翌日、朝6時……
目覚まし時計が鳴り響いた。
「ふわぁ〜……良く寝ました!」
ハルはベッドから降りて、目覚ましを止めた。
「おはようございます!京子ちゃん」
「ハルちゃん、おはよう!ちょっと待っててね。」
「?」ハルは気になって、京子のベッドを覗く。
京子は自分の服を掴んでいるソラの手をゆっくりと解いていた。
「あれからずっとこの状態だったんですか?」
「みたいだね。」
「……なんか、ほんとにびっくりですよ。普段しっかりしてるソラちゃんしか見た事なかったので。」
「私もだよ。……解けたっ」
ソラを起こさないようにそっとベッドから出る京子
「もしかしたら、ツナ君もこんな風に寝たのかもね?ソラちゃんと」
「えっ…ツナさんとも寝たんですか?」
「うん。ソラちゃん、この時代の私やツナ君と寝た時は、絶対悪い夢を見ないんだって。」
「そうだったんですか……」
お話しながら、着替え終わった京子とハルは朝ご飯を作りに部屋を出ていった。
ソラは暗闇の中にいた……
目の前には10年前から来たみんなやラル達が次々と倒されていた…
ミルフィオーレファミリーの人達がツナ達を倒していたのだ。
『みんな!……どうしてっ』
次々目の前で倒れるツナ達を見て、体を震わすソラ
その時、突然ソラの頭の中に声が響いた。
<ここに居る者達は、お前のせいでやられたのだ……>
<そうだ、お前が悪いっ!>
<お前が本気を出していれば、やられなかっただろうにっ……>
<なぜ死ぬ気モードにならない?なぜ超モードにならない?『ボンゴレの姫君』よ…>
『嫌っ……やめてっ……』
体を震わし、両手で頭を抱えながら、悲痛の声を上げるソラ
<さぁ、なるのだ!!>
<お前には、ボンゴレを守るという使命があるのだっ!!>
<ボンゴレに歯向かう敵を焼き殺せっ!!>
次々と掛けられる声がソラを追い詰める。
『やめてっ……私が悪いんだ……私が、迷わず死ぬ気モードにっ…超モードに、なってればっ……でも、たとえ敵でも、
焼き殺したくなんかないっ!!もう、二度と大切な人を傷つけたくないっ!!ごめん、みんな……ごめん、なさいっ…』
涙を流しなら言うソラ
「……ちゃんっ……ソラちゃんっ……ソラちゃんっ!!」
誰かが自分の体を揺らしながら呼ぶ声に気付き、目を覚ましたソラ
目の前には自分を心配そうに見つめるハル、ランボ、イーピンが居た。
「……ハル…さん?」
体を起こしながら言うソラ
「大丈夫ですか?なんか、凄く魘されてましたけど。」
「えっ……あっ……」
そこで自分が泣いていた事に気付くソラ
「大丈夫?ソラさん」
「ソラ、どこか痛いのか!?」
「悪い夢、見ちゃいましたか?」
イーピン、ランボ、ハルが心配そうにしていた。
「………」何も言わずに俯くソラ
ハルはソラを抱きしめた。
ランボとイーピンはそれぞれの手を握った。
「!」3人の行動に驚くソラ
「大丈夫です。ツナさんや京子ちゃんには負けるかもしれませんけど、ハルはソラちゃんが落ち着くまで傍に居ます!」
「ソラ、オレっちがついてるから、大丈夫だもんね!」
「ソラさん、1人じゃない!イーピン、傍に居る!」
「あっ……」
『ソラちゃん、ツナさんや京子ちゃんの代わりは出来ませんけど……ハルの事、いつでも頼って下さいねっ!!』
『俺、ボンゴレ達みたいに強くないけど、ソラが不安になった時は、ずっと傍にいてあげるから…だから大丈夫だよ!』
『こらぁっ、また我慢しようとしてるっ!ツナさんや京子さんがまた心配するよ?……今は私が傍に居るから、泣いていいよ?』
この時代のハル、ランボ、イーピンの言葉が頭の中でフラッシュバックする。
(ハル姉っ…ランボ兄っ…イー姉っ…)
ソラはこの時代のハル、ランボ、イーピンと同じような事を言っているのを聞き、少しだけ嬉しくなった。
