ーー翌日ーー地下7階通路ーー
あれから、ソラはまた寝たが、あまり深くは眠れずに朝を迎えてしまった。
今は朝食を食べるため、大食堂へ向かっていた。
「ハァ〜……通信、出なければ良かった……」
ソラがこうして大食堂へ向かう前、ジャンニーニから通信が来たのだ。
もし、この通信を聞いていなかったら、今頃ソラは自分の部屋でご飯を作って、1人で食べていただろう。
今はあまりみんなと顔を合わせたくない様子。
(今頃、後悔しても仕方ないか…)
そう思いながら、歩いていると、大食堂前に着いた。
中からは、いつも以上に賑やかな声がしていた。
獄寺の怒鳴り声も聞こえてきた。
(やけに賑やかだね……朝なのに……)
そう思いながら、大食堂の中へ入っていった。
「あっ!ソラさん!」
イーピンが気付いて、ソラの傍まで来た。
ソラは中を見て驚いていた。
「……手巻寿司?」
「ソラさん、おはよう!」
「あっ、おはよう。イーピンちゃん」
イーピンが声を掛けてきたのに気付いたソラ
「おっ!ソラ、やっと来たのな!」
ソラに気付いて声を掛けた山本
「……何やってるんですか?山本さん」
「何って…手巻寿司を作ってんだよ!」
爽やかな笑顔を浮かべたまま、そう言った山本
「いえ、それは見ればわかりますよ。私が言いたいのは…」
「おはよう、ソラちゃん。今日は俺達が朝ご飯の当番なんだ。」
「山本君指導、「竹寿司」直伝の手巻寿司を作ってるんだよ。」
ソラの聞きたい事が解ったツナと京子がそう答えた。
「どうだ?ソラも作らねぇか?」
いつの間にか、ソラの前まで来ていた山本がしゃがんで、ソラに視線を合わせてからそう言った。
「手巻寿司をですか?」
「そう。」
「あっ、そういえば……確か作れたよね?ソラ」
フゥ太が思い出したように、ソラに向かって聞いた。
「ん?ソラ、作れるのか?」
「まぁ……一応、作れますけど……」
「そっか!んじゃ、頼むぜ!」
立ち上がりながら、そう言い、ソラの頭を撫でた山本
(えっ…決定なの!?)声には出さず、心の中でそうツッコんだソラ
ソラは特に断る理由もなかったので、山本に言われた通り、手巻寿司作りに取りかかった。
次々作りながらも、自分の分を食べていたソラ
「ソラ、作るの上手いのなっ」
ソラが手巻寿司を作るのを見てそう思った山本
「そうですか?前に山本さんに教えられた通りに作っただけですが。」
「俺に?」きょとんとした顔で自分を指差した山本
「はい。この時代の山本さんが教えてくれました。」
「そうなのか。」
「ソラちゃん、俺より上手だね……」
ソラが作る手巻寿司を見てそう思ったツナ
「確かにそうだな。ソラ、ラルの分、お前も作ってやれ。」
「ラル姉の分を?」
「そうだぞ。あいつは部屋で食べるらしいからな。」
「わかった。」
ソラはそう言った後、また手巻寿司を作り始めていた。
(ソラの奴、また心が不安定になってきてるぞ。……やべーな…)
リボーンがソラの様子を心配そうに見ていた。
『ご馳走様でした!』
「ふぅ〜…食った、食った〜…」
お腹が膨れて満足そうにそう言った山本
「はぁー、こういう時間が1番落ち着くよな〜…」
ツナはこの時間をゆっくり満喫していた。
「美味しかったね、手巻寿司!!」
ハルにそう言う京子
「はーい!さすが「竹寿司」直伝の味です!!」
京子に同意するようにハルもそう言った。
「あはっ!腕を振るった甲斐があったな!」
京子とハルの言葉を聞いて、嬉しそうな顔をする山本
「ギャハハハっ……ランボさんも手伝ったもんね。」
高笑いしてから、そう言ったランボ
「けっ!アホ牛は遊んでただけじゃねぇか。」
ランボにそう言う獄寺
「そんな事ないもんね〜!」
獄寺にそう言われて、ムッとしたランボ
「ねぇ、ねぇっ、オレっちも手伝ったよね!?」
京子とハルにそう聞くランボ
「うん!」
「はい、はい!ランボちゃんもお手伝い、ちゃんと出来ました!」
京子とハルがそう答えた。
「ひゃははっ…やったもんね〜!」
それを聞いて嬉しそうにするランボ
「いーや、邪魔しただけだ。」
「なんだとーー!?」
そう言って、獄寺の頭の上に飛び乗って、ポカポカ叩くランボ
ランボにポカポカ叩かれて痛そうにしてる獄寺
「やめろっつーの!」そう言いながら、頭の上に居るランボを掴んで、テーブルに叩きつけた獄寺
「が・ま・んっ…」起き上がって、涙を浮かべながら、泣くのを我慢しようと頑張るランボ
「獄寺さん!ランボちゃんに何するんですか!?」
獄寺に向かって怒るハル
「うっせっ!アホ女!!」
獄寺はそんなハルにそう言う。
「アホ女ってなんですか!アホ女って!?」
(……隼人兄とハル姉、昔からこうだったのに、どうやって付き合い始めたんだろう…?)
