チョイスの準備

超炎リング転送システムにツナ達の炎を照射させている頃、並盛町の街中では
直前に起きた並盛の北山の破壊を見て住民達がパニックを起こしていた。
人々は天変地異かと騒いで逃げ惑う中、どこかの建物の影に黒のフード付きのマントを身に着けた者が
こっそりと並盛神社の方で照射されている光を見つめていた。
フードを目深に被っている為、顔が良く見えないが、どうやらそこに潜んでいるのは1人だけではないようだ。

「いよいよチョイスが始まるみたいですね。」

「おい、俺達はあそこに行かなくていいのか?」

「ーーももしかしたらそのチョイスが行われる場所に居るかもしれねぇだろ?」

「そうだぜ!なんでオイラ達は行っちゃダメなんだよ!?」

「あなた方のお気持ちは解りますが、今出て行くのはダメです。
今はまだ、白蘭にも…ボンゴレファミリーの方々の前にも姿を現すべきではありません。
それに…このチョイスはミルフィオーレファミリー対ボンゴレファミリーの戦い。
ミルフィオーレを抜けた今のあなた方は部外者です。」

「だがっ…」

「……ーーーが言うには、もし仮にチョイスでボンゴレが勝てたとしても、そこで終わりではなく、きっとさらに良くない事が
起こる可能性が高いと予感しています。勝っても負けても、ボンゴレ側に不利な状況に陥る可能性が…」

「なんだと!?」

「今は堪えて下さい。必ずあなた方の力が必要になる時が来るはずです。
動くべき時が来れば、風が教えてくれます。ですから、今はその時を待ちましょう。」

「……お前はそれで良いのか?お前はーーーーだろ?」

「ええ。出来れば僕も今すぐにでも駆けつけたいですが、あちらはーーーに任せます。
(あの子の事は僕よりーーーに任せるのが1番良いですしね。ーーもそろそろ自由に
動けるようになるでしょうし、動き出すべき時は近いはず。)」

「そうか。しかし、風が教えてくれる…か。それはお前が教えてくれた一族の能力なのか?」

「ええ、そうですよ。僕の一族…ーーの血を引く者は必ず風の力を操る能力を持って生まれます。
程度はさすがに個々それぞれで違いますが、直系であればある程、その力を濃く受け継ぎます。
ですから、出来る事も授かった力の大きさによって異なります。」

「へぇ~…風を操るってなんかスゲーな!」

「フフっ…さぁ、もうしばらく静かに時を待ちましょう。(ーーー、そちらはお願いしますね。僕の分まであの2人を守って下さい。)」

並盛神社の方を見つめるのをやめ、再び身を潜める為、静かにその場から立ち去るのであった。



ーーー並盛神社ーーー


時間にギリギリ間に合い超炎リング転送システムにそれぞれの炎を照射させたツナ達

「正一、あれを見ろ。」

「1300万FV(フィアンマボルテージ)!?」
スパナに呼ばれ、超炎転送システムの方へ目を向けた正一はそこに表示された数字を見て驚く。

(やっぱり、僕は間違っていなかった……彼らをこの時代に連れてきたのは間違っていなかったんだ!!
彼らこそ白蘭さんに対抗しうる唯一の光…若き10代目ボンゴレファミリー!!)
結果が予想以上だった事に驚くも、正一は過去からきたツナ達に希望を抱く。

正一が見ている視線の先には、ツナと守護者とソラ…そして今のボンゴレ匣の開匣で出てきたそれぞれのアニマル達の姿だった。

「たくっ…てめーら、おせーぞ!」
遅れてきた2人に怒る獄寺

「ははっ…わりー、わりー」
「僕は個人として来てるんだ。君達とは関係ないよ。」
山本は笑顔のまま謝り、雲雀は関係ないとそっぽ向く。

「キュウ」
雲雀の傍に居るアニマル匣の雲ハリネズミ「ロール」もその通りだとばかりに鳴く。

「だが沢田、よくこいつらが来ると解ったな!!」

「いや、解っていたのは、全員揃わなくては白蘭に勝てないという事だけだ。」
超モードになったツナが来ると解っていた訳ではないと言う。

「ボスの言う通りです。この戦いは、守護者が全員揃っていなければ勝てるものも勝てません。
誰一人と欠かす事は出来ない、大事な戦いです。」
同じく超モードになっていたソラが続けて言う。