少しの間そのままで居たが、落ち着いたソラはハル達を自分から引き離した。
「ソラちゃん?」
「ありがとう!!ハルさん、ランボ君、イーピンちゃん」
満面の笑みをハル達にに見せるソラ
「えっ…?」
「やっぱり、ハルさんはハルさんなんだね……この時代のハルさんと、同じ事言ってる。それにランボ君やイーピンちゃんもね。」
「ソラ!」
「ソラさん!」
ソラの笑顔を見て、嬉しくなるランボとイーピン
「ソラちゃん、敬語っ……」
「もう、必要ないから。……これからもよろしくね?ハルさん」
「ソラちゃん!!」涙を流して、ソラを抱きしめるハル
しばらくされるがままにしていたソラ
「ごめんなさい。なんか逆にハルが泣いちゃいました。」
「気にしないで。ところで、どうして私はここで寝てたの?」
「はひっ…覚えてないんですか?昨日、眠っちゃったソラちゃんを部屋に戻そうにも、どこで寝ているのか知らなかったので、
京子ちゃんがここに連れて来たんですよ。」
「ってことは……」
「京子ちゃんと一緒に寝てましたよ、ソラちゃん」
「やっぱり。(ママと寝てたって事は…私、絶対しがみついちゃった、よね……?)」
聞いてないから解らないが、たぶんそうだろうと思うソラだった。
「寝てる時のソラちゃん、可愛かったです!」
ハルのその言葉を聞いて、顔を真っ赤にするソラ
「ハ、ハルさんっ、朝ご飯の時間なんだよね?」
話を逸らそうと、話題を無理やり変えたソラ
「あっ…そうです!すっかり忘れてました。」
(上手く逸らせてよかったよ……)
ベッドから降りて、靴を履くソラ
「じゃあ私は1度部屋に戻って、シャワーを浴びてから行くから、先に食べてて。」
「わかりました。さぁ、ランボちゃんとイーピンちゃん、行きますよっ!」
「「はーいっ」」
ハル達が言った後、ソラは寝室を出て、自分の私室へ向かった。
ーー地下7階通路ーー
ハル達と別れたあと、ソラは一度私室へ戻り、シャワーを浴びたあと、大食堂へ向かっていた。
食堂に近づいてくると、賑やかな声が聞こえてきた。
ソラは大食堂に入って行った。
中に居たのは、ハル、京子、ランボ、イーピン、フゥ太、ビアンキ、ツナ、リボーンの8人だった。
「あっ、ソラちゃん!」ツナが気付いて声を掛けた。
「皆さん、おはようございます。」
みんなはソラに挨拶をそれぞれ返した。
そのあと、ツナの隣に移動して座ったソラ
「ソラちゃん、ぐっすり眠れた?」
「うん。昨日は途中で寝ちゃってごめんなさい。」
「気にする事ないよ、とっても疲れてたんだし。」
「あれ?……綱吉さん、まだ来たばかり?」
「ううん、ソラちゃんが来るのを待ってた。」
「えっ!?」
ツナの言葉を聞いて驚いた後、周りを見回したソラ
ランボ以外、誰も食べていなかった。
「……ハルさん?」
「ハルはちゃんと言いましたよ、先に食べてていいって。でもみんなソラちゃんを待つって。」
「そういう事。」
「綱吉さん、ラル姉に怒られない?」
「大丈夫だぞ。ラルには伝えてある。」
「そっか、良かったっ……」
ツナが怒られないと知って安心するソラ
「さっ、朝ご飯食べようよっ!」
「……うん。」
『いただきます!!』
「ソラ、昨日みたいな事、あまりしないで頂戴ね。」
「そうだよ、体に悪いよ。」
ビアンキとフゥ太がソラの体を心配して言う。
「……えっと、なるべく気をつけるけど、約束は…出来ない。」
「そう言うと思ったよ。」
ソラの答えが解っていたのか、ガッカリするフゥ太
「なら、私達でも大丈夫な書類は全部こっちに寄こしなさい。」
「……わかった。」
「「絶対だよ?/絶対よ?」」
フゥ太とビアンキが念を押して言う。
「う、うんっ…」
2人に詰め寄られながらも、しっかり頷くソラ
そのあとは他愛のない話をしながら、食事をしていた。
『ご馳走様でしたっ』
「今日もおいしかったよ!京子ちゃん、ハル」
