天海  命(あまみ みこと)

「どうしてって…許可を貰ってここに来たに決まってんだろ。」
怒鳴るような声で問いかけてきたみらいに動じる事なく、冷静な態度で答える大地

「違う!そうじゃなくて、どうして危険だと解ってる時間移動をしたのかって聞いてるの!!」

「……お前、俺が大人しく未来で待ってると思ってたのか?」

「う゛っ…そ、それは…」

「思ってなかったんだろ?なら、そこまで怒らなくても良いだろ。」

「そ、それとこれとは話が別だよ!だいたい、本部は知ってるの!?」

「ああ、知ってる。…っていうか、本部から許可を貰ったからここに居るんだけど?」

「はぁ!?何で許可が出るの!?可笑しいでしょ!聖兄、ホントなの!?」
大地から信じられない事を聞き、聖に確認するみらい

「あ…ああ、ホントだ。でも初めは俺も父さんも一応反対したよ?それを大地がゴリ押ししたんだ。」
確かに初めはみらいの言う通り許可を出さなかったが、大地がそこをゴリ押ししてやっと許可を出したのだという事を教える。

「たった1人のゴリ押しくらいどうにでもなるはずでしょ!?」

「う~ん、そんな事言われても……だいたい俺や父さんだって個人の感情を優先するなら、
危険が伴っていようが、迷わず過去に行くの賛成すると思うし。」
個人の感情優先なら自分も迷わず過去に行こうとしていたと大地を援護するかのように呟く聖

「私情挟んじゃダメじゃん!!」

「あ…あははっ…」
みらいに返す言葉もない聖

「なんだ、聖兄も本心は俺と同じだったのか?あんなに反対してたのに。」
不機嫌そうに聖を睨む大地

「当たり前だろ?俺も父さんも立場が立場なだけに言い出せなかっただけで、父さんはすぐにでも許可を出させて俺やお前を
過去へ飛ばしたい気持ちだったし、俺だってすぐに過去へ飛びたかったさ。」

「……聖兄、みらいが絡むと何か違うと感じるのは俺の気のせいか?」
きっぱりと言い切った聖を見て呆れる大地

「う~ん…気のせい、じゃないかもな?」

「……そうか。(あの聖兄がそこまできっぱりと言うとはな……やっぱみらいが絡んでるからか?)」

大地は未だ自分達を怒っているみらいを見下ろす。

「……まだ怒ってるのか?」

「当たり前でしょ!危険な時間移動してこっちに来てるんだから!」

そんなみらいを見てため息をついた大地はしゃがみ込んで片膝をつき、みらいに視線を合わせる。

「みらい、なぜ俺達が危険を冒してまでこの時代に来たのか…お前が解らないはずないよな?」

「!…それは…」

「お前が何か無茶をやらかすと思ったから速攻で来た。」
落ち着いた声で言いながらも、素早くみらいのこめかみに両拳を当ててグリグリし始めた大地

「いたっ…痛いってばっ!?」
最初の方は弱めだったが、少しずつ強めにしてきて本気で痛がるみらい

「それなのにお前のその態度は何だ?それに…貴重な睡眠時間を削ってまで何かしていたようだな?」
こめかみをグリグリしながらも、今のみらいの状態を把握する。

(ギクッ…バ、バレてる!?)

「俺がお前の状態に気付かないわけないだろ。バカみらい」
そう言いながら、みらいのこめかみから両拳を離して解放する。

「ムっ…みらい、バカじゃないもん!!」

「いいや、バカだろ。バカみらい」

「だからみらいはバカじゃないってば~!?」


2人のやり取りをポカーンと見ていた元4年2組のメンバー

「……俺、今初めてあいつが年相応に見えた。」

「私も。みらいちゃんって普段は面倒見の良いしっかり者だけど、あんなに子供っぽい所は初めて見る。」
大介に同意するように呟くタマエ

今のみらいの事を知っている大介達4人は初めて見るみらいの一面を見て驚いていた。

大地とみらいの口喧嘩はなおも続いており、聖はそんな2人を止める事なく、黙って見ていた…いや、見守っていた。

「おい、あいつら止めなくて良いのか?」
2人の様子黙って見ている聖に話しかける大介

「ん?ああ、大丈夫。まだ軽い喧嘩だから。」

「はぁ!?あれで軽い喧嘩!?」
ヒートアップしていく口喧嘩を聖は動じる事なく、落ち着いた声でさらっと「軽い喧嘩」だと言った事に驚く大介

「あいつらが本気で喧嘩したら、だだの言い合いだけじゃ済まないよ?」

「なっ!?あれで本気の喧嘩じゃねぇの!?」

「ああ。それにしても…あいつらが喧嘩するの、久しぶりに見たな…」

「え?普段はそんなに喧嘩しないの?」
大介と聖の話を黙って聞いていたなつみが割り込んで聞く。

「ああ、しないよ。見ての通り、年が少し離れてるせいもあるけど…滅多に喧嘩はしないんだ。」

「そ…そうなのか…(けど、あれで軽いならもっと凄い喧嘩って……いや、やめとこ。なんか恐ろしい想像してしまいそうだ。)」
今のより凄い喧嘩を想像しそうだったが、寸前の所でやめた大介だった。

