ーー並盛公園ーー
ラルが笹川家の状況を調べに行っている間、ソラとツナはここに身を隠していた。
(京子ちゃん…大丈夫かな…)
ツナは京子の心配をしながらラルを待っていた。
(ママ、大丈夫かな…?)
ソラもまた、ツナと同じように心配しながらラルが戻ってくるのを待っていた。
「それにしても……敵の数、凄いね。」
「そうですね。初めてボンゴレリングの反応があった時から、急に増えちゃったみたいです。」
「えっ!?ボンゴレリングの反応がある前はこんなには居なかったの?」
「はい。前より増えてます。今までは精製度Aランクの人は居なかったんですけど、今は1人居ますし。」
「そうなんだ…(ボンゴレリング、使わなければ良かったのかな…)」
「綱吉さんが気にする必要はありませんよ。」
ソラはツナの気持ちを汲み取って言った。
「ありがとう…」
その時、ラルが戻ってきた。
「あっ…ラル姉」
「どうでした?」
「やはり笹川の妹はまだ捕まっていないようだ。」
「本当ですか!?良かったー!!」ほっとするツナ
ソラもそれを聞いて安心する。
「だが、これ程の監視の中、見つかっていないとすると、一体…」
「もしかしたら、意外な味方が居るのかもしれない。」
「…姫がそう言うのなら、そうなのだろうな…」
(…やっぱりソラちゃんには優しいんだ…)ツナはソラとラルの様子を見てそう思った。
バチバチ
上から何か音が聞こえてきた。
それに気付くソラとラル
「隠れろ!!」
ラルはそう言い、マントを外してソラを真ん中にして身を隠した。
空中を誰かが通り過ぎた。
「あれはっ!」
「γ(ガンマ)だっ!!」
「あ…あれが?」
「何か見つけたのか?あの方向…」
(あっちには神社がっ!…隼人兄!タケ兄!)
γが何を見つけたのかが解ったソラ
γが完全に通り過ぎたので、ラルは立ち上がってマントを着けた。
「沢田、良くない事態になった。」
「えっ!?」
「…あの方向は神社です。」
「ええ!?γって人が獄寺君と山本の所に!?」
向かった場所が神社だと聞き、ツナは驚いていた。
「あの方向は神社以外、主要施設はない。」
「じゃあ敵に見つかったの!?ヤバイよ、どうしよう!!」
「こう敵の目が多くてはすぐに助けに行くのは不可能だ。」
「でもっ…」
「それにたとえオレ達が駆けつけて、4対1となっても、今のオレ達でγに勝てるかどうか…」
「そ…そんなに強いの!?…っていうか5対1の間違いじゃないんですか!?」
「ああ、姫を含めていない。」
「なぜですか!?」
「……姫1人なら勝てる。オレ達は足手まといにしかならない…」
「えっ!?」
「もっとも、これは姫が怪我していなかったらの話だがな。今は足止めが精一杯だろう……姫、行こうとするな!」
そう言いながら、ソラの右肩を掴む。
「でもっ…」
「お前の気持ちは解る。だが、オレは今のお前を行かせるわけにはいかない……解ってくれ、姫」
ソラを心配そうな瞳で見つめるラル
「くっ……(隼人兄、タケ兄…ごめん!)」ソラはフードで顔が隠れているが、悔しそうな表情をしていた。
(獄寺君、山本、頼む…無事で居てくれっ!!)
