ーー地下8階ーートレーニングルーム
あれから2日が経った。
ソラの左腕の怪我はまだ完治していないが、それ以外は健康そのものだった。
今はツナの修行の様子を見ていた。
「ツナ、準備はいいか?」
超モードのツナが黙ったまま、頷いた。
リボーンはそれを見て、ラルに合図を送った。
「いくぞ!」そう言いながら、雲蜈蚣を開匣したラル
匣から出てきた雲蜈蚣はツナの方へ襲いかかった。
ツナは絞めつけようとしてくる雲蜈蚣を必死に食い止めていた。
「くっ…」雲蜈蚣の攻撃に怯むツナ
「もっと集中しろ!それくらいの攻撃でふらつくんじゃないっ」
雲蜈蚣の絞めつけから、なんとか逃れるが、すぐに次の攻撃が繰り出され、やられたツナ
やられたツナの額から炎が消える。
「まだ集中力が足りない!!」
「そ、そんな事いっても、いきなり本気の攻撃に耐えるなんて…」
「本気なんかじゃねぇっ、ラルが本気出したら、今頃お前の体はボロボロだ。」
「そ、そんなっ……」
「大丈夫?綱吉さん」心配そうな顔でそう言いながら、ツナの傍に来たソラ
「う、うん…大丈夫。」
「怪我をしたくなかったら、もっと死ぬ気の炎の練度を上げるんだなっ」
「今のまま、ミルフィオーレと戦ったら、お前は死ぬ。」
「えっ!?」
「大丈夫だよ。そうならないために、今修行をしてるんだから。」
「その通りだぞ。みんなを守るために強くなるんだろ?ツナ、こんくらいで弱音吐いてんじゃねぇっ」
「あ…うん」リボーンにそう言われ、真剣な顔つきになるツナ
その時、突然警報が鳴った。
その音を聞いて、気を張り詰めるソラ達。
「け、警報!?て、敵かな!?」
「……たぶん違うと思う。ラル姉、私達で見てくるから、ここで待ってて?」
「……わかった。」
「行こう、綱吉さん、リボ兄」
「うん!」
「わかったぞ。」
ソラ、ツナ、リボーンがトレーニングルームを出て、警報が鳴った所に向かった。
「……すまない、ソラ」そう言ってから、壁に寄り掛かって力を抜くラル
ラルの体はノン・トゥリニセッテを浴び過ぎた影響で、あまり長時間動き回れなくなっていたのだ。
ソラはその事に気付いていたから、ラルにここへ残っているように言ったのであった。
ーーCハッチーー
ソラ達が警報の鳴った、Cハッチに駆けつけると……
「あっ!」ツナがランボを見て声を上げた。
「出せ、出せー!おれっちをここから出すんだもんねーー!?」
そこには天井に網で吊るされたランボが居た。
「ランボ君!!」
「ランボ、何やってんだ?お前」
「何もやってないもんね。突然これが降ってきたんだもんねっ!」
「嘘つけっ」
「嘘はダメだよ、ランボ君」
リボーンとソラがランボの言葉を即座に否定する。
そこでハルと京子が駆けつけて来た。
「はひ!?ランボちゃん、どうしたんですか!?」
「ツナ君、早くランボ君を出してあげてっ!」
「あっ…うん。」
天井に吊るされてるランボに近づいたツナ
「よっと…」ジャンプしてみたが、全然届かないツナ
「ランボ!」
フゥ太とジャンニーニが駆けつけて来た。
「あらら……やっぱりトラップに触ったのですね?」
「やっぱり。そうじゃないかとは思ってたけどっ…」
頭に手を添えながら言うソラ
「トラップ?」
「はい、勝手に出入りする者を捕らえる、ボンゴレ最新式の罠です。」
「ランボ!やっぱり勝手に外に出ようとしたんだな!!」
ジャンニーニから聞いたツナはランボに向かって怒鳴る。
「ランボちゃんを早く助けて下さい。」
「はい。しばしお待ちを……」
スーツの内ポケットからリモコンを取り出して、スイッチを押すジャンニーニ
すると、ランボを吊るしている天井から、鋏が出て来て、ランボを吊るしてる網を切った。
