ふたつの希望が出逢う時



これは、本来なら、出会う事の出来ないはずの2人が、偶然の事故で出会った、不思議な出来事である。


ーー地下14階ーーソラの私室ーー

メローネ基地へ突入する2日前……
今日は午前中だけ修行をし、午後からは上層部から新たに送られてきた書類の山を片付けていた。

「いつもの事だけど、相変わらず多い……」そう言いながらも、涼しい顔で次々と書類を片付けていくソラ

その時、「ボフンッ」という音が聞こえ、ソラは動かしていた手を止めて、後ろを振り返った。

ソラの目の前には、ツナ達と同じ中学生と思われる栗色の長い髪の少女が床に座り込んでいた。

(…誰だろう?……なんか、パパに似てる?)驚きながらも、現われた人物を見てそう思ったソラ

「あれ?ここどこ?」
現われた少女は、周りを見回しながら、立ち上がった

そこで自分の目の前に小さな女の子が椅子に座ったまま、こちらを見ているのに気付いた。

「………誰?」

「それはこっちの台詞ですよ。あなたが着ているその服……並盛中の制服ですよね?」
少し警戒心を持ちながらも、目の前に突然現れた人に聞く。

「うん、そうだよ!いきなりで悪いんだけどさ、ここどこ?10年後の世界なのかな?」
少女は、状況を把握するため、自分の目の前に居るソラに尋ねた。

「………10年バズーカの事を知ってるんですか?」
少女が言った言葉を聞いて内心驚くソラ

「うん!知ってるよ!!」少女は笑顔でそう答えた。

(……嘘はついてないみたいだけど……この人の事、パパやママから聞いた事もないし、昔の写真の中にも映ってなかった……どういう事?)
ソラは目の前に現れた人物について、あれこれ考えていた。

