流れるような英語が溢れる。

目の前の、男の子から。




もう、少しだけ。








はぁ、とこれ見よがしに吐かれた深い溜息。

 「あのさぁ…お前、ホントにやる気ある?」

 「………ごめん」

机に置かれた宿題のプリントには、真っ黒になるくらい、取り消し線が引かれている。
これはリョーマ君に答え合わせしてもらった後だ。赤じゃないのは提出するため。
勿論、取り消し線が引かれている所は間違えた部分だ。

英語は、数少ない私の苦手教科だ。自他共に認めている。
仕方ない、苦手なものは苦手なのだ。
それにこれでも頑張ってるつもりだ。自分的には。

 「大体、どうしてこんなのが分からないのか…俺には理解できない」

 「私も理解できてないよ」

だからこそ躓いているわけだし。
手持ち無沙汰にシャーペンをくるくる回してたら叩かれた。痛い。

目の前のプリントには中学英語必修(多分)、現在進行形。
問題(回答済)の6割に取り消し線。
ちょっとヒサンだ。というより酷過ぎる。
呆れられるのも仕方ないとは思う。

 「そりゃぁさ、リョーマ君は帰国子女だから簡単だろうけど。
私は生粋の日本人なんだから…いきなり英語なんて出来るわけないじゃない」

そう言うと、リョーマ君はちょっとむっとした顔をして。
いかにも不機嫌ですって声でこう言う。

 「…諦めンの?」

リョーマ君は諦めるっていう行為が大嫌いだ。テニスにしても、何にしても。
だからこそ青学であれだけ頑張れるんだと思う。期待の、ルーキーとして。

だって誰よりも彼は自分に厳しい。
だから、私も。

 「……諦めない。もう一回ヨロシク」

シャーペンを握りなおして、お願いする。
すると、リョーマ君は必ずこう言ってくれる。
笑って。微笑んで。仕方ないなって表情カオしながら。優しく。

 「Ok.…Don't give it up.」








流れるような、英語が。耳に心地よくて。
ずっとずっと聞いていたくて。

もう少し、もう少しだけ。

そう思いながら、ペンを走らせる。

プリントにはまた間違った答えを書く。



リョーマ君、…ごめんね?









管理人のコメント。

オフ友である天風 垠様のHPから管理人が以前から頼んでいたリクエクト小説を頂いてきちゃいました。
読んでて、凄く良かったので、また作って頂きたいくらいです!!
管理人は「テニスの王子様」の中で特に主人公である越前リョーマが大好きなので、
このような素敵な小説を自分のHPへ持ち帰る事が出来てうれしいです!!
しかも、偶然が重なっただけなのに、私の誕生日の日だとわかった途端、
すぐにサイトの方へアップして下さいました!!
天風 垠様、このたびは、私が以前から頼んでいたリクエクト小説を作って下さいまして、ありがとうございます!!
それではこの辺で失礼致します。

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