「良かった!」
「ありがとうございます!ツナさん」
「それじゃ、トレーニングルームに行こう?綱吉さん」
「うん、そうだね。」
「んじゃ、行くぞ。ツナ、ソラ」
リボーン、ツナ、ソラは大食堂を出て、トレーニングルームに向かった。
ーー地下8階ーートレーニングルームーー
トレーニングルームに着くと、ラルが先に来て待っていた。
「あっ、ラル姉!おはよう!!待たせてごめんね?」
そう言いながら、ラルに駆け寄ったソラ
「おはよう、ソラ…気にするな。」
優しい笑みを浮かべながら、ソラの頭を撫でるラル
「ちゃおっス。」
「おはようございます!今日も修行お願いします!!」
「ああ。今日の修行だが、少し変えるぞ。」
「?」首を傾げるツナ
「今日は俺の匣じゃなくて、ソラの匣が相手だ。」
「えっ!?ソラちゃんの匣がっ!?」
「ああ、昨日ソラとリボーンと話しあって決めた。」
そう言ってラルはソラに視線で合図した。
ソラはラルの視線に頷き、左手の中指の晴系リングに炎を灯し、自分のマントの内側にある匣を取り出して、開匣した。
匣から出てきたのは、晴カンガルーの太陽だった。
「……太陽が、今日の俺の相手なんですか?」
「ああ、そうだ。もう俺の蜈蚣じゃ、レベルアップは図れないと判断したからな。」
「ツナ、油断するなよ?太陽は今のお前より強いらしいからな。」
「そうなの!?」
「太陽は格闘戦に強いんです。綱吉さんの戦闘スタイルは格闘なので、それに合わせました。」
「別にソラをおめぇと戦わせても良かったんだが……」
「やだ!」
「この通りでな…」
「や、やだって……(ガーン)」ショックを受けるツナ
「なぜ落ち込む?ソラはただ沢田と戦いたくないだけだぞ?」
「お、俺が弱いからとかじゃないんですか…?」
「ああ、確かに今のお前はソラより弱いな。だが、違う。」
「リボ兄、はっきり弱いって言わなくても……」
「事実を言っただけだぞ。」
「……えっと、弱いからとかじゃないよ。私は綱吉さんと戦いたくない……ただそれだけ。(パパと戦うの、あんまり好きじゃないしね。)」
「それに、今のお前がソラと戦っても、勝負にならんっ」
「俺もソラと1度戦ったから解るぞ。今のおめぇじゃ、間違いなく、すぐにやられる。」
はっきりとツナにそう言ったラルとリボーン
「……ソラちゃん、この間から思ってたんだけど…どのくらい強いの?」
「………それより修行を始めましょう。」
ツナの質問には答えず、ソラは太陽に近づく。
(あっ……もしかして、聞いちゃいけなかった!?)
ツナはソラの行動を見て、そう思った。
「太陽、今日は綱吉さんの修行の相手になってくれる?」
【綱吉の修行の相手を?】
「うん。」
【わかった。】
「綱吉さん、超モードになって下さい。」
「あっ、うん!」
ツナは死ぬ気丸を呑んで、超モードになった。
そのあと、太陽と超モードになったツナが向かい合わせになって、構える。
「綱吉さんは空を飛ばずにそのまま太陽と格闘戦をしてね。」
「空を飛ばずに?」
「回避行動に噴射を使うのは有りだけど、絶対空には逃げちゃダメ。」
「わかった。」
「太陽はいつも通り、格闘戦だよ。でも“アレ”は絶対に使っちゃダメ!…わかった?」
【了解だ。】
「じゃあ……始めっ!!」
ソラの合図の後、動き出した太陽とツナ
先手を取ったのは、太陽だった。
太陽はそのまま左拳でラッシュをツナに喰らわすが、
それをギリギリで次々と回避するツナ
(は、速いっ!!それにこの技はっ…)
太陽が繰り出すラッシュを必死にかわしながら、見覚えのある技に驚くツナ
【やはり、“極限ラッシュ”は回避されるようだな。ならばっ…】
太陽はそのまま次の攻撃に入る。
【超極限ラッシュ!!】
そう言って、先ほどのラッシュより、繰り出すスピードが速くなった。
(なっ…速くなったっ!?)