(この子、誰だろう?なんとなく、他人な気がしないんだけど……)
少女も黙ったまま、ソラを見つめていた。

少しの間、お互い喋らなかった。

「ん?」ソラはそこで何かに気付いた。

「何?」首を傾げた少女

「5分……経ってますよね?」

「えっ…あっ!?」ソラに言われて気付く。

「故障……でしょうか?」

「……たぶんそうだと思う。」
そう言いながら、ここに来る前の事を思い出していた。

ーー回想ーー

「ハァ〜…今日の授業もやっと終わったよ…」げんなりした表情をするツナ

「今日もお疲れ様です!10代目!」ツナに労いの言葉を掛ける獄寺

「ハハっ…ツナ、疲れてんのなっ」爽やかに笑う山本

「ツナ君、ため息つくと、幸せ逃げるよ?」

「ミナ、縁起でもない事言わないでよ……ほんとに幸せが逃げそうだよ。」

「ええ〜」ミナと呼ばれた少女は不満顔になる。

その子はツナに良く似た顔で、京子と同じ栗色の髪をしていた。

「シャキッとしやがれっ!ダメツナ」山本の肩の上からツナに言うリボーン

「リボーンの言う通りだよ!ツナ君」

「確かにそう「ツナーー!!」」
ツナの言葉を遮って、ツナを呼ぶ声が聞こえて来た。

ツナ達はその聞こえた方に視線を向けると、ランボがこちらに走って来ていた。

「ランボ!!」

「アホ牛、何しに来やがった!?」

「よっ!ランボじゃねぇか。」

「ランボ君、どうしたの?」

「アホ牛、おめー、何しに来た?」

「あっ!リボーン発見!!死ねー!!」そう言いながら、頭の中から手榴弾を取り出して、リボーンに向けて投げたランボ

だが、リボーンはラケットに姿を変えたレオンで、手榴弾をランボの方へ打ち返した。

「ぐびゃっ!?」手榴弾が直撃したランボ

「ランボ!!リボーン、お前ちょっとやり過ぎだぞ!?」

「心配すんな。アホ牛は無事だぞ。」そう言いながら、ランボが居る方を指差したリボーン

「が・ま・んっ…」手榴弾を受けたはずのランボが無事だった。

実はさっき、リボーンが上手く直撃ではなく、そのすぐ前の方に打ち落としたので、ランボに直撃はしていなかったのである。

「よ…良かった〜…」無事なランボを見て安心したツナ

その時、泣くのを我慢出来なくなったランボが、泣きながら、また何かを頭の中から取り出していた。

ランボが新たに取り出したのは、10年バズーカだった。

「リボーンのたれ眉ー!!」
そう言いってから、ランボが10年バズーカに入ろうとしたが……

その言葉を聞いて、怒ったリボーンがランボを蹴飛ばした。

その際、ランボが持っていた10年バズーカが手から離れ、宙に放り投げられた。

ツナ達がその放り投げられた10年バズーカが落ちてくる場所を見てみると、そこにはミナが居た。

「あっ!ミナ、避けてっ!!」ツナがミナにそう声を掛けた。

ミナは避ける事が出来ず、そのまま10年バズーカに当たってしまった。

ーー回想終了ーー

「…っという訳で、宙に放り投げられた10年バズーカを避ける事が出来ずに飛ばされてきちゃったんだ。」

(どういう事?パパ達は今、ここに居るから、バズーカに当たってくるなんて、あり得ないんだけどっ…)
少女の話を聞いて、混乱するソラ

「ねぇ、ねぇ、とりあえず自己紹介しない?」

「あっ…そうですね。」

「じゃあ私からね?はじめまして!私、笹田ミナですっ!」
満面の笑顔でソラに言う。

「違いますよね?」

「え゛っ!?」

「それ、あなたの本当の名前じゃないですよね?何か訳ありみたいですけど。」

(なんで解ったのーー!?この子いったいっ!?)動揺しまくるミナ

(あっ、動揺してる……超直感が働いて、思わず言っちゃったんだけど……)

「う〜ん……何で解ったの?」

「超直感って言えば解ります?」
ソラはこの人には言っても大丈夫だと直感したのか、疑問に答えた。

「えっ!?超直感!?(それって、私と同じ、ボンゴレの血を引いてるって事!?)」
驚いて、目の前のソラを見るミナ

「知ってるんですね?」

「うん…っていうか…私も持ってる、超直感。」

「へっ!?」思ってなかった答えが返ってきて今度はこっちが驚いた。

「う〜ん…ねぇ、ここのツナ君っていくつ?」

「えっ?確か……今年は24歳になる年ですよ。」

「24歳!?(じゃあ、ここはパパ達の時代から10年後なの!?自分の10年後じゃなくて!?)」

「?…どうしました?」

「はっ…ねぇ、ここ…イタリアだったりする?」
場所をまだ聞いていなかった事を思い出したミナ

「いいえ。ここは並盛の地下です。」

「地下?じゃあここ、ボンゴレ地下アジト?」

「……なんで知ってるんです?10年前から来たはずなのに…」

「あっ!?(しまったーー!?)」思わず、口が滑ってしまったミナ

(どうして知ってるんだろ?それに…やっぱり笹田ミナなんて名前……聞いた事がない。でも…私と同じ超直感を持ってる。どうなってるの?)
表情には出さないが、内心で混乱しまくるソラ

「………あのね、今は訳あってツナ君達が中学生の時代に居るけど…私はその時代から、25年後の未来から飛ばされて来たの。」
ミナは少し考えた後、決心したのか、自分の事を明かし始めた。

「25年後?…ってことは……ここからだと、15年後からですか?」

「うん、そう!そして、私の本当の名前は沢田美奈子!!」

「えっ!?」

「?…どうしたの?そんなに驚く事??」きょとんとするミナ

「私も…私も沢田です。」

「へっ!?」

「私の名前は沢田ソラっていいます。」

「え、ええーーっ!?」大声で叫んだミナ

「耳が…痛いです……」

「ホントに沢田なの!?」

「ホントですよ。」

「で、でもっ…沢田ソラって名前……聞いた事ないよ!?」

「(聞いたことがない?……!……もしかしてっ…)あの、すみませんが、父親と母親の名前を教えて頂けませんか?」
ソラは何かに気付いたようだが、その前に確信を得るために、ミナに質問し始めた。