ソラは言い合いになっている獄寺とハルの様子を見ながらそう思っていた。
「ビアンキはどうしたんだ?」
そこでリボーンが獄寺に声を掛けた。
「えっ!?………さぁ……」
リボーンの言葉に反応し、少し間を置いて答えた獄寺
その時、椅子から降りたソラ
「ん?ソラ、もう行くのか?」
ソラが椅子から降りたのに気付いて声を掛けるリボーン
「うん…部屋に戻る。」
「そうか…あんまり無理すんなよ。」
ソラはリボーンの言葉を聞いた後、出口に向かって歩き出した。
「あっ!ソラちゃん、待ってっ!」
ソラはツナの声に立ち止まる事なく、そのまま出ていった。
ーー地下14階ーーソラの私室ーー
部屋に戻ったソラは、通信の設定を変えてからそのままベッドへ寝転んだ。
(眠い……この3日間、あまり良く眠れてないからなぁ……)
ソラはそう思いながら、そのまま重い瞼を閉じて眠り始めた。
ソラが寝て少し経った頃、モニターに通信が入ったが、先程やった通信の設定で音が鳴らないようにしていたのか、
通信が来た事に気付かないまま眠っていた。
ーー地下5階ーー作戦室ーー
作戦室にはジャンニーニからの招集により、ツナ、獄寺、山本、リボーン、ビアンキ、ラル、ジャンニーニ、草壁が次々と集まり、
草壁から、新しく入手した六道骸に関する情報を聞く所だった。
「う〜ん……出ませんね〜…」
ジャンニーニが唸っていた。
「ジャンニーニさん、どうかしたんですか?」
ジャンニーニが唸ってるのが気になって聞いたツナ
「いえ…それが、さっきから通信で部屋にいらっしゃるソラさんを呼び出しているんですが、応答がなくて……」
「えっ…!?」驚くツナ
「何かあったのか?」心配する山本
「あいつは別に居なくたって、問題ねぇだろっ…」吐き捨てるように言う獄寺
「いえ、ソラさんが居ないと問題ありますよ!今、このアジトの事はソラさんが一任しているんですからっ…」
獄寺にそう言ったジャンニーニ
「確かにそうですね。私は雲雀からソラさんにも必ず報告するように言われてますので……」
ジャンニーニの後に続くように草壁もそう言った。
「それに、ソラは六道骸とも仲が良いのよ。きっと行方が解らなくて心配しているはずよ?」
「けっ…どうだか!10代目を見殺しにするような奴が、他人の心配なんかするかよっ…」
「ソラは沢田を見殺しになどしていない!!いやっ…そんな事は絶対にありえない!!」
獄寺にそう叫んだラル
「なっ…てめーも見ただろうが!あいつが雲雀に頼んだから、10代目が死に掛けたのをっ…!!」
「確かにそうだ…その事でオレも少しソラを責めてしまった。だが、ソラが沢田やお前ら2人の事を見殺しになど、出来るはずがないんだ…」
「ラルの言う通りだぞ。獄寺」
リボーンが獄寺にそう言う。
「リボーンさんまでっ……あいつは雲雀に頼んで、10代目と戦わせて、死なせかけたんですよ!?雲雀に頼まなければ、
10代目があんな目に遭う事はなかったっ!!」
「だが、頼まなければ、ボンゴレの試練を受ける事が出来ない上、沢田が新しい力を手に入れる事は出来なかっただろう。
ボンゴレの試練は、混じり気のない、本当の殺意が必要だったからな。」
ラルが獄寺にそう言った。
「っ…た、確かにそうだがっ……10代目に何も言わず、それを実行した事も許せねぇっ……」
リボーンが突然怒鳴り散らした。
「リ…リボーンっ……」リボーンの怒鳴り声に驚くツナ
ツナ以外のみんなも、リボーンの怒鳴り声に驚いていた。
「獄寺、お前……本気でそう思っているのか?」
「………」無言で肯定する獄寺
「あいつがどんな想いで、ツナにボンゴレの試練を受けさせたか、少しでも考えたか!?」
「!…そ、それはっ…」
「あいつは、誰よりも、誰かを失う事のつらさを知ってるんだぞ!?この時代のツナや山本の親父、それにアルコバレーノ全員、ソラの知り合いだ!
