10月25日 今日はなつみの10歳の誕生日。
朝、山口家から学校へ向かう少年がいた。
彼の名前は「山口 大介」 夢が丘小学校4年生である。
だが、大介はどことなく元気がない。
「はぁ……どうやって渡そうか…」
ため息をしながら大介は自転車で学校へ渋々と向かった。
同時刻、水木家の方では……
小学生の少女が赤ちゃんにミルクをあげているところであった。
小学生の方の少女の名は「水木 なつみ」
赤ちゃんの方は15年後の未来からタイムスリップしてやってきたなつみの未来の子供「みらいちゃん」
なつみはみらいにミルクをあげた後、すぐに学校へ行く準備をし、準備が整うと…
「おばさーん!行ってくるからねー!お昼ご飯はいつものように冷蔵庫に入れてあるから温めてから食べてねー!?」
なつみは叔母の「島村 いづみ」に向かって叫んだ。
すると……
「わかったー、いってらっしゃーい。」
2階に居るいづみから返事が返ってきた。
なつみはそれを確認し終えた後、みらいを背負い、「いってきまーす!」と言って学校へ向かった。
ーー夢が丘小学校4年2組ーー
「みんな、おはようー!」
なつみは教室に入ってすぐに元気な声で挨拶する。
「おはよう、なつみちゃん」
「おはよう、なつみ」
「おはよう、えり子ちゃん、タマエ」
「みらいちゃんもおはよう!」
「みらいちゃん、今日も元気いっぱいね。」
なつみはタマエとえり子と朝の挨拶を交わしていた。
「なつみ、今日は何の日か覚えてる?」
「へ?今日…なんかある日だっけ?」
タマエに聞かれて今日が何の日か思い出そうとするなつみ
「なつみ〜、今日は何月何日?」
「えっと…10月25日だよね?ん?……あっ!!」
「思い出した?なつみ」
「今日はなつみちゃんのお誕生日の日よ。なつみちゃん、お誕生日おめでとう!」
そう言いながらえり子はなつみに誕生日プレゼントを渡した。
「私からも。なつみ、お誕生日おめでとう!」
えり子に続くようにタマエもなつみに誕生日プレゼントを渡した。
「ありがとう!えり子ちゃん!タマエ!」
「それにしても…なつみが自分の誕生日を忘れているとはね〜。」
「だって〜、ここのところみらいちゃんの世話に加えて叔母さんの世話までしてるんだよ!?
自分の誕生日の事を考える余裕なんてなかったわよ。」
珍しいものを見たというように言うタマエに言い返すなつみ
「まあそれもそっか。」
「なつみちゃん、私達で手伝える事があったらいつでも言ってね?」
「ありがとう〜!やっぱ持つべきものは友達だよね!」
えり子の言葉がとっても嬉しかったなつみ
その時、3人が会話をしている最中に他のなつみのクラスメイト達が…
「なつみ、お誕生日おめでとう!」
「お誕生日おめでとう!水木さん」
「チャオ、お誕生日おめでとう!なつみ。」
次々になつみにお祝いの言葉をかけていく。
なつみはそれに対応してお礼を言っていった。
その後チャイムがなり、今日の授業の開始を告げた。
そしてあっという間に時間が経ち、今日の授業が終わった。
そしてみんな次々に帰って行き、なつみも帰路についた。
なつみは家への帰路を歩きながら呟いていた…
「今日が自分の誕生日だって事…すっかり忘れてたよ…この頃学校では勉強と育児を両立しながら過ごしてたし、
家に帰ったら帰ったでやっぱりみらいちゃんの世話は当然あるし、それに加えておばさんの世話や炊事に洗濯に掃除…
そんな事を考えてる余裕なんてほんとになかったからな〜。…誕生日か…パパやママは私の誕生日覚えてくれてるかな…」
そう言いながら空を見上げてロンドンに居る自分の両親の事を思い浮かべていた。
そんな事をしているうちになつみは水木家に着いた。
「ただいまー!」
「おかえり、なつみ。お誕生日おめでとう。」
「おばさん!知ってたの!?私の誕生日。」
「知ってるわよ!バカにしないでくれる?(一応…姪の誕生日なんだから知らないわけがないでしょうが。)」
「へぇ…意外。でも、ありがとう!おばさん!」
叔母のいづみがまさか自分の誕生日を知ってて祝ってくれるとは思ってなかったので
本当に嬉しそうな顔を浮かべたなつみだった。
山口家の方では…
大介は自転車で猛ダッシュで帰ってきた。
「あら、大介さん、お帰りなさい。」
大介の継母の佐和子が声を掛ける。
「ただいま!」
そう言うとぐに自分の部屋へ急いで行ってしまった。
大介は自分の部屋に入ると、カバンを机の上に置き、引き出しからある物を出した。
大介が手に持ったのはプレゼントの包みだった。
そう、大介はなつみへのプレゼントを用意していたのだ。
実は朝から悩んでいたのはこのプレゼントの事。
大介はそれをポケットに突っ込んで自分の部屋を出て外に出た後、また自転車に乗って今度は水木家へ向かった。
ーー水木家ーー
大介は水木家に着くと、自転車から降りて、玄関の前に立った。
そしてチャイムを押そうとしていた指が止まった。
(何やってんだろ、俺。チャイムを鳴らすだけの事でこんなに緊張しちまうなんてよ…
えーい!一回押しちまえばそれで済むことだ!)
