ソラと太陽

ランボがジャッジョーロに捕まった事件が発生した日から、さらに3日が経った。
あれだけ酷かったソラの左腕はもう痛みはほとんどなく、痣が残っているだけだった。
今日も午前中はツナの修行を見て、午後からは自分の私室に籠り、上層部の方から送られてきた書類を片付けていた。
本来、ボスであるツナがやるはずの書類なだけに、送られてくる書類が半端ない。
特に最近はなぜか増えているような気さえしていた。
おそらく、上層部の中に居る、良くない連中からの嫌がらせだろうとソラは思うのであった。

ーー地下14階ーーソラの私室ーー

「……終わらない………っていうか、増えてるよ、絶対っ!」
そう愚痴りながらも、次々と書類を片付けていくソラ

【ソラ、少し休んだ方が良いんじゃないか?】
ソラの手伝いをしながら言う太陽

あまりの書類の多さに手が負えず、太陽に手伝ってもらっていたソラ

「大丈夫だよ。それにこんなに書類があったら、休みたくても休めないよ!!」

【確かにそうだが……極限休む事も大事だと思うぞ?】

「言ってる事が正しいだけに言い返せないよ……フゥ太兄とビアンキ姉にもお願いして、私じゃなくても大丈夫そうなのは任せたけど、
それでも、今回は多いね。」

【……なあ、ソラ……それ、お前が前に言っていた、極限に良くない連中からの嫌がらせじゃないのか?】

「うん、たぶんそうだと思うよ?嫌がらせのつもりなんだろうけど……そんな簡単にミスとかするなら、今頃ボンゴレは本当に
壊滅してると思うんだけどな〜……まぁ、手を抜くつもりはまったくないから大丈夫だけど。」
ここには居ない、上層部の中に居る、良くない連中に向けて、愚痴っていた。