もちろん、この俺もな……たくさん知ってる人が亡くなって、失う事のつらさを知ってるあいつが、過去から来たツナを見殺しになんか出来る訳がねぇだろっ!!」
「リボーンさんの言う通りです。昨日、ソラさんが我々のアジトに来た時も、ギリギリまで、雲雀に頼むのを迷っていました。
誰よりも、沢田さんの事を理解しているからこそ、とても苦しい決断だっただろうと、私はその時思いました。」
草壁が昨夜の事を思い出しながらそう言った。
「オレも沢田の継承後、ソラが自分の事を責めていたのを知っている。これしか方法がなかったとはいえ、沢田の意志を無視して、
ボンゴレの試練を受けさせ、ボンゴレの証を継承させてしまった事を……」
「獄寺君…」
「10代目?」
「俺も昨日山本に聞くまで知らなかったんだ。ソラちゃんがボンゴレの試練を提案した事。でも、山本から聞いたよ、ソラちゃんの真意を……」
「真意…?」
「俺、ソラに聞いたのな。『ツナは大丈夫だよな?』って言ったら、俺達に出来る事は、ツナを信じて待つ事だけだって言ったんだ。」
「ソラちゃんは、信じてたんだよ。俺がボンゴレの試練を必ず乗り越えてくれるって……確かに、獄寺君が言うように、これは危険な賭けだ。
でも、そうしなければ、新しい力を得る事は出来なかった。それに……」
ツナはそこで一旦言葉を切り、リボーンに視線を向けた。
「リボーンが…教えてくれた。ソラちゃんは、俺のためを想って、この試練をする事にしたんだって……」
「10代目の…ため?」
「俺が今望んでる事は……誰も欠ける事なく、無事に過去へ帰る事。」
「!!」その言葉にはっとする獄寺
「もう解るよね?みんなを守れる力を得る近道が、このボンゴレの試練しかなかったんだよ。」
それを聞いて俯く獄寺
「さて、ソラの話はお終いだぞ。んで、ジャンニーニ、これは緊急じゃねぇから、そのままそっとしといてやれ。
ソラはたぶん寝てるはずだからな。」
「寝てる…?さっき起きたばっかりなのに?」
リボーンの言葉に首を傾げるツナ
「あいつ、近くでよく見たら、隈出来てたぞ。」
その言葉に、ここに居る全員が驚いていた。
「えっ…それってっ……」
「たぶん、あの継承のあった日から、あまり良く眠れてねぇんだろ。早くなんとかして手を打たねぇと、やべぇぞ。」
「……わかった。俺がなんとかするよ。」
「ああ、任せるぞ。草壁、骸の事で新しく入った情報を教えてくれるか?」
「はい、解りました。」
リボーンがソラの話に区切りをつけ、本題に入ったツナ達だった。
『ソラ……ソラ……』
誰かがソラを呼んでいた。
『誰……?私を呼ぶのは?』
ソラは周りを見回すが、青い大空に草原が広がっているだけで、他に人が見当たらなかった。
『やっと気付いてくれましたね。僕ですよ、ソラ』
そう言って、ソラの前に姿を現した青年
『骸兄…?』
『ええ……お久しぶりです、ソラ』
そう言って、ソラに微笑みかける骸
『骸兄、今どこに居るの?』
『……ミルフィオーレファミリーに潜入中です。』
『なっ!?』驚くソラ
『驚きましたか?』
『そりゃ驚くに決まってるじゃん!行方が掴めなくて、ずっと心配してたんだよ!?』
『心配させてしまったようですね。』
そう言いながら、しゃがんでソラの視線に合わせる骸
『骸兄、ミルフィオーレで何してるの?』
『いろいろ…ですよ。』
『骸兄に何かあったら、凪姉が心配するよ?』
『ええ、解っています。』
『凪姉は……無事なの?』
『ええ、無事ですよ。ただ、栄養失調の上、10年前の姿ですが…』
『えっ…10年前の?』