ツナは獄寺と山本の無事を祈った。
あれから慎重に動きながら、京子を探していた。
「このルートも使えそうにないな」
「敵が多過ぎるっ…」
「どうしよう、これじゃ京子ちゃんが探せない。獄寺君達もヤバイってのに!」
焦るツナの頭上に突然何かがぶつかって落ちた。
「えっ!?」後ろを振り向くツナ
「どうした?」
「どうしたんですか?綱吉さん」
「誰かが何かを投げたんだ。」
ソラはその言葉を聞いて、下に視線を落とした。
すると、そこには消しゴムが落ちていた。
「……消しゴム、ですね。」
「消しゴムっ!?なんでそんな物がっ…」
ソラは後ろにある家の二階の窓の所に居る人物を見て驚いた声を出した。
「花姉っ!?」
「えっ!?」
「これを見ろ」
ツナはラルに言われて、表札を見た。
「黒川!?もしかして黒川花!?」
ツナは驚きながら後ろにある家の二階の窓に視線を向けた。
黒川は左手で横を指差した。
「な、何?……京子ちゃんも居る!」
(ママ!……良かったっ…)ソラは京子の無事なのが解ってほっとした。
「笹川の妹が敵に捕まらなかった訳が解ったな。」
「う…うん」京子の無事が解って安心するツナ
「ソラの言った通り、味方が居たようだな。」
「……みたいだね。」
周囲を確認しながら、黒川家に入っていくツナ達
ーー黒川宅ーー玄関ーー
「京子ちゃん!!」
「ツナ君!!」玄関に現れた京子
「無事で良かった!!」
「…声が大きいぞ。」
「敵に気付かれてしまいますよ?」
「あ……」
黒川が階段から下りてきた。
(沢田も縮んでる…)ツナを見て言う黒川
「ごめんなさい…私、どうしてもお兄ちゃんが心配で…」
「えっ、あ……気にしないで!それよりいいニュースがあるんだ、ヒバードが現れたんだ!!」
「ヒバード?」何の事が解らない京子
「それって…」黒川は何か知っているようだった。
「綱吉さん、京子さんはヒバードの事、知らないはずじゃ?」
「あっ!そうだったっ…」
黒川はツナと話しているフードを被った子供の声を聞いて、知っているような気がした。
「……言って良かったんですか?」
「え、えっと……」
「…リボ兄に言いましょうか?」
「うわーー!?待ってっ!それだけはやめてっーー!?」
ツナは声を抑えながら、必死になって止めていた。
(……隼人兄とタケ兄の事を言わないで、ヒバードの事だけ言ったのは、不安にさせないためだったんだろうけど。)
目の前で慌ててるツナを見ながら、心の中でそう思うソラ
その時、黒川が突然ソラに抱き着いてきた。
それに驚くソラ
「花!?子供…ダメだったはずじゃ?」
「黒川…さん?」
ツナと京子は子供がダメだったはずの黒川を見て驚いていた。
「無事だったんだね…ソラ」
「っ!!」体がビクつくソラ
「声で解るよ……顔を見せてよ。」
そう言いながら、ソラから離れ、しゃがんだまま、ソラの前に居る黒川
ソラは少し考えた後、フードを外した。
「花姉……」
「ソラ、久しぶりだね。京子があの連中に探されてるなら、もしかしてソラも?って思ってたから心配してたんだよ?」
それにどう答えていいか解らなくて、黙っているソラ
黒川はその様子を察した。
「何が起きているかは聞いちゃいけないみたいだね。」
「…ごめん…なさい。」顔を俯かせながら言うソラ
「謝らないでいいのよ。何が起きてるのかは解らないけれど、私はソラが無事ならそれでいいの。」
そう言いながら、ソラの頭を撫でる黒川
「花姉…」顔を上げて、黒川を見るソラ
「ソラ、沢田、急ぐぞ。」
「あっ…うん!」
「花姉、悪いけど…もう少しの間、京子さんを匿っててくれないかな?」
「!…ソラ……」
黒川はソラの京子の呼び方に驚いていた。
「ママには内緒。」