切った瞬間、ランボは床に落ちた。
(……なんで鋏で切るだけなの?ランボ兄がもし怪我したらどうするのさ……少し罠を改良した方が良さそうだね。
またランボ兄が出ようとするかもしれないし。)
ランボを吊るした網を鋏で切って落ちたのを見て、そう思ったソラであった。
「つうか、どうして外に出ようとしたんだよ!?」
「そうだよ。どうして外に出ようとしたの?ランボ君」
そう言いながら、ランボに近寄り、しゃがむソラ
「だって、ここに居るの飽きちゃったんだもん。外に出たい!ペロペロキャンディー食べたいよー!!」
ジタバタしながら、泣き出したランボ
「ランボ、我儘!」
「我慢出来ないんだもんねーーっ」
(ランボ兄……)
ソラの横に京子がやって来て、しゃがんだ。
「あの、ランボ君。」飴玉の入った袋を見せながら呼びかける京子
「ん?」ジタバタするのをやめるランボ
「飴玉ならあるよ。これで我慢して?……はい。」飴玉を袋から1個取り出して、ランボの口に入れる京子
最初は美味しそうにしていたが、すぐにまたジタバタする。
「やっぱり我慢出来ないんだもんね!絶対ペロペロキャンディーが食べたいよーー!」
「なんとかならないんですか?」
「う〜ん……ソラさんに言われて、疲労回復に飴は用意してありましたが、ペロペロキャンディーは……」
「そうですか……」
「そういえば昨日…ソラ、外に出かけたよね?その時にペロペロキャンディー買ってきてないの?」
フゥ太が昨日の事を思い出して、ソラに聞いた。
「残念だけど、買ってきてないよ。新しい飴玉を作るための材料を買っただけだから。」
「……また作るの?飴玉」
「うん。自分で作った飴の方が好きだから。」
「ソラ!昨日、外に出たの!?」
「う、うん……材料を買いに…」
「ズルイんだもんね!ソラだけ、ズルイ、ズルイ〜っ!!」
「そんな事言われても……外は今危険なんだよ。だから、ここでおとなしくしてて?ペロペロキャンディーの事は後でなんとかするから……」
「後っていつ?」ジタバタするのをやめて、ソラに聞くランボ
「えっと……今日中にはなんとかするから、我慢して?」
「が・ま・ん……出来ないんだもんねーー!ソラ、今すぐ欲しい!ランボさん、今すぐ食べたいーー!!」
「ランボ君……」
ソラはランボが一向におとなしくならないのを見て、困っていた。
「こらっ、ランボ!少しは我慢しろっ!」
「ランボ、我慢する!!」
「やだ、やだ、やだーーっ!!欲しい、欲しい、欲しいーーっ!!」
ソラはランボのそのわがままを聞きながら、自分の頭に血が昇っていくのが解った。
そして……
突然、ソラが大声で怒鳴ったからか、ランボがピタリと泣き止み、固まった。
他のみんなもソラのその怒鳴り声に驚いていた。
「いきなり怒鳴ってごめん。でも、ランボ君がここに居るの、すぐに飽きちゃうのは解ってた。いつも外で遊び回ってたんだから、
当たり前だよね。私には、これが普通だから、ランボ君のその気持ち、良く解らない…」
固まったランボの頭を右手で撫でながらそう言うソラ
「……ソラ、外で遊ばないの?」
「全然遊ばないわけじゃないけど……ランボ君やイーピンちゃんみたいに、毎日は遊ばないね。」
「どうしてだもんね?」
「う〜ん……どうしてって言われても困るよ。それが私にとっては当たり前の日常だったんだもん。」
この場に居る10年前のメンバー全員がソラの言葉を聞いて驚いていた。
(だって、私はパパの娘だから、あまり街に出ないようにしてたし、リボ兄に勉強を教えて貰ったり、トレーニングをしたりしてたから……
何より、私のせいで周りを巻き込みたくなかったしね……)
一瞬、悲しい表情を浮かべたが、リボーン以外、それに気付く事はなかった。