『はい。』
『そっか……凪姉も……』
『ソラ、そんな悲しそうな顔をしないで下さい。』
そう言いながら、右手でソラの左頬に手を添えた骸
『骸兄……』
『ソラ、お願いがあります。』
『何?』
『もうすぐ凪はあなたが居るアジトへ来ます。……凪を、よろしくお願いします。』
『……わかった。そのかわり、骸兄も約束して?』
『何でしょう?』
『骸兄がミルフィオーレで何してるか、詳しくは聞かない…話してくれそうにもないしね。でも、これから骸兄に何かが起こりそうな予感はしてるよ。
無傷は無理だろうから言わない…けど、絶対に死なないでっ……必ず凪姉の元に戻ってくるって約束してっ!』
ソラはこれから骸の身に何かが起こると超直感で感じとり、骸を心配していた。
『……はい、必ず約束を守ります。凪と、そしてあなたの元に必ず帰ると……』
『約束、したからね?絶対だよ?』
『ええ。必ず帰りますよ…僕らの大切なお姫様』
「はっ……」
目を覚まし、上半身を起こしたソラ
「…骸兄の幻想散歩……か。」
今の夢は骸の趣味である幻想散歩で、自分の夢の中に入って来て起きた出来事だとすぐに解ったソラ
「骸兄、無事でいて…」ソラは少しの間、目を瞑って両手を祈るように握っていた。
少しそうした後、ソラはベッドから降りた。
机の上に視線を向けると、寝てる間に通信が来ていた事とメールが届いている事に気付き、すぐにメールを開いた。
ソラが通信に出られなかった時は、緊急を要する場合には、緊急通信回線を使って呼び出してくるが、そうじゃない時は、
ジャンニーニがこうしてメールを送って、内容を知らせてくれているのだ。
メールには、六道骸に関する情報を入手した事が書かれていた。
「骸兄の情報?何だろう…?」
ソラは夢で骸と会って、無事なのを知っているから、何の情報か気になった。
「……とりあえず、作戦室に行こう。」
モニターを切ってから、部屋を出て、作戦室へ向かった。
ーー地下5階通路ーー
(骸兄の情報って、何かな…?)
ソラは作戦室に向かいながら、そう思っていた。
ソラが作戦室へ入ったその時、警報が鳴り響いた。
「モニターが!?」
ツナが壁のモニターに現れた文字を見ながら驚く。
「今度は何だ?」山本もモニターを見ながらそう言った。
「これは、緊急暗号通信です。」
ジャンニーニがそう答えた。
「このコードは?」
モニターにコンマが並んでいるのを見ながら、ジャンニーニに聞いたリボーン
「暗殺部隊のコードだよ。」
「えっ…!?暗殺部隊……って今の声はっ!?」
ツナを始め、次々と入口の方へ視線を向けたみんな。
そこにはソラが居た。
「ソラちゃん!」
ソラは獄寺の隣の席が空いていたので移動して座った。
「ジャンニーニさん、すぐに暗号を解析して。」
「りょ、了解です!」
ジャンニーニは暗号の解読に取りかかっていた。
待ってる間、ソラは草壁からは六道骸に関する情報を、ラルからは黒曜ランドにリングの反応があり、
クローム髑髏かもしれないという事を聞いていた。
「やっぱり俺、黒曜ランドに!!」焦るツナ
「落ち着け、ツナ」
焦るツナにそう言うリボーン
「でもっ…」
「またうかつに外に出て、ミルフィオーレに見つかったらどうする?」
「リボ兄の言う通りだよ。今までみたいに、上手く撒く事が出来るとは限らない。」
リボーンの後に続けてソラがツナにそう言う。
リボーンとソラの言葉を聞いて思いつめるツナ
「10代目…」
「ツナ…」
ツナを心配そうに見ていた獄寺と山本
「今は、この暗号が解析出来るのを待ちましょう…きっと役に立つ情報が手に入るはず……」
