10年後のランボ

ソラは10代目雷の守護者であるランボの私室でお話をしをながら一緒にお茶をしており、
いつもは昔のツナ達の事を聞くが、この日は少し違う話をしていた。

「へぇ〜…それでこの間、子供の頃のランボ兄がこっちに飛ばされてきたんだね。10年バズーカの話は聞いて知ってたけど、
実際に見るのは初めてだったから驚いたよ。聞いた所、最近良く入れ替わっちゃってるみたいだね?」
そう言いながら、両手に持った10年バズーカをジロジロと見つめていたソラ

そう、ソラは10年バズーカによってやってきた5歳のランボの事を聞いていたのだ。

「うん。今がちょうど10年前の俺がボンゴレと初めて出会った時期だからね。だからしばらくは頻繁に入れ替わっちゃうと思う。」

「そっか。…っていうか10年前のリボ兄に喧嘩売るのやめようよ?いくら10年前より強くなっているとはいえ、リボ兄は最強のアルコバレーノの1人なんだよ?
ランボ兄には悪いけど、喧嘩売るだけ無駄。あれから10年経って、今はもうリボ兄には絶対敵わない事はもう解ってるんでしょ?」

そう、ランボが最近入れ替わるようになってから、必ずと言っていい程、帰ってきた時にはリボーンにやられてか、
ビアンキのポイズンクッキングを喰らってかになっていて、無事に帰って来れた時の方が奇跡に近いのだ。

「う…うん。解ってはいるんだけどね、つい…」

「リボ兄、たまにわざとランボ兄を挑発させてるからな〜…面白半分で。」

「う゜ぅっ…」しょんぼりするランボ

「…ねぇ、ランボ兄が今強くなりたいのは、自分がボンゴレの雷の守護者だから?」

「え…?」突然のソラの問いかけに驚くランボ

「ランボ兄、痛いのが嫌であまり戦たがらないでしょ?特に自分より上だとはっきり分かってしまっている相手には。
雷の守護者はいつの間にかなっていたみたいだけど、パパみたいに「なりたくてなったんじゃない!」って言わないし。」

「……俺、ボンゴレの…ツナの守護者になった事は一度も嫌になった事はないよ。ずっと…ずっと小さな頃から、ツナや他の守護者達が見てる世界を早く見たいって思ってた。
だから俺は今も雷の守護者で居続けてるんだ。10年前のあの頃はいつもツナ達に守られてた、俺も守護者の1人で本当なら俺の方がボスであるツナを守らなくちゃいけないのに、
いつも守られて……だから今、もっと強くなって、今度は俺がツナを守りたいんだ。今まで守られてた分、少しずつ返せるように…」

「へぇ…ランボ兄、そんな事思ってたんだ?」

「う…うん。あ、でもツナには言わないでよ!?」
言った後になって恥ずかしくなったのか、顔を赤らめながら慌てて
ツナには言わないでくれとソラに言うランボ

「なんで?パパ、きっと泣いて喜ぶと思うけど。」

「いや、その……まだ、ダメだ。まだ守るだけの力が足りない。言うなら、もっと強くなってからが良いんだ。だから…」

「そっか…解った、言わない。」

「ありがとう、ソラ!」

「パパには言わないけど…ちょっとごめんね?」

ソラは何を思ったのか、持っていた10年バズーカを座ってるランボへ向けて放り投げた。

「えっ!?」

10年バズーカを放り投げてきたソラに驚き、慌てて回避しようとしたが間に合うはずがなく、
そのまま10年バズーカに被弾してしまったランボ

ドカーンッ…

煙が晴れると、そこには今目の前に居たランボよりさらに年上と思われる男が現れた。

「ん?ここは…」
現れた男は部屋を見回し、そしてソラに目を留めた。

「いらっしゃい、10年後のランボ兄?」
そう言いながら、椅子から降りて現れた男の前まで行くソラ

「あなたはっ…!?」
ソラに驚いて椅子から立ち上がり、そのまま目の前に居たソラの前でしゃがむ。

「なんか顔つきが逞しくなってるね?」

「ああ…懐かしい……本当にあの頃の姫だ…」
懐かしむように呟く10年後ランボ

(なんか、本当に懐かしんでる……まるで私に会うのが本当に久しぶりなような目をしてる。)
なぜだかソラには今目の前に居る10年後ランボは、子供の頃の自分を見るのが懐かしいからではなく、
私自身に会うのが本当に久しぶりで懐かしんでるように感じてしまったのだ。