「けど、そろそろ止めるか。さすがに今は喧嘩してる場合じゃないしな。」
聖は呟きながらも、未だ喧嘩中の大地とみらいの所へ行く。


「大地、もうその辺にしとけ。」
そろそろというように、喧嘩している2人の間に割って入る聖

「ちょ…止めるなよ。聖兄」

「ダメだ。今はそんな場合じゃないだろ?」

聖のその言葉に大地は何も言い返す事なく、黙ったまま立ち上がった。

大地を止めた後、今度はしゃがみ込んでみらいに視線を合わせた。

「聖兄…」

「みらいもあまり大地を心配させちゃダメだぞ?」

「……ごめんなさい。」
聖に諭されて素直に謝るみらい

素直なみらいを優しい眼差しで見つめながら、みらいの頭を撫でてやる聖
みらいはそんな聖の手を払いのける事はしなかった。

少しの間撫でた後立ち上がり、なつみ達の方を向き…

「なつみさん、大介さん、それに他の皆さんもお騒がせして申し訳ない。」

「あっ…ううん、気にしないで。ね?」

なつみがみんなに同意を求めてきたのでそれぞれ頷く。

「それより…これからどうするの?」

「そうだな…ちょうどここにみらいが揃った事だし、ここで今後の事を話し合うか。
タマエさん、同窓会中申し訳ないけど、1つ場所借りていいかな?」

「どうぞ、どうぞ!私達もみらいちゃん達がどうなるのか知りたいし。みんなも良いよね?」

タマエと同意見なのか、全員異議を唱える事は無かった。


みらいが江地の助手ロボットのツバメに先に矢熊山へ戻るように指示を出した後、
借りたテーブルで聖と大地は同じ席側にみらいは向かい合わせに座った。
なつみ達ももそれぞれの場所に座って黙って話を聞く態勢になった。

「それじゃ…まず、俺達の今回の任務内容だけど…君と勇平を無事に未来へ送り帰す事。
その為に江地さんのタイムマシンの修理を手伝い、少しでも早く未来に送り帰せるようにサポートする事。」

「……修理は私も手伝ってるけど、それよりももっと早く?」

「ああ。今回のタイムスリップによる影響で少し時空に歪みが捻じ始めているようなんだ。それも、その原因が…」

「もしかして……勇平?」

「ああ、そうだ。君と違ってあの子はアレを制御する事が出来ない。だからすぐに時空に影響が出始めたんだ。」

「う~ん…思ったより影響が出るのが早いね。」

「今は小さな歪みだからまだ大丈夫。だけどこのままだと勇平だけじゃなくてみ」

「その先は言わなくていい。解ってるから。(そう、私自身も時空に歪みを与えかねない事はね…)」
聖の言葉を途中で遮るみらい

「そっか…解った。あっ、そうだ。みらい、これを…」
何かを思い出した聖がズボンのポケットから何かを取り出してそれをみらいに見せた。

「USBメモリー…?」

「これ、父さんからみらいに渡すように頼まれたんだ。このメモリーの中には、
これまでの時間移動に関するいろんなデータが入ってる。」

「えっ!?それってとても大事なデータなんじゃ…」

「だからこそだ。今、君がやろうとしてる事にはとても役に立つんじゃないか?父さんはそう思ってコレを俺に託してくれたんだ。」
みらいに必要だと思ったから持ってきたんだと言いながら、そのUSBメモリーを持たせる聖

「えっ!?」なぜか驚いた表情をするみらい

「父さんは予想してた。君が江地さんと一緒ならきっとあのウォッチを速攻で完成させようとするだろうって。」

「……別々の時代に居るのに凄いね、相変わらず。予想的中だよ。」

みらいが驚いていたのは、まだ聖にはあのタイムウォッチの開発を進めて
完成させようとしている事を知らせていないのに知っていたからだ。

「”予想的中だよ”じゃないだろ。ホントに君はとんでもなく無茶な事をしようとしてるんだから。」
呆れたように言いながらため息をつく聖

「う゛っ……そ、それより本当にいいの?こんな大事なデータを使っちゃって…」
聖に痛い所を突かれたみらいはこれ以上の追撃を免れるべく、強制的にその話題を終わらせようとする。