「フっ…」
2人の言葉に満足そうな表情をするリボーン

「うん、いいねぇ。」

超炎転送システムの方で表示されていた数字が消え、再びアドバルーンの白蘭の顔が出現する。

「見事500万FVを超えて合格だよ。それにしても…やっぱり君は凄いな~!ねぇ?ソラチャン」

白蘭に名指しされるも冷静なソラ

「吸収された炎圧は1300万FV…予想を遥かに上回る結果で綱吉君達も凄いけど、君はそれ以上だ。実は今の炎圧を分析した所、
1人だけ他の誰よりも遥かに大きな炎圧を出している事が解ったんだ。すぐに君だと解ったよ、ソラチャン」

「そうですか。」
白蘭の言葉を聞くも、あっさりと聞き流すソラ

「ははっ…クールだね!まあ、そのまま聞いてよ。分析の結果、君の炎圧は300万FV!驚いちゃったよ♪」

「「「3…300万FV!?」」」
数字を聞いて驚く正一、スパナ、ジャンニーニ

「ソレ、そんなにすげーのか?」

「ええ、もちろんですよ!先ほども言いましたが、500万FVだとXBURNER20発分の炎圧が必要なんですよ!?
ですから、それの半分…いえ、少し多いですから、少なくとも10発以上は出してます!!」
山本の疑問にジャンニーニが解りやすく説明する。

「マジかっ…」
「すげーのな!」
メローネ基地でツナのXBURNERを見た事がある獄寺や山本、ランボを除いた守護者はそれで理解した。
もちろん、ツナもそれを聞いて内心驚きを隠せなかっただろう。

「そ♪僕がソラチャンを欲しがった理由の1つがそれだよ!」

正一がいくら調べても解らなかったソラを狙う理由の一部が明かされ、ツナ達は絶句する。

「それは…つまり、莫大な量の2つの高純度の炎を持っていたから欲しかった…っと?」

「そうだよ♪あ、陽色の姫君の正体が解るまでは、ボンゴレの姫君とは別の理由で欲しかったんだけどね。」

「別の理由…ですか?」

「うん。陽色の姫君が欲しかったのは戦力としてだよ。あと報告を聞いててなんとなくその子の晴の炎が凄いかも?って思ったから。」
戦闘能力と己の勘で欲しかったと言う白蘭

「そ…そうですか。(どうやら陽色の姫君を狙っていた理由はこれだけのようだ……
しかし、まだ狙われた理由があるようだけど、いったい……)」
正一は他に狙う理由を考えてみたが、検討もつかず困惑する。

「フフっ…悪いけど、これ以上は話さないから。じゃあさっそく、チョイスを始めようか。」
白蘭はソラを狙っていた理由の一部を明かした後、再びチョイスの話に戻した。

「ああ。(どのような理由であれ、ソラは絶対に渡さない!)」
超ツナが落ち着いた声で応じながらも、白蘭がまだソラの事を諦めてなさそうなのを聞いて
改めてソラをしっかり守る事を心に刻む。

ソラが自分の娘だと知った今、ツナはそれまで以上にソラへの想いが強くなっていた。

「まずはフィールドの”チョイス”をするんだけど…」

超炎転送システムからカードの束が蛇のように流れ出す。

「君達のその素晴らしい炎を讃えて、フィールドのチョイス権は君達にあげよう。」

「何かしら?」
「トランプ…ですか?」
流れ出てきたカードの束を見て呟く京子とハル

(このカードの束は…なるほど。選んだカードによって戦う場所が変わるという訳ですか。)
超ソラは流れ出てきたカードの束を見て、先程話していた事を思い出して何なのかを理解する。

「正チャンからチョイスのルールは聞いてるだろ?チョイスとは選択のゲーム。
戦うフィールドと戦士を最初にチョイスしなければ始まらない。人の持つ運命によってね…
さあ、そのカードを1枚引くんだ、綱吉君。それが君自身の覚悟だ。」