【ソラ、俺は今すぐにでもそいつらを極限ぶん殴りたいぞ。】

「ダメっ!今はまだその時じゃないから、抑えてっ!」

【ぬぅぅっ……】

その時、モニター通信が入った。

「何か用?ジャンニーニさん。何かトラブル?」

『いえ、違います。トラブルは何も起こっていません。』

「なら、切るよ?今とっても忙しくて手が離せないから。」
そう言って、通信を切ろうとするソラ

『あーっ、待って下さい!!用があるのは私ではなくっ…』

『ハルですよっ!』
ジャンニーニの横に映るハル

「……ハルさん?」

『はい、そうです!!』

「何か御用ですか?」

『あのですね、今おやつの時間なんですけど、ソラちゃんも一緒にどうかと思いまして。』

「…ごめんなさい、今、手が離せないので……』
申し訳なさそうな顔をしながら言うソラ

『そうですか……』
ソラの言葉に落ち込むハル

「すみません……では、失礼しますね。」
そう言って、通信を切ったソラ

「この書類がもう少し少なかったら行けてたんだけどな〜」

【……なぜ行かなかった?少しぐらい休憩してきても大丈夫なはずだろ?】

「……バレたか。」

【極限解るに決まってるだろう。……俺はお前がもっと小さい時から、ずっと傍で見ていたのだからな。】

「そういえば、私のアニマル匣の中じゃ、1番付き合いが長いのって、太陽だったね。」

【そうだ。お前がリングを持つまでは了平の所に居たが、その時からずっとお前の遊び相手になっていたんだぞ。】

太陽が子供の面倒見が良いのは、ソラの遊び相手をずっとしていたからだったのである。

「あははっ……リボ兄が居ない時、いつも太陽が遊び相手になってくれたもんね。」

【もう一度聞くぞ、なぜ行かなかった?】

「……ハル姉と、上手く向き合えないから…かな?」

【まだ、壁をぶち壊す勇気がないのか?】

「うん。……体が震えて…どうしたらいいのか…本当に解らないよ……ハル姉だけじゃない、隼人兄もタケ兄にも。」
苦痛の表情を浮かべながら言うソラ

【極限大丈夫だ!】
そう言いながら、ソラの頭を撫でる太陽

「太陽……」

【お前なら、きっと乗り越えられる…俺が傍に居る、一緒に壁をぶち壊してやるっ!】

「……ありがとうっ!!」太陽に向けて、満面の笑みを浮かべた。

【礼などいらんっ、お前は俺の大切な友達だからな!】
ソラを優しい眼差しで見つめながらそう言う。

「うん!…さぁ、残りもさっさと片付けちゃおうか!」

【ああ、極限任せろ。】

太陽に励まされて少し元気の出たソラは、また書類を片付け始めた。



「終わったっ…これでまたしばらくはゆっくり出来るよ。手伝ってくれてありがとう!太陽」

【うむ。】

「あとはこれをジャンニーニさんに届けないとね。」

【では、今から持っていくか。その後は飯だ。】

「えっ!?……もうそんな時間?」

無言で時計を指す太陽
そこには8時30分と表示されていた。

「いつの間に……ごめん、太陽」
自分がどれだけの時間、集中していたか解って驚いたソラ

【気にするな。通信が来なかったのは、夕方頃にジャンニーニに書類を渡しに行った時、通信して来ないように
極限言っておいたからだ。】

「そうなんだ。それで?ご飯はどうするって伝えたの?」

【それなのだがな……京子達に時間がいつになるか解らないから、お前の分は作らなくて良いと伝えたのだが……】

「…もしかして頑として譲らなかった……とか?」

【ああ、その通りだ。ソラは自分でご飯を作る事も出来るから大丈夫だと言っても、聞かなかったぞ。】

「じゃあ……」

【……おそらく待っている可能性が高いだろう。】

「な、なんでそれを早く言ってくれなかったのーーっ!?」

【お前が極限に集中していて、とても声を掛けれそうになかったからだ。】

「……とりあえず行こうか、太陽」

【ああ。】

太陽に書類を持ってもらって、部屋を出ていった。


ーー地下7階通路ーー

ジャンニーニに書類を渡した後、すぐに大食堂へ向かっていたソラと太陽
ソラは今、太陽の肩に乗せてもらっていた。

「う゛ぅ〜……ビアンキ姉とフゥ太兄に怒られた〜」
2人に怒られて落ち込むソラ

【……極限元気を出せ、ソラ】

「そう言ってくれるのは太陽だけだよ……」

【さぁ、行くぞ。お腹空いただろ?】

「うん。」

太陽はソラを肩に乗せたまま、大食堂へ移動していた。


ーー大食堂前ーー

【ん?話し声が聞こえるな……】

「そうだね。誰かな?」

【入ってみれば解るだろ。】
そう言って、中へ入っていく太陽

そこに居たのは、ツナ、京子、リボーンの3人だった。

「ん?……やっと来たか、ソラ」
リボーンが気付いて、入口の方に視線を向けた。

それまで話していたツナと京子も、リボーンの言葉を聞き、入口の方へ視線を向けた。

「ソラちゃん、お疲れ様!」

「今用意するから座ってて?」

3人を見て、呆然としているソラ