ツナはこのままでは回避しきれないと判断し、噴射を使って回避した。
その際に距離を取る事を忘れずに。
「ソラ、あれは了平の“極限ラッシュ”だな?」
「うん、そうだよ。」
「だが、今繰り出してるのは?」
「あれは“超極限ラッシュ”……”極限ラッシュ”より繰り出すスピードがさらに上がっているんだよ。太陽が独自に編み出した技。」
「ほぉ……」
「でも、あの技は体力をかなり消耗させちゃうから、何度も使う事は出来ないよ。」
「あのカンガルー……強いな。」
「私のアニマル匣の中じゃ、単独で行動して敵を倒す事が出来るの、太陽だけだから。」
ラルにそう答えたソラ
「そうなのか。」
太陽とツナの戦いを観戦しながら、話をしていたソラ達。
「ハァ……ハァ……くっ…(俺の攻撃が1度も当たらない!…なぜだ!?)」
ツナは太陽に一撃も喰らわす事が出来ず、苦戦していた。
【(……そろそろ限界のようだな……)】
太陽はツナの様子を見て、そう思った。
ツナの攻撃を次々と受け流したり、回避したりしていく太陽……
何度目かの攻撃の時、ツナが一瞬の隙を見せた。
その隙を狙って、太陽はツナの腹に蹴りを喰らわしてふっ飛ばした。
攻撃を喰らってふっ飛ばされ、壁に激突したツナ
その時、額に灯っていた死ぬ気の炎が消えた。
「太陽、そこまでっ!」
【了解。】構えを解く太陽
ソラは太陽が構えを解いたのを見てから、ツナに近づいた。
「いってぇっ……」体を起こしたツナは蹴られた腹を撫でていた。
「派手にやられたな、ツナ」
「一撃も当てられなかったな、沢田」
「大丈夫ですか?綱吉さん」
「あははっ……太陽、凄く強いね。」
「太陽、どうだった?」
【……今の綱吉はただ超直感に頼っただけの格闘戦だった。今のままでは、俺に一撃でも攻撃を喰らわす事はおそらく出来ないだろう。】
「ああ〜…やっぱりか。」
「?…何がやっぱりなの??」首を傾げるツナ
「ソラ、太陽は何て言ったんだ?」
「今の綱吉さんのままじゃ、太陽に一撃でも攻撃を当てる事はおそらく出来ないって言ったんだよ。」
「えっ…!?」
「…そうなのか?」
ツナとラルは、ソラの言葉を聞いて驚いてた。
「ソラ、お前……当てられない理由解ってんだろ?」
リボーンは驚きもせず、ソラに理由を聞く。
「えっとね……今の綱吉さんの戦い方……超直感に頼った格闘戦でしょ?」
「ああ、そうだな。」
頷くリボーン
「格闘技、全然経験ないでしょ?」
「うん、全然ない。」
頷きながら、即答するツナ
「そこが欠点なんだよ。」
「なるほどな……」
「確かにな……」
リボーンとラルはそれだけで理解した。
ツナだけは未だに解らず、首を傾げていた。
まだ理解出来ていないツナに気付き、ソラは声を掛けた。
「綱吉さんはいつも超直感で感じたまま、戦ってるよね?」
「う、うんっ」
「つまり、勘で動いてるだけで、自分が繰り出す突きや蹴りをちゃんと考えて出していないって事。」
「それって……」
「格闘技の経験がないせいで、より良い突きや蹴りが繰り出せていないって事。今の綱吉さんの突きや蹴りが単純過ぎて、
太陽には何が来るのかが簡単に読めるんだよ。」
「な、なるほど……」
「だから、勘だけじゃなくて、格闘技を経験した上での格闘戦なら、太陽に攻撃が通じるようになるかも知れないって事。
ここまでで解らない所、あった?」
「ううん、とっても解り易かった!ありがとう、ソラちゃん」
「どういたしまして。」
【ソラ】
「何?太陽」