ソラは超直感でそう感じ取ったようだ。
「えっ…」ソラの言葉を聞いて呆然とするツナ
「フっ……おとなしくして待ってろっ」
ツナにそう言ったリボーン
また少し時間が経った……
「ジャンニーニ、どうだ?」
「画像データのようですね。あと少しで解読出来ます。」
キーボードを打ちながら、リボーンに答えたジャンニーニ
「で、でもよ…暗殺部隊つったら……」
「あの人達しか思い当たらないけど……」
獄寺とツナはそれぞれそう言いながら、ある暗殺部隊のメンバーを思い浮かべる。
「しかし、世の中には、多くの暗殺部隊が存在しますよ。」
草壁がツナ達にそう言う。
(いや、哲兄には悪いけど、これは絶対ボンゴレの暗殺部隊のコードだよ。)
ソラは確信を持ってそう心の中で言う。
「おっ、いけそうですよ。やはり暗号コードはボンゴレのものです。デジタル署名も一致。」
解析が終わったジャンニーニがそう言っていた。
「つーことはやっぱ…」
「ボンゴレ暗殺部隊…」
「壁のモニターに再生します。」
ジャンニーニがそう言い、壁のモニターに再生させた。
アジト全体に響く大声がモニターから聞こえてきた。
(こ、鼓膜が、破けそうだよっ…)
ソラはその大声を聞いてそう思った。
『首の皮は繋がっているかぁ!?クソミソカスどもぉ!!』
「出やがったっ」
「じゅ…10年後の…」
「スクアーロ!!」
獄寺、ツナ、山本の順にモニターに映った人物を見てそう言った。
「ボリュームを下げろ!聞くに堪えんっ」
怒りを露わにし、モニターを睨みつけながら、ジャンニーニに言うラル
「はいっ…随分下げてるんですか…」
そう言いながら、キーボードを打ちながら、ボリュームを下げるジャンニーニ
『いいかぁ?クソガキどもぉ!今はそこを動くんじゃねぇ!!外に新しいリングの反応があったとしてもだぁ!!』
「!…黒曜ランドの事だな。」
スクアーロの言葉を聞いてそう言ったリボーン
『うししっ……じっとしてりゃ、わっかりやすい指示があるから、それまで良い子にしてろってことな!お子様達。』
スクアーロが座っているソファーの後ろから現れたベルがそう言った。
「ナイフ野郎!」現われたベルを見て、そう叫ぶ獄寺
「解りやすい指示…」
ラルはベルの言った言葉が気になっていた。
『う゛お゛ぉいっ、てめー、何しに来た!』
ベルに向かって怒鳴るスクアーロ
『王子暇だし、茶々入れ。』
『口出してんじゃねぇ!ぶっ倒すぞぉ!!』
『やってみ』
『う゛お゛ぉいっ…』挑発したベルに襲いかかり、そのまま喧嘩になった。
(この2人、相変わらずだね……)
モニターに呆れた眼を向けながら、そう思っていたソラ
「あはははっ…っ」
山本がモニターの様子を見ながら、呑気に笑っていた。
(相変わらず荒れくれ集団だ…)
モニターの様子を見ながらそう思ったツナ
『ソラぁ!そこに居るなぁ!?あんまり無茶してんじゃねぇぞぉ!!』
『元気にしてる?お姫様』
『てめーは黙ってろぉ!ソラ、てめーは人を頼らなさ過ぎだぁっ…もっと周りを頼れぇ!!ボスがお前の事を心配していたぞぉ!!』
「んなー!?あのザンザスが!?」スクアーロの言った言葉が信じられず、思わず叫んだツナ
『またこの世で会えるといいなぁ!それまで生きてみせろぉ!ソラ、お前はぜってーに死ぬなぁっ!!』
そう言って、モニターが切れた。
「あっ…」
「切れた!」
「こ、これだけ…?」
呆然とするツナ達
「通信内容は以上です。」
「あいつら、変わってなかったなっ!」
爽やかな表情でそう言う山本