ソラは黒川の耳元でそう言った。
「……わかったわ。」
黒川はソラのその言葉に頷いた。
「ありがとう。」
「ソラちゃん、行くよ!ヒバードの事で行かなくちゃいけないんだ!!じゃまた後で!!」
ツナがそう言った後、ソラ達は外に出て行った。
「……忙しいみたいね」
「ツナ君……」
ーーどこかの細い通路ーー
ソラ達は走っているうちに、細い通路に入っていった。
「大丈夫かな?獄寺君と山本……もっと広い通りから神社に行ければ…早く着けるのに…」
そこで細い通路が途切れていて、商店街の方へ出る所になっていた。
ラルはゴーグルを装着し、敵が居ないか探った。
「どう?ラル姉」
「この道も塞がれている。やはり大きく迂回するしかないな。」
そう言いながらゴーグルを外すラル
「そんな……(獄寺君っ、山本っ…)」
ーー黒川宅ーー黒川花の部屋ーー
「10年前から、この時代に飛ばされてきた、ねぇ…本当に夢としか思えない話ね。まあ、ここにいる京子と
あんな沢田を見ちゃったら、信じるしかないわね。」
テーブルの上に出したアルバムを見ながら言う黒川
「花…ありがとう!」
「でも…どうして狙われてるの?」
「それをツナ君達が調べてるって…」
「警察に連絡したら?」
「この時代を混乱させるのは良くないからって…」
「ふーん…そうか。(だけど、それだとソラの事が説明つかないわ。沢田達に言っていないのもそうだけど、
何より顔を隠しているのはそれなりの理由があるはず…)」
黒川はソラがどうして顔を隠していたのかが気になっていた。
「でも本当、沢田って何者なんだろうね……?」
「えっ?」
「ん…何でもないっ…そーだ、兄貴のことづてね。」そう言いながら立つ黒川
「笹川了平は仕事で海外に出張中よ。」
「お兄ちゃん、外国に居るの?」
「そう、オカマに会いにね…」
「オカマ?」
「あ…えーと、オカマもいる相手先だったかな…」
そう言いながら、何かの紙を手に取る黒川
「急な上司の命令だったらしくてね、あんた…っていうか、この時代の京子はゼミの合宿中だったの。
そこで私がことづて頼まれたってわけ。」
「これ、兄貴の滞在先のホテル」
京子に今手に持った紙を手渡した。
滞在先のホテルの電話番号が書かれている紙を受け取る京子
「何度か連絡したけど、まだ戻ってないって。それ渡される時に、京子に何かあったら、沢田に伝えてくれって頼まれてたの。」
「ツナ君に?」
「そうよ。何があるのかと思ったら、黒ずくめの連中があんたを探してるでしょ。それで沢田に電話したけど、繋がらなかったわ。
でもあんたの兄貴って意外と用心深いのね。沢田に繋がらない場合は、もう1つの連絡先を教えていったのよ。」
「もう1つの連絡先…?」
「さっき沢田がヒバードがどーとか言ってたでしょ?」
「えっ…あっ!」
さっきの事を思い出す京子
「あれ多分、私がそこに連絡したのが関係してると思うよ。」
「そこに…連絡?」
「あっ…これ、言ってよかったのかしら?」
「え?」
「ほら、ソラが沢田に言ってたでしょ?言って良かったのかって…」
「そういえば言ってたね。」
「……まっ、いいか。それより、京子」
「何?」
「今回みたいな事、もう起こしちゃダメよ?」
「えっ…」
「沢田もそうだけど…ソラが心配するからさ。」
「ソラちゃんが?でも…私、あの子に嫌われてないかな?」
「……どーしてよ?」
京子は昨日の病室でのソラの行動を話した。
自分が熱を測るために額と額をくっつけた瞬間、ソラがすぐに離れた事を…
「そんな事があったの…」
「うん…」落ち込む京子
(……今の京子、見てられないわね。確かこの中に…)
黒川は落ち込む京子の姿を見て、京子の前にある写真の中から、ある1枚を探していた。