【格闘技を綱吉に教えてやれ。】
「えっ……私が?」自分を指差しながら、太陽に確認するソラ
頷く太陽
「……ラル姉でも教えられるはずだけど?」
【ソラ、綱吉に教えるのがそんなに嫌なのか?】
「いや、そうじゃなくてっ…」
「ラル」
「なんだ?リボーン」
「太陽がソラに何言ってるかなんとなく解ったぞ。」
「?」
「ソラがツナに格闘技を教えろって言ってるんだ。」
「なるほど。そういえばソラはコロネロから空手を教え込まれているんだったな。」
「えっ…そうなんですか!?」
「ああ。ずっと前にソラが嬉しそうに話してた。」
(それに……たぶんソラはその欠点を補えているはずだぞ。同じ超直感を持っているからな……
おそらく、太陽も同じ考えに辿り着いたに違いねぇ。)
ソラと太陽を見ながらそう思ったリボーン
「とにかく、私はやらないっ!」
【やれっ!】
「やらない!」
【やれと言ったらやれ!】
「絶対やらない!」
さっきからずっとこの調子のソラと太陽
「ソラ」
「何?リボ兄」太陽との言い争いをやめて、返事をするソラ
「ツナに格闘技の指導してやれ。」
「えっ…!?」そう言われるとは思っていなかったのか、リボーンの言葉に驚いたソラ
「オレも今回はお前に任せた方が良いだろうと判断した。ソラ、お前はこの時代の沢田の戦いを何度も見た事があるのだろう?」
【それに、ソラは綱吉と同じ超直感を持っている。お前なら、今の綱吉の欠点をなんとか出来るだろ?】
ラルに続いて、太陽がソラに追い打ちを掛ける。
「う゛っ………あーーもうっ!わかったっ、わかりました!やります!やればいいんでしょっ!?」
ヤケになって言うソラ
「っというわけだ。ツナ、ソラに格闘技を教えてもらえ。」
「えっ……あ、うん。」
「ソラ…今日、明日の2日で格闘技を叩き込んでおいてくれ。」
「えっ!?明日もするの!?」
「ああ、徹底的に叩き込んでやれ。」
「徹底的にってっ…(そんなの無茶苦茶過きるよ…)」
ツナが運動が全然ダメな事を考えると、基礎から応用まですべて叩き込むなんて無茶だと思ったソラ
「沢田」
「は、はい!」
「今聞いた通りだ。今日と明日はソラに格闘技を徹底的に叩き込まれてこい!」
「は、はいっ!」
「ソラ、悪いが、オレは今日と明日は抜ける。」
申し訳なさそうな表情をしながら、ソラに言うラル
「(ラル姉、顔色が良くない……)わかった。」
ラルの調子が良くない事に気付いたソラ
「すまない。」そう言ってから、トレーニングルームを出ていくラル
(ゆっくり休んでてね、ラル姉……)
去っていくラルを見つめながら、心の中でそう言ったソラ
「ソラちゃん」
ツナに呼ばれ、振り向くソラ
「今日と明日よろしくね?」
「う、うん。」
「じゃあ始めようか?」
「ううん、始めるのは午後からにしよう。」
「え?」
「今は……太陽の相手をするから。暴れ足りないみたいだし。」
太陽の様子を見ながら言うソラ
【むっ…】
「隠しても無駄だよ、太陽。それに、私も体が鈍ってて困ってたところだしね。」
「んじゃ、俺達は見学するか。」
「うん、そうだね。いいかな?」
「構わないよ。あっ…あとでまた太陽と戦ってもらうからね?」
「あ、うん。」
ソラと太陽が向かい合った。
ツナとリボ―ンは少し離れた所に移動した。
「さて…太陽、今日は何で相手して欲しい?」
【そうだな……】腕を組みながら考える太陽
「えっ…?」
「ソラの武器は基本銃だが、他にもいろんな武器が使えるんだそ。」