「こ、怖かった……それにしても……」
ソラに視線を向けたツナ
ツナに釣られてるようにして、山本や獄寺もソラに視線を向けた。
「ソラちゃん、ヴァリアーと知り合いなの?」
「う…うん……」
「あのナイフ野郎がお前の事、お姫様って言ってたな。」
「それ、やめてって言ってるんですけどね。」
「ソラ、あいつらに好かれてるなんてすげーのな!」
呑気に山本がそう言った。
「おめー、雲雀だけじゃなくて、あのザンザスにも気に入られてるのか?」
「あははっ……気が付いたら、いつの間にかね…」
リボーンにそう答えるソラ
「でも、解りやすい指示って何だろ?」
ツナはベルが言っていた言葉が気になっていた。
「どーやら、あの方の事のようですよ。イタリアから帰られた……」
足音が入口の方から聞こえて来たので、全員入口に視線を向けた。
「笹川了平……推参!!」
クローム髑髏を抱えた、この時代の了平が立っていた。
「芝生頭!!」
「お兄さん!」
ツナ、獄寺、山本は椅子から降りて、了平に駆け寄った。
「それにクローム髑髏も!!」
了平に抱えられていたクロームに気付くツナ
「……ジャンニーニさん、ビアンキ姉をすぐにここへ連れて来て。」
「あっ、はい!」ソラにそう言われ、ビアンキを呼びに行ったジャンニーニ
「哲兄」
「はい。」
「クロームさんが連れてる、ムクロウの事を調べてきてくれる?あっ、アニマル匣かって事だけね?」
「了解です。」草壁は了承し、笹川了平の方へ行き、クローム髑髏が抱えていたムクロウを連れて出て行った。
(骸兄、凪姉をいったい誰と戦わせたの…?)
ここには居ない、骸に向けて愚痴るソラ
少しすると、ビアンキを連れたジャンニーニが戻って来た。
「ソラさん、連れてきました!」
「ビアンキ姉、クロームさんを集中治療室へ連れていって手当をしてあげて?」
「ええ、わかったわ!」
ビアンキは了平からクロームを引き取り、そのまま急いで集中医療室へ運んでいった。
「やっぱり、黒曜ランドの反応はクロームだったんだ…」
「誰とやりあったかは知らねぇが…そうとうな戦いだったみてぇだな…」
クロームの容態を見てそう思った獄寺
「怪我…大丈夫かな?」
クロームを心配そうに言うツナ
「手当はビアンキに任せておけ。」
「うん。」
そこに、ムクロウを連れた草壁が戻ってきて、椅子に座ったままのソラの前まで来た。
「ソラさん、ムクロウですが、やはり、匣兵器のようです。本当にこれ以上の調査はよろしいのですか?」
「うん。だってそれも今はクロームさんのだし、勝手に弄られたら嫌だろうから……(10年前の凪姉だしね。)」
「…わかりました。」
「クローム、早く良くなるといいんだけど…」
「そーだな。」
ツナの言葉に同意する山本
ソラは椅子を降りて、了平に近寄る。
「ソラ、極限に久しぶりだな!」
傍に来るソラに気付いて、声を掛けた了平
「おかえり。了兄」
了平の前まで来たソラがそう言う。
「うむ。極限帰ったぞ!ソラ」
そう言いながら、しゃがんでソラの視線に合わせてから頭を撫でた。
「心配、してたんだよ?」
「うむ。」
「どこかで敵にやられたんじゃないか?ってっ……」
そう言いながら、涙を流し始めたソラ
「な、泣くな!お前に泣かれると、どうしていいか極限にわからなくなるっ!!」
ソラに泣かれて戸惑う了平
「…了兄、約束…破ったよね?」
「う゛ぐっ……」ソラに痛い所を突かれた了平
「任務に行く時は、ちゃんと行き先を私に教えてから行くって、言ったよね?行き先が解らなかったから、調べられなかったよ!!