太陽は移動して、ツナの隣の席にソラを降ろした。

「あっ…ありがとう、太陽」

【うむ。では、俺は匣に戻る。もしまた何かあったら、いつでも極限に俺を呼べ。】
ソラの頭を撫でながら言う。

「うん、頼りにしてるよ!お疲れ様、ゆっくり休んでね。」
そう言いながら、太陽に向けて、匣を翳す。

すると太陽は匣へと戻って行った。

(ソラちゃんと太陽、仲良いな……)
ソラと太陽を見てそう思ったツナ

「綱吉さん、ハルさんは?」

「ハルはランボとイーピンを寝かしつけに行ったよ。」

「そうなんだ。」

「はい、おまたせ。」

「あっ、ありがとう!それじゃ、いただきますっ!!」
手を合わせてそう言ってから、食べ始めたソラ

「ビアンキから聞いた話だと、半端ない量だって聞いたが、もう終わったのか?」

「うん、太陽が手伝ってくれたおかげでね。これでしばらくはゆっくり出来ると思う。トラブルとかが起きない限りは。」

「そうか。」

「凄いね……夕方、太陽が持ってきた書類を見たけど……俺、全然読めなかったよ。イタリア語、読めるんだね。」

「うん、読めるよ。」

「私もイタリア語はさすがに読めないな〜……」

「仕方ないよ。2人はずっと日本に居るんだから。」

「「えっ……」」

「ん?……私、何か変な事言った?」

「えっと……ソラちゃんって日本人だよね?」

「?……そうだよ。(ちょっとイタリア人の血も入ってるみたいだけど。)」

「ずっと日本に居たんじゃないの?」

「私は日本に居たり、イタリアに居たりしてたから、日本語もイタリア語も聞いて、自然と覚えちゃった。
字はリボ兄が教えてくれてたから、読めるんだ。」

「えっ!?リボーンに教えてもらったの!?」

「うん。」

「……ねぇ、ソラちゃん」

「?」

「リボーンの勉強で爆発とか、起きなかった?」
ソラの耳元で言うツナ

「あ〜……あれ、ほんとだったんだ……」
ツナの言葉を聞いて、ソラは呆れた眼をリボーンに向けた。

「ん?なんだ?」

「なんでもない。綱吉さん、大丈夫だよ。普通に教えてくれてたから。」

「そ、そう……(よ、良かった〜っ)」
ソラの言葉を聞いて安心するツナ


ソラがご飯食べている間、ツナ達は今日あった事をソラに話していた。


「ご馳走様でした。」

「はい、お粗末さまでした。じゃあ食器片付けるね。」
そう言って、京子が食器を洗い場に持って行った。

「ソラ、上の連中は大丈夫なのか?」

「うん、大丈夫。ただ、書類をわざと増やされただけだよ。」

「……それのどこが大丈夫なんだ……」
呆れた表情で言うリボーン

「ソ、ソラちゃん……」心配そうな表情をするツナ

「ほんとに大丈夫だよ。さすがに少し頭に来たから、やり返した。」

「ほぉ……」

「えっ…!?やり返したって……?」

「送られてきた書類の中には、所々不備があってね、指摘ついでに書き直し申請しといたの。さっき送ったから、
たぶん、今頃慌てて書き直してるんじゃないかな?だからこれに懲りて、うかつに書類を増やしてこなくなると思うよ?」
笑顔のまま、さらっと凄い事を言い放つソラ

「そりゃすげーな……やるじゃねぇか、ソラ」

「いや、それっていいの!?そんな事して大丈夫!?」

「大丈夫!」満面の笑顔で即答する。

「ソラがそう言ってんだから、大丈夫だろ。」

「で、でもっ……」

「ん?この匂いは……」
その時、何かの匂いに気付くソラ

ソラの前に何かが入ったマグカップが置かれた。

「……キャラメルミルク?」

「正解!太陽君が教えてくれたの。ソラちゃんが良く飲む物だって。」

「太陽が?……いつ聞いたの?」

「今日の夕方にここへ来た時だよ。ご飯の後に作ってやってくれないかって。」

「そっか。(そういえば、パパが死んでから、いろいろ忙しくて飲んでなかったっけ……)」
ソラは熱を冷ましてから、キャラメルミルクを飲んだ。

「どう?」

「美味しい!!」満面の笑みを浮かべて京子に言うソラ

「良かった!」

(確かに私はキャラメルミルクが好きだけど……それはママが良く作ってくれる物だからだよ。)
ソラはそう心の中で言いながら、この時代の京子の事を思い出していた。
ソラはゆっくり味わいながら飲んでいた。

「ソラちゃん、キャラメルミルクが好きなんだ?」

「うん!」
満面の笑顔で即答するソラ

「なんで今まで飲んでなかったんだ?」

「作ってる暇がなかったから。」

「そうか……なら、京子」

「うん、そうだね。リボーン君」

「?」首を傾げるソラ

「これからはキャラメルミルクが欲しい時は私に言って?作ってあげるからっ!」

「……えぇっ!?そ、そんな悪いよ!」京子の言葉を聞いて慌てるソラ

「ううん、作りたいの。ダメ?」

「うっ……(ママ、その顔は反則だよっ……)」
京子の顔が「お願い、作らせて」っと訴えているような気がした。
親しい人からのお願いに特に弱いソラには、その申し出を断る事が出来なかった。