「しかし、敵の作ったカードでは……」

「大丈夫!白蘭さんはチョイスでだけは不正をしない男だ。」
ジャンニーニが言った事に対して、正一は大丈夫だと言う。

(正兄はそう言いますけど…本当に不正をしないのでしょうか?)
超ソラは口には出さず、これまで白蘭が、ミルフィオーレがやってきた事の数々を思い出しながら
本当に不正しないのだろうかと疑っていた。己の超直感もなんとなく何かあると感じ取っているようだった。

「10代目!」

「任せるぜ!ツナ」

「うむ!」

雲雀は黙ったまま、ツナの方に目を向ける。

「うわぁい!ランボさん、ひきたい、ひきたい!」

興奮するランボをアニマル匣の上から下ろし、そのままクロームが抱く。

「ボス、お願いします。」

ランボを除き、それぞれの守護者とソラがツナにフィールドのチョイス権を託す。

「よし、チョイスしよう。」

ツナは沢山のカードの中から1枚引き抜く。
すると、引いたカードが光だした。
光が消えると。そのカードには雷のマークが描かれていた。

「フィールドは雷か…じゃあ、行こう。」

白蘭のその言葉が合図かのように、超炎リング転送システムが作動し始めた。
すると、ツナ達はその装置に導かれるように浮かび始めてそのままどこかへと転送されていったのだった。


ーーー????ーーー

どこかの上空に超炎リング転送システムが出現し、そこからツナ達が降ろされた。

「あ~いてー!!あっ…みんな!大丈夫!?」
超モードが解けてしまったツナが起き上がって全員の無事を確認する。

それぞれお互いの無事を確認する。

「ソラちゃんは大丈夫!?って…んなぁー!?まだ超化解けてないのー!?」
ソラも自分と同じように超モードが解けていると思っていたツナはまだ維持出来ている事に驚く。

「鍛え方が違うんだ。維持出来てても別に可笑しくねぇだろ。(だが、確かにスゲェな。)」
ボログラムのリボーンが現れ、驚いてるツナに言いながらも、内心ではツナ同様驚いていた。

「んなぁっ!?」グサッとダメージを食らったツナ

「別に鍛え方が違うのだけが原因じゃないよ。だからあまり気にしないでね?」
自分の意思で超モードを解いたソラがダメージを受けたツナを心配しながら言う。

(鍛え方以外にも原因が?……死ぬ気の炎の量の違いか?)
リボーンはツナとソラのやり取りを聞きながら考察する。

「えっと……みんな無事到着出来たみたいだね。」
周りを見回して全員の無事を確認したソラ

「ボス、何か埋まってる……」

「え!?」

座り込んでいるクロームの言う通り、彼女の目の前に黒い塊が……

「それ、ランボだよ。」
黒い塊を指しながら言うツナ

「え!?」
言われて初めて自分が抱いていたランボが居ない事に気付く。

「いたーい!!」
黒い塊が動き出した事でランボの顔が見えるようになったが、落ちた衝撃なのか痛がっていた。

泣いてるランボを抱いたクローム

「あー!?ペロペロキャンディーがおっこちったー!!」
舐めていたキャンディーが砕けてしまって泣き喚くランボ

「泣かないで?ペロペロキャンディーは持ってないけど、ブドウの飴玉ならあるから。」
泣いてるランボの傍に寄り、ポケットから飴玉を出して包み紙を取ってから差し出すソラ