了兄が無事なのか、そうでないのかっ…」
了平に向かって泣き叫ぶソラ
「!……すまんっ…」
泣いてるソラを自分に引き寄せて抱きしめながら謝る了平
ソラは了平の服を掴み、顔を胸に埋めた。
「お前がこういう事に過敏なのを極限忘れていたっ……俺が死ぬ夢とか、見てしまったのだな?」
ソラの頭を撫でながら、そう言った了平
それを聞いて驚くツナ達
「……そうだよっ…せめて、無事なのを、何らかの方法で、知らせて欲しかったっ…」
「すまん……」
その様子を黙って見ていたツナ達
(ソラちゃんが自分から泣いてる所、初めて見た……)
(先輩と仲良いのな……)
(……10代目やリボーンさんののおっしゃるとおり、あいつは誰かを見殺しにするような奴じゃねぇみてーだな……)
(良いタイミングで戻って来たな。了平)
ツナ、山本、獄寺、リボーンが、了平とソラの様子を見ながら、それぞれ心の中で呟いていた。
しばらくそのままソラが落ち着くまで、頭を撫で続けていた了平
「落ち着いたか?」
「うん。」そう言いながら、了平から離れたソラ
「ほらっ、これで涙を拭け。」
そう言いながら、ポケットからハンカチを出してソラに差し出す了平
「ありがとう。」了平からハンカチを受け取ったソラ
了平はソラの頭をもう1度撫でてから、立ち上がった。
了平から離れたソラは、ハンカチで涙を拭いていた。
「霧の守護者は回復を待つとして…」
「うむ……実はな…」
ラルの言いたい事が解ったのか、了平が話を切り出そうとした。
「お兄ちゃん!!」
そこに京子とハルが走って入って来た。
「ん?」
後ろから声が聞こえ、振り向く了平
「おお、京子」
「よかったっ、無事で!!」
そう言いながら、了平の腰に腕を回して抱き着く京子
「10年前は、こんなに小さかったか。」
そう言いながら、抱きついてきた京子をしっかりと受け止めた了平
「な……泣くな…見ての通り、俺はピンピンしている!」
泣いてる京子に気付いてそう言う了平
「………うん……」
「だから泣くな!なっ!」
(なんか、さっきと同じ状況になってない?……でも、この2人を見てると、10年前と一緒だな…お兄さんも昔のままみたいだ…)
ツナは了平と京子を見てそう思っていた。
「水を差す気はねぇけどよ…」
言いづらそうに了平に声を掛けた獄寺
「ん?」抱きしめていた京子を離し、ツナ達の方へ振り向く了平
「なんでおめぇがここに来るって、ヴァリアーが知ってたんだよ!」
一番もっともな疑問を了平にぶつけた獄寺
「もちろん!俺もそこに居たからだ!」
「え!?お兄さんがヴァリアーに!?」
「そして、伝言を持ち帰った!!」
「ベルフェゴールの言ってた指示の事だな。」
山本の肩の上に居るリボーンがそう言った。
「一体、何スか?」
「それが……極限に忘れたーー!!」
(んなーー!?むしろ、この人、全然成長してねー!?)
声には出さす、心の中でツッコむツナ
「ちゃんとメモしてあるんだよね?了兄」
「うむ!ちゃんとメモしてある。俺にしかわからんようにな…」
そう言いながら、上着の内ポケットからメモを取り出した了平
「10年で1つ覚えたな。」
リボーンが了平のその様子を見てそう言った。
「ふむ、ふむ!そーか、そーか!……ん?」
メモを読んでいた了平だが、傍に京子とハルが居るのを思い出した了平
「イタリアには、出張相撲大会があって行ったのだった!」
「え…?」
「はひっ…」
それぞれ反応する京子とハル
「楽しかったぞ!!京子!ハル!あっはははっ……」
2人を誤魔化す了平
(了兄……誤魔化し方がめちゃくちゃだよ……)
(相変わらず、誤魔化すのめちゃくちゃだ……)
ソラとツナは同じ事を思っていた。
今回のお話では、了平とクロームがアジトに来た所ですね。
骸も幻想散歩でソラと会わせられましたし、了平ともなんとか上手く絡めれました!
この話で登場したスクアーロとベルの会話にソラへの言葉を付け加えさせるか少し悩みましたが…
ソラは雲雀だけでなく、骸やあの荒くれ集団のヴァリアーのみんなにも好かれているのです!!
ボスのザンザスも気に入っていて、ソラには優しいんです!
それでは、標的28へお進みください。