「そ、そうなの!?」
「ああ。」
【よし、決めた。今日はトンファーで頼む!】
「トンファーか……わかった。」
ソラは右手に嵌めている晴系リングのマモンチェーンを外した後、マントの内側から、
また匣を取り出し、左手に嵌めているリングに炎を灯し、開匣した。
匣から出てきたのは、トンファーだった。
ソラは両手に嵌められている晴系リングに炎を灯した状態で、両腕に晴の炎を灯したトンファーを構えた。
「なっ!?トンファー!?」
雲雀と同じ武器を出したのを見て驚くツナ
「面白い戦いになりそうだな。」ワクワクするリボーン
「じゃあ、始めようか?太陽」
【ああ!】
2人は動き出した。
先手を取ったのは太陽だった。
【超極限ラッシュ!!】
素早いラッシュを繰り出す太陽
だが、ソラは慌てることなく、そのラッシュを次々と回避していた。
「……ソラちゃん、あんなに軽々と避けてる……(あれ、結構速いはずなんだけどっ!?)」
「相手の動きを良く見てれば、避けれるぞ。まあ、動体視力と反射神経をかなり鍛えとかねぇと、
さすがにあれを全部避けるのは至難の業だろうがな。」
「そ、そうなんだ。(それが見えるって事は、動体視力と反射神経が物凄く良いんだね……)」
ソラは太陽の攻撃を回避しながらも、時々反撃を繰り出していた。
太陽もソラの攻撃を避けたり、防いだりしながら、反撃していた。
「こらっ、太陽!パワーだけで押して、私に勝てると思ってるの!?頭も使わないとダメっていつも言ってるでしょ!?」
【むっ……(やはり俺に足りないのは、頭を使った戦いか……)】
「そんなんじゃ、いつまで経っても、私には一撃も当たらないよ!!」
太陽にそう言いながらも、攻撃の手を緩めないソラ
【くっ……】苦戦する太陽
「……太陽が押されてる……ソラちゃん、ホントに強いね……」
ソラと太陽の戦いを見ながら驚いているツナ
「ツナ」
「何?リボーン」
「ソラがなぜあんなに強いかは俺も知らねぇ……けど、ソラが言ってた。ソラの持つ力の半分は、望んで手に入れた物じゃないってな……」
「えっ……」
「まだ幼いソラがこのマフィアの世界に居るのも、それが関係しているのかもな。」
「そんなっ…」
「そろそろ終わりにするよ?太陽」
そう言って、太陽にトンファーでトドメの一撃を喰らわしたソラ
その一撃を受けた太陽はふっ飛ばされ、壁に激突した。
ソラはトンファーを匣に仕舞い、太陽に近づいた。
「大丈夫?太陽」心配そうな表情を浮かべて言うソラ
【大丈夫だ。】そう言って立ち上がる太陽
そこにツナとリボーンが来た。
「お疲れ様、ソラちゃん、太陽」
「すげぇ戦いだったな。」
「あははっ……そう、かな…」
笑いながらも、一瞬悲しい表情を浮かべるソラ
その一瞬浮かべた表情を見逃さなかったツナ達。
だが、敢えてそれに気付かない振りをした。
【さて、今度はまた綱吉と戦えばいいんだったよな?】
そう言って、ツナに視線を向ける太陽
「あっ、それは待って。少し休もう?」
【……わかった。】
ソラ達はその場で座る。
「ソラちゃん…トンファー、使えるんだね。」
「恭兄から教わった。私が使ってるトンファーは恭兄がその時くれた物。」
「えっ!?雲雀さんから?」
「うん。」
「そ、そうなんだ……(だから、雲雀さんの戦い方と良く似てたのか…)」
「そういやぁ、気になったんだが、なんで両方のリングに炎を灯したまま戦ってたんだ?俺と戦った時は、片方だけだっただろ?」