泣き止んで口を開けたランボにその飴玉を放り込んだ。

「美味しいんだもんね…」

「ソラ、準備いいね。」
泣き止んだランボを見ながら感心するクローム

「なんとなく要るかな~?って思って少しだけ持ってきてた。」

「そう。(超直感…かな?)」

「しかし、本当に凄まじい炎を消費してんな…瓜(うり)が匣に戻っちまった。」
ボンゴレ匣を見ながら呟く獄寺

「俺のもだ。」

「我流(ガリュウ)もだ。」

黙って匣を見つめる雲雀

「ムクロウ…」

それぞれの守護者のアニマル達は大量の炎の消費のせいかそれぞれ匣に戻っていた。
そしてそれはソラも……

(今回ばかりは太陽達も戻っちゃったか。)
自分のボンゴレ匣を見つめながら心の中で呟く。

どうやら超炎リング転送システムでの移動で大量の炎を消費してしまったようだ。

「ここは……」
獄寺達と同じようにボンゴレ匣を見つめていたツナだったが、今の状況を思い出して周りを見回す。

「やぁっ…ようこそチョイス会場へ。」

まるでそれが合図かのように、落ちた衝撃で出来た白い煙の向こう側から白蘭らしき声が突然聞こえてきた。

「白蘭!?…んな!?」
白蘭の声が聞こえた方へ振り向くとそれまで見えなかった周りの様子に驚くツナ

白い煙は時間が経つ度に晴れていき、ようやく気になっていた周りの景色もはっきりと見えるようになった。
ツナに続くように、他のみんなも周りを見回して驚く。

「ここは…超高層ビル群のど真ん中みたいだね。(それだけじゃない。……やっぱり感じない、
私達以外の人の気配が。……ん?あれ?基地ユニットの方にリボ兄以外の気配が僅かに感じられる。
それにーーーさんが近くにいるのは気づいてたけど…まさかワープに紛れて着いてくるとは…)」
自分達が落ちてきた場所がビルの屋上だと解ったソラは周りの気配を探る。

「何度も会っているような気がするけど、僕に会うのは初めてかい?綱吉君」

「で、でたー!白蘭と真6弔花!!」ビビるツナ

「うわ!?なんだか怖いもんねー!!」
クロームの腕から降りて、ジャンニーニの後ろへ逃げるランボ

(あれ?真6弔花、5人しかいない……守護者が1人欠けてる。どういうこと?)
真6弔花が6人では5人しか居ない事に気づき、疑問を抱くソラ

ツナ達の前にミルフィオーレファミリーのボスである白蘭と真6弔花が現れた。
だが、真6弔花の方はなぜか6人では5人だった。

「ここで戦闘を開始するからね。」

「え!?ここで!?」

「そうだよ。いいロケーションだと思わないかい?」

「こ、こんな人の多い所で戦えるわけないでしょ!!」
人が居ると思って、ここで戦えないと言うツナ

「それは大丈夫みたいだよ。」

「えっ!?」

「私達以外の人の気配がしない。人だけじゃなくて、鳥も居ないよ。
大都会の中心だというのに、人ごみのさわめきや車の音1つもしない。」

ソラに言われて、初めて大都会の中心のはずなのに静かな事に気付くツナ達

「ソラチャンが言った通り、人はぜーんぶ避けといたよ。ここには、僕ら以外人っ子1人居ないんだ。」

「なるほど。ここはチョイスの為に特別に作られたバトルフィールドって事ですか。(おそらくここ以外にも…)」

「フフっ…まぁ、追って説明するよ。」

「なはーんだ、ちびっ子ばっかりじゃない!」
水色の長髪の女性…いや、少女がツナ達を見て笑う。

「なにぃっ!?」
「てめーっ!!」
ムキになる了平と獄寺

「こんなのぜーんぶブルーベルでかったづけられちゃうもんねー!!」
そう言いながら、左手の形を変化させて雨属性の炎を纏わせる。

「手が…!!」驚くツナ

「慌てないで、ブルーベル。白蘭様が楽しみにしておられたお祭りなのですよ。ゆっくり楽しみましょう。」
水色の長髪の少女…ブルーベルが攻撃態勢に入っていた所を
左腕に植物の蔓を巻きつけて止める青緑色の長髪の男性

「今度は何!?」

「マグマ風呂といい…こいつら人間じゃねーのか!?」
マグマ風呂に平気で入っていた赤色の短髪の男性の映像を思い出しながら言う獄寺

「ハハンっ…どうやら私と同じ雲属性の守護者は学生服の君のようですね。私は桔梗、お見知りおきを。」
トンファーを構えながら、リングに雲の炎を灯した雲雀を見て挨拶する青緑色の長髪の男性

「御託はいい…早く始めようよ。」

「だーからダメなんだって、ひっぱーりチャン」

「ん?」

「これはチョイスだ。まずは次のチョイスを始めなきゃ」
次のチョイスだと言いながら、白蘭はある装置を見せる。

「な…何アレ?」

(アレは……ジャイロルーレット?……何か裏があるような気がするんだけど……)
白蘭が持っている装置を見ながら何か嫌な予感を感じたソラ

「みんなが見やすいように映し出そうね。」

白蘭が持っているジャイロルーレットらしき装置が光り出し、
両サイド上空にそれぞれ1つずつ何かの映像が映し出された。

「な…なんだ、この記号の羅列は…」

「そっちはミルフィオーレで、こっちはボンゴレ…それぞれの属性が表になってる!?」

ツナの言う通り、今映し出された映像にはそれぞれのファミリーのエンブレムと各属性が描かれた表だった。

(確かにパパが言った通り、それぞれのエンブレムと属性が描かれてるけど……1番下の四角はいったい何だろ…?
それに属性の隣が空欄になってる。ジャイロルーレットと連動しているという事は……!…まさか、各属性の人数!?)

