ーー夕方ーー食堂ーー

食堂では、守護者全員(骸以外)とソラ、リボーン、ハルのみんなが準備を続けていた。
そこには、朝には居なかったメンバーも居た。
イーピン、ビアンキ、フゥ太、ジャンニーニ、コロネロ、バジル、犬、千種、草壁の9人が居た。
そう、ソラが呼んだ他の協力者達である。犬と千種は骸に、草壁は雲雀に呼ばれてだが…
午後から駆けつけて、今まで準備を手伝ってくれていたのだ。

獄寺以外の男性陣とビアンキは飾り付けを担当し、獄寺とビアンキ以外の女性陣は厨房担当に分かれて準備を進めていた。
獄寺が飾り付けではなく、厨房なのは、普段から、守護者全員+ソラの食事を作っているため。
ビアンキが厨房ではなく、飾り付けなのかというと、みんなもご存じの通り、彼女が作る料理はすべてポイズン化してしまうからである。
本人もそれを理解しているため、大人しく飾り付けの方へ行ったのだ。

「ソラさん、10代目と笹川がそろそろこちらに戻ってくるそうです。」
獄寺が部下からの報告をソラに伝える。

「ほんと?」

「はい。」

「飾りつけ班!!あとどのくらいで終わる!?」

「もうすぐ終わるぜ!!」山本が手を止めずにソラに応えた。

「山本様、次はこの飾りをお願いします!」
そう言いながら、山本に渡すジャンニーニ

「極限急げ!!沢田と京子がもう少しで帰ってくるそ!!」
了平も手を止めずにそう言っていたが、少し落ち着きがない。

「落ち着け、コラ!」落ち着きのない了平を見て、そう言ったコロネロ

「拙者の方ももう少しで飾り付け終わります!!」
手を止めずにそう言うバジル

「バジル、次はその横を頼むぞ。」
バジルに指示を出すリボーン

「哲、急いで済ませるよ。」
手を動かしながら、草壁に言う雲雀

「はいっ、恭さん!!」雲雀に返事をしながらも、手を止めない草壁

「フゥ太、そっちはどう?」
フゥ太と一緒に飾り付けをしていたビアンキ

「うん、あともう少しだよ。ビアンキ姉」
ビアンキの質問に答えるフゥ太

「犬、ここ、少しズレてる。すぐ直して。」
千種が犬に言う。

「りょーかいらびょん!」
千種に言われて、飾りがズレている所を直す犬

「料理の方は?」

「はい!ハルの方はもう少しで終わりますよ!」
料理する手を止めずにハルがそう言う。

「ケーキも完成しています!!」ツナのバースデーケーキを作った獄寺。(ハルと一緒に作った。)

「料理の方も少しずつ運んでるから、大丈夫だよ!あっ!ランボ、これ運んでっ!!」
料理を運びながら、ソラに応えるイーピン

「任せて!イーピン」
イーピンから受け取った料理を運ぶランボ
さっきまで飾り付けをしていたが、イーピンに呼ばれて、料理を運んでいたランボ

「こっちも、もうすぐ終わる。」
料理手を止めずに言ったクローム

「良かった……間に合いそうだね。あと少し頑張ってね!!」

それに全員が一斉に応える。


「帰ってきたそうです!」

「それじゃ……始めようか?」
ソラの合図に全員頷いた。


ーー食堂へ続く通路ーー

「京子、今日は楽しかったね。」

「うん、そうだね。映画を観に行ったり、服屋さんに寄ったり、アクセサリー屋に寄ったり……いっぱい楽しめたね!!」

「それにしても……静かだね?」

「そうだね。さっ、食堂に行こう!きっとみんな待ってるよ!!」

京子に手を引っ張られながら、後をついていくツナ


ーー食堂前ーー

「ツっ君、扉を開けて?」
そう言いながら、ツナと握っていた手を離す。

ツナは首を傾げながらも、京子に言われた通り、扉を開けた。

すると、中から、次々にクラッカーの音が鳴り響いた。
その音に驚くツナ

「これは、一体……?」突然の出来事で呆然とするツナ

京子は中に入り、ソラの隣に立った。

「ツっ君」

「パパ」

『お誕生日おめでとう!!』
その場に居る全員が一斉に声を揃えて言った。

「誕生日……?」

「今日は10月14日だぜ!ツナ」

「あっ!」山本に言われて気付いたツナ

「やっぱり気付いてなかったか。まあ、そうなるように仕向けたのは俺だがな。」

「リボーン……あれ?じゃあ今年のリボーンの誕生日パーティーは?」

「お前と一緒にまとめてやってくれるんだぞ。」

「そうなの?」

「ああ。今年は1日ずらして、お前の誕生日と一緒に祝わせてくれってソラにお願いされてな。」
そう言いながら、ソラに視線を向けたリボーン

「リボ兄の誕生日パーティーをやっちゃったら、サプライズ成功しそうになかったから、お願いしたんだ。」

「それだけじゃないぜ。ツナ」

「えっ?」

「この一週間、お前が山のような書類をしていたのは、ソラに言われてやった事だぞ。」

「なっ!?」

「すべては、10代目が今日1日完全休暇を取れるようにするためにやった事です。」

「それに…忙しくて、自分の誕生日の事なんかすっかり忘れてただろ?それもまた計画の1つだぞ。」

「今日のこのサプライズ計画は、ソラが綱吉君のために立てた事なんですよ。僕らはそのお手伝いをしただけです。」
今ここに居る骸は、クロームを媒体に実体化しているのではなく、クロームと協力して作り出した有幻覚である。