「?…父親は沢田綱吉で、母親は沢田京子だよ。」
何でそんな事聞かれたか解っていないが、ソラの質問に素直に答えるミナ

「(私と同じ!?)じゃあ、キョウダイは居ますか?」

「居ないよ。私、1人っ子。」

ソラは確信してしまった。この目の前の人物がどういう存在なのかを…

「あの、美奈子さん」

「ミナでいいよ。」

「じゃあ、ミナさん…パラレルワールドをご存じですか?」

「パラレルワールド?うん、知ってるよ。」

「じゃあその説明は要らないですね。落ち着いて聞いて下さいね?ここはたぶん、ミナさんの世界の10年後じゃないと思います。」

「えっ…!?」固まるミナ

「パラレルワールドだと、辻褄が合うんですよ。…私の両親もミナさんと同じなんです。」

「えっ!?そうなの!?」

「はい。私も、沢田綱吉と沢田京子の娘なんです。」

「えぇーーっ!?嘘ーーっ!?(この子もパパとママの娘なのーっ!?)」

「そして、ミナさんにはキョウダイが居ない……っという事は、ミナさんの世界には、私が存在していないって事になるんですよ。」

「なるほど……」ソラの説明に納得してしまったミナ

「だから、ここはミナさんにとってはパラレルワールドだと思うんです。」

「そうなんだ…(…っていうか、この子賢い!?)」

自分より幼いのに、とても賢い事に驚くミナだった。

「あの、大丈夫ですか?」

「あ、うん…大丈夫っ(何やってんの、私!小さい子に心配されるなんてっ…しっかりしろっ、ミナ!)」

「じゃあ、お互いの疑問が解けた所で、改めて自己紹介しませんか?」
そう言いながら、椅子から降りたソラ

「あっ…それもそうだね!じゃあ…はじめまして!私、沢田美奈子ですっ!よろしくね?」
満面の笑顔でそう言い、ソラに視線を合わせるようにしゃがんでから、右手を差し出した。