「リングの手を歯車の側面に添えて、綱吉君」

ソラが今現れた表が何か解ったその時、ツナに話しかける白蘭の声が聞こえてきた。

「え…?」

「ほら、こうするんだ。」

「こ…こう?」

困惑するツナは白蘭に言われた通りにリングの手を添える。

「チョイスの掛け声で歯車を右に回すよ。」

「え…ちょ、ちょっとまっ…」

「チョイス」

「わっ」

ツナの「待った」を聞かず、ルーレットを回した白蘭

(な!?……あのルーレットに何か仕掛けが…?)
2人のやり取りを見て何かを感じたソラ

回っていたルーレットが1つずつ止まり始め…

「止まるね。これで決まりだからね。」

「え!?」

「バトル参加者」

ルーレットが完全に止まると、上空に映し出されたそれぞれの表に数字が映し出された。

ミルフィオーレファミリー  雲2 晴1 霧2 計5人

ボンゴレファミリー  大空2 嵐1 雨1 謎の四角2 計6人

「な…何なの!?なんか数字が並んでる!」

「やっぱり!あの数字は各属性の参加人数だよ!」
疑問が確信に代わり、ツナ達に教えるソラ

「さすが良い勘してるね、ソラチャン。そ、ジャイロルーレットでチョイスされたのは、
実際にフィールド内で戦う各属性の戦士の数だよ。」

「属性によって人数違うのかよ。」

「でもボンゴレとミルフィオーレで合計が違う。」

表を見上げなら、それぞれの数を見ていた山本とツナ

「これがチョイスの醍醐味だよ。ボンゴレは大空に2名、嵐に雨が各1名。
いい引きしてるじゃないか、綱吉君」

(あの1番下の四角にも”2”になってる。それにミルフィオーレ側の晴とボンゴレ側のあの四角の所だけ炎が灯った。
あれは……まさか、ターゲット?けど、あんな属性は……いや、違う。属性じゃない!アレは無属性だ!)

「おい待て!だったら1番下の四角は何だ!?」あんな属性見た事ねぇ!」

「ん?ああ、アレは…」

「無属性、ですよね?」

「おや?」

「あれは属性ではなく、ただの四角。リングを持たない者…無属性を示してるんですよね?」

「その通り!大正解だよ、ソラチャン!!君達は”2”だから2名選出してくれなくちゃならない。」

「なるほど。それで全員連れてこいと言ったんですね。」

「みんな戦いに参加なんて…そんな!!」
白蘭が全員連れてこいと言った理由が解ったツナが真っ青な表情を浮かべる。

(それにしても、数だけでもこちらが有利になっているし、
自分は出られないのに、この余裕っぷりはいったい……ん!?)」

「キャッ!!」

「京子ちゃん!!」
「京子!!」
京子の悲鳴が聞こえ、呼び掛けながら振り向くツナと了平

ツナや了平に続いて他のみんなも振り向いて見てみると…
京子達の前にはいつの間にかツギハギだらけのうさぎのぬいぐるみを抱き、
顔に大きな傷がある緑色の髪型をした男性…いや、少年に見える人が居た。

「いつの間に!!」驚くツナ

「何なの、あなた!?」京子とハルを守るビアンキ

「僕チン……デイジー……コレ……あげる。」
京子達に向けて枯れた花を差し出す。

枯れた花を差し出す少年に怯える京子とハル

その時、デイジーと名乗ったその少年の後ろから何者かが近づき、首根っこを引っ掴んでそのまま後ろの方へ放り投げ飛ばした。
飛ばした先には青緑色の長髪の男性が居て、飛ばされてきたデイジーを難なく受け止めた。