「ごめんね?この一週間、忙しくさせちゃって……」

「ソラ……あっ、もしかして京子も知ってたの?この計画の事。」

「うん、知ってたよ。リボーン君がわざわざ日本に飛んできてくれてね、1日ずらしてこっちに来て欲しいって……
この計画の事はその時リボーン君から貰った、ソラからの手紙を読んで知ったんだ。」

「ハルもソラちゃんからの手紙を読んで、今日まで楽しみにしてたんですよ!」

「そうだったんだ。」

「ソラはボンゴレと京子さんの2人っきりのデートと、このパーティーの2つを計画したんですよ。」

「えっ!?そうだったの!?」
ランボの言葉を聞いて驚いたのはツナではなく、京子であった。

「京子、知ってたんじゃ?」

「えっと……ツっ君を屋敷の外に連れ出すようにって手紙に書かれてはいたんだけど……まさかこれも計画の内だったとは思わなくて……」
恥ずかしそうに言う京子

「なるほどな……おめぇ、意地悪だな?ソラ」
そう言いながら、ソラに視線を向けたリボーン

「あははっ……だって普通にデートして来てって言ったら、サプライズ成功しないじゃん。どうぜなら、パパだけじゃなくて、
ママも驚かそうと思って考えた計画だもん。大成功だね!!」
満足そうな笑みを浮かべながら、はっきりそう言ったソラ