「言っただろ?俺達はみらいと勇平を無事に未来に送り帰すサポートをする為に来たんだって。
そのUSBメモリーだって父さんが許可を出した物だ。だから使って欲しい。これでアレの完成度が上がるだろ?」

「……ありがとう。使わせて貰うよ。」
少し考えた後、みらいはお礼を言い、そのUSBメモリーを受け取った。


「ねぇ、なつみ」

「何?タマエ」

「聖さんが言っているアレの制御で何の事なのかな?」

「さぁ?なんだろうね?」

「それに…時空の影響とかなんとか……」

「話をまとめると…みらいと勇平がこの時代に来てしまった影響が出てるって事だろ、だぶん。
何の影響が出てるのかは知らねぇけどな。」

「もし大介が言った通りだとしたら…もしかしてまた時間が狂い始めてるのかな?」
赤ん坊のみらいが来た時に実際に起きた事を思い出しながら言うなつみ

「う~ん…もしかしたら今回はそれ以上かもな?」

「えぇ!?それ以上の影響って何よ!?」

「んなの、俺が知るかよ。」

少し離れた所からみらい達の会話を聞いていたなつみ達は聖が話していた事について話していた。
なつみ達だけではなく、他のみんなもそれぞれのテーブルでその話についてそれぞれが思った事を言い合っていたのだった。


「それから任務とは別にもう1つしなければならない事がある。」

「もう1つ?こっちに来なきゃ出来ない事なの?」

「いや、君が帰ってからでも出来る事だけど…早く君に気づかせたくてね。」

「?…気づかせるって…何を?」
聖の言っている事が解らず首を傾げるみらい

「天海 命(あまみ みこと)」
今まで黙っていた大地がある名前を挙げた。

「!?」目を見開いて驚いた表情になるみらい

『命(みこと)』という名を勇平から聞いていた大介達も驚きの表情になり、
名を知らない他のメンバーは誰の事か解らず首を傾げていた。

「任務ではないが、『天海 命』の魂を俺達で成仏させる事だ。」

「成仏って…命、成仏出来てないの!?」

「ああ、出来てない。それも未練で成仏出来ないんじゃない。しようと思えばすぐに成仏出来る。」

「じゃあなんで成仏しないの!?」

「その理由は…お前にある。」

「私?」

「ああ。俺や聖兄も最近までまったく気付けなかったんだが……どうやら命のやつ、
1年前あの事故で亡くなってから今までずっとお前の傍に居たらしい。」

「なっ!?……な、なんで!?」

「お前に直接伝えたい事があるらしい。けどお前は…」

「みらい、君は1年前のあの事故で命ちゃんを亡くしたショックで霊が視えなくなった…いや、視えなくした。
君は無意識のうちに霊感を封じ込めてしまっていたんだ。」

「そう。だから霊が視えなくなったお前に自分の言葉を届ける事が出来ずに居た。」

「私に伝えたい事?」

「ああ、俺達が代わりに言葉を伝えるから教えて欲しいと言っても教えてくれなくて……っというか、
あの子…君が霊が視える子だって知ってたみたいなんだけど…生前、命ちゃんに教えたのか?」

「え!?私、命に教えてないよ!?」

「教えてない?じゃあもしかしたら君が視えない誰かと話している所を偶然見かけて知っていたのかもしれないな。」

「お前、昔から成仏出来てない霊を見掛けると話掛けて手助けしてたしな。俺らを巻き込んで。」
今もみらいの傍にいるらしい命を見ながら話す大地

「あはは、懐かしいな。何度も呼び出されて成仏の手伝いさせられたよな。」

「ああ。なんで見ず知らずの奴を俺が助けてやらなきゃいけねぇんだと何度も思った。」

「ははっ、大地は相変わらずだな。みらいに頼まれた時にしか成仏の手伝いしないんだから。」

「成仏させて俺に何の得になる?」

「確かにな。それで…話を戻すぞ?聞いててもう解るだろうけど、時空を越えた今もみらいの傍に命ちゃんが居る。
普通はありえないんだけど、なぜか居るみたいだ。」

「う、嘘でしょ!?時空を越えてまで付いてこれる霊なんて初めて聞いたよ!?」

「ああ、だから普通はありえない事で俺も父さんも驚いてる。大地がいくら探しても命ちゃんが
見つからないって言ってくるまではまさかそんな事が起きてるとは思わなくてな。」