「花?」
「…あった、あった。京子、これ見なよ。」
黒川がそう言いながら、1枚の写真を京子に手渡した。
受け取った京子は、その写真を見た。
「!…花、これってっ」
「それは去年の写真よ。」
京子が見ていた写真には、ソラを真ん中に、左側が京子で、右側に黒川が映っていた。
「嫌われていたら…そんなの、撮らないわよ?そこに映ってるソラ、笑ってるでしょ?」
「うん…とっても可愛い笑顔で映ってる。」
写真を見ながら言う京子
「ソラはね、この時代の京子によく面倒見て貰ってて、仲が良かったのよ。」
「ソラちゃんと私が?」
「ええ…あと沢田とも仲が良かったわね。(あんたが母親だからとは言えないけど……これくらいは許されてもいいはずよ?ソラ…)」
ここには居ないソラの事を思っての行動だった。
「ツナ君とも?」
「たぶん今のソラはどうしていいか解らなくて、戸惑っているだけだと思うわ。」
「戸惑って…るの?」
「今のあんた、ソラの事、何も知らないでしょ?自分の事を知らない人にどう接していいのか解らないのよ、きっと…」
「そっか…」黒川の言葉で安心する京子
「だから大丈夫。ソラはあんたを嫌ってなんかいないわよ!」
「……うんっ!ありがとう、花!」
ーー並盛神社まであと1Km弱の所ーー
「見えた!」
「あと1Km弱っといった所だな。」
「あっ…神社の方から煙がっ」
「ほんとだ!煙が出てるっ!!」
「やはりγは獄寺達の所へ…」
(お願い…無事でいて!!隼人兄!タケ兄!)
ソラはひたずら無事を祈っていた。
あの後、また移動し始め、狭い通路にいた。
その時、神社の方から音がした。
「なんだろう?今の……あっ…獄寺君と山本の身に…」
「急ごう!何かが起きているっ」
走り出すラル、ソラ、ツナ
ーー黒川宅ーー
カーテン越しから外の様子を伺った黒川
「特に変わった様子はないわね。」
「あっ……うん…」
不安な表情のままの京子
「…沢田とソラの事が心配?」
「えっ!あっ…うん…」
「しっかりしなって」そう言いながら、京子の両肩に手を乗せる黒川
顔を上げて、黒川を見る京子
「あんたがしっかりしてれば、大丈夫だから。」
「えっ…」
「何の騒ぎに巻き込まれてるかは知らないけど…大丈夫!きっと乗り越えられるよ。」
「花……」
ーー並盛神社ーー
「ここを抜ければ…あ、あれは!!」
ソラ達3人は上を見た。
そこにはハリネズミが作り出した大きな球針態が出来ていた。
「あっ…」ツナは上から視線を外し、傍に居る人物に視線を向けた
「遅いよ、君達」
そこに居たのは、雲の守護者、雲雀恭弥だった。
雲雀はツナにそう言った後、γにトドメを喰らわした。
雲雀に近づくソラ達
「何してたんだい?沢田綱吉」
「雲雀さんっ!!あ…あのっ…」
獄寺と山本の姿が見えず、雲雀に聞くツナ
「山本武と獄寺隼人は林の中だ。」
ツナはそれを聞いて、林の中に走って行った。
「ん?」雲雀はラルの視線に気付いたが何も言わない。
「恭兄…」そう言いながら、雲雀の前に来たソラ
雲雀はそれに気付いてしゃがみ、ソラの視線に合わせた。
「やあ、久しぶりだね。姫」
「恭兄…ありがとう、2人を助けてくれて…」
「僕は並盛の風紀が汚されていたから、あいつを倒しただけ。」
「うん、わかってる。」
「…そうかい。」
雲雀は笑みを浮かべ、ソラの頭を撫でた。
「おかえり、恭兄」
「うん、ただいま。姫」
雲雀はソラの頭から手を離し、神社の方へ移動し始めた。
「待て、負傷者もいる。今彼らを抱え移動するのは危険だ。また敵に襲われる確率が高いうえ、アジトも発見されかねない。」
「その心配はいりません。我々のアジトの出入り口を使えば…」