「はじめまして、沢田ソラです。こちらこそ、よろしくお願いします。」
そう言って、ぺこりと頭を下げてから、ミナの手を遠慮がちに掴んだ。

しっかりと握手をした2人

ソラは手を離そうと手を緩めるが、ミナは笑顔を浮かべたまま、手を掴んだままでいた。

「……あの…」手を離して貰おうと思って、ミナに声を掛けたソラ

「ダメだ、我慢出来ないっ!」
そう言って、ソラを自分の方へ引き寄せて抱きしめた。

「かーわーいーいーっ!!こんなにちっちゃいのに、すっごいしっかりしててえーらーいぃー!!あぁっもうっっ可愛いぃっ!!」

訝しむソラに飛び掛かるように抱きつくと、ミナはムツゴロウさんもドン引く勢いでソラを揉みくちゃにしていた。

ソラは暴れるでもなく、引き離すでもなく、ただ大人しく、ミナの好きなようにさせていた。

「私、一人っ子だから、妹とか憧れだったの!!お姉ちゃんって呼んで!!」

ミナのキラキラした眼にソラは照れながらも、ミナの要望に応える。

「えっと…ミナお姉ちゃん?……(なんかしっくりこない。)…ミナ姉でもいいですか?」

「きゃあ〜!もちろんだよー!ソラちゃーーんっ!!」

お姉ちゃんと呼ばれて、よっぽど嬉しかったのか、さらにソラを強く抱きしめるミナ

「あ、あのっ…時間軸的には私がお姉ちゃんだと思うのですが……」

「え!じゃあソラお姉ちゃん?それは、それとして嬉しいけど。」

「あの、そろそろ離してもらえませんか?」

「あ!ごめん!つい…大丈夫?」そう言いながら、ソラを離したミナ

「はい、大丈夫です。」
何でもないように、毅然と答えるソラ

だが、ポニーテールは崩れ、苦しかったのか、頬が少々赤かった。

「くぅ〜っ!なんて健気なのっ!」

「アハハっ……何か飲み物、用意しますね?しばらく戻らない気がしますし。」

「あっ、私もしばらく戻らない気がした。」

「お互いの超直感がそう伝えてるなら、間違いないですね。」
そう言ってから、飲み物を用意し始めた。

少しすると、キャラメルミルクの入ったマグカップを2つ持ってきたソラ

「はい、どうぞ。」ミナにマグカップを差し出す。

「これ、キャラメルミルク?」ソラからマグカップを受け取るミナ

「そうですよ。嫌いでした?」

「ううん、大丈夫。ありがとう!!」

「…どうですか?」

「………うん!美味しいっ!!」一口飲んでからそう言ったミナ

「お口に合って良かったです。」

「これ、ソラちゃんの手作り?」

「そうですよ。随分前にママに教えて貰って作れるようになったんです。」

「そうなの?あっ!もしかして…これ、ソラちゃんの好きな飲み物?」

「はい!」満面の笑顔で即答するソラ

「そっか!あっ、ここ、座っていい?」ベッドを指差しながら聞くミナ

「構いませんよ。余分の椅子がないですし。」

「じゃあ座るね。」そう言ってから、ベッドの上に座ったミナ

ソラは自分がさっきまで座っていた椅子の所まで戻って座った。

「戻るまで、お互いの世界の話をしません?」

「いいね!」

「その前に聞いて良いですか?」

「何?」

「そっちの10年前のパパ達、リング争奪戦はもう終わった後?」

「うん、終わってるよ。あっ、リボーンから聞いたんだけど、ツナ君達、10年後の未来の世界に行って戦ったんだって!!」

「えっ……」ミナの言葉に固まるソラ

「?…どうしたの?ソラちゃん」

「もしかして……ミルフィオーレと?」

「そうだよ…って、えっ!?なんで解ったの!?あっ!もしかしてっ……」

「そのもしかしてですよ。今、この時代には10年前のパパ達が来てます。」

「えぇーー!?パラレルワールドなのに、こっちでも同じ事が起きてるのーーっ!?」

「みたいですね。…という事は、そっちのパパ達は、ミルフィオーレとの戦いに勝って、無事に過去へ戻った後なんですね?」

「うん、そうみたいだよ。」

「そうですか…(そっか、ちゃんと過去に戻ってるんだ。なら、ここのパパ達も…きっと過去へ戻れるはず。)」

「あの、ソラちゃん?」

「ミナ姉、この先のミルフィオーレとの戦いの話は一切しないで下さい。ここはまだ終わってませんから。」

「わ…わかった。(口を滑らせないように気をつけないとっ…)」

「それじゃ、それ以外の事を話しましょう。たぶんそれ以外なら、何も影響はないはずですから。」

「オッケー!」

ミナが元の世界の10年前に戻れるまでの間、2人はお互いの世界の事を話していた。

ソラは、ミルフィオーレとの戦いが今どこまで進んでるかを始めに言ってから、
この時代のツナ達と過ごしてた時の事と、自分の事をミナに話した。

ミナは、元の世界…25年後の世界に居る、両親や守護者、そしてミナの大切な仲間と過ごしてた時の事、