「……そうまでして私に付いて来て、いったい私に何を伝えたいの…?」
視えないからどの位置に居るかは解らないが、傍に居るであろう命に問いかけるみらいであった。


みらい達の話を聞いていた大介達は……

「みらいちゃんの亡くなったお友達が今も傍に…?」

「本当に居るのかな…?」

「俺達には視えねぇけど、あいつらには視えるんだろうな。そして……話を聞く限り、今は視えてないみてぇだけど……
みらいも霊感があって事故以前は視えてたみたいだな。」

「そうみたいだね……」

事情を少しだけ知っている大介達はみらいに霊感がある事を初めて知った。


「まぁ、今すぐどうにかしなくちゃっていう訳じゃないから安心しろ。だけど…」

「未来に戻ってからはそうはいかねぇぞ。」

「えっ…」

「お前も解ってるだろ?命は亡くなってからそろそろ1年になる。このまま現世に留まっていれば、いずれは…」

「あっ…(このままだと命が悪霊になってしまうかもしれない!?)
現世に留まっているとどうなるのかを思い出したみらいは真っ青になった。

「ちょっ…大地、お前な…」

「俺は事実を言ったまでだ。」

「はぁ……とにかく、そういう事だからタイムマシンの修理と同時進行でこっちの方も少しずつ進めるからそのつもりで居てくれ。みらい」

「う…うん。」
焦りと不安でいっぱいになってるみらいは返事をするのがやっとだった。

「大丈夫。俺や大地も一緒に手伝うから。」
不安になってるみらいを安心させるように、優しい声で語りかけながら、テーブル越しにみらいの頭を撫でる聖

「ありがとう、聖兄」
聖のおかけで少しだけ不安が和らぐみらいであった。


「さて、そろそろ江地さんの所に行くか。1秒でも速くタイムマシンを完成させないとな。」

「ああ、そうだな。だが、その前に俺は江地を一発殴らせてもらう。」

「ちょっ…待て!!お前のその一発は病院送りになる可能性があるから止めろ!?」

「そうだよ!江地さんはただの一般人で体をまったく鍛えてないんだよ!?下手したら死ぬから止めて!?」

「嫌だ。」キッパリ拒否する大地

「い…嫌ってお前な……みらい達が未来に帰るのが遅くなるだろ!?」

「ちゃんと加減して殴るから問題ない。」

「問題ないってお前な……(みらいが江地さんのせいでこっち飛ばされたからなのは解るが……)」
「問題あるから言ってるのに……(なんでか知らないけどなぜか昔から江地さんの事を毛嫌いしてるのは知ってたけど……)」
大地の「問題ない」発言に聖とみらいはそれぞれため息つきながら、大地を止めれない事を悟る。

「大地、もう止めはしないが、せめて俺が居る時にしてくれ。そして“絶対にかなりの加減”をしろよ?
お前の一発は普通じゃないんだからな?」
止めるのを諦めた聖は大地に殴る時は絶対加減するように念を押した。