「哲兄…(我々のアジト?ってことはまさかっ)」
ソラは何の事かがそれで解ってしまった。
そして、雲雀に視線を向けるソラ
雲雀は右手に霧系リングを嵌めていた。
その時、ゴゴゴゴゴ……っという音がしだした。
「何の音!?」ツナが音に気付いて、神社の方を振り向く。
その時、雲雀が神社を通り抜けて消えた。
「きっ、消えた!?」
(隠し扉!?霧系のリングを使ったカモフラ―シュか…)
(ここ、恭兄のアジトの出入口だったんだ……)
ツナ、ラル、ソラは驚いていた。
「ただ、このまま立ち去るには1つ問題があります。」
「ボンゴレリングだね?」
「はい、その通りです。姫さん」
そう言いながら、ソラとラルに右手に乗せたボンゴレリングを見せる草壁
「雨と嵐のボンゴレリングです。敵のレーダーに映っている事でしょう。ここで反応を消すわけにはいかない。」
「わかった。その仕事は私が引き受けるよ。」
「姫っ!それはオレがやる!」
「ラル姉、私が気付いてないと思ってる?」
「何?」
ラルにだけ聞こえるように小さな声で「呪い」っと言った。
その2文字だけでラルには充分だった。
ソラはラルがたとえ「なりそこない」でもノン・トゥリニセッテを浴びて、体調が良くない事は解っていたのだ。
「だから、私が行くよ。」
「だがっ…」
「ハァ〜……わかった、一緒に行こうよ。それならいいでしょ?ラル姉」
「……わかった。」
「では、お願いします。」草壁はソラにボンゴレリングを渡す。
「行こう、ラル姉」リングを受け取ったソラはラルにそう言い、2人は神社を出て行った。
敵に見つからないように移動しながら、途中で嵐と雨のボンゴレリングの反応を消した。
「これでよしっと…」
「では、次は黒川宅だな。」
「うん、そうだね。大丈夫?ラル姉」
「ああ…さあ、急ぐぞ。」
ーー黒川宅ーー玄関ーー
「花姉、お待たせ。迎えに来た。」
そう言いながら、フードを外すソラ
「じゃあ、京子呼んでくるから。あっ、そちらの方の名前は?」
「ラル・ミルチだ。」
「じゃ、ちょっと待ってて。」
「花姉、ママには…」
「言ってないわよ。仲が良いって事は話しちゃったけどね。」
「えっ!?」
「じやあ呼んでくるわ。」そう言って二階へ上がっていく黒川
「…ソラ、大丈夫か?」
「あっ、うん…大丈夫。」
ソラとラルは2人が下りてくるのを待っていた。
しばらくすると、2人が下りてきた。
「はやく…」京子の顔を見て、それ以上言うのをやめたラル
(ママ、目の下が赤い…)
「遅くなりました!」っと笑顔で言う京子
「花姉、ありがとう。ん?その袋は何ですか?」
「ああ、これ?着替えとおやつだって。」
「…準備いいね、花姉」
「まあね。」
「服とか必要な物は、これから手配しようと思っていたんだけど……」
「あら、やっぱりソラは気付いてたのね?」
「もちろんだよ。助かったよ、花姉」
「いいって、いいって。それより、これ…」
そう言って手紙をソラに渡す黒川
「?…これは?」手紙を見てきょとんとするソラ
「私からの手紙、1人になった時に読んでね。」
「……わかった。」ソラは黒川から手紙を受け取った。
黒川はソラの頭を撫でた。
「ソラ、またいつでもおいで。待ってるから……」
「!……うん!!」ソラは微笑んだ。
「そう、その笑顔っ!!相変わらず可愛いわね〜、あんたは!」
そう言いながら、ソラに抱き着く。
「ちょ、ちょっと花姉!?苦しいよっ…」困ったように笑いながら言うソラ
(…10年前の花からは想像出来ない姿だね…)
京子は子供嫌いのはずの親友がソラにべったりなのを見て、改めて驚いていた。
「ソラ、そろそろ…」
「あっ、うん…ごめん、花姉…離してくれる?」