自分に言い聞かせながらチャイムを鳴らした。
ピーンポーン…
「はーい!」と言ってドアが開いた。
「よ、よお、なつみ」
「大介!どうしたの?」
「あ、いや、その…」
「まあいいや、中入ってよ。」
「あ、ああ…」
大介はなつみに言われるまま中へ入っていった。
大介となつみが居間に入ると、そこにはみらいとボビーが居るだけでいづみの姿が見当たらない。
「おばさんは2階か?」
「うん。2階の自分の部屋で漫画を書いてる。」
「ふ〜ん。」
「ジュース持ってくるからそこで座って待っててよ。」
「あ、ああ。」
なつみはジュースを取りに台所の方へ行った。
大介はなつみの言われた通りそこのソファーに座った。
「はぁ…(何やってんだ…俺。なつみにプレゼントを渡す為にここに来たのにそのタイミングが全っ然掴めねー!)」
その時大介のところにみらいちゃんが近寄ってきた。大介はそれに気付いて…
「ん?なんだ?遊んで欲しいのか?」
「あー」
その後大介はみらいと遊び始め、なつみが居間へ戻ってくると…
「あら?みらいちゃん、大介に遊んでもらってるの?良かったね〜。」
「あー」
「はい、大介。ジュース持って来たわよ。」
そう言いながらテーブルの上にオレンジジュースを置いたなつみ
「サンキュ。」
そう言ってみらいと遊ぶのをやめてジュースを飲み始めた。
「で?大介、今日は何の用事?」
本来の目的を思い出した大介は少しの間固まってしまった。
「大介?」
「え、いや…その…」
「あー」
「ん?わっおい!みらい!それは…」
みらいの声が下から聞こえ、視線を下ろしてみると、
大介が隠してたプレゼントを手に取っていたので慌てる大介
「みらいちゃん、ダメよ!あれ?大介、このプレゼントの包み…もしかして…」
「…あーもう知らねぇ!そうだよ!俺からの誕生日プレゼントだよ!じゃあな!!」
言いたい事を一気に言った後、大介はその場から逃げるように居間を飛び出して水木家を出ていき、そのまま家へと帰っていった。
「あっ、ちょっと大介!!」
なつみはその後少しの間呆然としていたが、大介からのプレゼントを開けてみた。
大介からのプレゼントは手作りのロケットペンダントだった。
「ペンダント?あれ…他にも何か入ってる。」
そう言いながらなつみが取り出したのは一枚の手紙だった。
なつみはその手紙を広げて中の文字を読み始めた。
「なつみ、これはロケットペンダントといって、中が開くようになっていてな、写真を一枚だけ入れられるんだ。
そのロケットペンダントにみらいの写真でも入れとけよ。 大介」
なつみはその手紙を見た後、もうここにはいない大介に、「ありがとう…大介。」と嬉しそうに呟いた。
その日の夜、ロンドンに居るなつみの両親からもなつみの誕生日プレゼントが届いた事は言うまでもないだろう。
なつみの誕生日はもう一ヶ月過ぎてしまいましたが、HP開設を記念して創作致しました。
正直言って大介がなつみにプレゼントする物を何にするかなかなか思い浮かばなくて
管理人である私は凄く頭を悩ませてしまいました。
そんな時にひらめいたのがロケットペンダントだったのです。
確かに小学生である大介が同い年のなつみにあげるプレゼントがロケットペンダントだなんて思いつきにくいでしょう。
しかし、私はそういえば大介は手先が器用なんだったっけ?あんなに凄いオルゴールを作るのに
普通の小学生には作れませんよね。
アニメならではそれは可能ということでなつみへの誕生日プレゼントをロケットペンダントにしたわけです。
(理解不能でしたら申し訳ありません。)