「ああ、わかってる。修理に “支障が出ない程度”には加減して殴る。」

支障が出ない程度の所を主張して言う大地はどうやらそのギリギリまでは力一杯殴る気満々な様子だ。

((激しく不安だっ…))
大地の言葉を聞いて同時に同じ事を心の中で思った2人であった。

話を黙って聞いていた大介達も真っ青になりつつも、誰もが江地の無事をただ祈るのみであった。


話は終わったとばかりに大地は黙って椅子から立ち上がる。

「あっ…大地、少し待ってくれ。」
大地が行こうとしているのに気づいて自分もと立ち上がった時、何かを思い出して呼び止める聖

「んだよ?まだ何かあるのか?」
不機嫌な声で聞く大地

「すぐ終わるから。大介さん、お願いがあるんだけど…」

「お願い?なんだよ?」

「俺を大介さんの家に泊めてくれないか?勇平はそこに泊まらせて貰ってるんだろ?」

「ああ、そうだぜ。お前だけか?そっちの…大地だったよな?そいつは良いのか?」

「ああ、大地にはみらいが泊まってる水木家に行かせる。」

「なっ!?聞いてないぞ、聖兄!」

「今決めた事だから聞いてなくて当たり前だ。大地、お前は水木家へ行け。」

無言で「なぜ?」と言いたげな大地

「そんなの決まってんだろ?お前がみらいの兄だから。」

『えっ……えぇっーーー!?』

元4年2組のメンバー全員が驚きの声を上げた。

「み、みらいの兄だって!?」
「うっそー!?みらいちゃんのお兄ちゃん!?」
大介やタマエを始め、みんながそれぞれ大地とみらいを交互に見ながら騒ぐ。

驚くのも無理はないだろう。なぜなら大地とみらいはまったく似ている所がないのだから。

「……理由はそれだけか?」

「他に何がある?今のみらいに必要なのは俺じゃない、お前だ。現に…」

「?」
聖が自分の腰辺りに視線を向けてるのを見て、そちらに視線を向けた大地

視線を向けた先には、引っ張りこそはしないものの、手をちょっと摘むように自分の服を握るみらいの姿があった。

(いつの間に……)みらいの接近にまったく気付かなかった大地

「理由はこれで充分だよな?大地」

「ああ、充分だ。」

「っという訳で……俺は山口家で、大地は水木家で泊まりたいんだけど…」

「あ、ああ…俺の方は大丈夫だぜ。なつみ、お前は?」

「う~ん、たぶん大丈夫じゃないかな?1人泊まる人が増えてビックリはするだろうけど。うん、問題ないわ。」

「ありがとう、2人とも。」頭を下げてお礼を言う聖

「へへっ…んじゃ、これからよろしくな?えっと……聖、でいいか?」

「ああ、構わない。未来の大介さんからそう呼ばれてるから。」

「そっか。大地、お前もこの呼び方で構わねぇか?」

黙って頷く大地

「……大地、頼むから水木家に行ったら必ず挨拶してくれよ?」
必ず水木家に行ったら愛挨拶するよう念押しする聖

「わかってる。」

「まったく……ホントに頼むぞ?さて、それじゃ今度こそ江地さんの所に行くか。みらい、江地さんは矢熊山の地下に居るんだよな?」

「うん、そうだよ。」

「よし。大地、しつこいようだがもう一度言う。絶対に加減してくれよ?」

「わかってる。今の状況で江地に抜けられると修理が進まないからな。」

「おいおい……お前、ホント江地さんの事嫌いだな。」
大地と長い付き合いのおかげか、江地の協力が不可欠である事に若干…いや、物凄く不本意に思っている事が解った聖

「ああ、嫌いだ。」

「即答だな…解ってはいたが。まぁ、とりあえず行くぞ。タマエさん、場所貸してくれてありがとう。」

「どういたしまして。」

「あ、そうだ。ここに居る皆さん、言わなくても大丈夫だと思うけど…一応言わせて貰うな?
みらいと勇平の事はぐれぐれも他の人には言わないでくれ。」

「特に花田秀夫、あんたの所の母親には絶対言うな、気付かれるな。いいな?」
花田秀夫に鋭い眼光を浴びせながら念押しする大地

「は、はいぃっ!?お母様には絶ッ対言いませんし、気をつけますぅーっ!!」
大地からの眼光にやられてか、怯えながら返事をする秀夫であった。

「大地、お前な……まぁ、そういう事なんだけど……」

「わかってるわ。みんな、聞いての通りだからよろしくね?」

なつみのその言葉に全員が言わない事を約束し、もし自分達の力が必要になったらいつでも呼んで欲しいとまで言ってくれた。

「ありがとう、その気持ちだけ貰うよ。修理は俺達だけで大丈夫だから。それじゃ…行くぞ。大地、みらい」

元4年2組の全員にお礼を言うと、大地とみらいを連れ、店から出ていくのであった。



タマエの家の中華料理店に突然現れた2人の少年とその後に現れたみらい
現れた少年2人はどうやらみらいとは親しい関係にある様子。
特に片方の少年…大地はみらいの兄であった事が解り、大介達は似てない2人の関係に驚きを隠せなかったようだ。
聖と大地が来た事でタイムマシンの修理が速くなる為、予定より早く未来の世界に帰れる事だろう。
そして、「天海 命」……亡くなって霊となったあの1年前の事故から今までずっと自分の側に居た事を知ったみらい
果たして無事に成仏出来るのだろうか?それはみらい次第である。



第31話へ進む。


新たに未来からやってきた2人がみらい合流しました。
大地はオリキャラですが、お話しの中でも話したように、みらいの兄です。
聖は大地とみらいの幼馴染で、3人はとても仲良しです。
話の中で出てきた霊に関する事は境界のRINNREを読んで決めた設定です。
命ちゃんの事は最初の頃からどこかで入れる予定でしたが、具体的な霊の設定は
この漫画を読んでからなので、後から決まった設定です。
それでは第31話へお進みください。



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