「姫が…いや、ソラが幼いという事は、ここは10年前か。」

「うん、そうだよ。ホントにあのランボ兄?」

「やれやれ…10年前と今、そこまで違うか?」

「うん、全然違う。ランボ兄、とっても強くなったんだね?気配ですぐに解ったよ。今のランボ兄にはない気迫もあるしね。」

「そこまで褒められると……照れる。」

「そういう所は変わらないんだね、ちょっと安心。」

「全部変わってたら、俺は俺ではなくなってしまう。」

「それはそれで嫌だな〜…そっちのみんなは元気?」

「あ…ああ、元気にしてるよ。」
曖昧な答えを返す10年後ランボ

「………ランボ兄、聞きたい事があるんだ。」
曖昧な答えなのが気になったが、敢えてスルーして話を変えた。

「?…なんだ?」

「雷の守護者になった事、今も後悔してない?ずっとなりたがっていた強い自分にはなれた?」

ソラの言葉を聞いて驚く10年後のランボ

ソラが10年後ランボに守護者としてツナを守れているかではなく、守護者になって後悔していないか?って言ったのには訳がある。
先ほどランボが言っていた事を聞いて、10年経っても、その想いが変わっていないのか知りたくなったからだ。
そして今は、目の前に居る10年後ランボが自分を見つめるその瞳がなぜか悲しそうにしていたのを見て、
今目の前に居る10年後ランボの世界ではもしかしたら自分やツナ達はもう居ないのではないか?っと思ってしまった。
10年バズーカは現れる者が必ず同じ世界の者とは限らず、いくつもあるパラレルワールドの中からランダムに選ばれて
現れているという事を聞いて知っていたので、ソラは本当に知りたくなったのだ、ランボの気持ちを…、
ソラはただ純粋にランボが本当に後悔していないのか心配して聞いたのだ。

ソラが自分と少し話しただけで自分の世界の事を悟った事に驚いていたが、それよりも純粋に自分の事を
心配して言ってくれているのが伝わってきて、ランボは嬉しかった。

「教えて?ランボ兄」

「……雷の守護者になった事は本当に後悔していない。10年前よりは強くなったとは思う。けれど……強くなるのが遅過ぎたような気がするな。」
ソラの質問に素直に答えるランボ

「そっか、教えてくれてありがとう。」

「今、俺と話しただけで、俺の居た所がどんな世界か解ってしまうとは……」

「なんとなくだけどね。」

「ははっ…なんとなくか。本当に良く当たる感だ。」
そう言いながら、ソラの頭を優しく撫でる10年後ランボ

「そろそろ時間みたいだよ?ランボ兄、頑張ってね!」
そう言いながら10年後ランボに抱きついたソラ

「ありがとう、ソラ…また会えて嬉しかったよ。」

ボフンっ…

10年後ランボが帰っていき、現代のランボが帰ってきた。

「…あれ?なんでソラ、俺に抱きついてるの?」

「おかえり、ランボ兄」
ランボから離れながらも問いには答えず、ただ「おかえり」と言うソラ

「ああ、うん…ただいま。」

「10年後のランボ兄、カッコ良かったよ。」

「えっ…そう?」

「うん。カッコ良いだけじゃないよ、今より凄く強くなってた。」

「えっ!?」

「あ、気配でだよ、戦ってないから。」
勘違いしているであろうランボにそう付け足したソラ

「あ、気配か。」ほっとするランボ

「そもそも戦う時間ないじゃん。」

「ははっ……それもそっか。…っていうかソラ、なんでいきなり俺に10年バズーカを放ったのさ!?」

「ん?10年後のランボ兄を見てみたくなったから。」あっさりとした答えを返すソラ

「それだけの理由で!?もし向こうで任務の真っ最中だったらどうするのさ!?
幸い今回は任務中じゃなかったし、イーピンが傍に居たから良かったけどさ…」

「え?イー姉に会ったの?」

「ああ、うん。」

「そっか。(イー姉は10年経ってもランボ兄の傍に居るんだ…)」
ランボとイーピンが10年経っても一緒なのを知り、嬉しくなった。

「まぁでも…ソラが見れて嬉しかったなら別に良いけどね。」
しょうがないな〜っというような表情で言いながら、ソラの頭を撫でるランボ

「さっ、新しい紅茶を淹れてお茶会の続きしよ?いつものパパ達の昔話、聞かせてよ?」

「うん、そうだね。」


こうして、ソラは10年後ランボとの出会いを大切に仕舞い込み、今は目の前に居るランボとの時間を過ごすのであった。

後になって、あの時の出会いは偶然ではなく、必然の出来事だったのかもしれないと思うソラであるが、それはまだ少し先の事である。



原作でもアニメでも登場が一回限りだった20年後ランボです。
基本リクエストは受け付けないのですが、とあるメールで3人のキャラのリクエストを頂き、
どれもあまり登場していないキャラだったのでどのキャラも困難だったのですが、
20年後ランボは自身も書いてみたくなったので創作しました。
1回限りの登場だったので、20年後のランボの口調とか解らなくて完全捏造ですが。
ツナ達にとっては20年後ランボでも、ソラにとっては10年後ランボなんですが、
ソラが10年後のランボと話がしたくて10年バズーカを放ったというお話が出来上がっちゃいました。
それではこの辺で失礼致します。

※この作品はリクエストに応えて書いた小説ですがフリー小説ではありませんのでお持ち帰りしないで下さい。
 20年後ランボのリクエストメールを下さった方のみお持ち帰りして下さって構いません。(持ち帰りするかどうかも不明ですが。)

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