それはソラがまだ5歳の時に京子が久しぶりにイタリアへ来た日の出来事である。
京子はイタリアに着いた後、迎えに来てくれていた兄の了平に街に寄らず真っ直ぐにボンゴレイタリア支部へと向かってくれるようお願いし、
屋敷に着いたら、荷物は了平が運んで置いてくれると言ったので、お言葉に甘えてそうさせてもらった。
そして、今は離れて暮らしてる1人娘のソラの部屋へと一直線に向かっていたのだった。
ーーソラの私室前ーー
コンっ…コンっ…
「はい?」
「ソラ、今良い?」
「えっ!?」ソラの驚く声が響いた。
驚くのも無理はないだろう…ソラは母親である京子が今日来る事を知らなかったのだ。
だからここには居ないはずの京子の声が聞こえて驚いたのだろう。
「入るよ?」
「あ、ダメっ!」
京子はソラの返事を待たずに部屋に入り、それに対してソラは慌てていた。
「……ソラ、今後ろに何隠したの?」
「えっと…」
「ソ〜ラ〜?」
言い淀んでいるソラに詰め寄る京子
「にゃあ〜」
「……猫?」
「あ〜…うん、そう。捨てられてた子猫だよ。」
バレてしまい、隠すのを諦めたソラは隠してた子猫1匹を京子に見せた。
「子猫?どこで拾ったの?」そう言いながら、しゃがんでソラの視線に合わせる京子
「この前街に出た時、裏路地に捨てられてるのを見つけて、衰弱していたから連れて帰ってきたんだよ。
本当は他にも3匹いたんだけど……見つけた時にはもう…死んでたから。」
「それで他の3匹は供養して、その子だけ連れて帰ってきたの?」
「うん。」
「良く見つからなかったね、今まで。」
「最近、パパ達忙しいから気付かなかったんじゃない?」
「そっか。」
京子は見逃さなかった、ソラが子猫について説明しながらも、一瞬寂しそうな瞳をしていたのを。
ソラは平然としているが、京子はソラが寂しい気持ちを抱えているのに気付いていた。
ソラ自身はその気持ちを隠し通そうとしていたが、やはりそこは母親というべきか、しっかり見抜いていた。
「あ、引き取り手ならもう見つかってるから大丈夫だよ。この子が元気になったら手渡す予定になってるんだ。」
「え、そうなの?ツっ君…パパにお願いしないの?飼いたいって。」
「言わないよ?私にはもう太陽、レオ、モモ達が居るから。それに…ここで飼ったら危ないしね。」
そう言いながら、子猫を撫でるソラ
そう、ここはボンゴレの屋敷だから、いつ奇襲に遭うか解らない。
もしそうなってしまった時、この子猫を守りきれるかどうかも解らない。
ソラはそれが解っているからこそ、戦う力のない動物を飼うのがどれだけ危険か理解している。
「…だからここよりも安全な場所で、この子猫の事をちゃんと大事にしてくれる人の所へ託す。
もうだいぶ元気になったみたいだから、これから渡しに行く所。」
「これから?」
「うん。だからこの子猫の事、パパ達には内緒だよ?」
「リボーン君も知らないの?」
「リボ兄は今出張任務で居ないから今回の事は知らないよ。パパ達も私がたまにいろんな動物が怪我とかしてたら拾ってたから知ってる。
ただ、今回みたいに生まれたばかりの子猫を拾ったのは初めてだけど。」
「知ってるのに黙ってたの?」
「だってみんな忙しそうにしてたから言わない方が良いかな?って。子猫の事は本を読めば解るから全然困らなかったし。」
ツナ達に遠慮し、自分1人で子猫の面倒を見ていたらしいソラ
「(ツっ君達が忙しそうだからって遠慮しなくても良いのに…)じゃあ今回はママと2人だけの秘密だね?」
「!…うん!じゃあ行ってくるね?」
「気をつけてね?行ってらっしゃい。」
「行ってきます!」
子猫を大事に抱えながら部屋を出て行ったソラだった。
「あ…そういえば裏路地ってあまり行っちゃダメってツっ君に言われてなかったっけ?……もしかして超直感がソラに教えてくれたのかな?
だとしたら、今回は感謝かな?その超直感のおかげであの子猫は助けられたんだし。
それにしても……どうしてツっ君も他のみんなも子猫の存在に全然気付かないんだろう?
そんなに最近ソラと顔を合わせていないのかな?」
そう呟きながら、ソラの部屋を出て、執務室に居るであろう夫のツナの所へ向かう京子であった。
あの後ツナに子猫の事は伏せて最近の様子を聞いてみると、最近は仕事がかなり忙しくてここ1週間〜2週間は顔を合わせはするけど、
食事を一緒に食べながらゆっくり話したり、一緒にお風呂に入ったりとかはしてないと聞き、
普段穏やかで滅多に怒らない京子が軽くブチ切れてツナに説教をしたとか。
突然思いついた話なので、思いっきり短くてすみません!!
ソラと京子のお話、思いつきにくいです。特に6歳以前が。
2歳の頃から母親と離れてイタリアで父親と暮らしているという設定なのでなかなか思いつかないんですよね。
とにかく…ツナの時みたいに誕生日の話じゃなくて他の話になってしまいましたが、
京子ちゃん、お誕生日おめでとう!!