ツナ達が中学生の時代に居る理由、そして自分の事をソラに話した。

お互いの事を話終えると……

「そうなんですか。そっちの世界では、隼人兄やタケ兄……守護者達にも子供が居るんですね。」

「こっちでは、ソラちゃん以外居ないんだね。なんか驚いちゃったっ!」

「ミナ姉は、日本に居るんですね。」

「ソラちゃんは日本じゃなくて、イタリアなんだね!私はママと一緒で、ソラちゃんはパパと一緒かぁ〜」

「……ミナ姉の世界のパパとママ、話を聞く限り、万年新婚夫婦なんですね。」

「そうなんだよ〜!中学の時は、全っ然だから、ビックリしちゃって!」

「パパの片想い中ですからね。」

「ソラちゃんの世界の2人はそこまでじゃないの?」

「はい。普通の夫婦ですよ。(…っていうか、そっちのパパとママのラブラブ度……凄過ぎるっ…聞いただけで胸やけしそうになったもん。)」

「ふーん…でも、ソラちゃんもパパ、ママ大好きっ子だよね?」

「………はい。ミナ姉ほどじゃないですけど…」少し顔を赤らめながらそう答えたソラ

「そう?」

「そうですよ。(ミナ姉は超がついてもおかしくないくらい、パパとママの事好きそうだもん。)」

「うふふっ…あっ!ソラちゃんって、いろんな戦い方が出来るんだね!いいな〜」ソラを羨ましそうな眼で見るミナ

「そうでもないですよ。いろんな戦い方をするって事は、いろんな修行をしなくちゃいけませんから。狙い撃ち、素振り、基礎体力作りなど、
数え出したら霧がないですよ。」

「た…確かにっ…!私、そんなにたくさんは出来ないよ〜!」
自分がやったらどうなるか想像して、絶対無理だと思ったミナ

「でしょ?普通はミナ姉みたいに、1つか、2つの武器を使うのが一番効率が良いんです。」

「それを考えると、ソラちゃんってやっぱ凄いや!」素直にソラを褒めるミナ

「ありがとうございます。」ミナの言葉に照れながらも、お礼を言うソラ

「………ねぇ、ソラちゃん」

「?」

「今、何か……不安になってる事、あるよね?」
超直感で何かを感じとったのか、突然ミナが真剣な表情になった。

「!!」ミナに見抜かれて動揺を隠せないソラ

「やっぱり!…ソラちゃんが今抱えてる不安な事……話してみて?」

「でもっ…」渋るソラ

「話してみるだけでも、気持ちが楽になるよ?」

ミナのその言葉を聞いて、まだ会って間もないのに、なぜか話したくなったソラ

ソラは話した、自分が今抱えている不安な事を……

「そっか……ミルフィオーレと戦う為に修行をしてるパパ達の事が心配なんだね。」

「はい。ミナ姉の世界のパパ達は無事に過去へ戻れたんだから、たぶんここのパパ達も無事に戻れると信じたいです。でも、ミナ姉の世界と
私の世界は、似てるようで違います。ここには私が存在しているから……少しは違っててもおかしくないんです。」

「そっか……でも、きっと大丈夫だよ!」そう言いながら、立ち上がって、ソラの前まで来たミナ

「ミナ姉?」ミナを見上げるソラ

ミナは、ソラの瞳が不安で揺れているのに気付き、机の上にマグカップを置いてから、ソラを抱きしめた。

「大丈夫だよ!だってパパは強いもん!!もちろん、隼人おじさんや武おじさんもね!」

「ミナ姉…」

「ソラちゃん、パパ達を信じてれば、きっと大丈夫だよ!」

「パパ達を信じてれば……」

「うん、そう!だって私達のパパだよ?絶対に勝てるよ!!」

「………そうですね。」

そこでミナは何を思ったのか、抱きしめていたソラを離した後、ソラの両頬を摘み、横に引っ張る。

「みにゃねぇ、にゃにずるんでずか!(ミナ姉、何するんですか!)」

「ソラちゃん!敬語を外そうよ?」そう言いながら、両頬を摘まんでた手を離した。

「えっ…でも…私達、今日会ったばかりですし……」

「………よし、決めた!!じゃあ私達は今日から姉妹になろう!!」
少し考えた後、突然そんな事を言い出したミナ

「へっ!?(なんでそうなるの!?)」ミナの言葉に驚くソラ

「考えてみたらさ、確かに世界は違うけど、私達、親は同じじゃない?」

「そうですね。」

「だから、私達は姉妹みたいなものなんだよ!だから…ソラちゃん、私の妹になって!!」

「えっ!?……あの、ミナ姉…時間軸の事、忘れてないですよね?」

「ん?…あぁ〜そういえば時間軸だと、ソラちゃんの方が年上なんだっけ?でも私、お姉ちゃんが良いな!!」

「良いなって……(もしも、年上の私に会ったらどうする気なんだろ?)」

「ねっ!?姉妹になろ!!」眼をキラキラさせて、ソラの答えを期待するミナ

「そんな簡単に決めちゃって良いんですか?」

「いいじゃん!自分達がそれで良いならさ!」

(ミナ姉、考えるより、行動派みたいだね……)