「ん?ああ、それはね……トンファーに灯ってる死ぬ気の炎が消えないようにするためだよ。放っておくと、注入した分の死ぬ気の炎を
使い切ったら、消えちゃうからさ。リボ兄と戦った時は短時間しかしないからそうしてただけだよ。」
「なるほど。長期戦用の戦い方か。」
「うん、そうだよ。」
「へぇ……そんな使い方も出来るんだね……」
【むぅ……】先ほどの戦いを思い出しながら唸っていた太陽
「太陽、頭を使って戦う事も大事だよ?相手がどういう戦い方をするか分析し、それに合った戦い方を編み出すためにもね。
いつでも自分のそのパワー押しな戦いで勝てる訳じゃないんだから。」
【ぬぅぅっ…わ、解ってはいるんだかっ…】
「太陽の戦い方は、どこか了平に似てるな。」
「えっ?お兄さんに?」
「ああ。」
「あはははっ……」
それを聞いて笑い出したソラ
【むっ……】
「えっ?何??」
「太陽が了兄の戦い方に似てるのは当たり前だよ、前は了兄に鍛えられていたから。」
「そうなの?(お兄さんの事、了兄って呼んでるんだ…)」
「うん。太陽は初め、了兄の所に居たんだよ。」
「へぇ……お兄さんの所に居たんだ?」
「じゃあなんで、今はお前の所に居るんだ?」
「私がリングに炎が灯せるようになるまでは、了兄が預かって育ててたんだよ。私がリングに炎を灯せるようになったら、託すつもりでね。」
「?……太陽は初めからお前の匣として作られたのか?」
「そうだよ。太陽は元々、戦闘用にじゃなくて、世話係兼ボディーガード用に生み出された子なの。今じゃ普通に戦わせちゃってるけど。」
「なるほどな。だとすると、長い付き合いだな、お前ら。」
「うん。太陽は私の初めてのお友達だからね。確か、私が2歳の頃からの付き合いだよ。ね?」
【うむ。】頷く太陽
「そうなんだ。(っていうか、ソラちゃん、そんな前からマフィアの世界に居るの!?一体この時代の俺達とどんな関係だったんだろう…?)」
ソラと太陽が長い付き合いだという事を聞き、改めてそう思ったツナ
「ソラ、太陽はどのくらい強いんだ?」
「う〜ん……恭兄よりは下だと思うよ?最近は戦わせてないから解らないけど…」
「そうか。なら、了平とならどっちだ?」
「今は了兄の方が少し上。だけど、太陽が頭を使った戦いが出来るようになれば、了兄に勝つ事が出来るはずだよ。」
「どうして?」
「了兄、頭をあまり使わないもん。」
「……言われてみれば、そうかも。」
「了平は頭でなく、体で動くからな。」
「そういう事。でも、なかなかそれが出来なくてね。」
【頭では解っているんだがな…】
「仕方ないよ。初めは了兄に鍛えられていたんだから。」
【今はお前だがな。】
「……さて、それじゃあ休憩終了。太陽、綱吉さん、もう一度戦って。」
【ああ。】
「うん、わかった。」
再び向かい合う太陽とツナ
少し離れた所に移動するソラとリボーン
ツナは死ぬ気丸を呑んで超モードになった。
「始めっ!!」
ソラの掛け声で2人は動き出した。
今回も完全オリジナルです。
この話でやっと、ハルとの間の壁を壊す事が出来たソラ
あとは獄寺と山本ですね!!どのタイミングで打ち解けさせようかな…?
戦闘シーン……やっぱオリジナルになると、書きにくいですね……
太陽の戦闘スタイルはほとんど了平と同じです。
そこにソラから教わった空手の技も使う……みたいな感じですね。
太陽だけのオリジナル技、あと1つだけでも出せたら出したいですね。(考え中です。)
それでは、標的23へお進み下さい。。