「ソラ……」
「ランボ君、お願い。ペロペロキャンディーは必ず食べさせてあげるから、もう少しだけ、我慢しててくれないかな?」
「……わかっただもんね。」
「ありがとう!」笑顔でお礼を言うソラ
ソラの説得でとりあえず落ち着いたランボだった。
ーー地下5階ーー作戦室ーー
ここには今、ソラ、ジャンニーニ、フゥ太が居た。
ソラはツナとリボーンと一緒にトレーニングルームには戻らず、作戦室に来ていた。
「ハァ〜……なんとか説得出来たけど、あの様子じゃ、きっとまたすぐに外に出そうだよ……」
そう言いながら、頭を抱えるソラ
「ごめんね?僕がペロペロキャンディーの事を思い出してれば……」
「ううん、フゥ太兄は悪くないよ。私もすっかり忘れてたし。ランボ兄がペロペロキャンディーが好きな事……」
「でも、どうしようか?」
「う〜ん……ジャンニーニさん、ペロペロキャンディーを作る機械とか作れない?」
「あっ!その手がありましたね。作れますよ!材料さえあればっ」
「ほんと?」
「はい!」
「んじゃ、作って?費用はボンゴレで持つから。」
「わかりましたっ!!」
「それじゃ私、ちょっと部屋に戻って休むね。」
「はい、何かありましたら、ご連絡致します。」
「ゆっくり休んで。ソラ」
「ありがとう。」
ーー地下14階ーーソラの私室ーー
ソラは私室に戻ると、すぐにベッドに寝転んだ。
『……ソラ、外で遊ばないの?』
『どうしてだもんね?』
先程のランボの言葉が頭の中でフラッシュバックする。
……ランボ兄が不思議に思うのも…無理ないよね。
だってそれが普通だもん。
でも……私は、敵対ファミリーに狙われないように、
屋敷の庭以外ではあまり遊ばないようにしてたからね……
そういえば、パパとママ……
私があんまりにも我儘言わないから、よく困った顔してたっけ…
しばらくそのまま部屋で休んでいたソラに、ジャンニーニからのモニター通信が入った。
「ジャンニーニさん、どうかした?」
『ソ、ソラさんっ!今すぐ作戦室へ来て下さいっ!!』
「何かあったの?」
『ソラちゃん、俺だけどっ』そう言いながら、ジャンニーニの隣にツナが現れた。
「綱吉さん?」
『ランボが敵に捕まっちゃったんだっ!!』
「な…なんでそんな事になってるのーー!?解ったっ、今すぐ行くっ!!」
そう言って通信を切り、部屋から出て、神速の速さで作戦室へ向かうソラ
ーー地下5階ーー作戦室ーー
ソラは急いで来たからか、息が凄く乱れていた。
「だ、大丈夫?ソラちゃん」
京子が心配してソラに言う。
「だ、大丈夫っ」
「速かったな。通信が切れてから、まだ5分も経ってねぇぞ。」
「そこは突っ込まないでっ……それで?どうしてランボ君がアジトから抜け出せてて、敵に捕まった状態になってるの!?」
「実は……」
外の配線の繋ぎ間違いを直しに、並盛商店街へフゥ太が出掛けた事。
ランボはおそらく、フゥ太の後をつけて、外に出てしまった事。
配線を繋ぎ直して映ったモニターに、フゥ太からランボが敵に捕まったという知らせがあった事。
ジャンニーニが順を追って、ソラに説明していた。
「っというわけなんです。」
「……おとなしくしててって言ったのにっ……」
モニターを見ながら言うソラ
「ご、ごめんなさい!ハル達がちゃんと見てなかったばっかりにっ……」
「アホ牛、何考えてやがるっ……」
「リボ兄、ランボ君をあんまり怒らないであげて?」
「だがっ…」
「仕方ないよ、ランボ君…まだ5歳だし。自分の行動に責任を持てと言われても、無理な話だよ。」
「……ソラ、お前だって、まだ6歳じゃねぇか。」
「私は別。」
「………」
ソラにそう言われ、もうツッコまないリボーン
(((ソラちゃん、本当に6歳!?)))