「ねぇ〜、良いでしょ〜?ソラちゃ〜ん」

「………ハァ〜…解りましたよ。」

「わーい!妹出来ちゃった!!ありがとう!ソラちゃんっ!」

「ソラ」

「ん?」

「お姉ちゃんなら、妹の事、ちゃん付けなんてしないと思うんだけど?」

「!…そうだねっ!じゃあ…ソラ!」

「何?ミナ姉」

「何でもない!呼んでみただけだよ。敬語を使うソラも可愛いけど、こっちも可愛い〜っっ!」
そう言いながら、ソラをまた抱きしめたミナ

「ミナ姉、何かあるたびに抱き着く癖でもあるの?」

「ううん、ないよ?でも、ソラ、可愛いんだもんっ!!」

「そ、そんな事ないよ!」少しだけ顔を赤らめながら否定するソラ

「ええ〜?絶対可愛いよ〜!良く言われない?」

「さ、さぁ?どうだろう…?あっ…」
ソラは超直感で感じた、ミナがそろそろ元の世界に戻れる事を…

「あっ……」ミナもソラと同じように超直感で感じたようだ。

ミナは名残惜しそうにしながらも、抱きしめていたソラを離して、立ち上がった。

「残念、時間切れみたいだね…」本当に残念そうな顔でそう言ったミナ

「そうだね…」ソラも残念そうにしていた。

お互い顔を見合わせた。

「…世界が違っても、ソラは私の妹で居てくれる?」

「そっちこそ。世界が違っても、私のお姉ちゃんで居てくれる?」

少しの沈黙の後……

「「もちろんだよ!」」息のあった声でお互いに答えを出した2人

「向こうのパパ達には、この世界の事は話しちゃダメだよ?少なくとも、今居る10年前のパパ達には…」

「……うん、そうだね。今のパパ達には話せないね。未来の…25年後のパパ達になら、話してもいいかな?ソラの事…」

「いいよ。でも…私が話した、2年前の事は話さないでね?」

「うん!わかった!!絶対誰にも言わないよ!!」

「じゃあ……またね。ミナ姉」満面の笑顔でミナを見送るソラ

「うん!またね!!…ソラ、頑張ってっ!!」
満面の笑顔でソラに声援を送ったミナ

「ボフンッ」という音と同時に、元の世界へ帰って行ったミナ

「………ミナ姉、ありがとう。いつか、また会えるよ。だからその時は……」


ーーミナの世界ーー

ボフンッ…

「あっ!ミナ!!」

「ツナ君、ただいま!!」

「おかえり!!良かった〜…バズーカに当たったのに、10年後のミナが現れないから心配してたんだよ!?」

「ごめんね〜?(現われなくて当たり前だよ。だって、入れ替わってないもんっ!)」
ツナに謝りながら、心の中でそう呟いたミナ

「んで?あっちで誰かに会ったか?」リボーンがミナに聞く。

「会ったよ。それより、なんでまだ道端なの??」

「ん?どういう意味だ?」きょとんとする山本

「あっちに飛ばされてから、時間経ってるんだけど……たぶん約2時間くらいかな〜?」

「そ、そんなにっ!?」驚くツナ

「てめーが消えてから、約10分しか経ってねぇぜ?」獄寺が経過した時間をミナに教える。

「えっ!?たった10分なの!?」

「ああ、そうだぜ?」

「そっか〜」

「ミナ、誰に会ったの?」ツナは誰と会ったか気になって聞いた。

ミナは口の前に人指し指を立てると、悪戯っ子のように笑いながら答えた。

「ヒ・ミ・ツっ!!」

「えー、教えてくれないの?」

ツナはミナの様子に不満を隠せない。
なぜなら、彼女が物凄く嬉しそうに笑っていたから。
誰にあったか分からないが、相当いい事があったに違いない。

「うん!ごめんね?でも、言わないって約束しちゃったからっ!!」

彼女のきっぱりとした、しかし楽しそうな顔を見て、ツナもそれ以上は聞かない事にした。

「そっか。それなら仕方ないね。」
そう言って、また歩き出す。

(ソラ……また会えるよね?私、また会えるのを楽しみにしてるから!)
空を見上げて、心の中でそう呟いたミナ


お互い、また会える事を信じて、今は自分の目の前で起きている事をまた頑張ろうと思う2人だった。



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