10月14日……この日は、ボンゴレボスである、沢田綱吉の誕生日。
大好きな父親の誕生日を盛大に祝うために、1人娘であるソラがある計画を立て、それを確実に実行させるために
家庭教師であるリボーンを始めとし、守護者のみんなに協力してもらい、誕生日の一週間前から少しずつ計画を実行していた。
これは、まだソラが5歳の時に、イタリアにある、ボンゴレイタリア支部で起きた出来事である。
ーー10月7日ーーソラの私室ーー
「あと1週間でパパの誕生日だね。」
カレンダーを見ながらそう言ったソラ
カレンダーを見た後、机の一番上の引き出しに仕舞って置いた紙を取り出し、それを左ポケットに仕舞った。
「さて、そろそろ計画を実行しないとね。まずはリボ兄にお願いしに行こう。」
そう言い、ソラは部屋を出て、リボーンの部屋に向かった。
ーーリボーンの私室ーー
ソラはリボーンの部屋の前に着き、ノックをした。
コンッ、コンッ…
「入っていいぞ。ソラ」
中に居たリボーンにそう言われ、中に入ったソラ
リボーンはソファーで優雅にエスプレッソを飲んでいた。
赤ん坊なのに、なぜエスプレッソを飲んでいるのか?って普通は思うだろうが、
彼はアルコバレーノなので、特に気にする必要もないだろう。
「リボ兄、今いい?」
「いいぞ。こっちに来て座れ、ソラ」
自分の横を指しながら言うリボーン
ソラはリボーンがそう言ったので、ソファーに移動し、リボーンの隣に座った。
「俺に何か用か?」
「あのね、リボ兄に協力して欲しい事があって……」
「協力?」
「うん。来週の10月14日の事で。」
「……ツナの誕生日…か。」
日付でその日がソラの父親である、ツナの誕生日だという事を思い出す。
「うん。」
「何かするのか?」
「あのね……」
ソラはリボーンに自分が考えた計画を簡単に説明した。
リボーンはエスプレッソを飲みながら、黙って話を聞いていた。
「…っとこんな風にしたいなって思ってるんだ。少し前から考えていた計画なんだけど……どうかな?」
自分が考えていた計画に自信がないからか、不安な表情でリボーンに聞いたソラ
「面白そうだな。」
ソラの話を聞いてそう思ったリボーン
「ほんと?」
「ああ、協力してやるぞ。」
「ありがとう!!リボ兄っ」そう言い、リボーンを抱きしめたソラ
「それで?俺は何をすればいいんだ?」
「まず1つ目はね、今年のリボ兄の誕生日パーティー……1日遅れにさせてくれない?」
「ツナが自分の誕生日に気付かないようにするためか?」
「そう。ダメ?」
「別に構わないぞ。だがそのかわり、俺のお願いを1つ聞いてもらうぞ?」
「何?」
「ツナのとは別に、俺の誕生日ケーキをお前が作ってくれ。ツナのはたぶん、獄寺辺りが作るだろうしな。」
「……そんなのでいいの?」
もっと凄いお願いをされるかと思っていたソラは拍子抜けした。
「ああ、それでいいぞ。お前の作る物はうめぇからな。」
「わかった!腕によりを掛けて、最高に美味しいケーキを作ってあげるよ!!」
満面の笑顔で応えるソラ
「楽しみにしてるぞ。次はなんだ?」
「2つ目は、パパの誕生日当日に完全休暇が取れるようにして欲しいんだ。そのかわり、当日までパパが忙しくなっちゃうけど……」
「俺に鬼になって来い、と?」
「うん。パパには悪いけど、これも1日完全休暇を取ってもらうためだよ。」
「いいぞ。忙しくしてれば、自分の誕生日の事なんかすっかり忘れてるだろうしな。」
「急ぎの書類優先でよろしく。そこまで急ぎじゃないのと、重要度が低い書類はこっそり私に頂戴。」
さらっと笑顔で凄い事を言い放ったソラ
「……それは、お前の『ボンゴレの姫君』の特権を行使して……か?」
ソラの言葉にポーカーフェースを崩さず、内心で驚きながらも、確認するリボ―ン
「そう。」
「……それくらいは俺も手伝ってやるから、2人で片付けるぞ。」
「いいの?」
「おめぇ1人に負担を掛けさせるわけにはいかねぇからな。」
「ありがとう!それで、3つ目なんだけど……」
「なんだ?言いにくい事なのか?」
「んっとね、日本に行って来て欲しいんだ。ママとハル姉に、今年は13日じゃなくて、14日にずらして、こっちに来てって伝えて欲しいんだ。
そのついでに、この計画の事も知らせて、協力してもらいたいし。」
「そういや、さっき話してくれた計画では、京子に夕方までツナを街に連れ出してて貰うって言ってたな。」
「うん。パパとママ、こういう時じゃないと一緒に居られないんだから、ちょうど良いんじゃないかと思って。それにママなら、
朝から夕方まで、屋敷に戻って来ないようにしてくれるだろうしね。」
「そうか。だが、なぜわざわざ日本まで飛ぶ必要があるんだ?電話じゃダメなのか?」