ツナ、京子、ハルの3人が同時に心の中でツッコんだ。
「そ、それで…どうしますか?ソラさん」
「とりあえず、フゥ太兄と合流するよ。場所はどこ?」
「場所は並盛商店街の中にある、日本堂薬局の横の通路です。」
「わかった。」
「待ってっ、俺も行く!」
リボーンに視線を向けるソラ
「連れて行けっ、少しはこの時代の戦い方に対応出来るようになってるから大丈夫だぞ。」
リボーンの言葉に頷くソラ
「じゃあ、行こう。綱吉さん」
「うん!」
ソラとツナは作戦室を出て、フゥ太と合流しにアジトの外に出て行った。
ーー並盛商店街ーー日本堂薬局前ーー
「あっ…ツナ兄!姫!」
「フゥ太!ランボは!?」
「あっちの方に飛んでいったんだ。」
飛んで行った方向を指しながら言う、フゥ太
「とりあえず、追おう。」
ソラの言葉に2人が頷き、3人はランボが飛んでいった方に駆けだした。
ーー並盛公園ーー
「ランボ達、こっちに飛んでったんだね!?」
「うん!」
「あっ…あれを見て!」
ソラが砂場に出来た2つのくぼみを指した。
「ランボ達、ここに落ちたんだ。」
「あっ…ツナ兄、姫」落ちていた飴を見つけ、2人を呼びながら、フゥ太が指差した。
「えっ?」
「何?」
返事を返しながら、フゥ太が指差した方に視線を向けるツナとソラ
「ランボ君の飴玉だね。」
「あっちに続いてる!」
「飴玉を追いかけていれば、ランボ君の所に辿り着けるはず…行こう!」
ソラ達は落ちている飴玉を拾いながら、ランボを追った。
ーー並盛川ーー
飴玉を追って、ミルフィオーレの男1人と捕まったランボを見つけたソラ達。
「ランボ君っ!」
「ソラ!ツナ!フゥ太!」
「おおっ……さっそく来たか!」
(……私の名前に反応しないって事は、知らないみたいだね、私の事……)
「これのおかげでランボがどこに行ったか解ったんだ。」
飴玉を見せながら言うフゥ太
「俺はミルフィオーレファミリーのジャッジョーロ。こいつを酷い目に遭わせたくなかったら、アジトの場所を言えっ!」
「ミルフィオーレファミリーの……ジョウロ?」
「ジャッジョーロだ!どいつもこいつもふざけやがってっ…」
「綱吉さん、ジョウロじゃなくて、ジャッジョーロだよ。あの様子だと、良く間違われるみたいだけど…」
「あっ、そうなの?……もしかして、俺…怒らせちゃった…かな?」
そう言い、ジャッジョーロの方に視線を向けるツナ
「うん、怒ってるみたいだよ。」
ソラもジャッジョーロに視線を向けながら、そう言う。
「ご、ごめんっ」
「喰らえ!“紫竜巻(バイオレット・トゥナーディ)”」
怒ったジャッジョーロが匣を取り出し、開匣した。
出てきたのは、雲の炎で出来た竜巻だった。
紫竜巻がソラ達を襲った。
「これで囮が4人になったぞっ…」
ジャッジョーロが出した紫竜巻を、超モードになったツナが食い止めていた。
「な、何っ!?……いや、まだまだだっ!雲属性の特徴は増殖!」
紫竜巻は少しずつ膨張していった。
だが、それでも食い止めるツナ
「バカな!?俺の“紫竜巻(バイオレット・トゥナーディ)”が押されている!?」
「抵抗をやめろ!じゃないと、こいつが酷い目に遭うぞ!!」
焦ったジャッジョーロはランボをツナ達に翳した。
「いやーっ、助けてーー!!」泣き叫ぶランボ
「卑怯だぞ!!」
不敵の笑みを浮かべるジャッジョーロ
それまで食い止めていたツナもランボを見て、食い止めていた力を少しずつ解く。
(まずいっ!このままじゃ、ランボ兄がっ!それにパパが動揺してる!!……こうなったらっ…)
ランボとツナの様子を見て、右の太股のガンホルダーの銃に手を触れるソラ
その時、ジャッジョーロの背後に誰かが現れた。
「ねぇ」
突然背後から聞こえた声に振り向くジャッジョーロ
そこには雲の炎を灯したトンファーを構えた、雲雀が居た。
「今日、あちこちで風紀を乱してたのは君だね?」
「!?」驚くジャッジョーロ
「咬み殺す!!」
そう言って、右手のトンファーを振り翳し、ジャッジョーロをぶん殴る。
「うわぁーーっ!?」ふっ飛ばされたジャッジョーロ
その際、ランボがジャッジョーロから引き離され、ツナ達の方へ飛んできた。
「ランボ!!」フゥ太がランボをキャッチした。
ジャッジョーロがやられた事で今まで発生していた紫竜巻が消えた。
ツナは超モードを解いた。
「雲雀さん!助けに来てくれたんですか!?」
雲雀が助けてくれたと思って喜ぶツナ
