でも、ここの俺はもう、死んでるのに……)」

「たとえ、ボスがもう居なくても、この約束は出来るだけ守るようにしてるんだよ。(パパとの約束だしね…)」
ツナが感じてる事に気付いたからか、ツナに向けてそう言ったソラ

「ソラちゃん…」

「えっと……それでサブリングの事なんだけど…「無理に使おうとしなくていいよ。」えっ…」
ソラの言葉を遮ってそう言ったツナ

「使いたくないなら、使わなくてもいい。だって、ソラちゃんはこの時代の俺との約束を守っていたから、今まで使ってなかったんでしょ?」

「う、うん…」頷くソラ

「なら、今まで通りでいいよ。」

「………ありがとう。でも、使う。」
ツナの言葉は素直に嬉しかったが、それでもサブリングを使うと言ったソラ

「えっ……て、手紙の事なら、気にしなくてもいいんだよ!?」

「確かに手紙の事もあるけど…それだけじゃない。ファミリーの首脳達が『陽色の姫君』を作戦に参加するように言ってきてる以上、
この作戦の失敗は絶対に許されない。」

「で、でもっ…」納得いかないツナ

「綱吉さんが言いたい事は解るよ。でも、私はこの時代の人だから…」

「!!」はっとするツナ

「ミルフィオーレファミリーを倒さない限り、この時代には平和が訪れない。だから戦う。この…サブリングで!!」

ソラの覚悟を聞いて、それ以上何も言えなかったツナ

「まぁ、サブリングの件はこういう事だ。他にも話す事はいくつかあるが、それは後だ。いいか、沢田。確かにこの作戦はボンゴレの存亡を
賭けた重要な戦いだ……だが、決行するかどうかはお前が決めろっ」
了平がツナに向かってそう言った。

「なぁ!?俺がー!?」

「現在、ボンゴレの上層部は混乱しているし、10年前のお前達を信用しきったわけではない。ヴァリアーもあくまでボンゴレ9代目の部隊という姿勢だ。
お前の一存で、作戦全てが中止になるような事はないだろう。だが、このアジトの事は、ここの主である、ボンゴレ10代目が決めるべきだと
極限に俺が言っておいた!!」
真剣な表情で言う了平

(お…お兄さん……)

「ふっ…でかくなったな、了平」
嬉しそうに言うリボーン

「期限は本日中だ。」

「え!?ええー!?」

「中止の場合は、首脳に俺が伝えに行く。」

そこで了平はツナの両肩を掴んだ。

「しっかり頼んだぞ、沢田っ」
真剣な表情から、爽やかな笑顔なって、ツナにそう言った了平

「なっ、ちょっとっ」反論しようとするツナ

「任せたぜ、ツナ」
「俺達はどこまでも、10代目に着いていきますから!!」
「しっかりね、ツナ兄」
山本、獄寺、フゥ太がツナにそう言う。

ツナの両肩に置いていた手を離し、出口へ移動し始めた了平

「えっ、あ、あのっ…」移動し始めた了平に声を掛けるツナ

「師匠の話はまた……」
立ち止まって、ラルに向けてそう言った了平

「!」眼を見開くラル

「さーて、俺は極限飯食って寝るっ!!」
両腕を挙げながらそう言い、また歩き出した了平

「なっ!?そ、そんな!困ります!待って下さい!!」
引き止めようとしたツナ

だが、了平はそのまま出て行ってしまった。

「どうしよう、リボーン!!責任重過ぎるよーー!?」
ビアンキが抱いてるリボーンに向かって言うツナ

「ボスが情けねぇ声出してんじゃねぇっ!まず、5日後にお前の納得できる戦力を確保出来るか考えるんだ。」

「戦力……」落ち着きを取り戻すツナ

「5日後に予想されるクローム髑髏の状態と、お前達の修行の仕上がりだな。」
ラルがツナにそう言う。

「そ…そーだよね…戦いに…なるんだもんな…」

「なーに、修行についちゃ、俺達がなんとかするって!なっ、獄寺!」
爽やかな笑顔でそう言った山本

「あ…ああ、任せて下さい、10代目!!」
ツナにそう言う獄寺

「修行といえば…ソラ、お前の方はどうなんだ?5日後までに仕上がるのか?」
リボーンが気になってソラに聞いた。

「大丈夫、問題ない。太陽の修行、もう最終段階に入ってるから。」

「ほぉっ…速いな。」

「綱吉さん達が個別の修行に入る前から、少しずつやっていたからね。」

「そうなのか。(いったいいつやったんだ??書類片付けたり、ツナの修行見たりしてて、そんな時間、なかった気がするが…)」
表面上ではポーカーフェースを保ちながらも、内心では驚き、疑問に思っていたリボーン

「ちょっ…ちょっと待って!!今、太陽って言ったよね!?」

「?…うん、言ったよ?」

「ソラちゃん自身の修行じゃなくて、太陽の修行なの!?」

「そうだよ。太陽がステップアップすれば、より良い連携が取れるからね。」

「自分の修行はしなくて良いのか?」

「そうですね……作戦に参加する以上、それに向けての修行もしないと……」
山本に言われてそう思ったソラ

「今からで間に合うのかよ?」

「5日あれば充分ですよ。私の場合は、サブリングを使った修行をするだけですから。」
獄寺の疑問にそう答えたソラ

「ふむ……空いた時間に相手してやろうか?太陽だと、お前の修行相手には少し不足だろ?」

「ううん、いいよ。リボ兄は山本さんの修行に専念してて。もし相手が必要なら、恭兄か、了兄にお願いするから。」

「そうか。」

「でも、最後の仕上げの調整の時は、相手してくれる?」

「!…ああ、いいぞ。」ソラの申し出を喜んで引き受けるリボーン

「哲兄」

「はい、ソラさん」

「もしかしたら相手をお願いするかもしれないから、その時はお願いって、恭兄に伝えておいてくれる?」

「わかりました!雲雀に必ずお伝え致します!!」

「それじゃ、私は部屋に戻るよ。」
ツナ達にそう言ってから、応接室を出ていったソラ


標的29へ進む。


今回のお話は、了平から、大規模な作戦の事を伝えられる所です。
この話の中で、今まで謎だった、サブリングの存在を明かしました。
単純な名前ですみません…必死に何かないか考えたのですが、思いつかず、
結局、こんな単純な名前になってしまいました。
このサブリングは2種類あって、その内1つのリングは晴属性のリングです。
もう1つはもしかしたら、言わなくても解るかもしれませんが、この先のお話の中で明かされます。
それでは標的29へお進みください。

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