「すみませんね、ちょっと目を離した隙に。デイジーはあなた達のように美しく…滅びゆくものに目がないんです。」

青緑色の長髪の男性の言葉を聞き、さらに怯える京子とハル

「何ですか、そのふざけた理由は。歪んでますね。」
青筋を立てながら、ミルフィオーレ側に殺気を放つソラ

そう、デイジーを放り投げたのはソラだった。
一般人である自分の母親の京子を怖がらせたデイジーにとても怒っていた。

「ひぃっ…(ソラちゃん、スゲー怒ってるぅー!?)」
自分の未来の娘だと解っていても、とても怒っている今のソラに怯えてしまうツナ

それはツナだけではなく、他のみんなも自分達には殺気を向けられてはいないものの、怒りの表情のソラに
まるで自分達に向かって怒っているかのように体が思わず震えてしまっていた。
普段滅多に本気で怒らない人ほど怒る時は怖いというのが良く解った瞬間である。


ソラの殺気に触れたミルフィオーレ側も少々…いや、かなりダメージを受けているかのように見えた、白蘭以外は。

「ちょ、ちょっと!何なの、あの子!?チョー怖いんですけど!?」
想定外の殺気に当てられたせいか、思わず体が震えてしまったブルーベル

「ハハンッ…コレは凄いですね。白蘭様が欲しがるのが良く解ります。」
少しだけ冷や汗を流す青緑色の長髪の男性

「ああ、思わず武器を構えそうになったぜ…」
赤色の短髪の男性も想定外の殺気に当てられて自分の体が反応してしまった事に驚いていた。

「ウン♪ソラチャン、怖いね~」
殺気を向けられているはずなのに、全然平気そうな白蘭

「僕チン……あの子……怖い」
直に殺気を向けられていたデイジーは怯える。

フード付きの黒色のマントを着用し、鬼のような形相をしたマスクを被っていた大男(?)も
寡黙なのか、喋りこそはしていなかったが、ソラの殺気の影響をしっかりと受けている様子だった。

ミルフィオーレに向けて殺気を放っているソラの両肩に誰かの手が置かれた。

「ソラちゃん」

触れてきた手と声に気付いたソラは我に返ってすぐに殺気を消し、落ち着きを取り戻す。

「ソラちゃん、落ち着いた?」

「うん…ありがとう。」

「こっちこそ助けてくれてありがとう。」
そう言いながらソラの頭を撫でる京子

(よ、良かったぁ~…京子ちゃんのおかげでいつものソラちゃんに戻ったよ…)

京子がソラを元に戻してくれた事にホッとするツナであった。
他のみんなも同じ気持ちだったのか、安堵していた。



「さーて、それじゃあお互いの参加メンバーを発表しようか。あ、ここは唯一相談して決められるとこだからね。」
落ち着いた所で本題へと戻す白蘭

「白蘭さん、リングを持たない僕は…無属性で良いんですよね?」

「んん……ま、特別にいいかな。」

「だったら綱吉君、ソラちゃん、僕らのメンバーは決まりだよ。」

「え?」

「そうだね。」

ツナは解らなかったが、ソラは今の会話で正一が決めたメンバーが解った。

「ボンゴレの参加メンバーは…大空に綱吉君とソラちゃん、嵐は獄寺君、雨は山本君、無属性は僕と…スパナが適任だ。」

「おいっ、待て入江!!誰がてめぇの指示に従うかってんだ!ボスは10代目だぞ!!」
ツナではなく、正一がメンバーを決めた事に反発する獄寺

「だがな、獄寺。俺も全員戦闘経験者のこのメンバーで良いと思うぞ。」

「私もこのメンバーで良いと思う。」

「なっ…リボーンさん!?それにソラまでっ…」

「待たんか!俺が出れんのはおかしいではないか!!極限に我流(ガリュウ)と修行をしたんだぞ!!」
自分がチョイスに参加出来ない事に不満を訴える了平

「お、お兄さん!」

「ここは我慢してくれ。条件は向こうも同じ。これがチョイスなんだ。それにジャイロルーレットの結果は決して悪くない!!
向こうは1人少ない上に、白蘭さんも出られないんだ!!」