「雲の属性のリング……貰うよ。」
倒したジャッジョーロから、雲系リングを奪いとった雲雀
(それが目的っ!?)雲雀の目的が解ってガッカリするツナ
「恭兄!!」
立ち去ろうとした雲雀に声を掛けたソラ
雲雀はソラに呼ばれたので、振り向いた。
「なんだい?姫」
「助けてくれてありがとう!」
「君と約束したからね。」
雲雀は優しい笑みを浮かべながらそう言った。
(約束?)ツナには何の事かさっぱりだった。
「それじゃあね。あっ、今回の事も外に漏れないようにしておくよ。」
「えっ……」
「納得いかないみたいだね?」
「………」無言で肯定するソラ
「君がそれで満足しないなら、そうだね……また和菓子を作って欲しいな。あっ、怪我が完治してからでいいから。」
「そんなのでいいの?」
「うん。僕はいつも君が作ってくれる和菓子が好きだから。……楽しみにしてるよ、姫」
雲雀はソラにそう言った後、この場を立ち去った。
(ありがとう……恭兄)
立ち去る雲雀を見ながら、心の中でもう一度お礼を言うソラ
「ランボ、もう勝手に外に出ちゃダメだぞ!?」
「えーー!?もう帰るのーー!?」
「おまっ……反省してないな!?」
「ランボ君?」この場が凍りつきそうになるほどの、冷たい声がツナ達に聞こえてきた。
ツナ達はその聞こえた方に視線を向けた。
そこにはフードを被ったままなので、顔は伺えないが、とっても怒っている様子が解った。
「姫……ちゃん?」
「姫?」
「ソラ、お、怒ってる?」フゥ太にしがみついて震えるランボ
「……ランボ君、全然反省してないんだって?」
ランボはビクつく
「勝手な行動を取って、敵に捕まって、みんなに心配かけて……それでまったく反省しないってどういう事かな…?」
「ぐひゃっ!ソラ、怖いんだもんねっ!!」
「ランボ君っ!!」
ソラが怖いからか、体が震えるランボ
「恭兄が来てなかったら、今頃どうなってたか解らないんだよっ!?少しは反省しなさいっ!!」
「うわあぁぁんっ!!ソラが怖いんだもんねーーっ!!ソラのバカーー!!うわあぁぁんっ!!」
泣きだしたランボ
フゥ太がランボをあやす。
その様子を見て、ため息をつくソラ
「ひ、姫ちゃん」ソラの事が心配になって声を掛けるツナ
「綱吉さん、フゥ太兄…悪いけど、先にアジトに戻ってて。ちょっと寄る所があるから。」
「えっ!?でもっ…」
「姫……」
「大丈夫、すぐ用事済むから。それに、今のランボ君の傍に私は居ない方がいいだろうし。それじゃ、アジトでね。」
そう言って、ツナ達と別れたソラ
「……ツナ兄、とりあえず僕達はアジトに戻ろう。姫なら大丈夫だから。」
「う、うん……」
ツナ達は先にアジトに戻っていった。
ーー地下ボンゴレアジトーー大食堂
そこではジャンニーニが何かの機械を作っていた。
「フゥ太さん、お願いしたパーツを……」
「はい。」
「何やってるの?」
何を作っているかが気になって聞くランボ
「良い物を作ってくれてるんだよ。」
「さあ、これで完成です。」
そう言った後、機械のスイッチを入れたジャンニー二
「ペロペロキャンディーマシンです。」
「これでいつでもペロペロキャンディーが食べられますね。」
「良かったね、ランボ君」
出来たペロペロキャンディーを美味しそうに舐めるランボとイーピン
「ジャンニーニさん、ありがとうございます!」
ハルがジャンニーニにお礼を言う。
「いえいえ、このくらいお安いご用です。それにお礼なら、ソラさんに言って下さい。ソラさんが言ってくれていなかったら、
たぶん作っていませんでしたから。」
「はひっ!?そうなんですか?」
「ええ。」
「そういえばソラちゃんはどうしたの?ツナ君」
「そ、それが……」
ジャッジョーロを雲雀が撃退した後、まったく反省していないランボを見て、ソラが怒った事。
その後、寄る所があるからと言って別行動を取った事を話した。
「ソラさんが怒ったんですか!?」
ジャンニーニが驚いてツナに聞き返す。
「うん。この間、蛇口の事でジャンニーニさんに怒ってた時より、怖かったよ……」
ツナがその時の事を思い出しながら言った。
「ソラ、物凄く本気で怒ってたからね……あそこまで怒ったの、久しぶりに見たよ。」
「ソラ、怖かったんだもんね!!」
「それはお前が全っ然反省してなかったからだろっ」
「それで、そのソラちゃんはいったいどこへ行ったの?」
ソラが心配なのか、行き先をツナに聞く京子