黒川はソラから離れて、立ち上がった。
「また来るね。」
「ええ、待ってるわ。」
「…行くぞ。」
「うん。」フードを被るソラ
「はい。」靴を履く京子
「それじゃ、花姉、またね。」
「ええ。」
ラルとソラが出て行ったあと、京子もそれに続こうとした時、黒川に止められた。
「花?」
「京子、ソラを気に掛けてやってね?あの子、自分を隠すのが上手くてね…本当に体調が悪い時とか、つらい時でも頑張って
耐えちゃうような子だから……」
「わかったよ、花」
「じゃ、ソラと仲良くね。またね、京子」
「うん。ありがとう、花」そう言って外に出た京子
「あっ、京子さん、お話終わりました?」
「うん。待たせてごめんね?ソラちゃん」
「それじゃ、行きましょう。ラル姉、よろしく。」
「ああ、任せろ。」
敵に気をつけながらアジトへと戻るソラ達
ーーボンゴレアジト――地下7階ーー大食堂ーー
そこではハル、ランボ、イーピンが京子の帰りを待っていた。
その時、誰かが入ってきた。
「ハルちゃん!」
「京子ちゃん!!」そう言いながら京子に駆け寄り、抱き着いた。
「無事でよかったです!心配してたんですよ!?デンジャラスで恐い人に捕まってたらどうしようって…」
泣きながら言うハル
「ごめんね!ハルちゃん」
「無事、良かった!」
「どこ行ってたんだよ!!遊びに行くなら連れてけっ!」
「へへっ…でも、ツナさんが探しに行ったから、大丈夫って思ってました。」
「うん!ツナ君が来てくれたから…」
「んー…それなんだ?」ランボは京子が持っていた買い物袋の中身が気になって聞く。
「ランボ君とイーピンちゃんのおやつよ。」
「わーい!!ランボさんのおやつ!!」
そう聞いて喜んだランボは京子からお菓子の入った袋を奪い取った。
「ランボ、1人占めズルイ!!」
「全部食べるんだもんね!!」
「待て、ランボ!」
逃げるランボを追いかけるイーピン
「あっ…ダメですよ!お菓子ばっかりそんなに食べたら…」
3人の様子を見て笑う京子
(もう、大丈夫そうだね。)
ソラは4人の様子を見てそう思い、みんなに気付かれないようにその場を去った。
地下14階の私室に戻ったソラはそのままベッドに寝転がった。
「…なんとか無事に終わった…ママも無事だったし、恭兄が戻ってきたし。……あっ、そうだ。」
そこでソラは上体を起こし、ポケットから手紙を取り出して封を切り、中の紙を開いた。
手紙に書かれていた事は……
京子が了平の事を凄く心配して不安になっていた事。
ソラが自分の事を嫌っているんじゃないかと京子が誤解していた事。
もっと京子やツナと打ち解けて、話をした方が良いという事。
出来れば、自分の事をツナ達に打ち上げて欲しい事などが書かれていた。
そして、最後には……
『あんたも敵に狙われているのはなんとなく解ったよ。でも、どんな時でも私は味方だから…つらくなったら、いつでも私の所においで?
もちろん、今まで通り、また遊びにもくるんだよ。待ってるから……』
ポタッ…ポタッ…ポタッ…
ソラは手紙を読み終えて、涙を一滴、一滴零していた。
「…ママから聞いた話だけでここまで……ひっくっ……ありがとう…花姉…」
手紙を抱きしめながら、ソラは静かに泣いていた。
しばらくした後、ジャンニーニから通信が入った。
新しい情報が手に入ったから、今すぐ応接室に集まって欲しいと…
ソラは洗面所で顔を洗ってから、部屋を出た。
今回も前回に続き、京子を連れ戻す話です。
10年後の黒川花が子供嫌いを克服しているのかは不明ですが、
ここでは子供嫌いを克服している事にしました。
そのため、親友の娘であるソラの事も良く知っていて、可愛がっています。
それでは標的13へお進みください。