これにはツナや京子だけでなく、この場に居る全員が驚いていた。
そして同時に、それぞれ心の中で「賢過ぎる!」と改めて思うのだった。

「あっ、そうだ。リボ兄!!」
リボーンに視線を向けるソラ

「なんだ?」

「お誕生日おめでとう!!」
満面の笑みを浮かべてお祝いの言葉を掛けるソラ

ソラがそう言った後、他のみんなもリボーンにお祝いの言葉を次々と言う。

「サンキュー」

「リボ兄」

「ん?」呼ばれた方に視線を向けると、ケーキを手に持ったソラが居た。

ソラは他のみんながリボーンにお祝いの言葉を掛けている間に厨房にケーキを取りに行っていたようだ。

「これ、約束してたケーキだよ。」

ソラが手に持っていたケーキは、定番の苺以外にもいろんなフルーツがデコレーションされた、生クリームホールケーキだった。

「ほぉ……美味そうだなっ、楽しみにしてた甲斐があったぞ。」

「良かった!!」リボーンにそう言われて嬉しそうにするソラ

「あっ、リボーン君との約束ってこのケーキの事?」
今朝の事を思い出して言う京子

「そうだよ。」

「パーティーを1日ずらすかわりに、俺の誕生日ケーキを作ってくれってお願いしたんだぞ。」

「へぇ、そうだったんだ。」

「すごっ……これ、ほんとにソラが作ったの!?」ツナが驚きながら、ソラに聞く。

「うん、そうだよ。あれ?作れる事、言ってなかったっけ?」

「言ってない、言ってない!誰に教えてもらったの!?」
首を横にブンブン振りながら聞くツナ

「誰って、ママやおばあちゃんだよ。今はもうほとんど本を読みながら1人で作ってるけど。」

それを聞いて唖然としていたツナ

「ワォ…君、知らなかったの?僕、最近良くソラが作ってくれた和菓子を食べてるんだけど。」

「えっ!?」

「和菓子は恭兄にしかあげてないから知らなくても無理ないよ。」

「そうなのかい?」これには雲雀も驚く。

「うん。恭兄、和菓子好きでしょ?だから作ってたんだよ。」

「ワォ、嬉しいね……また作ってくれるかい?」

「もちろん!!」

「楽しみにしてるよ。」

「あっ!パパのケーキは隼人兄とハル姉が作ってくれてるよ。」

「そう。(俺には作ってないのね…)」少しだけショックを受けるツナ

「ツっ君、そう落ち込まないで。ソラにお願いして今度作ってもらえば良いじゃない。」

「…そうだね。」

「それじゃあみんな!パーティー始めようか!!」

ソラの掛け声を合図にみんな騒ぎ始めた。


みんなそれぞれの場で賑やかに過ごしていた。

「ツっ君」

「京子」

「どう?今年の誕生日は?」

「嬉しいよ。だってソラが俺のためにしてくれたんだもん。」
リボーンと話しているソラを見ながら言うツナ

「そうだね…私もびっくりしちゃった。」

「驚かす側のはずが驚かされる側だったから?」

「うん。」

「そっか。」

「今日改めて思ったんだけど……ソラは、私達の事…ずっと気にしてたんじゃないかな?って思うんだ。」
ツナと同じようにソラに視線を向けながら言う京子

「そうだね。たぶん、自分が居るから、俺達が2人っきりになれないって思ってるんじゃないかな?」

「そんな事、気にしなくてもいいのにね。」

パーティーの間、ツナと京子はそんな会話をしていた。


時間が経ち、そろそろお開きになるかという頃……

「さて、そろそろ俺と守護者全員からのサプライズだぞ。」

リボーンと守護者以外がその言葉にそれぞれ驚いた声を出す。

「リボ兄?」
ソラも何の事か解らず、首を傾げていた。

「ツナ」

「何?」

「お前は明日も休みだぞ。」

「えっ……明日も!?」

「ああ、そうだぞ。おかしいと思わなかったのか?たった1日休み取るだけであの書類の量はおかしいって…」

「……言われてみればそうかも。」
この一週間にやった書類の量を思い出しながら言うツナ

「つまり、お前は1日じゃなくて、2日完全休暇を取ったんだぞ。」

「……リボ兄、私確か1日って言ったよね?」
一週間前に自分が言った言葉を思い出しながら聞くソラ

「ああ、言ったぞ。2日にしたのは俺の独断だぞ。」

「明日の休暇はリボーンさんと、そして俺達守護者全員からのプレゼントです。10代目」

「仕事はさすがに減らせなかったけどな。」

「これでもアルコバレーノが書類の量を減らしてくれてたんですよ。」

「骸、余計な事言うな。」

「おや、気に障りましたか。」

「ボス、今日の分は、ソラも少しやった。」

「えっ!?」

「ちょっ…クローム姉!!それは言っちゃダメって言ったじゃん!!」

「あっ…ごめん。」

「……リボーン?」

「クロームの言った通りだぞ。こいつが自分から書類を回せって言いやがった。」

「ソラ、それ本当?」

「……う、うん……」知られたくなかった事を知られて俯くソラ

ツナはそんなソラを抱き上げた。

「うわっ!?」突然の浮遊感に驚き、落ちないようにツナの服を掴んだソラ

「ありがとう!ソラ」抱き上げたソラに優しい笑みを浮かべて言うツナ

「……怒らないの?」

「どうして怒るの?ソラが俺のためにしてくれたんでしょ?」

「うん。」

「なら、怒る必要なんてないよ!でも、出来ればあまり特権を行使して欲しくないな…」

「ツナ、明日の休暇で家族サービスして来い。」

「この休暇は、ソラ、君のために赤ん坊が考えた事だよ。」

「えっ……!?」雲雀が言った言葉に驚いて、ツナに抱かれた状態のまま、リボーンに視線を向けた。

「ふっ……驚いたか?実はな、一週間前のあの日の夜、守護者全員を集めて、話して決めたんだぞ。最近3人揃って
出掛ける事がなかっただろ?だから俺が提案して決めたんだぞ。ツナも3人で出掛けれてないの気にしてたしな。」

「そういう事なのな。」

「極限ソラを驚かすためにな!」

「あっ!もしかして、1日多めにお休み取ってって言ったのは……」

「そうだぞ。黙ってて悪かったな、京子」

「ううん、気にしてないよ。リボーン君がソラのためにそうしてくれたんだよね?」

「ああ。ソラが1番喜ぶのは、3人揃った時だからな。」

「そういう事だから、楽しんで来いよ!ソラ」

「ソラさん、楽しんできて下さい!明日も留守は俺達にお任せを!!」

「クフフフっ…明日は思いっきり3人で楽しんで来なさい。ソラ」

「ソラ、ボスと京子ちゃんと楽しんで来て?」

「極限楽しんで来い!ソラ」

「ソラ、行っておいで?」

「大丈夫。明日は僕の部下を街中に散らばらせておくから、安心しなよ。」

守護者全員がソラに次々と声を掛ける。

「みんながこう言ってるし……明日は久しぶりに3人で出掛けようか?」

「そうだね!行こうか?ソラ」

「……うん!!」
リボーンと守護者達からの思わぬサプライズに驚いていたソラだったが、
ツナと京子の言葉を聞いて、嬉しくなって、満面の笑みで頷いた。

それを見て満足そうにするリボーンと守護者達。

「サプライズ成功だぞ。」

その後はお開きになり、解散した。

ソラは、今日は2人に遠慮して自分の部屋へ戻って寝ようとしていたが、
その前に察したツナと京子がソラを捕まえて連れていってしまった。
最初は抵抗していたソラだが、2人からのお願い攻撃で撃沈してしまったようだ。

翌日は久しぶりに家族3人揃ってのお出掛けする姿があった。
どこへ行ったのか、それは3人だけの秘密。



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