「お前の負けだな、ソラ」

「……お願いします。」

「うん、任されました!」

「ぶっ……あはははっ……」
様子を黙って見守っていたツナが突然笑い出した。

ツナが急に笑い出したので、最初は驚く京子とソラだったが、2人も釣られて笑い出した。

(だいぶ打ち解けてきたな……そうしてると、本当にお前はツナと京子の娘なんだなって実感出来るぞ。)
リボーンはその様子を黙って見守っていた。

「ふわぁ〜……」久しぶりにキャラメルミルクを飲んだ事と、疲れが溜まっていたせいで、睡魔が襲ってきたソラ

「ソラちゃん、眠そうだね。」
ソラが欠伸しているのを見てそう言ったツナ

(ここで、眠るわけには……)
目を擦りながら、睡魔と闘っているソラ

「今日はこのくらいにして、私達も寝ようか?」
ソラの様子を見てそう言う京子

「うん、そうだね。」

「どっちが連れていくんだ?俺達はソラの部屋がどこにあるのか知らねぇから、連れていけないぞ。」

「あっ、そういえばそうだね。どこなんだろう?京子ちゃん、知ってる?」

「ううん、知らない。」

「ソラちゃん、部屋どこ?」
ツナはソラに聞いたが……

「スゥ……スゥ……スゥ……スゥ……」
ソラは睡魔に負けて、そのまま眠ってしまっていた。

「……寝ちゃってる……しかも座ったままで……」

「昼からずっと書類を片付けてたみてーだからな、疲れが溜まってるんだろ。」

「ツナ君、今日は私がソラちゃんを連れていくね?私、まだソラちゃんと寝た事ないんだ。」

「あっ、うん…って、ちょ、ちょっと待ってっ!」

「ツナ、声が大きいぞ。」

「あっ、ごめんっ……」
ソラが起きていないか確認すると、ぐっすり寝てるようでほっとするツナ

「いきなり叫んでどうしたんだ?」

「いや、俺もまだ1回しかソラちゃんと寝てないけど、まさか、まだ京子ちゃんの所に1度も行っていなかったなんて思わなかったから……」

「えっ…?ツナ君の所に1回だけ?私はてっきり、ずっとツナ君の所で寝てるのかと思ってたんだけど。」

2人は衝撃の事実を知り、寝ているソラに視線を向けた。

「……ソラの奴、まだ遠慮してんのか?」

「「えっ?」」

「お前らも知っての通り、ソラはしっかり者で、あまり人を頼らない。だから、本当にこのまま甘えてしまっていいのか、
迷ってんのかもしれねぇな……」

それを聞いて、心配そうな表情を浮かべるツナと京子

「そんな顔するな。逆にお前らがソラに近づけばいい。」

「えっ?」

「それって……」

「お前らがソラを誘って寝てやればいいって事だ。そうすれば、少しずつ、お前らを頼ってくるようになるだろ。」

「……そうだね。わかったよ、リボーン」

「うん、そうするよ。ありがとう、リボーン君」

「俺はアドバイスしただけだ。どうなるかはお前ら次第だぞ。」

「じゃあ、とりあえず今夜は私の所でいいよね?」

「うん。あっ……そういえば包帯、替えてないよね?」

「そういえば……」

「まだ替えてねぇみたいだぞ。包帯がボロボロだ。」
リボーンがソラの左腕に巻かれている包帯を見ながら言う。

「困ったな……塗り薬、ソラちゃんの部屋……だよね?」

「さあな。もしかしたら、持ち歩いてるかもしれねぇぞ?」

リボーンにそう言われ、京子はソラを起こさないように気をつけながら、ソラのポケットの中を漁る。

「………あった!」
ソラの左ポケットの中に入っていた缶を取りだした。

「ホントに持ってるとは思わなかったぞ。」
適当に言ったのに、当たっていて驚いたリボーン

缶をテーブルに置いた後、京子は食堂に常に置かれている、救急箱を取ってきた。

「じゃあツナ君、ソラちゃん支えてて?包帯を替えるから。」

「うん、解ったよ。」

ツナは隣で寝ているソラをそっと抱き上げて、自分の膝の上に降ろし、ソラを寄り掛からせ、京子が包帯を替えれるようにした。
京子はソラを起こさないように気をつけながら、包帯を解いた。

「……もうほとんど痣がないね。」

「そうだね。あんなにひどかったのが嘘みたいだよ、痛みもあまりなさそうだし。」

「この様子なら、そろそろ治るんじゃないか?」

「そうだと良いな……」そう言いながら、薬をソラの左腕の前腕部の痣の部分だけを優しく塗っていた。

「しかし……良く寝てんな。ツナの傍で安心しきってやがる。」寝てるソラを見ながら言うリボーン

ツナと京子はソラの寝顔を見る。
居心地が良いのか、とっても気持ち良さそうな寝顔を浮かべて眠っていた。

「……ほんとだ……ソラちゃん、この時代のツナ君にとっても懐いてたのが良く解るよ。」

「そ、それを言うなら、京子ちゃんだって!…高熱を出してた時、ソラちゃん、とても安心しきって寝てたじゃない。
あの時、この時代の京子ちゃんにとっても懐いてたんだなって思ったよ。」