「ここで電話したら、パパに聞かれる可能性があるからだよ。」
「なるほどな。わかった、明日さっそく行ってくるぞ。ちょうど雲雀が並盛へ久しぶりに戻るみてぇだから、一緒に行ってくるぞ。
それなら、ツナも何も疑問に思わねぇはずだ。」
「ありがとう!じゃあ恭兄にはリボ兄から伝えてくれる?もし、OKしてくれたら、これを渡しておいて?」
そう言いながら、左ポケットに仕舞っていた紙を取り出して、リボーンに差し出したソラ
「これは?」
「恭兄の方で仕入れて欲しい物リスト。こっちで手配するとなると、どこかでパパにバレそうな気がして…」
「なるほど。風紀財団の力を借りるのか…こんな事頼めるの、おめぇくらいだぞ。」
「そ、そうかな?」
「ああ。ツナでもなかなか頼めないぞ。(ソラは雲雀に気に入られてるから出来るんだぞ?)」
「そうなの?知らなかったっ……」
「それより、もし断られたらどうするつもりだったんだ?」
「それならそれで、パパにバレないように気をつけて手配するだけだよ。」
「そうか。」
「それと、後で手紙を書くから、それをママとハル姉に渡してくれる?計画の事はその手紙に書いておくから。」
「わかったぞ。他のメンバーはどうするんだ?」
「んっとね……守護者の方は、ランボ兄、了兄、骸兄、クローム姉には私から言うから、隼人兄、タケ兄にはリボ兄からお願い。
協力して欲しいあとのメンバーは私の方でなんとかして伝えるよ。」
「了解だぞ。」
「みんな、協力してくれるかな?」
「ああ、もちろんだぞ。(俺達の大切なお姫様の頼みだからな、みんな喜んで協力してくれるぞ。あの雲雀もな……)」
「言っとくけど、強制は無しだよ?」
「わかってるぞ。」
「それじゃ……計画実行開始と行きますかっ!!」
気合いを入れて言うソラ
(気合い入ってんな、ソラの奴………よし、決めた。ツナ、おめぇはこれから一週間、死ぬ気で休暇を取って貰うぞ。)
気合いの入っているソラを見て、何を思ったのか、ツナに地獄の宣言をするリボーンだった。
ーーその日の夜ーー
リボーンに呼ばれて、応接室へやって来た各守護者達。
「全員揃ったな?」
「リボーンさん、俺達守護者を集めてどうしたんですか?」
守護者が全員思っている疑問を獄寺が代表で聞く。
「その前に確認だ。お前ら全員、ソラの計画の事はもう知っているな?」
獄寺、山本、雲雀以外の守護者に視線を向けながら言うリボーン
「極限ソラから聞いた!忘れないようにメモもちゃんとしたぞ!!」
「俺もソラから聞きました。ボンゴレの誕生日を盛大に祝いたいと……」
「私も聞いた。骸様も…」
骸はまだ復讐者(ヴィンディチェ)の牢獄に居るため、クロームを通して、計画の事を聞いたのである。
「当然、了承したんだよな?」
「ああ!可愛い姪っ子のお願いだからな!!」
「俺も協力するって言いました。」
「私も骸様もソラに協力する。」
「俺達の大切なお姫様のお願いだ、絶対この計画を成功させるぞ。」
「もちろん、君に言われなくてもそのつもりだよ。赤ん坊」
「はい!もちろんです!!」
「わかってるのな!!」
「うむ!極限に成功させるぞ!!」
「ソラのために頑張る!!」
「絶対成功させる。」
守護者全員がそれぞれリボーンに言葉を返していた。
「それで?わざわざその事を確認するために呼んだのかい?」
「いや、それはついでだ。」
「ついで…ですか?ではなぜ、俺達を集めたんですか?リボーンさん」
「それをこれから話すぞ。おめぇら、ソラにサプライズを仕掛けないか?」
リボーンのその言葉に守護者全員が驚く。
「ソラに……サプライズをか?」
「あの子にサプライズなんて無理なんじゃない?」
「そうですよ。今まで一度も成功した事がありません。」
山本、雲雀、獄寺の順に言う。
そう、実はこれまでソラに仕掛けたサプライズはすべて途中でバレているのだ。
おそらく、ソラの超直感が強い事と、幼いながらの賢さのせいか、
何度やっても、一度もサプライズが成功する事はなかった。
「確かにそうだな。だか、今回はソラと一緒に仕掛ける側だから、ひょっとしたら成功するかもしれねぇぞ?」
リボーンが考えたサプライズ計画をみんなに話し始めた。
その間、黙って聞いていた守護者達。
「…っというわけだぞ。どうだ?」
「ワォ、いいね。僕も混ぜてよ。」
「そういうことでしたら、自分も協力致します!!」
「あははっ…面白そうだな!!」
「俺も!」
「うむ!極限ソラが喜びそうだぞ!!」
「私も協力する。きっと骸様もそう言うと思う。」
「んじゃ、決まりだな。」
そのあとリボーンはそのためにやるべき事を各守護者に伝えていた。
一体、ソラにどんなサプライズを仕掛けるのだろうか……?