「さぁ?行き先は言わなかったから……」
京子にそう答えながらも、ツナも心配そうにしていた。
「ランボちゃん、ソラちゃんが怒るのも無理ないですよ。ハル達、すっごく心配したんですからねっ」
「ランボ、反省するっ」
「ハルもイーピンもおれっちの事、怒るんだもんね!?」
「当たり前だろっ、おめぇはそれだけの事をしたんだ。しっかり反省しやがれ、アホ牛」
「リボーンに言われたくないんだもんねっ!!」
その時、誰かが入ってきた。
「あっ、もう出来たんだ?その機械…」
「あっ、ソラさん!おかえりなさいませ。はい、急いで作りましたので…ペロペロキャンディーマシンです。」
(そのまんまだね……)
声には出さず、心の中でツッコむソラ
「ところで…ソラ、どこに行ってたの?」
気になったフゥ太がソラに聞く。
「これを受け取りに行ってたんだよ。」
そう言いながら、手に持っている物を見せた。
「「あっ!それはっ」」
ソラが手に持っている物を見て、反応する京子とハル
「ラ・ナミモリーヌのケーキですよ。」
「やっぱりっ!!」
「昨日、街に出た時に注文しておいたんです。」
「それって、ハル達も食べていいんですか!?」
「もちろんですよ。ケーキ好きな2人のために注文したんですから。」
「はひっ!?ハル達がケーキをよく食べているのを知っているんですね。」
「はい。毎月第3日曜日を自分感謝デーの日にして食べていると聞きましたから。」
「そうなんですかっ」
「あっ、そうだ。京子さん、並盛堂限定のカスタードシュークリームもあるよ。」
「本当っ!?」
「好きだよね?これ。」
「うんっ!!」満面の笑顔で即答する京子
「私も好きなんだ。だからいっぱい買ってきちゃった。」
「わぁっ、嬉しいな〜!」
「あっ、ハルさんの好きなモンプランも買ってきました。」
「ほ、本当ですか!?」
「はい。」
「ありがとうございます!ソラちゃん」
「ソラちゃんもよくケーキ食べるの?」
「よくこの時代の京子さん達と食べてたから。あんまりたくさんは食べないけどね。
(ママやハル姉みたいに、2個も3個も食べられないよ……)」
この時代の2人の事を思い出しながら言うソラ
その時、ランボの物欲しそうな視線を感じたソラ
「そんな顔しなくても、ランボ君のもちゃんとあるよ。」
そう言いながら、ランボの方に視線を向けるソラ
ランボは自分に視線を向けてきたソラにビクつく。
「ソラ、もう怒ってないんだもんね?」
「うん、もう怒ってないよ。さっきは怖がらせちゃってごめんね?ランボ君の好きなブドウのケーキも買ってきたから、一緒に食べよう?」
「……うん!ランボさん、ブドウ大好きっ!!」
ぱあっと表情を明るくし、嬉しそうに言ったランボ
「イーピンちゃんにはミルフィーユを買ってきたよ。食べる?」
「イーピン、嬉しい!!謝謝!ソラさん」
大喜びするイーピン
ソラの様子を見て、安心しているツナ
「ツナ兄、どうかした?」
「いや、さっきランボに凄く怒ってたから、しばらくはあのままかと思っていたのに、もうランボと普通に話せてるから、安心しただけだよ。」
「そっか。ソラがランボに本気で怒ったの、初めてだったから、僕も安心したよ。」
「そうなの?」
「うん。だってここのランボは15歳だよ?」
「あっ、確かに……」
「怒る事はあっても、さっきみたいに本気でランボに怒った事は今までなかったんだよ。」
「そうなんだ。」
そこでツナの視線に気付いたソラがツナとフゥ太に駆け寄った。
「綱吉さんとフゥ太兄の分もあるから、一緒に食べようよ?」
「うん!ありがとう、ソラちゃん」
「ありがとう、ソラ」
ツナとフゥ太がそれぞれソラにお礼を言う。
ソラは2人のお礼を聞いて、満面の笑みを浮かべていた。
今回のお話は、アジトに居る事に飽きたランボが騒動を起こす所ですね。
アニメではツナとフゥ太の2人で、敵に捕まったランボを救出しに行きますが、
そこをソラも一緒に行かせました!!
ランボに滅多に怒る事がないソラでも、さすがに怒るかなと思い、ランボを叱ってもらいました。(笑)
普段、滅多に怒る事がない人が怒ると怖いですよね。
雲雀の登場は、アニメでは風紀が乱された事と、リングを奪う為に咬み殺していましたが、
ここではソラとの約束もあるから、咬み殺したという事で。
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