「お前らはソラにとっては無くてはならない存在なんだ。ツナや京子に何かあれば、ソラは不安になる。その事を覚えておけよ?」

「うん、わかったよ。リボーン」
「わかったよ。リボーン君」
ツナと京子はそれぞれ返事した。

薬を塗り終わった後、包帯を巻いた京子

「これでよしっとっ…」

「お疲れ様、京子ちゃん」

「ツナ君もお疲れ様。」
そう言って、救急箱に包帯をしまって、元の場所に戻した。
缶はソラのポケットの中に戻した。

「じゃあ、ソラちゃん連れていくね。」

「うん。」

ツナからの返事を聞いた後、ツナに抱かれてたソラをそっと抱き上げた京子

「京子ちゃん、大丈夫?」

「うん、大丈夫。」

ツナ達は大食堂を出て通路に出た。


「じゃあ、ツナ君、リボーン君。おやすみなさい。」

「うん、おやすみ。京子ちゃん」

「おやすみだぞ。京子」

ツナとリボーンはエレベーターへ……
京子はこの階の自分が寝泊まりしている寝室へ……


ーー京子・ハル・イーピンの寝室−−

「あっ、京子ちゃん」

「ハルちゃん、おまたせ。ランボ君とイーピンちゃんは眠った?」

「はい、もうぐっすり寝ちゃいましたよ。あれ?ソラちゃん、寝ちゃったんですか?」

「うん。私達、ソラちゃんの部屋、どこにあるか知らないから、今夜はここで一緒に寝ようと思って。」

「そうなんですか。じゃあ今日はハルが上で寝ますから、下のベッドに寝かせてあげてください。」
そう言いながら、2段ベッドの下に敷かれていたタオルケットを捲った。

「ありがとう、ハルちゃん」
そう言った後、ベッドにソラを寝かせたあと、靴を脱がし、タオルケットを掛ける京子

「……ソラちゃん、寝てる時は年相応ですね。」
ソラの寝顔を見ながら、そう言ったハル

「うん、そうだね。さっ、私達も着替えて寝よう?」

「そうですね。」

2人は寝巻に着替えた。

「ソラちゃん、着替えさせなくていいんですか?」

「私達、ソラちゃんの寝巻持ってないし、それに…この間ビアンキさんが言ってたじゃない、あまり人に体を見られたがらないって……」

「そういえばそうでしたね。」

「じゃ、寝ようか。ハルちゃん」

「はい。」

京子はベッドに入り、ソラの傍に寄り、起こさないようにそっと抱きしめた。
すると、ソラが身動きして、京子にしがみついてきた。

「あっ……」

「どうしたんですか?京子ちゃん」
ベッドの上から下を覗くハル

覗いた先には、京子にしがみつくソラの姿が……

「はひ!?驚きの一面ですっ!」

「うふふっ……でも、嬉しいな。寝てるから、たぶん無意識なんだろうけど、甘えてきてるんだもん。」
京子は嬉しそうにしながら、寝てるソラの頭を撫で始めた。

「そうですね。今のソラちゃん、とっても可愛いですっ!それに、なんかそうしてると京子ちゃん、お母さんみたいですよ。」

「えっ…そうかな?」

「はいっ!」

「お母さん……か。」

「どうしました?」

「そういえばソラちゃんの親は誰なのかな?って思って……」

「そういえばそうですね。一度もソラちゃんの口から聞いた事ありませんでしたね。」

「言わないって事は聞かない方が良いんだろうけど……」
そう言いながら、ソラに視線を向ける京子

「スゥ……スゥ……スゥ……」
京子にしがみついたまま、とても安心しきった寝顔を浮かべているソラ

「……まっ、いっか。」

「そうですよ。それじゃ京子ちゃん、おやすみなさい。」

「うん、おやすみ。ハルちゃん」

(でも、どうしてソラちゃんは私とツナ君の傍だと安心して寝れるのかな?)

少しの間、ソラの頭を撫でながら、考えていた京子だが、
少しずつ睡魔に誘われてしまったので、考えるのをやめて、眠りについた。


標的22へ進む。


今回は完全オリジナルです。
太陽はソラの事をとても大切に思っていますから、ソラが困っていたりしたら、絶対助けるだろうと思い、
まだ壁を壊す勇気がないソラを太陽が励ます所が書きたくて書いちゃいました。
それでは、標的22へお進みください。

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