「そんな理由で納得すると思ってるの?僕は出るよ。」
了平だけでなく、雲雀も出られない事に不満を抱き、我が道を突き進もうとしていた。

「ひ…雲雀さん!!」

不満を訴える了平や雲雀にオロオロするツナ

「ちょっ…そんな事言われても…」

黙ってトンファーを構え出した雲雀

「待ってって、恭弥」

突然この場に居ないはずの声が聞こえ、そちらに振り向くと……

「たくっ、しょうがねぇ奴だなぁ」

「ディーノさん!いつの間に!?」

「ワープの時に紛れこんだんだ、ずっといたぜ。まぁ、ソラはどうやらワープする前から俺が居る事に気付いていたようだが。」

「ずっと!?(気がつかなかったぁ~)」
ディーノがずっと居た事に気付けなかったツナ

「お前らの家庭教師なんだ。来ない訳にいかねーだろ。」

「びゃくらん、何アレ?」

「跳ね馬ディーノ」
誰か解らないブルーベルに教える白蘭

「跳ね馬?」

「ヒバリちゃんのカテキョーさ。ね?アルコバレーノ、リボーン」

「全ての情報は握ってるってわけか。」

「考えてみろよ?ツナ達がミルフィオーレに勝てば、その後はどいつとでも好きなだけ戦えるぜ?」

ディーノの言葉を聞いた後、雲雀はツナ、リボーンをチラっと見る。

「少しの辛抱じゃねーか。」

「恭兄…お願い、今は堪えて?」

「……急いでよ。」

「ああ、わかった。」

「ありがとう!恭兄!」

(ディーノさん、雲雀さん説得するの上手くなってるー!!ソラちゃんからのお願いもあったから上手くいったんだろうけどっ…)

「ツナ、ソラ、お前らが決定しろ。このメンバーで良いのか?」

「えっと……」

「異議なし。リボ兄が言った通り、全員戦闘経験者のこのメンバーがベストだよ。」

((ソラちゃんが参加するのは出来れば止めたかったけど……他に居る大空は参加出来ないディーノさんだけだし……))

(?……パパ?)
少し待っても返事がなく、何か考え込んでるツナを見つめるソラ

「ツナ?」

「あ…はい、俺もそれで良いと思います!(今はこれ以上考えるのは止めとこう。チョイスに集中しなきゃっ!)」
ディーノの呼びかけで考えるのを止めたツナは気持ちを切り替えた。

「ねぇ、ジャンニーニは良いの?スルーされてるけど…」

「ヨヨ…」

「同じ無属性でメカニックのスパナが選ばれちゃったけど。」

「ざ…残念ですが、仕方ありませんね。任せましょう!」
フゥ太からの問いかけに対して、残念そうに言いながらも、表情は全く残念どころか嬉しそうなジャンニーニ

(本当は出たくないんだ…)
(メチャクチャ嬉しそう…)
ジャンニーニの表情を見て、選ばれなかった事に安堵している様子が解るツナとフゥ太

(……ジャンニーニさんは戦闘経験者じゃないから初めから除外してたんだけど……)
フゥ太とジャンニーニのやり取りを見ながら心の中で呟くソラ

「ああ~~あっ……だり~~」
しゃがみながら怠そうな声を出す赤色の短髪の男性

「あいつ…」
「口笛吹いてた…」
「マグマ風呂野郎!!」
メローネ基地で見た映像を思い出すツナ、山本、獄寺

「白蘭様~悪いが出番もねーし、正直嫌になってきました~」

「申し訳ありません、白蘭様。ザクロがダレてきました。」
白蘭に片膝を曲げて跪きながら、赤色の短髪の男性…ザクロの態度を詫びる青緑色の長髪の男性

「ん、じゃあ急ごうか。」

「フン!どっちが電波よ!べー!!」
ザクロにアッカンベーするブルーベル

「それじゃ今度は僕らミルフィオーレの参加メンバーを紹介するよ。雲は最も頼りになる真弔花のリーダー桔梗」

「ハハンっ」
青緑色の長髪の男性…ミルフィオーレの雲の守護者 桔梗

「晴は殺したいほど生ける屍…デイジー、霧は真実を語る幻影の巨人トリカブト。えーと…以上かな。」

ミルフィオーレの晴の守護者…デイジー
ミルフィオーレの霧の守護者…トリカブト 鬼のような形相をしたマスクを被っていた大男(?)

「!…それじゃ2人足りてない!お前達の雲と霧の数は”2”だぞ!!」

「まぁ!」

「困った……なーんて言わないよ。」

「べー」

「前に言ったように、真6弔花にはAランクの部下が1人につき100人ついてるんだ。」

「そ…そういえば…」
「そんな事言ってたな。」
ツナや山本を始め、他のみんなもメローネ基地での事を思い出す。

「あと2人のプレイヤーはすでにここに居るよ。」

白蘭のその言葉の後、白蘭の傍に突然2人の人物が姿を現した。
どうやら霧属性を使って姿を消していたようだ、気配も消して……

(なっ!?…気配、感じなかった。それに……やっぱり準備が良過ぎる!
まるで初めからこの2人は参加する事が決まっていたかのように……)
白蘭の行動をますます怪しむソラ

「まず、もう1人の霧はトリカブトの部下…猿ね。」

もう1人の霧のプレイヤーである猿は変な仮面をつけ、忍者の格好をしていた。

(……この人、上手く気配を隠せているけど、わずかに感じた事のある気配をしてる。霧……まさか、幻騎士じゃ…)
確信は持てないが、猿の正体に感づくソラ

「そしてもう1人の雲は桔梗の部下…シスイ」

もう1人の雲のプレイヤーであるシスイは紫色の短髪で瞳は翡翠色、桔梗と同じく穏やかな表情を浮かべていた。

「桔梗様の部下のシスイと申します。初めまして、ボンゴレの皆様。」

(こっちは……初めて会う…人、だよね?けど、何かを感じる。初めて会う人じゃ…ないのかな?)
初めて会う人のはずなのに、超直感で何かを感じ取っていたソラ

「どこから湧いてきやがった!」

「気配も感じなかったっ…」

「術師が2人…」

「奴ら、人員には困らないってわけか。」

「卑怯な…」

ボンゴレ側は突然現れた2人にそれぞれ驚いていた。

「さーて、いよいよ1番大事な勝敗のルールだけど、数あるチョイスのルールから
最もシンプルかつてっとり早い…ターゲットルールでいくよ。」
参加メンバーが互いに決まった所で、次に進める白蘭

「ターゲット…ルール?」

「簡単なルールだよ。お互い、敵の標的となるユニットを1人決め、その標的がやられた方が負けになるんだよ。」
どういうルールか解らないツナの疑問に答えるソラ

「なるほど。大将をたてるんだな。標的は取られたら負けの将棋でいう王将ってわけだな。」
ソラの説明を聞いて理解するリボーン

「ちなみに標的はさっきのルーレットですでにチョイスされてるんだよ。」

「え!?」
これから決めるんだと思っていた標的がすでに決まっていると聞き、驚くツナ

「やっぱりアレがそうなんだ…」

「えっ!?アレって!?」

「ルーレットボートの属性のマークの所にそれぞれ炎が1つだけ灯ってるでしょ?」
問いかけてきたツナに答えるソラ

ソラに言われて、上空に映し出されている映像…ルーレットボートを見上げるツナ達
そこには確かにどちらにも1つだけ属性の所に炎が灯っていた。

「ミルフィオーレは晴!ボンゴレは無属性に!標的となる属性に2人以上居る時はルーレットがランダムに1人を選ぶんだ。」

白蘭がそう言った後、彼が持っていたジャイロルーレットから2本の光が照射され、
それぞれの標的に当たり心臓あたりにターゲットマーカーが現れた。

「うん、これで決まったね!ミルフィオーレの標的はデイジー。ボンゴレの標的は正チャンだ。」


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今回もほぼ原作通りですが、参加人数は変えていますし、新たな人物が登場です!
実はずっとソラの立場をどうするかすごーく悩みました。
雲雀達と同じ参加出来ないメンバーで観戦に専念させるか、参加メンバーとして戦わせるかを。
参加させるとなったら、さすがにミルフィオーレ側の人数も+1した方が良いよね?と思ったら、
その増やすメンバーをどうしようかな?とか。
いろいろ悩んだ結果、真6弔花とは別の人を参加させる事にしちゃいました。
それでは標的83へお進み下さい。


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